以前投稿した部分群・巡回群の続きとして書いています。今回は、部分群の具体例を見ていきたいと思います。基本的なものから、最近になって知った例などを混ぜながら、記事を書いていきます。
最初の方は基本的なものなので、証明等は省略します。
正方行列$A \in GL_n(\mathbb{R})$の行列式を$\det A$と書く。
$G = GL_n(\mathbb{R}) \hspace{1mm},\hspace{1mm} H = \{g\in G \hspace{1mm}|\hspace{1mm}\det\hspace{2mm} g = 1\}$とおくと、$H$は$G$の部分群である。
この$H$のことを$SL_n(\mathbb{R}) $と書き、特殊線形群という。
行列$A$に対して、その転置行列を${}^tA$と書く。行列$A , B$の積が定義できるなら、
$$ {}^t(AB) = {}^tB\hspace{1mm}{}^tA$$
である。
また、$A \in GL_n(\mathbb{R}) $なら$({}^tA)^{-1} = {}^t(A^{-1})$である。
$G = GL_n(\mathbb{R})\hspace{1mm},\hspace{1mm}H = \{g \in G\hspace{1mm}|\hspace{1mm}{}^tg\hspace{1mm}g = I_n\}$とおくと、$H$は$G$の部分群である。
この$H$のことを$ O(n)$と書き、直交群という。
$SO(n) = O(n) \cap SL_n(\mathbb{R})$とおき、特殊直交群という。$g\in O(n)$なら${}^tg \in O(n)$である。
次の二つの部分群の例については、部分群であることの証明も含めて書いていきます。
$G = GL_n(\mathbb{C})\hspace{1mm},\hspace{1mm}H = \{g\in G\hspace{1mm}|\hspace{1mm}{}^t\overline{g}g = I_n\}$とおく。
$ \overline{g}$は、$g$のすべての成分の複素共役を取った行列である。
このとき、$H$は$G$の部分群である。この$H$のことを$U(n)$と書き、ユニタリ群という。
$SU(n) = U(n)\cap SL_n(\mathbb{C})$とおき、特殊ユニタリ群という。
ユニタリ行列の性質について以前、記事にまとめました。そこでまとめた内容を元に$H$が$G$の部分群であることを示していきます。
一応、上で言っている記事は下のものです。
証明
$G$は群であるので、単位元$I_n$が存在する。$(I_n)^* = I_n$であるから、
$$ (I_n)^*\hspace{1mm} I_n = I_n I_n = I_n$$
よって、$I_n \in H$.
$A^{-1}\in G$で$A\in H$とすると、ユニタリ行列の性質から$A^{-1} = A^*$であるから、
$$ (A^{-1})^*A^{-1} = AA^{-1} = I_n$$.
よって、$A^{-1}\in H$.
任意の元$A,B\in H$を取ったとき、
$(AB)^*AB = B^*A^*AB = B^*I_nB = I_n$
したがって、$H$は積について閉じている。$H$は$G$の部分集合であるから、$H$のすべての元について結合法則が成り立つ。
したがって、$H$は$G$の部分群である。□
$$ J_n = \begin{eqnarray}
\left(
\begin{array}{cc}
0 & I_n \\
-I_n & 0
\end{array}
\right)
\end{eqnarray} $$
とおく。$J_n$は$2n\times 2n$行列である。
$G=GL_{2n}(\mathbb{R}) \hspace{1mm},\hspace{1mm}H = \{g\in G\hspace{1mm}|\hspace{1mm}{}^tgJ_ng = J_n\} $とおくと、$H$は$G$の部分群である。
この$H$のことを$Sp(2n , \mathbb{R})$と書き、シンプレクティック群、または斜交群という。
証明
$E_{2n}\in G$で${}^tE_{2n} = E_{2n}$より、${}^tE_{2n}J_nE_{2n} = E_{2n}J_nE_{2n} = J_n$.
($E_{2n}$は$G$の単位元とする)
よって、$E_{2n}\in H$である。
任意の元$g,h\in H$に対して、${}^t(gh)J_ngh= {}^th{}^tgJ_ngh = {}^thJ_nh= J_n$より、$H$は積について閉じている。$H$は$G$の部分集合であるから、$H$の任意の元について結合法則が成立する。
$A\in H$なら、${}^tAJ_nA=J_n$が成り立つ。
ここで、$A^{-1}\in G$を右から、${}^t(A^{-1}) \in G$を左から掛けると
$$ {}^t(A^{-1}){}^tAJ_nAA^{-1}={}^t(A^{-1})J_nA^{-1}$$
整理すると、${}^t(A^{-1})J_nA^{-1} = J_n$となり、$A^{-1}\in H$.
したがって、$H$は$G$の部分群である。□
今回は部分群の具体例を見ていきました。他にも例がいくつかあるので、それは後々記事にしたいと思います。
今回は以上です。