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コンパクトハウスドルフ空間の連結成分について
において、コンパクトハウスドルフ空間の連結成分 がどのように記述できるか書きました。今回はそれを利用して、 を含むような任意の開集合 に対して、 となるようなコンパクト開集合 を取ることができることについて書きます。
記事のタイトルの連結成分の開近傍は、この を指しています。
本題
をコンパクトハウスドルフ空間、 を の連結成分とする。このとき、 を含む任意の開集合 に対して、 となるようなコンパクト開集合 が存在する。
を の開集合全体、 を の閉集合全体、 とする。
こちら
の補題 2 と命題 3 より、 となる が存在する。 は の開かつ閉集合であるから、 のコンパクト開集合である。
局所コンパクトの場合
がコンパクトではなく局所コンパクトの場合、コンパクト連結成分 に対して同様の主張が成り立ちます。次の命題は参考文献[1]の p.96 G) を参考にさせていただきました。
を局所コンパクトハウスドルフ空間、 を のコンパクト連結成分とする。このとき、 を含む任意の開集合 に対して、 となるようなコンパクト開集合 が存在する。
準備
命題 2 の証明のため、補題を 2 つ用意します。
以下の補題 3 はMathpediaの「命題 12.4 (正則空間であることの言い換え)」を参考にさせていただきました。(うまくリンクを貼ることができなかったので、上記リンクは参考文献[2]を参考にしていただければ幸いです。)
をコンパクトハウスドルフ空間空間とする。このとき、任意の と の任意の開近傍 に対して、次を満たすような の開近傍 が存在する:
は正則空間であるから、 と を含まない閉集合 に対して、 の開集合 が存在して次を満たす:
は の閉集合であるから、
となる。
以下の補題 4 は
【Mathpedia】定理 15.3 (Hausdorff空間が局所コンパクトであることの同値な条件)
を参考にさせていただきました。 は、 における の閉包を表すものとします。同様に、 は における の閉包を表すものとします。
を局所コンパクトハウスドルフ空間とする。このとき、任意の と の任意の開近傍 に対して、次を満たすような における の開近傍 が存在する:
かつ はコンパクト を の開集合全体とする。 における のコンパクトな近傍 と となる が存在する。 は コンパクトハウスドルフ空間 における の開近傍であるから、命題 1 により、 となるような における の開近傍 が存在する。
以下、 が命題の主張の条件を満たすことを示す。 であるから である。 は ハウスドルフ空間 のコンパクト部分集合 の閉集合であるから、 は の閉集合である。よって であるから、 である。 は においてコンパクトであるから、 においてコンパクトである。
局所コンパクトの場合の証明
命題 2 【 再掲 】
を局所コンパクトハウスドルフ空間、 を のコンパクト連結成分とする。このとき、 を含む任意の開集合 に対して、 となるようなコンパクト開集合 が存在する。
命題 2 より、任意の に対して であり、 は においてコンパクトであるような が存在する。 は、コンパクト部分集合 の開被覆であるから、ここから の有限部分開被覆 を選ぶことができる。 とすると、 であり、 である。
は コンパクトハウスドルフ空間 の連結成分であるから、
こちら
の補題 2 と命題 3 より となるような の開かつ閉集合 が存在する。 は の閉集合であるから、 のコンパクト部分集合である。また であるから である。