こんにちは。また会いましたね。初めましての方は
第一話
を読むと良いかもしれません。
さて、この第二話では集合について軽く紹介して、いよいよ剰余系について話したいと思います。
前回と比べて良い記事が作れるように添削、確認はしていますが誤りなどがありましたらコメント欄で教えてくれると嬉しいです。
多分、数Ⅰで「数と式」を学習した後に学習するであろう「集合と論理」という単元の復習or予習です。
ざっくり言うと集合とは「定義がはっきりしているものの集まり」です。
たとえばものの集まり$A,B,C,D$を次のように定義しましょう。
$A=\{n\in \mathbb{N}|1\leq n\leq 5\}$
$B=\{$網羅系参考書$\}$
$C=\{$全ての$n$ $\}$
$D=\{x\in\mathbb{N},y\in\mathbb{N}|2024x+2025y=4049$を満たす$x,y\}$
さて、$A,B,C,D$のうちどれが集合と言えるでしょうか?この判断は読者に任せます
冗談は置いといて、上の4つの物の集まりの中で集合と言えるものは$A,D$です。
...え?、$B,C$もものの集まりだって?
確かに$B,C$も「ものの集まり」と言えますが、定義がしっかり定まっていないと集合とは呼べません。
$B$の場合、「網羅系参考書」という曖昧な定義なので集合とは呼べません。何故なら、数学の網羅系参考書をとっても、難易度や収録されている問題の量にばらつきがあり、どこまで「網羅」していれば網羅系参考書と呼べるのか曖昧だからです。
$C$の場合、言うまでもないですね。
$n$は複素数なのか、はたまた有理数なのか、
$n$の正体が不明ですよね。
つまり、集合の判断は「集合を例を挙げながら説明できるかどうか」なのかもしれませんね。
しかし、僕は集合以外のものの集まりを
見たことがありません。
さて集合に関する用語を定義しましょう。
集合が等しい
(R1) 集合$S$が$S=\{a_1,a_2,a_3,…a_n\}$と表せる時、$a_1,a_2,a_3,…a_n$を$S$の要素と言う。
(R2) $s$が集合$\mathbb{S}$の要素である時、$s \in \mathbb{S}$と書き、$s$は$\mathbb{S}$に属するという。
(R3) 二つの集合$\mathcal{S}_1$と$\mathcal{S}_2$がある。このとき、$\mathcal{S}_1$のすべての要素が$\mathcal{S}_2$の要素に含まれている 時、$\mathcal{S}_1$を$\mathcal{S}_2$の部分集合であるといい、$\mathcal{S}_1\subset \mathcal{S}_2$と表す。
(R4) 集合 $\mathfrak{S}_1,\mathfrak{S}_2$のすべての要素が等しいとき、$\mathfrak{S}_1=\mathfrak{S}_2$と書く。
(R3),(R4)の定義が厳密ではないですが、
剰余系を定義する上ではそんなに問題がないので厳密に定義しないこととします。
さて、次は剰余系を定義するための準備をします。
たとえば$7$を法とすると$a \equiv m$
に入る$m$は6以下の整数(自然数かもしれない)ですよね。これを一般化すると、次のことが言えます。
$n \in \mathbb{N}$を法とすると、合同式
$a\equiv m$に入る$m$は$n-1$以下の自然数である
証明は省略します。
そして次のような集合を考えます。
$$A_0=\{a_0|a_0\equiv 0 \pmod{5}\}$$
$$A_1=\{a_1|a_1\equiv 1\pmod{5}\}$$
$$A_2=\{a_2|a_2\equiv 2\pmod{5}\}$$
$$A_3=\{a_3|a_3\equiv 3\pmod{5}\}$$
$$A_4=\{a_4|a_4\equiv 4\pmod{5}\}$$
これらの集合を剰余類と言います。
そして剰余類の集合を剰余系といいます。この場合、剰余系は$\mathbb{Z} /4\mathbb{Z}$とかけます。
私は剰余系を$\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}$
と書く人ですが、他の書き方もあるみたいですね。
これ以降、便宜上$\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}$の要素を
${0,1,2,3,4,…,m-1}$と表すことにします。
剰余系を考えると、今まで当たり前だった
$1+1=2$が成り立たなくなる場合があります。
たとえば$\mathbb{Z}/4{Z}$では
$4+3=3$となります。
不思議ですよね。さて、次の記事では剰余系の演算(加法、乗法)を定めて、何かしようと思います。
それでは次の記事でお会いしましょう。