副有限群 $ \Longleftrightarrow$ 完不コハ群(完全不連結コンパクトハウスドルフ位相群)について書きます🌸
定義以下の定義 1、2 は 【Wikipedia】 射影極限 と 【Wikipedia】 射有限群 を参考にさせていただきました。
集合 $I$ 上に 2 項関係 $\leq$ が定義され、以下を満たすとする:
$(1)$ 任意の $i \in I$ に対して $i\leq i$ が成り立つ。(反射律)
$(2)$ 任意の $i,\ j,\ k \in I$ に対して $i\leq j$ かつ $j\leq k$ ならば $i\leq k$ が成り立つ。(推移律)
$(3)$ 任意の $i,\ j \in I$ に対して $i\leq j$ かつ $j\leq i$ ならば $i = j$ が成り立つ。(反対称律)
$(4)$ 任意の $i,\ j \in I$ に対して $i\leq k$ かつ $j\leq k$ となる $k\in I$ が存在する。
このとき、$(I,\ \leq)$ を有向半順序集合という。
$(I,\ \leq)$ を有向半順序集合、$\lbrace G_i\rbrace_{i\in I}$ を位相群の族とし、連続準同型写像の族 $\lbrace f_{ij}:G_j\to G_i\ \mid i \leq j \ (i,\ j\in I)\rbrace$ は次の条件を満たすとする:
$(1)$ $f_{ii}$ は恒等写像 $(i\in I)$
$(2)$ $i\leq j\leq k$ ならば $f_{ik} = f_{ij} \circ f_{jk}$ $(i,\ j,\ k\in I)$
このとき、 $(\lbrace G_i \rbrace_{i\in I},\ \lbrace f_{ij} \rbrace_{i\leq j})$ を逆系といい、
$$\displaystyle \varprojlim_{i\in I} G_i := \left\lbrace (x_i)_{i\in I}\in \prod_{i\in I} G_i \mid f_{ij}(x_j) = x_i\ (i\leq j) \right\rbrace$$
を逆極限という。特にすべての $G_i$ が有限群かつ離散位相群であるとき、逆極限を副有限群という。
命題 1 は参考文献[1] p.184 定理 7.8 を参考にさせていただきました。命題 2 は参考文献[1] p.186 定理 7.11 を参考にさせていただきました。
命題 1 は位相空間の性質から導かれます。
$(\lbrace G_i \rbrace_{i\in I},\ \lbrace f_{ij} \rbrace_{i\leq j})$ を有限離散位相群からなる逆系とする。このとき、$\displaystyle \varprojlim_{i\in I} G_i$ は完全不連結コンパクトハウスドルフ位相群である。
$\widehat{G} := \displaystyle \varprojlim_{i\in I} G_i$ とおく。
$\blacksquare$完全不連結
各 $G_i$ は離散位相群であるから完全不連結位相群である。よって $\displaystyle \prod_{i\in I} G_i$ は完全不連結位相群であるから、$\widehat{G}$ も完全不連結位相群である。
$\blacksquare$ハウスドルフ
各 $G_i$ は離散位相群であるからハウスドルフ位相群である。よって $\displaystyle \prod_{i\in I} G_i$ はハウスドルフ位相群であるから、$\widehat{G}$ もハウスドルフ位相群である。
$\blacksquare$コンパクト
各 $G_i$ は有限集合であるからコンパクト位相群である。よって $\displaystyle \prod_{i\in I} G_i$ はコンパクト位相群であるから、$\widehat{G}$ が閉集合ならばコンパクトがいえる。そこで $\widehat{G}$ の補集合 ${\widehat{G}}^c$ が開集合であることを示す。
任意の $(x_i)_{i\in I} \in {\widehat{G}}^c$ に対して、$f_{ij}(x_j) \neq x_i$ となるような $i\leq j$ が存在する。$G_i$ はハウスドルフであるから、次を満たす $G_i$ の開集合 $U,\ V$ が存在する:
$$ x_i\in U,\ f_{ij}(x_j)\in V,\ U\cap V = \emptyset$$
そこで
$$ W:=\displaystyle \prod_{k\in I}U_k,\ U_k=U(k=i),\ U_k={f_{ij}}^{-1}(V)(k=j),\ U_k=G_k(k\neq i,\ j)$$
とおくと、$f_{ij}$ の連続性より $W$ は $(x_i)_{i\in I}$ の $\displaystyle \prod_{i\in I} G_i$ における開近傍である。$W \subset {\widehat{G}}^c$ であるから ${\widehat{G}}^c$ は $\displaystyle \prod_{i\in I} G_i$ の開集合である。
次の命題 2 は命題 1 の逆になります。
完全不連結コンパクトハウスドルフ位相群 $G$ はある副有限群と位相群として同型である。
$\blacksquare$副有限群の構成
$\lbrace N_i\rbrace_{i\in I}$ を $G$ の正規開部分群全体とし、$i \leq j\ (i,\ j\in I)$ を $N_i\supset N_j$ と定義すれば $(I,\ \leq)$ は有向半順序集合となる。$i\leq j$ に対して準同型写像
$$ f_{ij}:G/N_j \to G/N_i,\ xN_j \mapsto xN_i$$
は次の可換図式によって連続である。
$$ \xymatrix{ &G\ar[ld]_-{\large{\varphi_j}}\ar[rd]^-{\large{\varphi_i}}\ar@{}[d]|{\Large{\circlearrowright}}&\\ G/N_j\ar[rr]_-{\large{f_{ij}}}&&G/N_i } $$
ただし $\varphi_i$ は自然な連続準同型写像
$$ \varphi_i:G\to G/N_i,\ x \mapsto xN_i$$
である。
このようなコンパクト離散位相群からなる逆系 $((G/N_i)_{i\in I},\ \lbrace f_{ij} \rbrace_{i\leq j})$ の逆極限 $\widehat{G}:= \displaystyle \varprojlim_{i\in I}G/N_i$ は副有限群である。
$\blacksquare$$G$ から $\widehat{G}$ への連続準同型写像
$\varPi := \displaystyle\prod_{i\in I} G/N_i$ を直積空間とする。準同型写像
$$ \varphi: G\to \displaystyle \varPi,\ x\mapsto (xN_i)_{i\in I}$$
と各 $i\in I$ 成分の射影を考える:
$$\pi_i: \varPi\to G/N_i,\ (x_iN_i)_{i\in I} \mapsto x_iN_i$$
このとき以下の可換図式によって $\varphi$ は連続である。
$$ \xymatrix{ G\ar[r]^-{\large{\varphi}}\ar[rd]_-{\large{\varphi_i}}\ar@{}@<2.0ex>[rd]|{\Large{\circlearrowright}}&\varPi\ar[d]^-{\large{\pi_i}}\\ &G/N_i } $$
$\blacksquare$$\varphi(G)=\widehat{G}$
任意の $(x_iN_i)_{i\in I}\in \widehat{G}$ に対して、$\lbrace x_iN_i\rbrace_{i\in I}$ は有限交叉性をもつから、$\widehat{G}$ がコンパクトであることより $\displaystyle \bigcap_{i\in I} x_iN_i \neq \emptyset$ となる。よって、ある$x \in \displaystyle \bigcap_{i\in I} x_iN_i$ が存在して $\varphi(x) = (xN_i)_{i\in I} = (x_iN_i)_{i\in I}$ となる。
$\blacksquare$単射
任意の $x\in {\rm Ker}(\varphi)$ に対して、$x\in \displaystyle \bigcap_{i\in I} N_i$ となるから
完全不連結コンパクトハウスドルフ位相群における単位元の開近傍について
の命題 2 より $x$ は $G$ の単位元である。
$\blacksquare$同相
コンパクト空間からハウスドルフ空間への連続な全単射は同相写像である。