勉強メモです。全体観を知りたい方は以下を参照。
de Rham の定理への道0:定理の概要と勉強ロードマップ
教科書は John M. Lee, Introduction to Smooth Manifolds(second edition) です。
ちなみにただの枠で囲んである部分は筆者の心の声です。雰囲気を伝えたいときや真面目じゃない内容のときに使っています。
本によって流儀があると思うので、基本的な定義をちゃんと記述しておきます。
位相空間$M$が以下をすべて満たすとき$n$次元位相多様体という。
同相写像$\phi :U \to \hat U $を($p$周りの)チャートといい$(U, \phi)$と書くこともある。各点のチャートをすべて集めてきた$\{ (U_p, \phi_p)\}_{p\in M}$を$M$のアトラスという。
位相多様体 $M$ 上の滑らかな多様体の定義は、以下の段階を経て導入される。
$M$の2つのチャート$(U,ϕ), (V,ψ)$に対し、共通部分 $U∩V=∅$ のとき
$$\psi \circ \phi^{-1} : \phi(U \cap V) \to \psi(U \cap V)$$
が $\mathbb R^n$の開集合間の微分同相写像であるとき、これら2つのチャートは滑らかに両立する(smoothly compatible)という。ここで、微分同相写像とは$C^{\infty}$級の全単射で、その逆写像も $C^{\infty}$級である写像のことをさす。
$M$を覆うアトラス$\mathcal A={(U_α,ϕ_α)}_{α∈M}$が任意の2つのチャートが滑らかに両立するとき、$\mathcal A$を滑らかなアトラス(smooth atlas)という。
$\mathcal A$の任意のチャートに対して、滑らかに両立するチャートが全て$\mathcal A$に含まれているとき、$\mathcal A$は極大滑らかなアトラス(maximal smooth atlas)という。この極大滑らかなアトラスを$M$上の滑らかな構造ともいう。
$\mathcal A$にこれ以上チャートを追加したら滑らかに両立しなくなる、つまり極大!というイメージ。
滑らかな多様体(smooth manifold)とは、位相多様体$M$とその上の滑らかな構造 $\mathcal A$の組$(M,\mathcal A)$のことである。
(3.滑らかな構造についての補足)