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【微分幾何メモ】2次元擬リーマン多様体の計量の対角化座標について

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 2次元擬リーマン多様体には調和座標$\{u,v\}$が存在し、計量は局所的に
$$ g=e^{2\rho}(\epsilon du^2+dv^2),\ (\epsilon=\pm1) $$
と表されます( 調和座標の正則性について )。これをもう少し緩めて計量を
$$ g=\epsilon e^{2\lambda}dx^2+e^{2\nu}dy^2,\ \lambda=\lambda(x,y),\nu=\nu(x,y) $$
のように一般の対角表示を可能にする座標$\{x,y\}$を構成できます。調和座標は少し制限がきついので条件を緩めて非対角成分が消える程度の座標を使いたいがあるのでしばしば便利です。

2次元擬リーマン多様体$(M,g)$に対して、適当な座標近傍$(U,\{x,y\})$があり、適当な関数$\lambda,\nu\in C^\infty(U)$を用いて
$$ g=\epsilon e^{2\lambda}dx^2+e^{2\nu}dy^2 $$
となる。また$||\nabla y||^2=0$のときは$\lambda=\nu$とできる。

2次元擬リーマン多様体の計量は適当な調和座標により
$$ h=e^{2\lambda}(\epsilon(d x^0)^2+(d x^1)^2) $$
と表される。
変換$ \bar x^i=\bar x^i(x^0,x^1)$を考える。ただし、$ \partial_0\bar x^1,\partial_1\bar x^1$が同時に0になることはないと仮定してよい。

与えられたベクトル$ \xi$に対して、$ \xi(\psi)=0$となるスカラー関数$ \psi(x^0,x^1)$$ \xi$に横断的に交わる任意の曲線上の初期条件に対して定まる。
$ \bar x^1$が与えられたとき、ベクトル場$ \xi=\partial_0\bar x^1\partial_0+\epsilon\partial_1\bar x^1\partial_1$に対して、$ \xi(\bar x^0)=0$となるスカラー関数$ \bar x^0$に対して
$ \xi(\bar x^0)=\epsilon\partial_1\bar x^0\partial_1\bar x^1+\partial_0\bar x^0\partial_0\bar x^1=0$
となる。
ただし、$ \bar x^0$の初期条件として、$ \partial_1\bar x^1=0$のとき、$ \partial_1\bar x^0\ne0$となるようする。
また、$ \partial_1\bar x^1\ne0$のときは$ ||\nabla \bar x^1||^2=(\partial_1\bar x^1)^2-\epsilon(\partial_0\bar x^1)^2\ne0$となるように$ \bar x^1$を与えるものとする。

変換$ \bar x^i=\bar x^i(x^0,x^1)$のヤコビ行列は
$ J=\begin{pmatrix}\partial_0\bar x^0 & \partial_0\bar x^1 \\ \partial_1\bar x^0 & \partial_1\bar x^1\end{pmatrix}$
である。
$ \partial_1\bar x^1=0$のとき、$ \partial_1\bar x^0\ne0$であるから、$ \det J=\partial_0\bar x^0\partial_1\bar x^1-\partial_1\bar x^0\partial_0\bar x^1=-\partial_1\bar x^0\partial_0\bar x^1\ne0$となる。
$ \partial_1\bar x^1\ne0,||\nabla \bar x^1||^2=(\partial_1\bar x^1)^2-\epsilon(\partial_0\bar x^1)^2\ne0$のとき、
$ \partial_1\bar x^0=\epsilon\frac{\partial_0\bar x^0\partial_0\bar x^1}{\partial_1\bar x^1}$より$ \det J=\partial_0\bar x^0\partial_1\bar x^1-\partial_1\bar x^0\partial_0\bar x^1=\frac{\partial_0\bar x^0}{\partial_1\bar x^1}((\partial_1\bar x^1)^2-\epsilon(\partial_0\bar x^1)^2)=\frac{\partial_0\bar x^0}{\partial_1\bar x^1}||\nabla \bar x^1||^2\ne0$となる。
よって変換$ \bar x^i=\bar x^i(x^0,x^1)$は座標変換である。

$ J^{-1}=\frac{1}{\det J}\begin{pmatrix}\partial_1\bar x^1 & -\partial_0\bar x^1 \\ -\partial_1\bar x^0 & \partial_0\bar x^0\end{pmatrix}$
であるから、座標変換後の$ h$の成分は
\begin{align} J^{-1}e^{2\lambda}\begin{pmatrix}\epsilon & 0 \\ 0 & 1\end{pmatrix}{}^tJ^{-1}&=\frac{e^{2\lambda}}{\det J^2}\begin{pmatrix}\partial_1\bar x^1 & -\partial_0\bar x^1 \\ -\partial_1\bar x^0 & \partial_0\bar x^0\end{pmatrix}\begin{pmatrix}\epsilon\partial_1\bar x^1 & -\epsilon\partial_1\bar x^0 \\ -\partial_0\bar x^1 & \partial_0\bar x^0\end{pmatrix}\\ &=\frac{e^{2\lambda}}{\det J^2}\begin{pmatrix}* & -\epsilon\partial_1\bar x^0\partial_1\bar x^1-\partial_0\bar x^0\partial_0\bar x^1 \\ * & *\end{pmatrix} \end{align}
となるから非対角成分が消えることが分かる。

投稿日:2023923

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Submersion
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専門は相対論やLorentz幾何です。Einstein系の厳密解の構成や接触幾何の応用などの研究をしています。Ph.D保有者の中ではクソ雑魚の部類です。

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