0

群論4(部分群の具体例)

42
0
$$$$

以前投稿した部分群・巡回群の続きとして書いています。今回は、部分群の具体例を見ていきたいと思います。基本的なものから、最近になって知った例などを混ぜながら、記事を書いていきます。

部分群の具体例

最初の方は基本的なものなので、証明等は省略します。

(特殊線形群)

正方行列$A \in GL_n(\mathbb{R})$の行列式を$\det A$と書く。
$G = GL_n(\mathbb{R}) \hspace{1mm},\hspace{1mm} H = \{g\in G \hspace{1mm}|\hspace{1mm}\det\hspace{2mm} g = 1\}$とおくと、$H$$G$の部分群である。

この$H$のことを$SL_n(\mathbb{R}) $と書き、特殊線形群という。

(直交群)

行列$A$に対して、その転置行列を${}^tA$と書く。行列$A , B$の積が定義できるなら、

$$ {}^t(AB) = {}^tB\hspace{1mm}{}^tA$$

である。

また、$A \in GL_n(\mathbb{R}) $なら$({}^tA)^{-1} = {}^t(A^{-1})$である。

$G = GL_n(\mathbb{R})\hspace{1mm},\hspace{1mm}H = \{g \in G\hspace{1mm}|\hspace{1mm}{}^tg\hspace{1mm}g = I_n\}$とおくと、$H$$G$の部分群である。

この$H$のことを$ O(n)$と書き、直交群という。

$SO(n) = O(n) \cap SL_n(\mathbb{R})$とおき、特殊直交群という。$g\in O(n)$なら${}^tg \in O(n)$である。

次の二つの部分群の例については、部分群であることの証明も含めて書いていきます。

(ユニタリ群)

$G = GL_n(\mathbb{C})\hspace{1mm},\hspace{1mm}H = \{g\in G\hspace{1mm}|\hspace{1mm}{}^t\overline{g}g = I_n\}$とおく。

$ \overline{g}$は、$g$のすべての成分の複素共役を取った行列である。

このとき、$H$$G$の部分群である。この$H$のことを$U(n)$と書き、ユニタリ群という。

$SU(n) = U(n)\cap SL_n(\mathbb{C})$とおき、特殊ユニタリ群という。

ユニタリ行列の性質について以前、記事にまとめました。そこでまとめた内容を元に$H$$G$の部分群であることを示していきます。

一応、上で言っている記事は下のものです。

内積・ユニタリ行列・直交行列

証明
$G$は群であるので、単位元$I_n$が存在する。$(I_n)^* = I_n$であるから、
$$ (I_n)^*\hspace{1mm} I_n = I_n I_n = I_n$$

よって、$I_n \in H$.

$A^{-1}\in G$$A\in H$とすると、ユニタリ行列の性質から$A^{-1} = A^*$であるから、

$$ (A^{-1})^*A^{-1} = AA^{-1} = I_n$$.

よって、$A^{-1}\in H$.

任意の元$A,B\in H$を取ったとき、

$(AB)^*AB = B^*A^*AB = B^*I_nB = I_n$

したがって、$H$は積について閉じている。$H$$G$の部分集合であるから、$H$のすべての元について結合法則が成り立つ。

したがって、$H$$G$の部分群である。□

(シンプレクティック群)

$$ J_n = \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} 0 & I_n \\ -I_n & 0 \end{array} \right) \end{eqnarray} $$
とおく。$J_n$$2n\times 2n$行列である。

$G=GL_{2n}(\mathbb{R}) \hspace{1mm},\hspace{1mm}H = \{g\in G\hspace{1mm}|\hspace{1mm}{}^tgJ_ng = J_n\} $とおくと、$H$$G$の部分群である。

この$H$のことを$Sp(2n , \mathbb{R})$と書き、シンプレクティック群、または斜交群という。

証明

$E_{2n}\in G$${}^tE_{2n} = E_{2n}$より、${}^tE_{2n}J_nE_{2n} = E_{2n}J_nE_{2n} = J_n$.
($E_{2n}$$G$の単位元とする)

よって、$E_{2n}\in H$である。

任意の元$g,h\in H$に対して、${}^t(gh)J_ngh= {}^th{}^tgJ_ngh = {}^thJ_nh= J_n$より、$H$は積について閉じている。$H$$G$の部分集合であるから、$H$の任意の元について結合法則が成立する。

$A\in H$なら、${}^tAJ_nA=J_n$が成り立つ。

ここで、$A^{-1}\in G$を右から、${}^t(A^{-1}) \in G$を左から掛けると

$$ {}^t(A^{-1}){}^tAJ_nAA^{-1}={}^t(A^{-1})J_nA^{-1}$$

整理すると、${}^t(A^{-1})J_nA^{-1} = J_n$となり、$A^{-1}\in H$.

したがって、$H$$G$の部分群である。□

今回は部分群の具体例を見ていきました。他にも例がいくつかあるので、それは後々記事にしたいと思います。

今回は以上です。

投稿日:14日前
更新日:14日前
数学の力で現場を変える アルゴリズムエンジニア募集 - Mathlog served by OptHub

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

主に、高校数学から大学以降の数学について理解を深めるために記事を書いています。自主的に勉強した内容をまとめているだけですが。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中