この記事では常微分方程式の解の存在と一意性を保証する定理であるピカール・リンデレーフの定理について簡単に解説していきます。
有界領域
における連続関数
を満たすとする。
このとき微分方程式
の解
において一意に存在する。
を満たすことと積分方程式
を満たすことは等価なので以下ではこの積分方程式について考えていく。
また簡単のため
とするだけのためであり、
とすればよい。
関数列
によって定め
とおくと、これが件の方程式を満たすことを示す(この方法のことをピカールの逐次近似法と言う)。
まず
と評価できることからわかる。
次に
と評価できることを示す。これは
とわかる。したがって
に一様収束することがわかる(cf. ワイエルシュトラスの
特に一様収束性より
と評価できるので積分方程式
の解の存在性がわかる。
を満たすとする。
このとき任意の
と評価できることを示す。これは
とわかる。
したがって
に注意すると
いま存在性の証明において
ピカールの定理の条件下で
とおくと区間
においても解の存在と一意性が保証される。
一意性については既に述べた通りなので存在性を示せばよい。
大枠はピカールの定理と同様なので端折って説明する。
ピカールの定理と同じく関数列
によって定める。
このとき
より数学的帰納法により
が成り立つ。
これにより
とわかる。
ちなみにピカール・リンデレーフの定理の十分条件として
連続関数
リプシッツ条件を満たすことを確認すればよい。そのことは
(このときのノルムは
行列ノルム
(作用素ノルムなりフロベニウスノルムなり)である)とおくと
を得る。
ピカール・リンデレーフの定理の最たる例として線形微分方程式の解空間の構造について紹介しておこう。
このとき任意の
の解
は連続なのでピカール・リンデレーフの定理が適用できる。
いま適当に平行移動することで
とできる。またこれらの値は
も十分大きくなり、したがって
そして
区間
を満たす関数
線形空間であることは明らか。また任意に
は全単射であり、これは