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大学数学基礎解説
文献あり

代数学をやるその21 加群から環の情報を得る

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はじめに

今回は加群に対する条件から環の形が決定される問題を持ってきました.色々な解法が考えられる面白い問題です.

※代数学をやるそのうんたらの他の問題たちが こちらのまとめページ から見れます.良ければリンクをご利用ください.

問題と解答

$R$は単位元を含む可換環,$M$は有限生成$R$加群で$M \neq 0$を満たすとする.$R$の任意の$0$でないイデアル$I$に対して$IM=M$が成り立つとき,$R$は体であることを証明せよ.(岡山大)

その1
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$M$$R$上の生成元を$x_1,\cdots, x_n \in M$とする.任意の$r \in R \backslash \{0\}$を取る.$R$単位元を持つことから,$r$が生成する$R$のイデアル$(r)$零イデアルでないことに注意する.示すべきは$r$が可逆であることである.
$r$が生成するイデアル$(r)$に対して,仮定より$(r)M=M$が成り立つ.$M$$R$$x_1, \cdots ,x_n$で生成されるとしていたから,$M$$R$$rx_1, \cdots, rx_n$でも生成されることになる.よって任意の$x_i \in M$に対して$a_{i1}, \cdots, a_{in} \in R$が存在して,
$$x_i=\sum_{j=1}^na_{ij}rx_j=a_{i1}rx_1+\cdots+a_{in}rx_n$$
と書ける.これは,$\delta_{ij}$をクロネッカーのデルタとすると,
$$\sum_{j=1}^n(\delta_{ij}-ra_{ij})x_j=0 \hspace{0.2in} (1 \leq {}^{\forall}i \leq n)$$
とも書ける.従って,第$(i,j)$成分が$\delta_{ij}-ra_{ij}$で定まる行列$A$を考えると,
$$A\left(\begin{array}{c} x_1 \\ \vdots \\ x_n \end{array}\right)=0$$
が成り立つ.この等式に左から$A$の余因子行列を掛けると,
$${\rm det}\,A\left(\begin{array}{c} x_1 \\ \vdots \\ x_n \end{array}\right)=0$$
が成り立つ.よって,$M$$x_1,\cdots,x_n$で生成されていることから,${\rm det}\,A \in R$が生成する$R$のイデアル$({\rm det}\,A)$$({\rm det}\, A)M=0$を満たす.$({\rm det}\,A ) \neq 0$とすると$M=({\rm det}\,A)M=0$となって$M \neq 0$に矛盾するので${\rm det}\,A=0$である.行列式を展開すると$0={\rm det}\,A \in 1+(r)$となるから$1 \in (r)$である.よって$r$は可逆である.これが示すべきことであった.(証明終)

その2
証明を表示

まず,一般的な次の事実を示す:$M$を有限生成$R$加群,$I$$R$のイデアルとする.$M$$R$加群としての自己準同型$\phi$$\phi(M) \subset IM$を満たすとき,ある正の整数$n$$a_0,\cdots,a_{n-1} \in I$が存在して
$$\phi^n+a_{n-1}\phi^{n-1}+\cdots+a_1\phi+a_0=0$$
を満たす.但し,この等式は$M$$R$加群の自己準同型全てがなす環${\rm End}_R(M)$における式である.また,$R$の元$r$$r$倍写像として${\rm End}_R(M)$の元とみなされており,それも$r$で表すこととする.

$M$$R$上の生成元を$x_1,\cdots, x_n \in M$とする.$\phi(M) \subset IM$であることから,任意の$x_i \in M$に対して$a_{i1}, \cdots, a_{in} \in I$が存在して,
$$\phi(x_i)=\sum_{j=1}^na_{ij}rx_j=a_{i1}rx_1+\cdots+a_{in}rx_n$$
と書ける.これは,$\delta_{ij}$をクロネッカーのデルタとすると,
$$\sum_{j=1}^n(\delta_{ij}\phi-a_{ij})(x_j)=0 \hspace{0.2in} (1 \leq {}^{\forall}i \leq n)$$
とも書ける.従って,第$(i,j)$成分が$\delta_{ij}\phi-a_{ij}$で定まる${\rm End}_R(M)$に成分を持つ行列$A$を考えると,
$$A\left(\begin{array}{c} x_1 \\ \vdots \\ x_n \end{array}\right)=0$$
が成り立つ.この等式に左から$A$の余因子行列を掛けると,
$${\rm det}\,A\left(\begin{array}{c} x_1 \\ \vdots \\ x_n \end{array}\right)=0$$
が成り立つ.$M$$x_1,\cdots,x_n$で生成されているから,${\rm det}\,A \in {\rm End}_R(M)$は零写像である.よって,この行列式を展開すると求める等式を得る.(上で提示した事実の証明終)

さて,$I$$R$の零でないイデアルとすると,仮定より$IM=M$が成り立つ.$\phi$を恒等写像,即ち$1$倍写像とすると$\phi(M)=M=IM$が成り立つから,今示した事実により,整数$n>0$$a_0,\cdots,a_{n-1} \in I$が存在して
$$1+a_{n-1}+\cdots+a_0=0(=零写像)$$
が成り立つ.よって$x=1+a_{n-1}+\cdots+a_0 \in R$とおくと,今の等式より$x$倍写像は零写像である.即ち$xM=0$である.$x \neq 0$とすると,$x$$R$で生成するイデアル$(x)$は零イデアルでないから,問題の仮定より
$$0=(x)M=M \neq 0$$
となって矛盾.よって$x=0$である.これより$1 \in I$であるから$I=R$である.よって$R$は自明でないイデアルを持たないから体である.(証明終)

その3
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$I$$R$の零でないイデアルとする.仮定より$M=IM$である.$R$の部分集合$S$$S=1+I$で定めると,$S$積閉集合である.よって$R$$M$$S$による局所化$S^{-1}R, \, S^{-1}M$を考えることができる.$S^{-1}M$$S^{-1}R$加群である.また,$M$$R$上有限生成であるから,$S^{-1}M$$S^{-1}R$上有限生成である.$I$$R$加群と見て$S$で局所化したもの$S^{-1}I$$S^{-1}R$のイデアルである.よって$M=IM$の両辺を$S$で局所化して$S^{-1}M=(S^{-1}I)(S^{-1}M)$を得る.

さて,任意の$a/s \in S^{-1}I$と任意の$r/s' \in S^{-1}R$に対して
$$1-\frac{ar}{ss'}=\frac{ss'-ar}{ss'}$$
であり,$ss'-ar \in S+I \subset 1+I=S$より$\frac{ss'}{ss'-ar} \in S^{-1}R$である.即ち$1-ar/ss'$$S^{-1}R$の単元である.よって$S^{-1}I$$S^{-1}R$のJacobson根基に含まれる.すると,$S^{-1}M=(S^{-1}I)(S^{-1}M)$に対して中山の補題を用いることで$S^{-1}M=0$を得る.これより,ある$s \in S$が存在して$sM=0$となる.$s \neq 0$とすると,$s \in R$が生成するイデアル$(s)$は零でないから$0=(s)M=M\neq0$となって矛盾する.よって$s=0$であり,これと$S=1+I$であることから$1 \in I$となる.よって$I=R$となり,$R$には自明でないイデアルが存在しない.即ち$R$は体である.(証明終)

感想

$M$の生成元を取って各生成元を生成元たちの線型結合で表し,その係数からなる行列を考えて…という方法(証明その1)は直ぐに思いつきそうですね.証明その2は証明その1と発想は同じですが,より一般的な視点から証明を展開しています.証明その3は上の2つとは打って変わって,加群の局所化という別の視点からアプローチしています.ただ,色々な事実を使っているので,実際に試験として解答する場合には,どこまでの事実を用いて良いのか悩むような気もします.何にせよ色々な方法があって面白いですね.

今回用いた事実

以下,$R$は単位元$1$を持つ可換環であるとします.

上で提示した証明たちに共通しているのは,最終的に次の補題を用いている点です.

$M$有限生成$R$加群,$I$$R$のイデアルで$IM=M$を満たすものとする.このとき,$xM=0$かつ$x \equiv 1 \, {\rm mod} \, I$を満たす$x \in R$が存在する.

実際,この補題を認めれば解答は次のように直ぐ書けます.

補題1を認めた場合の問題の解答
解答を表示

$I$$R$の零でない任意のイデアルとする.問題の仮定より$IM=M$であるから,補題1を適用することで$xM=0$かつ$x \equiv 1 \, {\rm mod} \, I$を満たす$x \in R$が存在する.$x \neq 0$とすると$x$が生成する$R$のイデアルは零でないから,問題の仮定より$0=(x)M=M \neq 0$となって矛盾.従って$x=0$である.$x \equiv 1 \, {\rm mod} \, I$より$1 \in I$となるので$I=R$である.よって$R$には自明でないイデアルが存在しないので,$R$は体である.(証明終)

それぞれの証明では補題1を証明するような形で解答を書いていたということですね.

以下恐らく最も行間が広い証明3の隙間を埋めていきます.

$S \subset R$を積閉集合とし,$R$の環としての局所化を$S^{-1}R$$R$加群$M$の局所化を$S^{-1}M$と表します.また,標準的な環準同型$\iota : R \ni r \longmapsto r/1 \in S^{-1}R$を取っておきます.

まず$R$のイデアルとその$\iota$による像の関係を示す次の補題から始めます.

$I \subset R$をイデアルとする.このとき$\iota(I)(S^{-1}R)=S^{-1}I$が成り立つ.即ち$\iota(I)$$S^{-1}R$で生成するイデアルは,$I$$R$加群と見て$S$で局所化したものに等しい.

証明を表示

$S^{-1}I$$S^{-1}R$のイデアルであることは明らかである.任意の$\frac{a}{s} \in S^{-1}I$に対して,$\frac{a}{s}=\frac{a}{1}\cdot\frac{1}{s} \in \iota(I)(S^{-1}R)$が成り立つので,$S^{-1}I \subset \iota(I)(S^{-1}R)$が成り立つ.逆の包含を示す.$\iota(I)(S^{-1}R)$の任意の元は$\frac{a}{s} \, (a \in I, \, s \in S)$の形の元の有限和で表される.それを例えば$\frac{a_1}{s_1}+\cdots+\frac{a_n}{s_n}$と書くと,通分することで
$$\frac{a_1}{s_1}+\cdots+\frac{a_n}{s_n}=\frac{a_1s_2\cdots s_n+\cdots+a_ns_1\cdots s_{n-1}}{s_1\cdots s_n} \in S^{-1}I$$
が成り立つ.よって$\iota(I)(S^{-1}R) \subset S^{-1}I$でもある.よって$\iota(I)(S^{-1}R)=S^{-1}I$が成り立つ.(証明終)

$S^{-1}I$$S^{-1}R$のイデアルなので,$S^{-1}M$の部分加群$(S^{-1}I)(S^{-1}M)$を考えることができます.次の補題は,それが$M$の部分加群$IM$$S$による局所化に等しいことを示しています.

$I \subset R$をイデアル,$M$$R$加群とする.このとき$S^{-1}(IM)=(S^{-1}I)(S^{-1}M)$が成り立つ.

証明を表示

$S^{-1}(IM)$の任意の元は$(\sum_i a_im_i)/s \, (a_i \in I ,\, m_i \in M, \, s \in S)$の形をしている.ここで分子は有限和である.すると,
$$\frac{\sum_i a_im_i}{s}=\sum_i \frac{a_i}{s} \cdot \frac{m_i}{1} \in (S^{-1}I)(S^{-1}M)$$
が成り立つので$S^{-1}(IM) \subset (S^{-1}I)(S^{-1}M)$が成り立つ.逆に,$(S^{-1}I)(S^{-1}M)$の任意の元は$\sum_i\frac{a_i}{s_i} \cdot \frac{m_i}{s_i'} \, (a_i \in I, \, m_i \in M, \, s_i,s_i' \in S)$という形をしている.この和も有限和である.すると$t=\prod_i s_is_i', \, t_i=\prod_{j \neq i}s_js_j'$とおけば,$t \in S$かつ
$$\sum_i\frac{a_i}{s_i}\cdot\frac{m_i}{s_i'}=\frac{\sum_i t_ia_im_i}{t} \in S^{-1}(IM)$$
が成り立つ(要は通分しているだけである).よって$S^{-1}(IM) \supset (S^{-1}I)(S^{-1}M)$も成り立つので,$S^{-1}(IM)=(S^{-1}I)(S^{-1}M)$である.(証明終)

次の補題は有限生成加群の局所化が零加群となるための必要十分条件を与えます.

$M$有限生成$R$加群とするとき,次が成り立つ.
$$S^{-1}M=0 \hspace{0.2in} \Longleftrightarrow \hspace{0.2in} sM=0 \, となる \, s \in S \, が存在する$$

証明を表示

($\Longrightarrow$):$M$の生成元を$x_1,\cdots,x_n$とする.$S^{-1}M=0$であるから,任意の$x_i \, (1 \leq i \leq n)$に対して$\frac{x_i}{1}=0 \in S^{-1}M$が成り立つ.これは,任意の$x_i$に対して$s_i \in S$が存在して$s_ix_i=0 \in M$となることに同値である.すると,$s=s_1\cdots s_n$とおけば$s \in S$かつ$sx_i=0 \, (1 \leq {}^{\forall}i \leq n)$が成り立つ.$M$$x_1,\cdots,x_n$で生成されているから,$sM=0$が成り立つ.

($\Longleftarrow$):$s_0 \in S$$s_0M=0$を満たすとする.$S^{-1}M$の任意の元は$\frac{x}{s} \, (x \in M, \, s \in S)$という形に書ける.すると,
$$\frac{x}{s}=\frac{s_0x}{s_0s}=0$$
となるので,$S^{-1}M=0$が成り立つ.(証明終)

今の証明から,補題4の$\Longleftarrow$$M$が有限生成でなくとも成り立つことが分かります.しかし,$\Longrightarrow$$M$が有限生成でないと成り立ちません.具体的な反例として次のようなものがあります.$\mathbb{Z}$加群$M:=\mathbb{Q}/\mathbb{Z}$$\mathbb{Z}$上有限生成ではありません(分母の素因数分解から分かります).$M$$S:=\mathbb{Z}^{\times}$($\mathbb{Z}$の乗法群)による局所化$S^{-1}M$を考えましょう.任意の$S^{-1}M$の元は$\overline{\frac{b}{a}} \in M=\mathbb{Q}/\mathbb{Z}$$s \in S=\mathbb{Z}^{\times}$によって$\frac{\overline{\frac{b}{a}}}{s}$と表せます.すると,$a \in S$であることから
$$\frac{\overline{\frac{b}{a}}}{s}=\frac{a\overline{\frac{b}{a}}}{as}=\frac{\overline{b}}{as}=0$$
が成り立つので,$S^{-1}M=0$となります.しかし,$sM=0$となるような$s \in S$は存在しません.というのは,任意の$s \in S$に対し$s$と互いに素な$t \in S$を選ぶことができて,$\frac{s}{t} \notin \mathbb{Z}$より$\overline{\frac{s}{t}}=s\overline{\frac{1}{t}} \neq 0 \in M$となるからです.

証明3の中で用いられた局所化に関する事実はこれで全てです.
次はJacobson根基に関する事実を示します.

$\mathfrak{J} \subset R$をJacobson根基とすると,次が成り立つ.
$$x \in R \, が \, x \in \mathfrak{J} \, を満たす \hspace{0.2in} \Longleftrightarrow \hspace{0.2in} 任意の \, y \in R \, に対して \, 1-xy \in R \, は単元である$$

証明を表示

($\Longrightarrow$):任意の$x \in \mathfrak{J}$を取る.ある$y \in R$に対して$1-xy \in R$が単元でないとする.このとき$1-xy \in R$を含む$R$の極大イデアル$I$が存在する.$\mathfrak{J}$$R$の全ての極大イデアルの共通部分であるから,$x \in \mathfrak{J} \subset I$が成り立つ.すると$1 \in xy+I \subset I$となるから$I=R$が従うが,これは$I$が極大イデアルであることに矛盾.よって任意の$y \in R$に対して$1-xy \in R$は単元である.

($\Longleftarrow$):対偶を示す.$x \in R$$x \notin \mathfrak{J}$を満たすとする.このとき,ある極大イデアル$I$が存在して$x \notin I$を満たす.すると$x,I$で生成されるイデアル$(x)+I$$I$を真に含むから,$I$の極大性より$(x)+I=R$が成り立つ.よってある$y \in R, \, z \in I$が存在して$xy+z=1$が成り立つ.$1-xy=z \in I$$I$が極大イデアルであることから,$1-xy$は単元でない.よって対偶が示された.(証明終)

最後に中山の補題を示しておきます.

中山の補題

$\mathfrak{J} \subset R$$R$のJacobson根基,$M$有限生成$R$加群とする.$\mathfrak{J}$に含まれる$R$のイデアル$I$$IM=M$を満たすとすると,$M=0$となる.

証明を表示

$M \neq 0$と仮定し,$M$の生成系のうち元の数が最小のものを$x_1,\cdots,x_n $とする.$IM=M$よりある$a_1,\cdots,a_n \in I$が存在して$x_n=a_1x_1+\cdots+a_nx_n$が成り立つ.$n=1$のときは$(1-a_1)x_1=0$が成り立つ.$I \subset \mathfrak{J}$なので命題5より$1-a_1$は単元である.従って$x_1=0$となるが,これは$M \neq 0$に矛盾する.$n \geq 2$とすると
$$(1-a_n)x_n=a_1x_1\cdots+a_{n-1}x_{n-1}$$
が成り立つ.やはり命題5より$1-a_n$は単元である.よって
$$x_n=(1-a_n)^{-1}a_1x_1+\cdots+(1-a_n)^{-1}a_{n-1}x_{n-1}$$
となる.これより$M$$x_1,\cdots,x_{n-1}$で生成できるが,それは$n$の最小性に矛盾する.よって$M=0$である.(証明終)

余談ですが,補題1を認めると中山の補題は簡単に導出できます.

補題1から中山の補題の導出
証明を表示

補題1から$xM=0$かつ$x \equiv 1 \, {\rm mod} \, I$となる$x \in R$が存在する.すると命題5より$x$は単元である.従って,$M=(x^{-1}x)M=x^{-1}(xM)=0$が成り立つ.(証明終)

補足

もし$M$自由$R$加群であると仮定されていれば,次のようなあっさり解答もできます.この場合$M$が有限生成であるかどうかは関係なくなります.

$M$が自由である場合の問題の解答

$M$が自由$R$加群なので,$R$加群の同型$M \cong \bigoplus_{j \in J}R$が成り立つ($J$は添字集合).$R$の零でない任意のイデアル$I$に対して,仮定より$IM=M$が成り立つので,$R$加群の同型
$$\begin{split} 0=M/IM &\cong (R/I) \otimes_R M \\ &\cong (R/I) \otimes_R \bigoplus_{j \in J}R \cong \bigoplus_{j \in J}(R/I) \otimes_R R \cong \bigoplus_{j \in J}(R/I) \end{split}$$
を得る.これより$R/I=0$即ち$R=I$となる.よって$R$には自明でないイデアルが存在しないので,$R$は体である.(証明終)

元の問題に対してもこれのようにテンソルを用いた簡単な解答ができないか考えてみたのですが,私は思いつけませんでした….こんな方法があるよって方はお教え頂けると嬉しいです.

今回の記事は以上です.
最後までお読み頂きありがとうございました.

参考文献

[1]
永田雅宜, 復刻版 大学院への代数学演習, 現代数学社, 2021
[2]
M.F.Atiyah, I.G.MacDonald 著,新妻弘 訳, 可換代数入門, 共立出版, 2017
投稿日:202289

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素朴な問題が特に好きです.

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