この記事は
全悪質時空1
の続きです。この記事の目的は
全悪質時空1
で証明された定理
時空がreflectingでかつCTCが存在するならば、TVである。
の条件をreflectingからlocally reflectingに弱めた定理を証明することです。locally reflectingとは次のように定義される性質です。
locally reflecting
時空がlocally reflectingであるとは、任意の点に対して、の開近傍があり、任意のに対して、が成り立つことである。
この記事では次の定理を証明します。
時空がlocally reflectingでかつCTCが存在するならば、TVである。
この定理は
Kim, Jong‐Chul, and Jin‐Hwan Kim. "Totally vicious space‐times." Journal of mathematical physics 34.6 (1993): 2435-2439.
において証明されました。この記事はこの論文の証明を再編したものです。
例
reflectingならばlocally reflectingですが、逆は成り立ちません。例えば、2次元Minkowski時空()から、を取り除いた時空はlocally reflectingですがreflectingではありません。
また下図はlocally reflectingでない時空の図です。
(そのうち載せときます)
証明
まずこの証明にとって重要な集合を定義します。
future distinguishingな時空だととなるときなので、集合が大きいほどnon-distinguishingな度合が強いことになります。
だからである。
を示す。
とする。
よりである。
よりである。
よってとなる。
同様にとなる。
を示す。
に対して、かつであるから、
である。
においてlocally reflectingであるとすると、は閉集合である。
の補集合がopenであることを示す。
とする。
(i)であること
に対して、はの開近傍
もしならとなるから仮定に矛盾する
よってはなるの開近傍である
(ii)であること
(i)と同様
(iii)であること
だからである
同様にである
のreflecting nbhdをとる
もしならに対して、であるから、がreflecting nbfdであることに矛盾する
よってである
以上より定理2が証明されます。
定理2の証明
となるが存在するから、補題1よりとなる。
locally reflectingだから補題2よりはclosedである。
よっては連結であるから、となる。
感想
集合は定義からnon-distinguishingと関係の強い概念であると思われるが、
non-distinguishing non-causal non-chronological totally vicious
なのだから、totally viciousの証明にいきなり使われるのは少しギャップを感じる。集合とnon-causal,non-chronological時空との関係が知りたい。