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x,y∈ℕを固定したときの、x^m-y^n=1における正整数の組(m,n)の個数の有限性&おまけ

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はじめに

こんにちは。すがくと申します。
最近、大学二年生になり代数的整数論というものに興味を持ち始めたのですが、必要な予備知識が大変多く(特に群環体)ややモチベが下がり気味です。(まあやりますが)
ということで、息抜きも兼ねてちょっとした記事を書いてみました。
それでは本題へ行きましょう。

今回の予想

$m,n,x,y$$2$以上の正の整数とする。任意の$x,y$に対して$ x^m-y^n=1$を満たす$(m,n) $の組の個数は有限個である。

はい。。。
まあ、この記事見る人は大体知っていると思いますが、カタラン予想の式ですね。
去年に、無謀にもカタラン予想に挑戦した結果でてきた努力の結晶てやつですね。()
ええ、そんなことはどうでもよくて、早速証明していきますね。

記法

$\gcd(a,b)$とは$2$つの整数$a,b$の最大公約数を指す。
・「$a$$b$を割り切るor$a$$b$の約数である」ことを$a|b$と表記する。
・整数$n$が素数$p$で割り切れる回数を$v_p(n)$と表記する。
$1$から$n$までの整数で$n$と互いに素な整数の個数を$ \varphi(n)$と表記する。

予想の証明

予想の証明の前に幾つか補題を示します。

$y$$2$以上の偶数とする。$m \neq{n}$を満たす任意の正の整数$m,n$において、$\gcd{(y^{2^m}+1,y^{2^n}+1)}=1$が成り立つ。

対称性から$m \lt n $とする。
$y^{2^n}+1=(y^{2^n}+1)(y^{2^{n-1}}+1)\cdots(y^{2^m}+1)\cdots(y^2+1)(y+1)(y-1)+2 $
ユークリッドの互除法より
$ \therefore \gcd{(y^{2^m}+1,y^{2^n}+1)}=\gcd{(y^{2^m}+1,2)}=1$

フェルマー数の性質証明とほとんど同じです。

$2$以上の正の整数$x,y $に対して $ x^m=y^{2^l}+1$を満たす正の整数$(m,l)$の組は高々$1$つである。

まず、両辺で$4$の剰余を考えることで$x$が奇数、$y$が偶数であることが容易にわかる。
次に$x,y $に対して$(m,l)=(a,b)$という解が存在したとする。
補題2より、任意の正の整数$k(k \neq b)$において
$\gcd{(x^m,y^{2^k}+1)}=\gcd{(y^{2^b}+1,y^{2^k}+1)}=1 $
であるので$l=b$のとき以外で等号が成立することはない。
よって、$(m,l)$の組は$2$つ以上存在することはないので示せた。

準備が整いました。証明していきます。

予想

$m,n,x,y$$2$以上の正の整数とする。任意の$x,y$に対して$ x^m-y^n=1$を満たす$(m,n) $の組の個数は有限個である。

$(m,n)$の組が有限個であることを示すには$m,n$がそれぞれ有限個であることを言えば十分である。
(つまり$m,n$がそれぞれ上に有界であることを言えばいいわけですね。)

(1)
まず$n$の個数が有限個であること示す。
$p|m$を満たす素数$p$に対して、$m=pl\;\;(l \in \mathbb{N} )$とおく。また、簡単のため$x^l=z$とおく。
$ x^{pl}=(x^l)^p=z^p$
に注意して、与式を変形すると
$ z^p-y^n=1\cdots{(1.1)}$
となるので以下これの解について考えればよい。
$ z^p-1=(z-1)(z^{p-1}+z^{p-2}+\cdots+z+1)=y^n$
より$n$十分大きな値をとるとき$y^n$$(z-1)^2$で割り切れる($\because$素因数分解の一意性から、ある$k \in \mathbb{N} $が存在して$y^k\equiv{0}\pmod{z-1}$であるので$n=2k$とすれば$y^{2k}\equiv{0}\pmod{(z-1)^2}$)
ので$y^n=(z-1)^{2}y'$などとおけば

$ (z-1)(z^{p-1}+z^{p-2}+\cdots+z+1)=(z-1)^{2}y' \;\;\;(z \neq{1}) $
$ \Longleftrightarrow z^{p-1}+z^{p-2}+\cdots+z+1=(z-1)y'$
$ \Longrightarrow {p}\equiv{0} \pmod{z-1}$
$p$は素数なので、$p=z-1$とおける。$(1.1)$に代入して
$(p+1)^p-1=y^n\cdots{(1.2)}$
となる。
$p=2$のときは$ (x,y,m,n)=(3,2,2,3)$となり$n$はただ一つに定まるので、$p$が奇素数の場合を考える。
$(1.2)$式において、$p+1\equiv1\pmod{p}$なのでLTEの補題より
$v_p((p+1)^p-1)=v_p((p+1)-1)+v_p(p)=2$
が成り立つ。よって、$(1.2)$式の左辺は$p$でちょうど$2$回割り切れるので右辺の$y$の指数である$n$$2$である.
従って、十分大きい$n$に対して,
$ (p+1)^p=y^2+1\cdots{(1.3)}$
が成り立つことが分かった。
一方、(1.3)式について$4$の剰余を考えたとき、
$(p+1)^p\equiv{0} \pmod{4}$ ($p$が奇素数であるため)
であるが$ y^2+1\equiv{1\text{or}2} \pmod{4}$であるので余りの一意性に矛盾。
よって、背理法により、$n$を十分大きく取れる(上に有界でない)と仮定したことが誤りである。従って、$n$の値の個数は有限個であることが示された。

(2)
次に$m$の値の個数が有限個であることを示す。
(i)$n$が少なくとも一つ奇素数をもつとき
$m$について$q|n$を満たす素数$q$に対して、$n=ql\;\;(l \in \mathbb{N} )$とおき、$y^l=w$などとして考えれば、与式の右辺は
$ w^q+1=(w+1)(w^{q-1}-w^{q-2}+\cdots-w+1)=x^m$
と因数分解できる。あとは$n$と同様の操作をしていけば$m$の個数が有限個であることが示せる。
(ii)$n$$2$のべき乗(奇素数を因数に持たない)であるとき$n=2^l$とすると
$ x^m=y^{2^l}+1\cdots{(1.4)}$
を得る。
$(1.4)$は(i)の場合のように右辺を因数分解することができないので別のアプローチを考える必要があるが、補題3により$(1.4)$を満たす$(m.l)$の組は高々$1$つであることが示されているので、$m$の値の個数は有限個であることが示された。

(1),(2)の結果から、予想は示された。

おわり&おまけ

お疲れ様でした。
そんなに長い記事ではないですが、この量でも結構書くの疲れますね。
また気が向いたらなんか書こうと思います。

おまけ

カタラン予想の$y=2$の場合の解法を思いついたのでついでに載せておきます。

おまけ

$m,n,x$$2$以上の正の整数とする。$ x^m-2^n=1$を満たす正の整数の組は$(x,m,n)=(3,2,3) $に限られる。

$m$が奇数であると仮定する。
オイラーの定理より、奇数$x$について
$x^{\varphi(2^n)} \equiv x^{2^{n-1}}\equiv{1}\pmod{2^n}$
が成り立つ。
また、与式から$x^m\equiv x^{2^{n-1}}\equiv{1}\pmod{2^n}$なので
${x^{\gcd(m,2^{n-1})}\equiv{1}\pmod{2^n}}$
が成り立つ。
仮定より、$ \gcd(m,2^{n-1})=1$なので
${x\equiv{1}\pmod{2^n}} \Longleftrightarrow{x=2^{n}k\;+1} \;\;(k \in \mathbb{N} )$
とおいても一般性は失われない。
また、与式から
$ 1=x^m-2^n=(2^{n}k\;+1)^m-2^n \geq{(2^{n}\;+1)^m-2^n} \geq{(2^{n}\;+1)^2-2^n}=2^{2n}+2^n+1 \gt{1} $
となり矛盾する。したがって、背理法により$m$が偶数であることがわかる。
$m=2l\;\;(l \in \mathbb{N} )$とおき、与式を変形していくと
$ x^{2l}-2^n=(x^l)^2-2^n=1$
$ \Longleftrightarrow x^{2l}-1=2^n$
$ \Longleftrightarrow (x^l+1)(x^{l}-1)=2^n$

$ \Longleftrightarrow \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x^l+1=2^{n-a} \\ x^l-1=2^{a} \;(0\le{a}\le{n}) \end{array} \right. \end{eqnarray}$

$ \Longleftrightarrow \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 2=2^{n-a}-2^a \cdots{(1.1)}\\ x^l-1=2^{a} \;\;\;\;\cdots{(1.2)}\;\;\;(0\le{a}\le{n}) \end{array} \right. \end{eqnarray}$
$(1.1)$式の両辺を$2$で割れば
$ 1=2^{n-a-1}-2^{a-1}$
となり、両辺の偶奇が一致するために$a=1$が必要であることがわかる。あとはこれを$(1.2)$式に代入することで解は
$(x,m,n)=(3,2,3) $
に限られるのでおまけは示された。

以上!!

参考文献

1. LTEの補題とその応用~一般化へ向けて~
2.素数と二次体の整数論 青木 昇 著

投稿日:19日前
更新日:16日前
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