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ラグランジュ反転公式の応用(1)

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ラグランジュ反転公式の応用を考えてみます。
ラグランジュ反転公式についてはこちらの記事をご覧ください→ https://mathlog.info/articles/607

ラグランジュ反転公式
f1(x)=n=1xnn!limt0(ddt)n1(tf(t))n

・応用例1 ランベルトのW関数
f(x)=xexとします。これの逆関数f1(x)=W(x)はランベルトのW関数と呼ばれ、W(1)=Ωはオメガ定数と呼ばれます。
f(x)にラグランジュ反転公式を使うと、

W(x)=n=1xnn!limt0(ddt)n1(ttet)n=n=1xnn!limt0(ddt)n1ent=n=1(n)n1n!xn

となり、W(x)のマクローリン展開が求められました。

これをもう少し一般化してみたいのでラグランジュ反転公式を一般化してみます。

(ラグランジュ反転公式)
n[xn]f1(x)m=m[xm]f(x)n

(証明)
f1(x)m=n=manxn
とおきます。
これを前回の記事と同様に xf(x)を代入→xで微分→f(x)kで割る→x1の係数を比較 としてみると、
m[xm]f(x)k=k[xk]f1(x)m
となります。 □

これで再びf(x)=xexとしてみると、

n[xn]W(x)m=m[xm]xnenx
[xn]W(x)m=mn(n)nm(nm)!

となります。
これで少し遊んでみましょう。

一般に、xaxb=xa+bが成り立つのでこれをW(x)に適用してみます。

(n=aan(n)na(na)!xn)(n=bbn(n)nb(nb)!xn)=n=a+ba+bn(n)nab(nab)!xn

これのxnの係数を比較すると、

abk=anb(k)ka(kn)nkbk(nk)(ka)!(nkb)!=a+bn(n)nab(nab)!

従って、

k=anbkka1(nk)nkb1(nabka)=a+babnnab1

となります。
特に、a=b=1としてみると、
k=1n1kk2(nk)nk2(n2k1)=2nn3
k=1n1kk1(nk)nk1(nk)=2(n1)nn2
となります。
とても美しいですね!

投稿日:20201122
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tria_math
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