文献をあまり調べていないため、既知の結果が含まれている可能性を否定できません。
また、全体を通して計算過程の省略が顕著です。手元に計算用紙などを用意してから読むことをおすすめします。
記事の要約
平方根のみからなる二重根号の等式をいっぱい作った。ただし、
のように、「二重根号の中に含まれる根号の種類が少ない」、という縛りを設けた。
根号の種類が少ないとは?
を2乗した式を想像してみると、普通に考えればの7種類の根号が登場し、したがって上の式の左辺も外側の根号の中に7種類の根号が入りそうに思える。しかしながら、実際の左辺はと、外側の根号の中にの3種類しか根号が登場しない。このような場合を根号の種類が少ないということにする(本記事独自の定義であるため、公に用いないよう注意されたい)。……意図が伝わっているか不安である。
必要な公式
二重根号の等式を生成するために必要な公式を列挙する。いずれの式もゼロから発見するのは超々々々大変だが証明は容易であるため、証明を省略して公式のみ記す。
型の外せる二重根号を生成するための式
のとき、
特に、を代入して以下の公式を得る(これを公式3'とする)。
※公式1に限れば、
私が2年前に書いた記事
でも登場している。つまり、そこから2年ほどかけて公式2や公式3を発見したわけである。したがって、「やといった摩訶不思議な根号がどこから来たのか?」という問いに対しては、「根性」と答えるしかない。計算の結果
先述の公式に何らかの値を代入して、両辺の平方根をとれば、二重根号に関する等式を得られる。ここでは、それぞれの公式に代入する値と、その結果を列挙する。
【公式1から得られる等式】 に自然数を代入していく。
当然、に自然数以外の値を代入してもよい。
【公式2から得られる等式】 不適となるケースは省略した。
に負の数を代入することで、虚数単位を含む二重根号も生成できる。
※実数以外の平方根は正負を定義できないため、平方根として考えうる2つの値の両方を√の値として扱うことにする。 【公式3から得られる等式】 本記事のメインはここなので、他の2つよりも多くの例を挙げる。なお、型にならないケース、および同値なケースは省略した。また、となる例に対しては公式3'を用いて計算している。
上に挙げた例はいずれも『外すことのできる二重根号で、根号内に2桁以下の数しか含まないもの』である。
だが、実際にいくつかの数の組を公式 3に代入してみると、こういったケースが比較的稀少であることに気づく。例えば適当になどを代入すると、以下のように左辺が残念なことになってしまう。
「この二重根号を外せ」と言われても、計算する前にモチベーションを喪失することだろう。もしも読者が二重根号に関する作問をなさるのであれば、先に挙げた20個の例のように入念な数値調整を施すのが最低限の礼儀であると主張したい。
勿論、公式 3に負の数を代入することもできる。以下に具体例を示す。
右辺を展開したことで、より非自明な表式となった。
問題で確認
内に示されたヒントをもとに、以下の二重根号を外しなさい。
全体の総括
今回は私が根性で探した数々の公式をもとに、中学校・高等学校で扱わない、論文にもほぼ登場しない形の二重根号を外した。冒頭のを自明と呼べる人はごく僅かであろうが、こうして公式を踏まえれば、案外単純に見えてくるはずである。それはそれとしての洗練され具合(主観)を布教したい。協力者求む。
何か質問・知見・指摘・リーマン予想の反例などがあれば、コメントをお願いします。
【本記事のまとめ】
- 公式1、公式2、公式3を利用すると、二重根号に関する非自明な等式が得られる
- 各々の公式に負の数を代入することで、虚数を含む二重根号の等式も得られる
- 根号の中身をシンプルにするのは二重根号作問者としての礼儀