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大学数学基礎解説
文献あり

二項係数を含む総和についてNo.1

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あいさつ

んちゃ!
今回は次のような級数で遊びます。

今回対象としているxは常に収束半径内にあるとし、級数、積分記号の入れ替えなどは特に断りなく行います。

ららら君からC=3の場合の解法を教えて頂きました!
微分方程式を使うのはシンプルに面白いのです!

ちなみに、筆者にはまだ理解できていない部分があります...。
分かり次第更新いたします。

A,BR,CNとする。この時、下記の級数について以下の問いに答えよ。
f(A,B;C;x)=k=0Ak+B(Ckk)xk
(0)本級数の収束半径RC(CC1)C1で与えられる。
(1)C=2の場合
(2)C=3の場合
(3)一般のCの場合(解き方募集中)

(0)に関する回答
Cauchy-Hadamardの定理を使うだけ。

R=limkAk+BAk+B+A(Ck+Ck+1)(Ckk)=limk1k+1(Ck+C)!k!{(C1)k+k1}!k!{(C1)k}!(Ck)!=limk1k+1(Ck+C)(Ck+1){(C1)k+C1}{(C1)k+1}=C(CC1)C1
前処理

[1]変形1
f(A,B;C;x)=k=0Ak+B(Ckk)xk=k=0(Ak+B)(Ck+1)B(k+1,(C1)k+1)xk=k=0{ACk2+(A+BC)k+B}01(xt)k(1t)(C1)kdt
[2]メモA
等比級:S(x)=k=0xk=11x(|x|<1)
派生1:xddxS(x)=k=0kxk=x(1x)2(|x|<1)
派生2:(xddx)2S(x)=k=0k2xk=2x2(1x)3+x(1x)2(|x|<1)
[3]メモB
長いから以下の様に変数を定義しておく。
(xt)(1t)(C1)=u
[4]変形2
f(A,B;C;x)=k=0{ACk2+(A+BC)k+B}01ukdt=01{ACk=0k2uk+(A+BC)k=0kuk+Bk=0uk}dt=01[AC{2u2(1u)3+u(1u)2}+(A+BC)u(1u)2+B11u]dt
[5]メモC
被積分関数だけに着目してもう少し簡単になるよう変形しよう。
AC{2u2(1u)3+u(1u)2}+(A+BC)u(1u)2+B11u=2ACu2(1u)3+{A+(A+B)C}u(1u)2+B11u=2AC(1u)2+2u2+1(1u)3+{A+(A+B)C}u1+1(1u)2+B11u=2AC1(1u)3+{A+(B3A)C}1(1u)2+{BA+(AB)C}11u
[6]メモD
今回の問題を解くカギは次の積分を求める事。
Ik(C;x)=011{1xt(1t)C1}kdt(k=1,2,3)
[7][6]メモDを用いると問題の回答は次の様に書ける。
f(A,B;C;x)=2ACI3(C;x)+{A+(B3A)C}I2(C;x)+{BA+(AB)C}I1(C;x)

前処理まとめ

本問題を解くことと下記の積分を求める事は等価。
Ik(C;x)=011{1xt(1t)C1}kdt(k=1,2,3)
実際、この積分を求める事が出来れば、次の様に元の級数は与えられるから。
f(A,B;C;x)=2ACI3(C;x)+{A+(B3A)C}I2(C;x)+{BA+(AB)C}I1(C;x)

(1)回答(C=2)

[1]メモA
1xt(1t)=1xt+xt2=1x4+x(t12)2=4x4{1+x(2t4x14x)2}=4x4{1+(2tx4xx4x)2}
[2]u=2tx4xx4x,du=2x4xdt
[3]計算
Ik(2;x)=(44x)kx4xx4x1(1+u2)k4x2xdu=(44x)k4x2xx4xx4x1(1+u2)kdu(u=tanθ)=(44x)k4xx0tan1x4xcos2(k1)θdθ=4k(4x)k1x(4x)0tan1x4xcos2(k1)θdθ
[4]メモB
Θ=tan1x4xとすると以下の様に計算できる。
Jk=0Θcos2(k1)θdθ=sinθcos2k3θ|0Θ+(2k3)0Θsin2θcos2k2θdθ=sinΘcos2k3Θ+(2k3)Jk1(2k3)Jk
整理して以下の漸化式を得る。
Jk=12k2sinΘcos2k3Θ+2k32k2Jk1(k2)
以下の事実を用いると
{cos(tan1x4x)=4x2sin(tan1x4x)=x2
得られた漸化式は下記の様に書き直せる
Jk=x(4x)2k322k1(k1)+2k32k2Jk1
[6]メモD
{J1=tan1x4xJ2=x(4x)8+12tan1x4xJ3=(4x)x(4x)64+5x(4x)32+38tan1x4x
[7]メモE
{I1=4x(4x)J1=4x(4x)tan1x4xI2=16(4x)x(4x)J2=24x+8(4x)x(4x)tan1x4xI3=64(4x)2x(4x)J3=14x+10(4x)2+24(4x)2x(4x)tan1x4x
[8]メモF
f(A,B;2;x)=4AI3+(2B5A)I2+(AB)I1=40A(4x)2+4B6A4x+4x(4x)(AB+2(2B5A)4x+6A(4x)2)tan1x4x

とても心をすり減らす計算の果てに得た結果だからまとめておこうか。

任意の実数A,BRに対して以下の級数が成り立つ!
k=0Ak+B(2kk)xk=40A(4x)2+4B6A4x+4x(4x)(AB+2(2B5A)4x+6A(4x)2)tan1x4x(|x|<4)

(2)検算

有名な公式で検算してみよう!
僕のこの記事から抜粋するね。

k=0xk(2kk)=x4x+4x(4x)32tan1x4x

問題1(2)の結果においてA=0,B=1とすると以下の式を得る。
f(0,1;2;x)=k=0xk(2kk)=44x+x(4x)32tan1x4x

(3)C=3の場合ららら君の解法

ららら君からC=3の場合の解法を教えて頂いたので早速く追記いたします!

級数:
f(x)=k=1x3k1(3kk)(|x|3<274)
は以下の様な微分方程式を満たす!
(4x327)f+30x2f+40xf+108=0


[1]計算メモA
f(x)=k=11(3kk)x3k1=k=1(2k)!k!(3k)!x3k1=k=0(2k+2)!(k+1)!(3k+3)!x3k+2=k=0(2k)!k!(3k)!(2k+2)(2k+1)(k+1)(3k+3)(3k+2)(3k+1)x3k+2=23k=0(2k)!k!(3k)!(2k+1)(k+1)(3k+2)(3k+1)x3k+2=23k=0(2k+1)(k+1)(3k+2)(3k+1)x3k+2(3kk)
[2]計算メモB
f(x)=k=13k1(3kk)x3k2=k=0(3k+2)(2k+2)(2k+1)(k+1)(3k+3)(3k+2)(3k+1)(3kk)x3k+1=23k=0(2k+1)(k+1)3k+1x3k+1(3kk)
[3]計算メモC
f(x)=k=1(3k1)(3k2)(3kk)x3k3=k=0(3k+2)(3k+1)(2k+2)(2k+1)(k+1)(3k+3)(3k+2)(3k+1)(3kk)x3k=23k=0(2k+1)(k+1)x3k(3kk)=43k=0k2(3kk)x3k+2k=0k(3kk)x3k+23k=01(3kk)x3k=
[4]計算メモD
適当な実数A,B,CRに対してAxf(x)+Bx2f(x)+Cx3f(x)を考える。
(Axf(x)+Bx2f(x)+Cx3f(x)x3k+3)=2(2k+1)(k+1)3(3kk){A1(3k+2)(3k+1)+B13k+1+C}=2(2k+1)(k+1)3(3k+2)(3k+1)(3kk){A+B(3k+2)+C(3k+2)(3k+1)}=2(2k+1)(k+1)3(3k+2)(3k+1)(3kk){9Ck2+3(B+3C)k+A+2B+2C}=2(2k+2)(2k+1)(3k+3)(k+1)3(2k+2)(3k+3)(3k+2)(3k+1)(3kk){9Ck2+3(B+3C)k+A+2B+2C}=1(3k+3k+1){9Ck2+3(B+3C)k+A+2B+2C}
[5]計算メモE
[5-1](A,B,C)=(1,3,1)の場合
9Ck2+3(B+3C)k+A+2B+2C=9k2+18k+9=9(k+1)2
[5-2](A,B,C)=(1,1,0)の場合
9Ck2+3(B+3C)k+A+2B+2C=3k+3=3(k+1)
[5-3](A,B,C)=(1,0,0)の場合
9Ck2+3(B+3C)k+A+2B+2C=1
[6]計算メモF
{xf+3x2f+x3f=9k=0(k+1)2(3k+3k+1)x3k+3=9k=0k2(3kk)x3k9xf+x2f=3k=0k+1(3k+3k+1)x3k+3=3k=0k(3kk)x3k3xf=k=01(3k+3k+1)x3k+3=k=01(3kk)x3k1
[7]計算メモG
f=43k=0k2(3kk)x3k+2k=0k(3kk)x3k+23k=01(3kk)x3k=427(xf+3x2f+x3f+9)+23(xf+x2f+3)+23(xf+1)
[8]結論
(4x327)f+30x2f+40xf+108=0

ふむ。
微分方程式を導く事は出来たが
ここから先どうすればいいか分からないのだ。
とりあえず、仕事中に思い付いた下記の回答を書いておく事にしよう。

(3)C=3の場合(ずんだもん)

超幾何数列を使えばいけそう?

実際、rn=1(3kk)とおくと以下の様な漸化式を得る。
rk+1rk=(k+12)(k+1)2(k+23)(k+13)(k+1)427
ゆえに、境界条件r0=1より
rk=(12)k(1)k(1)k(23)k(13)k(427)kk!
ゆえに、f(0,1;3;x)に代入するとf(0,1;3;x)は下記の様に書き直せることが分かる。
f(0,1;3;x)=3F2(12,1,1;23,13;4x27)
この式を用いると
求める答えは
f(A,B;3;x)=(Axddx+B)3F2(12,1,1;23,13;4x27)

解けたうちに入らないかもだけど一応まとめておこう

任意の実数A,BRに対して以下の級数がなり立つ
k=0Ak+B(3kk)xk=(Axddx+B)3F2(12,1,1;23,13;4x27)(|x|<274)

参考文献

投稿日:20241222
更新日:20241225
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  1. あいさつ
  2. (2)検算
  3. (3)$C=3$の場合ららら君の解法
  4. (3)$C=3$の場合(ずんだもん)
  5. 参考文献