この記事は2021年度の京大作問サークル部誌に掲載したものを一部訂正して再掲したものです. boothで直近の部誌や模試も販売しているよ!
高校以前までは漸化式からその数列がどのような値に収束するか, または発散するかということを中心に扱っている. この記事では, 漸化式から定まる数列の振る舞いをより精密に近似する.
以下のことを認める.
(1)
(2) 極限
これは数列版のロピタルの定理と表現されることが多い. 証明は
高校数学では, 収束先との差を評価するなどして収束することを示していたが, 大学数学の知識を用いると簡潔に解くことができる.
数列
このとき,
帰納的に, 任意の非負整数
となる. これより
数列
このとき,
数列
以上のことから
実数列
このとき次の等式が成立する.
ある正の整数
ここで
となるので
が従う. よってStolz-Cesàroの定理より
が従う.
問題1の数列
また
となるので
となる.
実数列
(1) 任意の自然数
(2) ある
このとき次の等式が成立する.
となる. ここで
となるので
となるので定理2より直ちに従う.
以下,
実数列
このとき次の等式が成立する.
(2)より十分大きいある自然数
を満たすように定める. このとき
となる.
となる. ロピタルの定理から
となる. よって
となる. つまり
ゆえに
となり, 左辺が
が従う. また
ここで, 平均値の定理より
となる. 特に
が従う. 以上から
となるので, Stolz-Cesàroの定理から
となる. 再びStolz-Cesàroの定理から
が従うので
問題2の数列
このとき
実数列
このとき次の等式が成立する.
条件(2)から次が従う.
条件(2)より十分大きい実数
以下では
このとき, 次の式が成立する.
また
より
またこれより
が従う. また
の両辺を微分して整理すると
よって
これより
以上から
ここで実数値関数
となる. また
さらに
となる.
また
となる. また
となる. より実数値関数
このとき
となるので
となる. ここで平均値の定理より
かつ
で
よって挟み撃ちの原理より
となる. よって
また
となる. また再び平均値の定理から
かつ
が従う. よって
となる. 以上から
よって定理4より
となる.
となる. ここで次の極限を考える.
平均値の定理より
ここで, 挟み撃ちの原理より
が従うので
よってStolz-Cesàroの定理より
となるので題意は示された.
定理3の状況に加えて, 正の実数
となるとする. このとき次が成立する.
(1)
(2)
(3)
ロピタルの定理などから次の式が従うことに注意する.
次にそれぞれの場合について考えていく.
(1)
より
となるのでStolz-Cesàroの定理より
となる. この式の両辺を
(2)
よって
となるのでStolz-Cesàroの定理より
より示された.
(3)
となる. あとは(2)と同様にすると示される.
定理2の状況に加えて, 正の実数
となるとする. このとき, 次が成立する.
(1)
(2)
(3)
証明は先程とほとんど同様であるので省略する.
計算量が膨大すぎてこれ以上の精密化はしていません. 暇な方はやってみてね!(鬼畜)