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現代数学解説
文献あり

超微分で微分っぽいことをする

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この記事は7777777氏の以下の記事に関連しています。というか以下の記事に対する追加研究(?)です。

7777777「 微分を拡張したい 」「 超微分の定義と定理 」(2024/8)

超微分や各種記号については既知としますので、この記事から見始めたよーって方はまず上の記事を読んでいただければ。

超微分と微分

超微分可能性

f(a)>0,a0のとき、(faで微分可能)(faで超微分可能)

a>0のみ示す。a<0logの分解の際に適切に符号を処理することで同様となる。
()
2024.9.15 アレクサンダー鷹觜氏の指摘に基づき、初期版の記載を訂正します。(下から三行目でf(x)の連続性を仮定しているため)
h1のみ示す(h1も同様)。h=a+Δaaとおくと、
limh1loghf(ha)f(a)=limΔa0lnf(a+Δa)lnf(a)ln(a+Δa)lna
であるが、fの微分可能性よりlnfは微分可能であるので、十分小さなΔaをとることにより微分可能な開区間[a,a+Δa]をとることができる。Cauchyの平均値の定理からあるc[a,a+Δa]が存在し、
=limΔa0f(c)f(c)1c=limcacf(c)f(c)=af(a)f(a)
極限が存在したので、faで超微分可能である。

訂正ここまで

h=a+Δaaとおくと、
limh1loghf(ha)f(a)=limΔa0lnf(a+Δa)lnf(a)ln(a+Δa)lna=limΔa0lnf(a+Δa)lnf(a)Δa(ln(a+Δa)lnaΔa)1

ここで一つ目の分数の極限はlnfaにおける微分係数に他ならない。また二つ目の分数の極限はlnxの微分可能性より存在する。結局極限は分割でき、
=f(a)f(a)a

極限が存在したので、faで超微分可能である。

()
lnfの微分可能性を示せば十分である。
limΔa0lnf(a+Δa)lnf(a)Δa=limΔa0lnf(a+Δa)lnf(a)ln(a+Δa)lnaln(a+Δa)lnaΔa
ここで一つ目の分数の極限はfaにおける超微分係数に他ならない。また二つ目の分数の極限はlnxの微分可能性より存在する。結局極限は分割でき、
=f(a)a
極限が存在したのでlnfaで微分可能であり、従ってfaで微分可能である。

ちなみにa=0のときはf(0)0な任意のfについてf(0)を定義でき、f(0)=0です。乗法的な微分の拡張をするうえで零元が特異点になるのは仕方がない(以下コラム参照)とはいえ、なんとも勿体無さが残りますね。元記事の解分もそれに対する対策として一部に和を用いていると考えられます。

コラム:零元の特異性

定理2 解分の公式(7777777「 微分を拡張したい 」より)
pddxlogpf(x)=limh0(f(x+h)f(x))1h

この式ではx=0としても何ら問題はありません。が、

定義3(7777777「 微分を拡張したい 」より)
limh1(f(hx)f(x))1hxx

この式でx=0とすると、(指数にある分数部分を事前に計算してゼロ除算を回避したとしても)極限の変数であるhが消滅してしまいます。これは超微分の定義にも同様のことが言えます。
で、なぜこんなことが起きるのかというと、加法では零元(a[a+o=o]o)が(普通は)存在しないのに対し、乗法では0がこのような性質を持つからです。そのため、普段の和を用いた近傍(aϵ,a+ϵ)に対し乗法的な「近傍」(aϵ,a/ϵ)または(a/ϵ,aϵ)を定義すると、a=0で空集合となってしまい、結果として「乗法的に近づける」という操作ができなくなってしまいます。

超微分可能性

faD(f){0}の十分近くでf>0を満たし微分可能な関数であるとする。このときfaで超微分可能であり、f(a)=af(a)f(a)が成り立つ。

超・平均値シリーズ

名前のセンスが小学生なのは許して

2024.9.15 [a,b]での連続性を失念していたため追記

超・Lagrangeの平均値の定理

f[a,b]D(f)なるa,b0ab>0について[a,b]上で連続、(a,b)上で超微分可能であるとする。このとき、logbaf(b)f(a)=f(c)なるc(a,b)が存在する。

2024.9.15追記 7777777氏の指摘に基づき、baが底の条件を満たす必要があることを明記

0<a<bの場合のみ示す。
logbaf(b)f(a)=lnf(b)lnf(a)lnblna
このとき定理1よりlnfは微分可能であるので、Cauchyの平均値の定理からあるc(a,b)が存在して
=cf(c)f(c)=f(c)
となる。

超・Cauchyの平均値の定理

f,g[a,b]D(f)D(g)なるa,b0について[a,b]上で連続、(a,b)上で超微分可能であるとする。また(a,b)上でg(x)0とする。このとき、logg(b)g(a)f(b)f(a)=f(c)g(c)なるc(a,b)が存在する。

(2024.9.15追記)

g(a)g(b)g(x)0と超微分の微分変換式より従います。

(a,b)上で超微分可能であり、また0(a,b)なので(定義されればg(0)=0のため)この区間上で定理1が適用され、x(a,b)についてg(x)0となります。
で、g[a,b]上で連続、(a,b)上で微分可能なので平均値の定理からg(a)g(b)となります。

また、超微分が定義できる以上(a,b)上でg0です。これと連続性から底の条件は自ずと満たされます。

logg(b)g(a)f(b)f(a)=lnf(b)lnf(a)lng(b)lng(a)としてCauchyの平均値の定理を適用することで、
=f(c)f(c)g(c)g(c)=cf(c)f(c)g(c)cg(c)=f(c)g(c)

超・L'Hopitalの定理

f(a)=g(a)=1g(a)0のとき、limxaf(x)g(x)が存在するならlimxalogg(x)f(x)=limxaf(x)g(x)

定理3より直ちに従う。

超微分と近似

微分係数から一次近似を作るノリでこんな式が考えられます。

接冪

fa>0で超微分可能であるとき、以下の関数をfaにおける接冪と呼ぶ。
y=f(a)(xa)f(a)

接冪は、fを「自然に」原点や無限遠へと接続する関数といえるかもしれません。逆に言えばこのせいで表現力は乏しいです。これも完全に乗法的な拡張を行う弊害でしょう。
この式を解釈するなら「faの近くでf(a)次である」と言いたくなりますが、これは正しくありません(例:x2+1x=1における接冪は2xとなり一次関数)。

参考文献

投稿日:2024913
更新日:2024915
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  2. 超・平均値シリーズ
  3. 超微分と近似
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