前提知識 : 平方剰余の第一補充則 (Euler の規準)
Euler の規準 :
https://mathlog.info/articles/454
手法
本記事にて紹介するのは, 次の定理を整数問題に応用する方法です.
任意の非零整数に対して, とが互いに素ならば, はで割って余る素因子を持たない.
をの奇素因子の一つとすれば,
が成立する. 若しならばであり, これはとが互いに素であったことに反するのではで割りきれず, そのためにおいての逆元が存在する. その二乗を両辺に掛ければ
と成り, においてが平方剰余であることが従うため, 第一補充則からが要求される.
以下に具体例を示します. 各問題の解答については, 後日に追記するかも知れません.
初等的な問題
問. が平方数と成るような非負整数の組を全て挙げよ. (AoPS, 改)
問. が平方数と成るような整数を全て挙げよ. (Ion Cucurezeanu)
問. ある立方数よりだけ小さいような平方数を全て挙げよ. (出典不明)
問. 方程式の整数解を全て決定せよ. (1976 USAMO)
有名な問題
問. で割って余る素数が無数に存在することを証明せよ.
問. 以上の整数に対して, が二つの平方数の和として表せるために必要かつ充分な条件は, を素因子分解したさいにで割って余る素数の冪指数が全て偶数と成ることである. これを証明せよ.
他にも, ある数にを加えたものが型の素因子を持てば, 元の数は平方でないという形で結論を得られることが有る. 例えば次の問題の, が奇数の場合にはこの論証を適用することができる.
(同様に, を加えたりを引いたりして素因子を調べることも時に有効である. )
問. Fibonacci 数列に現れる平方数を全て決定せよ.
この問題の解答 :
https://mathlog.info/articles/447