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分母に2乗がある有理関数の部分分数分解を楽に計算したかった

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$$\newcommand{disp}[0]{\displaystyle} \newcommand{Hom}[0]{\mathrm{Hom}} \newcommand{Im}[0]{\mathrm{Im}} \newcommand{Ker}[0]{\mathrm{Ker}} \newcommand{matab}[2]{\begin{pmatrix} #1 & #2 \end{pmatrix}} \newcommand{matac}[3]{\begin{pmatrix} #1 & #2 & #3 \end{pmatrix}} \newcommand{matba}[2]{\begin{pmatrix} #1 \\ #2 \end{pmatrix}} \newcommand{matbb}[4]{\begin{pmatrix} #1 & #2 \\ #3 & #4 \end{pmatrix}} \newcommand{matbc}[6]{\begin{pmatrix} #1 & #2 & #3 \\ #4 & #5 & #6 \end{pmatrix}} \newcommand{matca}[3]{\begin{pmatrix} #1 \\ #2 \\ #3 \end{pmatrix}} \newcommand{matcb}[6]{\begin{pmatrix} #1 & #2 \\ #3 & #4 \\ #5 & #6 \end{pmatrix}} \newcommand{matcc}[9]{\begin{pmatrix} #1 & #2 & #3 \\ #4 & #5 & #6 \\ #7 & #8 & #9 \end{pmatrix}} \newcommand{ZZ}[1]{\mathbb Z / #1 \mathbb Z} $$

 みなさんこんにちは。
 突然ですが、部分分数分解って面倒ですよね! ヘヴィサイドのカバーアップ法 なんてのもありますが、分母に2乗があったりすると、微分が必要だったりして計算が大変です。
 そこで私、閃きました。
$$ \frac {\cdots}{(x-a)^2\cdots}$$
のように分母が2乗になっているところを
$$ \frac {\cdots}{(x-t)(x-a)\cdots}$$
のように新しい変数$t$を用いて書き換え、これを部分分数分解してから $t=a$とすれば良いじゃないか!と。
 いやあ、我ながら天才的な発見をしてしまった。微分なんていらんかったんや!

 早速使ってみるとしましょう!

問.$\disp \frac x{(x-1)^2(x-2)}$を部分分数分解せよ。

 まず、$t$を新たな変数として
$$ \frac x{(x-t)(x-1)(x-2)}$$
という関数を考えます。これをヘヴィサイドなり この方法(宣伝) なりで部分分数分解すると
$$ \frac {t}{(t-1)(t-2)(x-t)} - \frac{1}{(1-t)(x-1)} + \frac 2{(2-t)(x-2)}$$
となります。あとはここに$t=1$を代入すれば………
 
 
  代入できない……だと……?
 
 
このままでは、$t=1$を代入すると分母が0になってしまいます。くっ、ここまでか……。

 いや、ここで諦めるような私ではありません!そう、代入できないなら、極限を考えればいいじゃない!
 ということで、$t \to 1$としてみます。


細かい話($t$$1$に近づける過程で分母が$0$になることはないか?)

ここでは、先に$x$を固定した上で$t$$1$に近づけています。$x$$1$でないので、$1$に十分近い範囲で$t$を動かせば、$t=1$以外で分母が$0$になることはありません。


 さて、
$$ \frac {t}{(t-1)(t-2)(x-t)} - \frac{1}{(1-t)(x-1)} + \frac 2{(2-t)(x-2)}$$
において$t \to 1$とすると、
$$ \lim_{t \to 1} \left\{ \frac {t}{(t-1)(t-2)(x-t)} - \frac{1}{(1-t)(x-1)} + \frac 2{(2-t)(x-2)} \right\}$$
$$ = \lim_{t \to 1} \frac 1{t-1}\left\{ \frac {t}{(t-2)(x-t)} + \frac{1}{x-1} \right\} + \frac 2{x-2}$$
となります。面倒そうな極限が出てきましたね。そのまま代入すると$\frac 10 \cdot 0$で不定形です。愚直に通分しても良いですが、こういう場合に使えるテクニックがあります。そう、微分です!
$$ f(t) = \frac t{(t-2)(x-t)}$$
とおくと、上で現れた極限はちょうど微分係数$f'(1)$の定義式に一致しています!ということで$f'(1)$を求めます。これまた愚直に微分しても良いですが、対数微分なんてのを使うとオシャレですね。
$$ \frac {f'(t)}{f(t)} = \frac 1t - \frac 1{t-2} + \frac 1{x-t} $$
より
$$ f'(1) = f(1) \left( 1 + 1 + \frac 1{x-1} \right) = -\frac 1{x-1}\left(2 + \frac 1{x-1}\right) = - \frac 2{x-1} - \frac 1{(x-1)^2}$$
となります。以上から、求める部分分数分解は
$$ - \frac 2{x-1} - \frac 1{(x-1)^2} + \frac 2{x-2}$$
となります!
 WolframAlpha で検証したところ、結果も正しそうです。めでたしめでたし。

まとめ

  • 大して楽じゃ無い
  • 結局微分してるやんけ

(´・ω・`)

ではまた。

投稿日:615

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koumei
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(2023/11/30)別名義を使ってましたが、OMCでの名義に揃えました。

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