はじめに
ぼくはこの補題から表題の本が読みにくくなってきたのですが,皆さんはどうだったのでしょうか.ちょっと先出しで主張を覗いてみましょう.前の記事と同様に,付値といえばdiscreteな指数付値を考えます.
を互いに同値でないの付値とすれば,の元が存在して,
が成り立つ.
ついでに次の補題も見ておきます(後で示します).
この補題より,定理1におけるはを満たさなければいけません(ならば,補題2よりとなってしまう).また,定理1の主張をみたすとしては不適です(,より).吟味できましたね.
定理1で用いる補題の証明
補題2の証明
一般に,が成り立つ.ここで,と仮定すれば,矛盾を生じないためにはでなければならない.より,.と仮定しても同様なので,これで補題2が証明できた.
の付値環及び素イデアルをそれぞれとすれば,仮定によりよってはの素イデアルであるが,離散付値環はPIDで局所環であることを思い出せば,が成り立つ.
さて,ならば,より,.よってつまり,.換言すれば.対偶をとって,ならば.つまり,.よってから得られる付値環および素イデアルは一致する.よってが言える(以下の補題参照).
から得られる付値環および素イデアルが一致するならばである.
が正規付値のとき,をいう().
ならば,より,の最小値は.よって参考文献[3]の命題6の証明よりである.これが任意のについて成り立ち,結果が排反なのでので,逆が成り立つ.よってである(これは青雪江の体論のところに載っている論法ですね).よって補題の主張が正しいことが分かります.
定理1の証明
帰納法で示す.
まず,の時を示す.補題3より,をみたすが存在する.はより明らか.の時は,の時はとおけば,が計算によって分かる(は,より分かります).同様にして,をみたすが存在します.そこで,とおけば,が計算によって分かります.
帰納法が回ることは省略します.
おわりに
定理1の帰納法が回ることの証明をやりたい人は文献[1]を見てみてください.全部を丸写しして岩波書店を敵に回したくないし,そもそも面倒なのでやりたくないし.といった具合で,今回もここまで見ていただきありがとうございました.