0

【スピン幾何】Dirac形式

51
0
$$$$

スピノルの基本事項

 spinor空間の複素スカラー積の1つであるDirac形式を解説します。

Dirac形式

$\Delta:\mathbb{C}l_{(t,s)}\to End(\Delta)$をClifford代数の既約表現とします。$\delta=\pm1$に対して、次を満たす非退化双線形形式$\Delta\times\Delta\to\mathbb{C}$Dirac形式といいます。

  1. $\langle X\cdot\psi,\phi\rangle=\delta\langle\psi,X\cdot\phi\rangle,\ \psi,\phi\in\Delta,X\in\mathbb{E}^{(t,s)}$
  2. $\langle\psi,\phi\rangle=\langle\phi,\psi\rangle^*,\ \psi,\phi\in\Delta$
  3. $\langle\psi,c\phi\rangle=c\langle\psi,\phi\rangle=\langle c^*\psi,\phi\rangle,\ \psi,\phi\in\Delta,\ c\in\mathbb{C}$

 $\delta=\pm1$$n=t+s$に依存します。Dirac形式を行列表示は、複素行列$A$
\begin{align} &\gamma_a^\dagger A=\delta A\gamma_a\\ &A^\dagger=A \end{align}
を満たすものにより、
\begin{align} \langle\psi,\phi\rangle=\psi^\dagger A\phi \end{align}
となります。$\delta,A$は一意的ではありません。

 Dirac形式が$Spin^+(t,s)$不変であることがMajorana形式のときと同様に示されます。

 Dirac形式による双対をDirac共役と呼びます。

Dirac共役

$\psi\in\Delta$に対して、$\bar\psi\in\Delta^*$
$$ \bar\psi(\phi):=\langle\psi,\phi\rangle $$
と定義する。$\bar\psi$$\psi$Dirac共役と呼ぶ。

 行列表示だと
$$ \bar\psi=\psi^\dagger A $$
となります。

 Dirac形式は標準模型においてフェルミオンの質量項、運動項、相互作用項を記述するのに使われます。

4次元Lorentzの場合

 $t=1,s=3$の4次元Lorentzのとき、$\delta=1$で、
$$ A=\gamma_0=\begin{pmatrix}0 & I_2 \\ I_2 & 0\end{pmatrix} $$
とすることができます。

投稿日:202386
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

Submersion
Submersion
97
26237
専門は相対論やLorentz幾何です。Einstein系の厳密解の構成や接触幾何の応用などの研究をしています。Ph.D保有者の中ではクソ雑魚の部類です。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中