この記事の概要
この記事は前回の記事の続論です。
前回:
https://mathlog.info/articles/606
前回の記事で考えていた問題の続きとして,以下の問題を整数論から眺めてみます。
2009年神戸大学理系:第2問
,とし,方程式について考える。このとき,以下のことを示せ。
⑴ は絶対値がより小さいつの相異なる実数解を持つ。
⑵ がの解ならば,もの解である。
⑶ の解を小さい順にとすれば,
となる。
今回考えているの最小分解体をとしますと,このは単拡大であることが分かっていました。以後,
と因数分解されるとします。(つまりです。)
さらに,関係式として
が成立しているとします。(詳しくは
前回の記事
を参照ください。)
この記事は欠陥品
知られている事実を使った事実の羅列となっています。証明や計算を入力する気力が起きなかっただけです。お許しください。
整数論の諸事実から
の整数底を求める
まずはの整数底(の整数環の基底)を具体的に求めます。は次式でしたので,の整数底はつの元から構成できます。
のイデアルを考えます。このについては
であることがすぐに分かります。特には素イデアルで,
ですので,です。
である。ここでイデアルについて
が成り立つことから,はの“きっかり”乗で割れる。すなわち,はの“きっかり”乗で割れ,の指数はである。
ということは,拡大の導手はであることが分かり,導手が分かったので,の判別式については,
であることがわかります。このという数字は,どこかで見た気がしますね。。。そうです,
前回の記事
で考えたと一致します。特に,
ですので,がの整数底になっていることが分かりました。特にであることから,もの整数底です。
の単数を求めたい
次に,の単数を求めてみたいです。次が成り立つことが分かります。
これは,一般化されたものとして,整数論の本に載っている事実(例えば「代数的整数論(高木)」とか)を具体的に計算したものです。事実を中心とした羅列となっています。申し訳ありません。。。
次のアーベル拡大について,をの判別式,をの類数,を,イデアルのにおけるノルムととする。デデキント・ゼータ関数
を用いて,次が成り立つ。
この定理を用いることで,単数基準を求めたいのです。
今回の場合ですと,です。また,類数についてはとなることが計算できます(略)。従って,
だと言っています。
実はこのは,に等しいことが,長い計算の果てに分かります(ディリクレの単数定理を考えたように,次の体でも頑張ります)。これを以て,次の定理が成り立つのです。
まとめ
事実の羅列になってしまい申し訳ありません。(単純に,紙で計算したものをタイポするのが辛くなったためです。)にゃーん。。。
というか,途中から大学入試の問題と言うより,拡大の考察になっているじゃあないか。