前回の記事 は読んでいただけたでしょうか? 今回は春合宿の感想戦からです! 張り切っていきましょう!
分野について
コンテストの略称
本の略称
内容はあくまで一個人の意見として軽く受け止めてください!
春合宿のコンテスト問題のネタバレを含みます!!
いよいよ春合宿. JJMOで一度行ったときはちょうどコロナが出始めた年で, コンテストも2日間だけでしたので, かなり新鮮な気持ちでした. また, APMOのときに会えなかった西日本勢は初の顔合わせです. 緊張します. その一方でもちろん, 楽しみでもありました.
試験は3問4時間半(7点/問)
実は春合宿が始まるまで, 代表になるつもりがそこまでなく(そもそも2番級以降が安定して解ける自信が全くなかった), 春合宿の目標もとにかく楽しむこと!たくさん交流すること!でした. ですので, 初日もかなりリラックスした状態でコンテストに臨むことができました. 席が右が新井さん, 後ろが北山さんと話せる人が多かったこともあったと思います.
分野を見るとCAN. 1問かあわよくば2問くらいの気持ちで解き始めます. 1は実験をし, 違和感を言語化していくと鳩ノ巣が綺麗に見えてきました. 構成も評価のときの発想から着想を得ることができたため特に難航することはなく, 1時間かからないくらいで解答を書き終えられました.
問2. A分野には一番苦手意識があったため, 解けたらいいな, くらいで解き始めます. 自明な考察をいくつかしていき,
問3にうつりますが, 初手で大きく方針を間違えてしまい, これといった進捗が出ないまま試験終了.
結果は770でした. 苦手分野で解けたらいいくらいの心構えでもやはり解けないと焦ります. そういったとき, 自分の自信につながることを思い出すのがおすすめです. 春合宿では自分が最近褒められた経験を思い出したりしました. あらかじめ思い出すことを決めておくと冷静になれます.
各整数
太郎が赤いビーズを
線分
Day1が終わった後話した人はほぼ全員2完. このときは代表になることへの希望よりも苦手分野の2番級が解けた嬉しさが勝っていました.
分野がAC(?)G. 1も2もあまり見慣れないタイプの問題だったため, 難易度の想像がつきません. 1は実験していくと評価が
2ははじめ(というか試験終了までずっと)Cだと思っていたのですが, 終わったあとほかの参加者からNだと指摘され少し残念な気持ちに. この問題は問題の定式化が本質部分でした. しかも前半で触れた, 解答用紙にいきなり解答を書き始める, という手段を取ったらなんとそのままとんとん拍子に解けてしまった. 実際は初夏合宿で帰ってきた答案を見ると説明の曖昧さで2点引かれていたのでなんとも言えませんが... 数式をたくさん使うように, というアドバイスをいただきました. 1と合わせて2時間半くらい. そして3...
永遠に方針が見えません. いろいろ実験はしてみるもののこれといった情報が何も手に入らない. 複素で解こうとしてもいまいち刺さらない. 結局なにもできないまま試験終了.
結果は750でした. この日もあまり差はつかず, 特に話した高2(04世代)は全員4完以上していました. 後半二日で何か起こる予感がしました.
忘れました...(C分野, グラフの問題, 感想は雰囲気でお楽しみください)
分野がGCAで, まず確実に1番は解こうという気持ちに. 共点の示し方を根心くらいしか知らなかったので()とりあえず根心を考えると, 一瞬で解けてしまいました. 解答を書く時間を含めても30分くらい. これはかなりの想定外でした. また, この問題では北山さんが普段幾何を解くスタイルの「円を一切書かない」というのを実践してみました. それが功を奏したのかもしれません(?)
3Aは絶対解ける自信がないので2Cに全振り. ただ, 問題文が異様に長い. 某試験を彷彿とさせるような異様な長さ. 読解から始めていくと後半3行がグラフの用語で「強連結」一語で記述できることに気づきます. C分野はグラフ用語に直すと本質が見えやすくなることが多いです. グラフの考察を進めるもうーん. 全然わかりません. 必要性のほうはなんとなく示せた感じがしましたが十分性がよくわからない. 最後10分くらいでそれっぽい解法を見つけ全速力で書き進めますが, 結局必要性も十分性も間違っていたらしく1点どまり(おそらく大量の記述のどこかが刺さった).
ちなみに2Cを解いている途中, 隣の新井さんから30分から1時間に1回くらい大きなため息が聞こえてきて, そのたびに進捗を生んでいると思い,「やっぱりみんな2完しているよな...」と焦りと諦めの気持ちが募っていました.
3Aは少しも触りませんでした.
結果は710, かなり渋い. ただ, 全員1完(
ここまで来たら最終日2完以上して代表になってやろうという気持ちが芽生えます.
以下の条件を満たす正の整数
円
ハンターと透明なウサギが無限に広がるマス目でゲームをしている. はじめハンターは有限色で各マス目を彩色し, ウサギは最初にいるマスを一つこっそり選ぶ. その後
コンテストも4日目, 大詰めです. かなり疲労がたまっていました. 分野はNGCと分かっていたため, 意地でも2完すると決めていました. 1は実験すると
そして2... 緊張が極限まで高まっています.
このときあることに気づきます. 「この配置, 長さ計算で全部求まる」, と. 決心しました. 必ず解ききってやる. 時短もかねて解答用紙に計算を始めていきます. 計算量を見積もっても試験中におわるかどうか微妙な量でした. 途中3回ほど計算ミスがあり, 泣きそうになります. ただ, もう後戻りできないところまで来てしまっている. 死ぬ気で計算を続け, ついに残り10分. 計算をし終わります. 計算した解答用紙5枚. 最後10分は過呼吸が止まらずただ呆然としていました.
結果は670. 周りには(昨日までに5完だった人の中でも)0完から3完までいました. かつてないほどの満足感. ところが, 終わったあと色々な人に話を聞くとどうやら7完以上が6人いるらしいーーその6人がまさしく新井, 井本, 北村, 北山, 沖, 三宮だったのでした. その6人がのちに代表になるというのはまだ先のお話ですので, その日は必死に神頼みをしていました.
終わった後, かつてないほどの燃えつきを味わっていました. 代表になるかどうかは, なれる確率もなれない確率も
4月の上旬, 春休みも折り返しを過ぎたころ代表になったという旨のメールが届きます. メンバーは例の6人. 最初の段階で全く代表になれる気がしていなかった分嬉しさと不安, そしてやる気が極限状態に達していました.
ーー自分には何が足りないか. "安定感"でした. 2番級を安定して解ける実力. それがとてもあったとは言えません. その弱点を克服するためにIMOまでは
の二つをメインで取り組みました. 要望がありましたのでshortlistの解説をします.
IMOの問題はコンテスト直前の会議でIMO shortlistと呼ばれる問題群から選ばれる. 問題は各国から送られてくる. shortlistは毎年作られ, 問題が使用されたIMOから1年間はオフィシャルには公開されない. その間は各国の代表選抜試験で使用されたり, 代表強化に使うことができる(そのため春合宿や初夏合宿の問題は口外してはいけない). 1年たてばAoPSや公式サイトで公開されるため自由に演習問題として使用することができる.
内容は
が毎年あり, 各分野1~3
また, 幾何はEGMOをメインで取り組みました. Evan Chenによる幾何の対策書で, 英語で書かれています.
Euclidean Geometry in Mathematical Olympiads. 洋書. JMO入賞の副賞としてもらい, 幾何はこれを中心に取り組んだ.
メリット
デメリット
幾何に少しでも苦手意識がある人は一度誰かに見せてもらうのがおすすめです.
この間5月に強化合宿があったのですが, これの内容は秘密にしておきます. おおまかには本番形式の演習, 春合宿の解説, ほかの代表やチューターとの交流などです.
このほかに計4回の通信添削がありました. 1回6問(本番形式)を解いて財団に送り, 添削していただけるという制度です. 問題はMath Olympianに載ります.
また, shortlistは最終的にこのような感じになりました.
shortlistの進捗状況
Aが壊滅的にできません. 特に不等式. もう少し全体的に取り組めばよかったと少し後悔しています. あとは3番級をしっかり解くだけ解いてみるなどしたほうがよかったと思っています. 一回も解いたことがない(
こんな感じで色々あり, 最終的には添削問題の手ごたえからしても, 当初の目標であった2番級を安定して解くというのは(Aを除けば)ほとんど達成されていた気がします. IMOの実感は最後までほとんどありませんでした.
何ていうか本当に実感がない. これからノルウェーに行くという実感もコンテストを受けるという実感も本当に何もわかない. どうやらあまりに非日常なことが重なると人は実感がなくなるらしいです.
"Math"logなのでコンテストをメインに書きます(). ほかの内容は財団が発行する通信に載ると思いますので是非そちらも読んでみてください!(宣伝)
行きの飛行機ではELMOというコンテストの問題や精選Cをやっていました.
組み合わせ論, 三角法, 数論があり, それぞれ102, 103, 104問載っている. うち半分が初級, 半分が上級. 上級とは言っても2番級くらいまでの印象. 行きの飛行機で読んだだけなので簡単に.
メリット
デメリット
純粋に問題が欲しい人はかなりおすすめできます.
現地についてからはあまり問題を解くことはできず, 前半で触れたまとめノートを見返したり, 同室の新井さん, 井本さんと幾何を数問解いたりしました.
CAN. 1で沼らないといいなーと思いながら解き始めます. 実験をしていくとかなり自明な気がしてきます. 自明だと思ったらその言語化. 今回は「混ざっているのが少しずつ戻っていく」を数学の言葉にしてあげればよいですね. 具体的には
問2. 問題文が短いのでできることが少なそうです. 解はどう見ても
問3に移りますが実験をしてみてもなかなか本質的な情報にたどり着かない. 2の不安とほとんど三番級を解いたことがない(
終わったあと日本チームで集まっても一人を除いて全員2完, 一人全完がいましたが... 2が簡単というのは満場一致なようで少し安心しました. また, 今日のセットで世界的に差がつかないであろうということは薄々気づいていたため, 明日が全てを決める, 春3日目のような漠然とした不安がありました.
各
どこかで幾何が来ることはわかっていたのですがまさか1番級とは. 幾何を重点的に対策していただけに少々残念でした. 図を描くと合同, 共円, 相似, aminoの補題が綺麗に見つかり, 一瞬で解けました. 20分くらい. aminoに感謝です2.
そして問5. まさかの自分が一番好きなタイプの問題. 解けるかということ以上に嬉しさで飛び上がりそうでした().
そして3Cです. 実はこの問題, 最後15分までずっと解が
Day2もDay1同様の結果だったため, チーム全体の雰囲気はかなり良い状態を保つことができました.
結果は772771. 終った瞬間は正直少し金メダルも期待していたのですが, やっぱりかなり簡単な回でしたね. 来年までに3番級に立ち向かえる実力をつけていきたい.
数学のことは全部忘れて観光や交流を楽しむことができました. ここら辺の話は財団の通信でまた.
IMOはこれで終わりではないです. むしろ来年こそが本番です. あと一年.
長い記事でしたが, 最後まで読んでいただきありがとうございます. 読んでいる人の競技数学のモチベーションが少しでもあがってくれていれば嬉しいです. ではまた.