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位数4の群を力技で求める。

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はじめに

本稿は位数4の群を力技で求めることが目的である。

分類

以降、$G$を位数$4$の群として$e$をその単位元とする。
$G$に関しては以下の$2$通りを考えることができる。

①ある元$a\in G$が存在して$G$の任意の元が$a^i$の形で書くことができる場合

$0\leq i< j <4\Rightarrow a^i \neq a^j \dots $(A)であることを示す。
もし、$a^i=a^j$であったとすると$a^{j-i}=e$となり$a^i$の形で書ける元は高々$j-i<4$個になってしまう。これは①の仮定に矛盾である。よって$a^0=e,a^1,a^2,a^3$はいずれも異なる。これは$G=\{ a^0,a^1,a^2,a^3 \}$であることを意味する。群の演算について考える。$a^4$のみを考えたら良い。上の主張よりある$0\leq i <4$となる$i$が存在して$a^4=a^i$となる。$a^{4-i}=a^0$となる。(A)より$i=0$であることがわかる。よって$0\leq i <4$なる任意の$i,j$について$a^i \cdot a^j=a^{i+jを4で割った余り}$ という演算が入ることがわかる。これが群の条件を満足することは頑張って求めることもできるが省略する。

② ①ではないとき

$a$を単位元でない$G$の元とする。仮定より$a^i$ の形で表されないような$G$の元が存在する。このような元を一つ取り$b$とする。ある$i \in \mathbb{Z}^{+}$が存在して$a^i=e$となることを示す。もし任意の$i \in \mathbb{N}=\{0,1, \dots ,\}$について$a^i\neq e$であると仮定すると$i\neq j \Rightarrow a^i\neq a^j$となる。というのも$i\neq j$$a^i=a^j$であるとすると$a^{|i-j|}=e$となり$|i-j|=0$すなわち$i=j$を得るからである。また任意の元$n\in \mathbb{N}$について$a^n \in G$であることは$G$が演算について閉じていることから従う。すると、$\{a^0,a^1,\dots a^n,\dots \}\subseteq G\dots $(B)となる。$i\neq j \Rightarrow a^i\neq a^j$より左辺は無限集合となるが右辺は有限集合なので矛盾である。($G$の位数は4であった!)
よってある$i \in \mathbb{Z}^{+}$が存在して$a^i=e$となる。そのような最小の$i$が何か求める。$G$が演算について閉じていることから(B)式が成立する。(B)の式において左辺の元の個数は$i$である。よって$1\leq i\leq 4$であることがわかる。$a$は単位元ではないので$i\neq 1$である。
また②の仮定より$i\neq 4$である。よって$i=2,3$のいずれかである。
$i=3$であると仮定する。
$\{e,a,a^2,b\} \subseteq G$となる。(左辺の元はすべて異なる。)$G$の位数を考えると$\{e,a,a^2,b\} = G$となる。$ab \in G$であるが$ab \notin \{e,a,a^2,b\}$であることは$G$が群であることから直ぐに従う。これは矛盾。
よって、$i=2$である。同様の議論から、$b^2=e$であることがわかる。
$\{e,a,b,ab\} \subseteq G$となる。(左辺の元はすべて異なる。)$G$の位数を考えると$\{e,a,b,ab\} = G$となる。$ba \in G$であるから$G$が群であることより$ba=ab$であることがわかる。これで$G$の演算が分かった。これが群の条件を満たすことは頑張って示すこともできるがここでは省略する。

以上で位数$4$の群の分類が完成した。結果をまとめておく。

位数4の群の分類

$G$を位数4の群とする。このとき、次の①,②のうち一方のみが成立する。
①ある元$a\in G$が存在して、$G=\{a^0,a^1,a^2,a^3\}$である。演算としては$a^i \cdot a^j=a^{i+jを4で割った余り}$である。
②ある元$a,b\in G$が存在して$G=\{e,a,b,ab\}$である。ただし、$e$は単位元で$e=a^2=b^2,ab=ba$が成立する。

①のような群は$\mathbb{Z}/\mathbb{4Z}$と同型である。つまり、整数問題でいうところの$\mod4$を考えている状況である。

②のような群は$\mathbb{Z}/\mathbb{2Z}\times \mathbb{Z}/\mathbb{2Z}$と同型である。つまり、組み合わせ問題でいうところの異なる2つのスイッチのONとOFFの操作を考えている状況である。

最後に

お気づきかもしれないが、本稿は位数6の分類の記事とほとんど同じである。多くはコピーして数字を変えただけなので20分程度で作成できた。 位数6の群を力技で求める記事

投稿日:20201115

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投稿者

B2 現在代数学(特に環論)を勉強中。 将来は群論やりたいとか思ってます。 気が向いた時に更新していく感じでいきます。

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