4

正の有理数全体を整数係数多項式環とみなせる話(超積の導入とその不連続性)

300
1

目次

  • はじめに
  • 同型と超積
  • 解析的性質
  • 感想

はじめに

先日 色数 くんのオプチャで群ゼータの話になっていたので、 最近扱っていた可換モノイド (N>0,×,1)の商群(Q>0,×,1)についての話を振ったところ、面白い同型を思いついたのでここに雑記します。(一切ググってないので有名事実ならごめんなさいw)

定義

Z[x]を整数係数多項式環とする。

Q>0は通常の積で群となる。

p0,p1,p2,を素数列2,3,5,7,とする。

有理数に対する素因数分解の一意性

任意のaQ>0に対して、ある自然数nと整数列{ek}k=0nZが存在して、
a=p0e0××pnen
と書ける。これをaの(広義)素因数分解という。

(Q>0,×,1)と群(Z[x],+,0)は同型である。
実際、任意のaQ>0に対して、その素因数分解を、a=p0e0××pnenとすると、
φ(a)=φ(p0e0××pnen)=e0+e1x++enxn
とすると、これは群同型φ:Q>0Z[x]を与える。

同型写像があるということはZ[x]の演算をQ>0にぶち込めるということである(!?)

Q>0上の超積Z[x]上の積の引き戻しにより定義する。
すなわち、任意のa,bQ>0に対し、
φ(c)=φ(a)×φ(b)
なるcQ>0が一意に存在する。このcabの超積といい、c=abと書く。

つまり、ab:=φ1(φ(a)×φ(b))ということである。
このとき、代数系(Q>0,×,)は環(Z[x],+,×)と同型な環である。(これはほぼ自明だけどね)
Z[x]の乗法単位元は1であるから、Q>0の超積単位元は2である。

解析的性質

距離空間上に演算を定義したからには連続性を調べたくなるのが人の性ってもんよ。
ということで以下の定理を示す。

超積はQ>0上不連続である。

これは、2変数関数として、偏不連続(片方の変数を固定して考えた時点で不連続)である。

s,t(t<s)を非負整数とする。a=pt/psとし、Q>0上の関数ff(y)=ayとする。
この関数がy=0で不連続であることを示す。
仮に連続であるとすると、任意の正数ε>0に対して、ある正数δ>0が存在して、|y|<δならば|f(y)|<εをみたす。
ここで、A,Bを非負整数、y=2/pBAとして、φ(f(y))を考えると、
φ(f(y))=φ(ay)=φ(a)φ(y)=(xtxs)(1AxB)
=xtAxB+txs+AxB+s
よって、
f(y)=pt×pB+tA×ps1×pB+sA=(pt×pB+sA)/(pB+tA×ps)
つまり、
f(y)=(pt/ps)×(pB+sA/pB+tA)=(pt/ps)×(pB+s/pB+t)A
t<sより、pB+t<pB+sだから、1<pB+s/pB+t
よって、Aのとき、y0だが、f(y)となる。
今、任意にとったε>0に対して、条件を満たすδ>0が取れたとする。
このとき、Aを十分大きくとると、|y|<δとなるようにできるが、
同時にε<yとなるようにもできる。これはδの取り方に矛盾。
よってf(y)y=0で不連続である。

感想

整理してみるとだいぶ自明感あるし、ここから何かわかるのだろうか...?
N>0上の超積の数論的性質は気になりますね。
あとどうやら解析的には良い性質は見込め無さそうです。
また何かわかったら投稿します。では、今回はこの辺で。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
それでは。
 
 
いつかF(N)上で超積を考えるかも...?

投稿日:202435
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

どうも、テトリス代数の人です。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中