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大学数学基礎解説
文献あり

位相空間における収束(随時更新)

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お断り

  • 以下で使用している用語等に適切でないものが含まれる可能性があります.お気づきの点があればご指摘をいただけると幸いです.
  • 写像f:XYXの部分集合族Aに対して,Yの部分集合族{AP(Y)f1(A)A}f(A)とかきます.
  • 位相空間Xの開集合系をOXxXの開近傍系をOX(x)などとかきます.

収束点

Xを位相空間とする.xXX上の有限交叉族A収束点であるとは,OX(x)Aが成り立つことをいう.

Xを位相空間とする.xXX上の有限交叉族A収積点であるとは,OX(x)AX上の有限交叉族であることをいう.

Xを位相空間とする.xXX上のフィルター基Bに対して,以下は同値である.
(1) xBの収積点である.
(2) 任意のVOX(x)ABに対して,VAである.
(3) xABClX(A)が成り立つ.

連続写像

位相空間の間の写像f:XYxXに対して,以下は同値である.
(1) fxで連続である.
(2) 任意のX上の有限交叉族Aに対して,xAの収束点であればf(x)f(A)の収束点である.

(1)⇒(2) X上の有限交叉族Aを任意にとり,xAの収束点であると仮定する.任意のVOY(f(x))に対してfxにおける連続性よりf1(V)OX(x)AすなわちVf(A)が成り立つから,f(x)f(A)の収束点である.

(2)⇒(1) xOX(x)の収束点であるから,仮定よりf(x)f(OX(x))の収束点である.任意のVOY(f(x))f(OX(x))に対してf1(V)OX(x)が成り立つから,fxで連続である.

{fλ:XYλ}λΛを連続写像の族とする.OX{fλ}λΛによって誘導される位相であるとき,xXX上のフィルターFに対して以下は同値である.
(1) xFの収束点である.
(2) 任意のλΛに対して,fλ(x)fλ(F)の収束点である.

(1)⇒(2) 命題2より従う.

(2)⇒(1) VOX(x)を任意にとり,x0i<nfλi1(Ai)Vなる族{(λi,Ai)Λ×OXλi(fλi(x))}0i<nをとる.任意のiに対してAiOXλi(fλi(x))fλ(F)よりfλi1(Ai)Fが成り立つから,VFが成り立つ.

連続な単射f:XYに対して,以下は同値である.
(1) 任意のX上の有限交叉族Af(A)の収束点yに対して,yf(X)が成り立つ.
(2) f(X)Yの閉集合である.

(1)⇒(2) yCl(f(X))を任意にとり,X上の有限交叉族AA:={f1(V)VOY(y)}により定める.任意のVOY(y)に対してf1(V)AよりVf(A)が成り立つから,yf(A)の収束点でありyf(X)が成り立つ.

(2)⇒(1) X上の有限交叉族Af(A)の収束点yを任意にとる.任意のVOY(y)に対してVf(A)よりf1(V)Aであるから,Vf(X)=f(f1(V))でありyCl(f(X))=f(X)が成り立つ.

コンパクト性

位相空間X準コンパクトであるとは,任意のX上の超フィルターUに対してUの収束点が存在することをいう.

以下は同値である.
(1) Xは準コンパクトである.
(2) 任意のX上の有限交叉族Aに対して,Aの収積点が存在する.
(3) 任意のX上の有限交叉族Aに対して,AAClX(A)である.
(4) Xの任意の開被覆Cに対して,Cの有限部分集合であってXを被覆するものが存在する.

(1)⇒(2) X上の有限交叉族Aを任意にとり,AUなるX上の超フィルターUUの収束点xをとる.OX(x)AUより,OX(x)AX上の有限交叉族である.

(2)⇒(1) X上の超フィルターUUの収積点xを任意にとる.OX(x)UUX上の有限交叉族であるから,Uの極大性よりOX(x)OX(x)U=Uが成り立つ.よって,Xは準コンパクトである.

(2)⇒(3) X上の有限交叉族Aを任意にとり,Aの収積点xOX(x)ABなるX上のフィルター基Bをとる.xBの収積点であるから,補題1よりxABClX(A)AAClX(A)が成り立つ.

(3)⇒(2) X上の有限交叉族Aを任意にとり,ABなるX上のフィルター基BxABClX(A)をとる.補題1よりxBの収積点であるから,Aの収積点でもある.

(3)⇔(4) 明らか.

位相空間XHausdorffであるとは,任意のX上の超フィルターUに対してUの収束点が一意的であることをいう.

以下は同値である.
(1) XはHausdorffである.
(2) 任意のx0,x1Xに対して,OX(x0)OX(x1)X上の有限交叉族であればx0=x1が成り立つ.
(3) 任意の相異なるx0,x1Xに対して,あるV0OX(x0)V1OX(x1)が存在してV0V1=である.
(4) ΔXX×Xの閉集合である.

ιを包含写像ΔXX×Xπ0,π1を標準射影X×XXφπ0ιの逆写像XΔXとする.

(1)⇒(2) x0,x1Xを任意にとる.OX(x0)OX(x1)X上の有限交叉族であると仮定し,OX(x0)OX(x1)UなるX上の超フィルターUをとる.x0,x1Uの収束点であるから,x0=x1が成り立つ.

(2)⇒(1) X上の超フィルターUUの収束点x0,x1を任意にとる.OX(x0)OX(x1)UよりOX(x0)OX(x1)X上の有限交叉族であるから,x0=x1が成り立つ.よって,XはHausdorffである.

(2)⇔(3) 明らか.

(1)⇒(4) ΔX上の有限交叉族Aι(A)の収束点(x0,x1)を任意にとり,AUなるΔX上の超フィルターUをとる.OX×X((x0,x1))ι(A)ι(U)より(x0,x1)ι(U)の収束点であるから,命題2よりx0,x1Xπ0(ι(U))=π1(ι(U))の収束点である.XのHausdorff性よりx0=x1が成り立つから,(x0,x1)ΔXが成り立つ.よって命題4より,ΔXX×Xの閉集合である.

(4)⇒(1) X上の超フィルターUU=π0(ι(φ(U)))=π1(ι(φ(U)))の収束点x0,x1を任意にとる.命題3より,(x0,x1)ι(φ(U))の収束点である.ΔXX×Xの閉集合であることと命題4より(x0,x1)ΔXが成り立つから,x0=x1が成り立つ.よって,XはHausdorffである.

位相空間Xコンパクトであるとは,Xが準コンパクトかつHausdorffであることをいう.

コンパクト性の遺伝

準コンパクト空間の族{Xλ}λΛに対して,λΛXλは準コンパクトである.

πλを標準射影λΛXλXλとする.

λΛXλ上の超フィルターUを任意にとる.各λΛに対して,Xλの準コンパクト性よりπλ(U)の収束点xλをとれる.命題3より(xλ)λΛUの収束点であるから,λΛXλは準コンパクトである.

Hausdorff空間の族{Xλ}λΛに対して,λΛXλはHausdorffである.

πλを標準射影λΛXλXλとする.

λΛXλ上の超フィルターUUの収束点(x0λ)λΛ,(x1λ)λΛを任意にとる.任意のλΛに対して,命題2よりx0λ,x1λπλ(U)の収束点であるからXλのHausdorff性よりx0λ=x1λが成り立つ.よって(x0λ)λΛ=(x1λ)λΛが成り立つから,λΛXλはHausdorffである.

Tychonoffの定理

コンパクト空間の族{Xλ}λΛに対して,λΛXλはコンパクトである.

命題7,命題8より従う.

準コンパクト空間Xに対して,Xの閉部分空間Sは準コンパクトである.

ιを包含写像SXとする.

S上の超フィルターUを任意にとり,ι(U)の収束点xをとる.SXの閉集合であるから,命題4よりxSが成り立つ.命題3よりxUの収束点であるから,Sは準コンパクトである.

Hausdorff空間Xに対して,Xの部分空間SはHausdorffである.

ιを包含写像SXとする.

S上の超フィルターUUの収束点x0,x1を任意にとる.命題2よりx0,x1ι(U)の収束点であるから,XのHausdorff性よりx0=x1が成り立つ.よって,SはHausdorffである.

コンパクト空間の閉部分空間はコンパクト

コンパクト空間Xに対して,Xの閉部分空間Sはコンパクトである.

命題11,命題12より従う.

参考文献

投稿日:23日前
更新日:16日前
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