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大学数学基礎解説
文献あり

『台がコンパクトでない可微分関数で導関数の台がコンパクトになる例』の行間

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ごあいさつ

こんにちは!はっぴーたーんです!

元々は、こちらの記事Ohrui(削除済みなのでアーカーブです)にて誤った証明が解説されており、そのことがコメント欄にて他のユーザーによって指摘されていたものの、元記事の投稿者による誹謗中傷が原因でその指摘が削除されてしまったので、その内容を記録しておく為の記事となっております〜(そのユーザーからの許可は得ています)

それでは、やっていきましょ〜

本題

今回、証明(を紹介)していく主張は次のものになります!

$\mathbb R$上の任意の可微分関数$u$について

$$\mathrm{supp}(u') \subseteq \mathrm{supp} (u)$$

が成り立つ. ただし, $\mathrm{supp}(f)$は関数$f$の台(非零点集合の閉包)$\overline{\{x \in \mathbb R : f(x) \neq 0\}}$を表す.

削除されたコメントによると、元々は次のような証明が掲載されていたようです!

大類昌俊(Masatoshi Ohrui)氏によるもの(現在は証明のみ削除済)

一般に,

$$u(x) = 0 \Rightarrow u'(x) = 0$$

が成り立つことから分かる.

高校生でも分かることですが、この証明内で使われている主張は一般に成立しません!

O氏の主張の反例

$u(x) := x\ (x \in \mathbb R)$とすると$u(0) = 0$だが$u'(0) = 1 \neq 0$である.

という訳で、正しい証明をやっていきましょ〜(元のコメントの投稿者さんに感謝です!)

($\mathrm{supp}(u') \subseteq \mathrm{supp} (u)$)

$\mathrm{supp}(u)^c \subseteq \mathrm{supp} (u')^c$を示す. $x \in (\mathrm{supp} (u))^c$とする. このとき,

$$(\mathrm{supp} (u))^c = \left( \overline{\{x \in \mathbb R : u(x) \neq 0\}} \right)^c = \left( \{x \in \mathbb R : u(x) \neq 0\}^c \right)^\circ = \{x \in \mathbb R : u(x) = 0\}^\circ $$

なので, ある$\delta > 0$が存在して, 任意の$y \in \mathbb R$について$|y-x| < \delta$ ならば $u(y) = 0$となる. 特に, 任意の$h \in \mathbb R$について$0 < |h| < \delta$ならば

$$\frac{u(x+h) - u(x)}{h} = \frac{0 - 0}{h} = 0$$

なので, 微分の定義から$u'(x) = 0$となる.

よって, $x \in (\mathrm{supp} (u))^c$の任意性から$(\mathrm{supp} (u))^c \subseteq \{x \in \mathbb R : u'(x) = 0\}$が得られる.

はじめに見たように$(\mathrm{supp} (u))^c$は開集合なので, 内部の最大性から

$$(\mathrm{supp} (u))^c \subseteq \{x \in \mathbb R : u'(x) = 0\}^\circ = (\mathrm{supp}(u'))^c$$

となる.

(証明終)

おわりに

いかがでしたか?みなさんも、一見成り立ちそうだけど実は成り立たない主張をうっかり確認もせずに証明内で使ってしまわないように気をつけましょうね〜

それでは、平和で楽しいMathlogライフを〜

参考文献

投稿日:20231028
更新日:529
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投稿者

北田均・現代数学社『数理解析学概論』新訂版序文の「ほぼ独学と思われる熱心な読者」(通称:序文の人)こと、大類昌俊 (おおるい まさとし, Masatoshi OHRUI) さんと彼のサイト「序文とあとがきの人のブログ」に関する話題をメインに記事を投稿しています! 誹謗中傷や低評価による嫌がらせはお止め下さい。 🍺類憐憫令

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