はじめまして!はっぴーたーんです!
新訂版序文の「熱心な読者」(通称:序文の人)こと、大類昌俊 (おおるい まさとし, Masatoshi OHRUI) さんと彼のサイト「 序文とあとがきの人のブログ 」に関する話題をメインに記事を投稿していく予定です!
この記事はMathlogの皆さんとお話しするためのページにするつもりでしたが、流石に数学的な内容を一つも書かないのは良くないと思うので、私が最近見かけた Ohrui(削除済みなのでアーカイブです)有名な事実とその証明を1つ紹介したいと思います!
$u$を$\mathbb R^n$(あるいは一般の測度空間)上の実数(あるいは複素数)値可測関数とする. このとき, 以下は同値:
このことから、(1) と (2) の同値性を考えることで『$u(x) = 0 \ \ \text{a.e.}\ x$でない』ことと『$\int_{\mathbb R^n} |u(x)| \, dx > 0$(ただし、$\int_{\mathbb R^n} |u(x)| \, dx = \infty$となる場合を含む)』が同値である、といったことが分かります!
また、$L^p$空間を知っている人向けに補足しておきますと、条件 (2) と (3) はそれぞれ$\|u\|_{L^1} = 0$と$\|u\|_{L^\infty} = 0$を意味しています。
それでは、このよく知られた事実を証明していきたいと思います〜
以降, $1_A$で(可測)集合$A \subseteq \mathbb R^n$の定義関数を, $\lambda^n$で$n$次元ルベーグ測度を表すことにする.
(1) ならば (2):$0 \le s \le |u|$なる単関数$s = \sum_{i=1}^m \alpha_i 1_{A_i}$を任意に取る.($\alpha_i > 0\ (1 \le i \le m)$としても差し支えないので, そう仮定する)
このとき, $s$の取り方から, 各$A_i\ (1 \le i \le m)$について$x \in A_i$ならば$|u(x)| \ge s(x) > 0$なので$A_i \subseteq \{x \in \mathbb R^n : u(x) \neq 0\}$となる. 従って, (1) から
$$\lambda^n(A_i) \le \lambda^n(\{x \in \mathbb R^n : u(x) \neq 0\}) = 0$$
である. ゆえに, 積分の定義 integral_wiki から
$$\int_{\mathbb R^n} s(x)\,dx = \sum_{i=1}^m \alpha_i \lambda^n(A_i) = 0$$
となる. よって, $s$の任意性より
$$\int_{\mathbb R^n} |u(x)|\,dx = \sup_{\substack{0 \le s \le |u|, \\ s : \text{simple}.}}\int_{\mathbb R^n} s(x)\,dx = 0$$
である.
(2) ならば (3):対偶を示す. (3) の否定から, ある$r > 0$が存在して$\lambda^n(\{x \in \mathbb R^n : |u(x)| \ge r\}) > 0$となる.
このとき, 単関数$s$を$s = r 1_{\{x \in \mathbb R^n : |u(x)| \ge r\}}$と定めると, これは$0 \le s \le |u|$を満たす. よって,
$$\int_{\mathbb R^n} |u(x)|\,dx \ge \int_{\mathbb R^n} s(x)\,dx = r \lambda^n(\{x \in \mathbb R^n : |u(x)| \ge r\}) > 0$$
が得られる.
(3) ならば (1):$A_k := \{x \in \mathbb R^n : |u(x)| \ge 1/k\}\ \ (k \in \mathbb N)$とおく. このとき, (3) より$\lambda^n(A_k) = 0\ \ (k \in \mathbb N)$である.
さらに, 各$A_k$の定め方より$A_1 \subseteq A_2 \subseteq \dots$であり, アルキメデスの原理から$\bigcup_{k=1}^\infty A_k = \{x \in \mathbb R^n : u(x) \neq 0\}$となるので, 測度のよく知られた性質 measure_wiki より
$$\lambda^n(\{x \in \mathbb R^n : u(x) \neq 0\}) = \lim_{k \to \infty} \lambda^n(A_k) = 0$$
となる.
(証明終)
個人的に (3) を経由する所がお気に入りポイントです〜
いかがでしたか?それでは、平和で楽しいMathlogライフを〜