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ラグランジュ反転公式

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ラグランジュ反転公式(Lagrange Inversion Theorem)について書いてみます。

ラグランジュ反転公式
f(x)が点0で解析的でf(0)=0,f(0)0を満たすとき

f1(x)=n=1limt0(ddt)n1(tf(t))nxnn!

証明をする前に使う記号を定義します。

定義
F(x)をマクローリン展開(もしくはローラン展開)したときのxnの係数を[xn]F(x)で表します。

つまり、F(x)=n=anxnに対して[xn]F(x)=anということです。


(証明)
まず、以下の事実を確認します。
[x1]F(x)=0
[x1]f(x)f(x)=1
これらはそれぞれ
F(x)=n=nanxn1

limx0xf(x)f(x)=limx0xf(x)+f(x)f(x)=1
からわかります。

f(0)=0より、f1(0)=0なので、
f1(x)=n=1cnxnとおきます。
xにf(x)を代入して微分して両辺をf(x)kで割って両辺のx1の係数を比較すると、
x=n=1cn(f(x))n
1=n=1ncn(f(x))n1f(x)
f(x)k=n=1ncn(f(x))nk1f(x)
f(x)k=kckf(x)f(x)+n=1nknnkcn((f(x))nk)
[x1]f(x)k=kck=k[xk]f1(x)
よって、
[xk]f1(x)=1k[x1]f(x)k=1k[xk1](xf(x))k
=1k!limt0(ddt)k1(tf(t))k

これで証明できましたね。
証明の途中に出てきた[x1]f(x)k=k[xk]f1(x)という式もよく使うので覚えておきます。
応用例は次回の記事で紹介します。
お読みいただきありがとうございました。

次回→ https://mathlog.info/articles/881

投稿日:20201114
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