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分母に2乗がある有理関数の部分分数分解を楽に計算したかった

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 みなさんこんにちは。
 突然ですが、部分分数分解って面倒ですよね! ヘヴィサイドのカバーアップ法 なんてのもありますが、分母に2乗があったりすると、微分が必要だったりして計算が大変です。
 そこで私、閃きました。
(xa)2
のように分母が2乗になっているところを
(xt)(xa)
のように新しい変数tを用いて書き換え、これを部分分数分解してから t=aとすれば良いじゃないか!と。
 いやあ、我ながら天才的な発見をしてしまった。微分なんていらんかったんや!

 早速使ってみるとしましょう!

問.x(x1)2(x2)を部分分数分解せよ。

 まず、tを新たな変数として
x(xt)(x1)(x2)
という関数を考えます。これをヘヴィサイドなり この方法(宣伝) なりで部分分数分解すると
t(t1)(t2)(xt)1(1t)(x1)+2(2t)(x2)
となります。あとはここにt=1を代入すれば………
 
 
  代入できない……だと……?
 
 
このままでは、t=1を代入すると分母が0になってしまいます。くっ、ここまでか……。

 いや、ここで諦めるような私ではありません!そう、代入できないなら、極限を考えればいいじゃない!
 ということで、t1としてみます。


細かい話(t1に近づける過程で分母が0になることはないか?)

ここでは、先にxを固定した上でt1に近づけています。x1でないので、1に十分近い範囲でtを動かせば、t=1以外で分母が0になることはありません。


 さて、
t(t1)(t2)(xt)1(1t)(x1)+2(2t)(x2)
においてt1とすると、
limt1{t(t1)(t2)(xt)1(1t)(x1)+2(2t)(x2)}
=limt11t1{t(t2)(xt)+1x1}+2x2
となります。面倒そうな極限が出てきましたね。そのまま代入すると100で不定形です。愚直に通分しても良いですが、こういう場合に使えるテクニックがあります。そう、微分です!
f(t)=t(t2)(xt)
とおくと、上で現れた極限はちょうど微分係数f(1)の定義式に一致しています!ということでf(1)を求めます。これまた愚直に微分しても良いですが、対数微分なんてのを使うとオシャレですね。
f(t)f(t)=1t1t2+1xt
より
f(1)=f(1)(1+1+1x1)=1x1(2+1x1)=2x11(x1)2
となります。以上から、求める部分分数分解は
2x11(x1)2+2x2
となります!
 WolframAlpha で検証したところ、結果も正しそうです。めでたしめでたし。

まとめ

  • 大して楽じゃ無い
  • 結局微分してるやんけ

(´・ω・`)

ではまた。

投稿日:2024615
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koumei
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(2023/11/30)別名義を使ってましたが、OMCでの名義に揃えました。

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