ちょっとした命題
が群でなら、次の(1)、(2)が成り立つ。
(1)(簡約法則)なら、
(2)なら、
(1)
の両辺に右からをかければよい
(2)
の両辺に右からをかけてを得る。
同様に、を得る。
証明
の両辺に左からをかければよい
を群とする。
(1)群の単位元は一つに限る。
(2)に対してその逆元は一意に定まる。
(3)なら
(4)なら
(1)
が単位元としての性質を満たしているとするとき、(は単位元)(は単位元)
となり、単位元の一意性が確認できた。
(2)
の逆元をとすると、
(3)
実際同様に
したがっての逆元は
(4)
であるがこれをを定義する関係式とみなすことができるのでである。
置換群と対称群
置換
を集合とするとき、からへの全単射写像のことをの置換という。
をの置換とする。その積を写像としての合成として定義する。
の置換全体は上で定義した演算により群となる。なお、単位元は恒等写像であり、の逆元は写像としての逆写像である。結合法則は写像の合成について結合法則が成り立つことから従う。
置換群と対称群
集合の置換全体からなる群をの置換群という。とするとき、の置換を次の置換という。次の置換全体からなる群を(はドイツ文字の「S」)で表す。を次の対称群という。
の元を表すのに、の行き先を書いて
とも書く。一行目の順序はでなくてもよいものとする。
は次の置換で
となっているものである。さらに
なら、
となるので、
である。はの上下を交換して整理したものである。おわり
互換と巡回置換については後日追加しときます()
次回は部分群について書くと思います。