$G$ を完全不連結コンパクトハウスドルフ位相群、$e$ を $G$ の単位元とします。以下は今回記載する命題の概要になります。
命題 1$e$ の任意の開近傍 $U$ に対して、$N\subset U$ となる正規開部分群 $N$ が存在すること 命題 2$G$ のすべての正規開部分群の共通部分は単位元のみからなること命題 1 は参考文献[1]の p.143 定理 17 を参考にさせていただきました。命題 2 は参考文献[2]の第 7 章を参考にさせていただきました。
上記の命題 1 の証明に以下 3 つの補題を使用します。
$G$ を完全不連結コンパクトハウスドルフ位相群、$e$ を $G$ の単位元とする。このとき、$e$ の任意の開近傍 $U$ に対して $N\subset U$ となる $G$ のコンパクト正規開部分群 $N$ が存在する。
$G$ は完全不連結であるから、$\lbrace e\rbrace$ は $G$ の連結成分である。よって $\lbrace e\rbrace \subset V\subset U$ となる $G$ のコンパクト開集合 $V$ が存在する(補題 A)。$G$ はハウスドルフであるから $H\subset V$ となるコンパクト開部分群 $H$ が存在する(補題 B)。$G$ はコンパクトであるから $N \subset H$ となる $G$ のコンパクト正規開部分群が存在する(補題 C)。
$G$ を完全不連結コンパクトハウスドルフ位相群、$e$ を $G$ の単位元、$\lbrace N_i \rbrace_{i\in I}$ を $G$ の正規開部分群全体とする。このとき、$\displaystyle \bigcap_{i\in I} N_i = \lbrace e\rbrace$ である。
任意の $x\in \displaystyle \bigcap_{i\in I} N_i$ をとる。$U$ を $x$ の任意の開近傍とする。$x^{-1}U$ は $e$ の開近傍であるから、命題 1 により $N_j \subset x^{-1}U$ となる $j\in I$ が存在する。$x\in N_j$ より $e\in xN_j$ であるから、$\lbrace e\rbrace \cap U \neq \emptyset$ である。よって $x$ は $\lbrace e\rbrace$ の閉包 $\overline{\lbrace e\rbrace}$ に含まれる。$G$ は完全不連結であるから $\overline{\lbrace e\rbrace} = \lbrace e\rbrace$ である。したがって $x = e$ である。