前の記事 でGaussの超幾何定理の二重化∑0≤n(c,d)n(a,b)n+1∑k=0n(a,b)kk!(c)k=Γ(a)Γ(b)Γ(1−d)Γ(1+a+b−c−d)Γ(1+a+b−c)Γ(1+a−d)Γ(1+b−d)を示したが, 今回はその方向への二項定理∑0≤n(a)nn!tn=(1−t)−aの二重化を示す.
∑0≤n≤m(a)nn!sn(b)m(a)m+1tm=(1−t)−b∑0≤n(b)nn!(n+a)(1−s)n(tt−1)n
前の記事 で示した部分分数分解(a)n(a)m+1=∑j=nm1j+a(−1)j−n(j−n)!(m−j)!を用いると, 二項定理より∑0≤n≤m(a)nn!sn(b)m(a)m+1tm=∑0≤nsnn!(b)mtm∑j=nm1j+a(−1)j−n(j−n)!(m−j)!=∑0≤j(−1)jj!(j+a)(∑0≤n(−j)nn!sn)(∑0≤m(b)m(m−j)!tm)=∑0≤j(−1)jj!(j+a)(1−s)j(b)j(1−t)−b−jとなって定理が示される.
特にs=t−1のとき以下のようによりシンプルな形になる.
∑0≤n≤m(a)nn!t−n(b)m(a)n+1tm=Γ(a)Γ(1−b)Γ(1+a−b)(1−t)−b
定理1とベータ積分より,∑0≤n≤m(a)nn!t−n(b)m(a)m+1tm=(1−t)−b∑0≤n(b)nn!(n+a)=(1−t)−b∫01xa−1(1−x)−bdx=Γ(a)Γ(1−b)Γ(1+a−b)(1−t)−bと示される.
系1は, Gaussの超幾何定理の二重類似∑0≤n(c,d)n(a,b)n+1∑k=0n(a,b)kk!(c)k=Γ(a)Γ(b)Γ(1−d)Γ(1+a+b−c−d)Γ(1+a+b−c)Γ(1+a−d)Γ(1+b−d)においてb=ctとして, b→∞として導出することもできるので, その特別な場合であるとも言える.
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