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大学数学基礎解説
文献あり

Tietzeの拡張定理

356
1

[2]の証明を紹介したかったのですが,穴が埋められなかったので諦めました.(2024/11/03:解決しました.)

準備:稠密集合で添字づけられた増大列

Xを集合とする.稠密部分集合D[0,1]で添字づけられたXの被覆(X(r))rDについて
r<sX(r)X(s)
が成り立つとする.いまX=rX(r)より,任意のxXに対して
{rDxX(r)}
であるから,写像F:=F(X(r))rD:X[0,1]
F(x):=inf{rDxX(r)}
で定めることができる.

[1] p. 114

t[0,1]とする.このとき次が成り立つ:

  1. {xXF(x)<t}={X(r)rD, r<t};
  2. {xXF(x)t}={X(s)sD, t<s}.
  1. 写像Fの定義より
    xLHSinf{rDxX(r)}<trD, xX(r), r<txRHS
    が成り立つ.
    1. xLHSとし,sD,t<sとする.このときF(x)<sより,rDであってxX(r),r<sなるものが存在するので,
      xX(r)X(s)
      が成り立つ.よってxRHSを得る.
    2. xRHSとする.もしt<F(x)であるとすると,D[0,1]の稠密性より,sDであってt<s<F(x)なるものが存在する.このとき仮定よりxX(s)であるが,
      F(x)s<F(x)
      となって不合理である.
[1] p. 114

Xを位相空間とし,その被覆(X(r))rDが以下のいづれかを満たすとする:

  1. X(r)Xは開集合であり,
    r<sCl(X(r))X(s)
    が成り立つ;
  2. X(r)Xは閉集合であり,
    r<sX(r)Int(X(s))
    が成り立つ.

このとき,写像
F:=F(X(r))rD:X[0,1]; xinf{rDxX(r)}
は連続である.

τ([0,1])の準開基の元のFによる逆像がXの開集合であること,すなわち任意のt[0,1]に対して,
F([0,t[)X
が開集合であること,および
F([0,t])=XF(]t,1])X
が閉集合であることを示せばよい.

    1. 補題1より
      F([0,t[)={xXF(x)<t}={X(r)rD, r<t}X
      は開集合である.
    2. まづ
      {X(s)sD, t<s}{Cl(X(r))rD, t<r}
      が成り立つことに注意する.逆に,xRHSとし,sD,t<sとすると,rDであってt<r<sなるものが存在するので,
      xCl(X(r))X(s)
      が成り立ち,したがってxLHSを得る.よって補題1より,
      F([0,t])={xXF(x)t}={X(s)sD, t<s}={Cl(X(r))rD, t<r}X
      は閉集合である.
    1. まづ
      {X(r)rD, r<t}{Int(X(s))sD, s<t}
      が成り立つことに注意する.逆に,xLHSとすると,rD,r<tであってxX(r)なるものが存在するので,sDであってr<s<tなるものを取れば
      xX(r)Int(X(s))RHS
      が成り立つ.よって補題1より
      F([0,t[)={xXF(x)<t}={X(r)rD, r<t}={Int(X(s))sD, s<t}X
      は開集合である.
    2. 補題1より
      F([0,t])={xXF(x)t}={X(s)sD, t<s}X
      は閉集合である.

nN=Z0に対して
Dn:={r[0,1]2nrN}
とおき,
D:=nNDn
とおく.このときD[0,1]は可算稠密部分集合である.

a,b[0,1],a<b,とする.このときnNであって
12n<ba
なるものが存在する.いま
a[0,1[=i=02n1[i2n,i+12n[
であるから,i[2n1]:={0,,2n1}であって
a[i2n,i+12n[
を満たすものが存在する.よってr:=(i+1)2nDとおくと,
a<r=i2n+12na+12n<b
が成り立つ.

D0={0,1}D1={0,12,1}D2={0,14,12,34,1}.

任意のnNに対して
Dn+1=Dn{2i+12n+1[0,1]|i[2n1]}
が成り立つ.実際,は明らかであり,rDn+1Dnとすると,2n+1rNよりmNであって
r=m2n+1
なるものが存在するが,2nrNよりm[2n+1]は奇数である.

本題:Tietzeの拡張定理とUrysohnの補題

Xを位相空間とする.このとき次は同値である:

  1. X正規空間である,すなわち互いに交わらない任意の閉集合A,CXに対して,それぞれの開近傍Uτ(A,X),Vτ(C,X)であってUV=を満たすものが存在する;
  2. 任意の閉集合CXとその開近傍Wτ(C,X)に対して,Cの開近傍VXであってCl(V)Wなるものが存在する;
  3. 任意の閉集合CXとその開近傍Wτ(C,X)に対して,Cの閉近傍NXであってNWなるものが存在する.

(i)(ii)

A:=XWとおくと,A,CXは互いに交わらない閉集合なので,Uτ(A,X),Vτ(C,X)であってUV=を満たすものが存在する.このとき
VXUτc(X)
より,
Cl(V)XUXA=W
が成り立つ.

(ii)(iii)

N:=Cl(V)とおけば
CVInt(N)NW
が成り立つ.

(iii)(i)

W:=XAとおくと,これはCの開近傍なので,Cの閉近傍NXであってNWを満たすものが存在する.このとき,
A=XWXN
より,U:=XNτ(X)Aの開近傍であってUInt(N)=を満たす.

以下,D=nDn[0,1]補題3で定めたものとする.

Tietzeの拡張定理

Xを正規空間,AXをその閉集合とし,f:A[0,1]を連続写像とする.このとき,連続写像f~:X[0,1]であってf~|A=fを満たすものが存在する.

証明は こちら (Theorem 2.53(p. 32))にあるものを大いに参考にした.

Step. 0

rDに対して
UA(r):={xAf(x)<r}{xAf(x)r}=:A(r)
とおく.A(r)Xは閉集合であることに注意する.また,
U(r):=(XA)UA(r)=Xf([r,1])τ(X)
とおくと,
r<sA(r)U(s)
が成り立つ.最後に,
Δ:={(r,s)D×Dr<s}
とおき,
(r,s)<(r,s):(r<r)(s<s)
と定める.

Step. 1

((rn,sn))nNΔの元の数え上げとする.Xの開集合族(W(r,s))(r,s)Δであって

  1. A(r)W(r,s)Cl(W(r,s))U(s);
  2. (r,s)<(r,s)Cl(W(r,s))W(r,s);

を満たすものを,次のようにして定める:

  1. A(r0)U(s0)に対して,補題4より,開集合W(r0,s0)τ(X)であって
    A(r0)W(r0,s0)Cl(W(r0,s0))U(s0)
    を満たすものが存在する.
  2. (W(ri,si))i[n]まで定まったとする.そこで
    Δn:={(r0,s0),,(rn,sn)}
    とおいて,閉集合Cn+1Xと開集合On+1X
    Cn+1:=A(rn+1){Cl(W(r,s))(r,s)Δn, (r,s)<(rn+1,sn+1)},On+1:=U(sn+1){W(r,s)(r,s)Δn, (rn+1,sn+1)<(r,s)}
    で定める.明らかにA(rn+1)U(sn+1)であり,任意の(r,s)Δn,(rn+1,sn+1)<(r,s),に対して
    A(rn+1)A(r)W(r,s)
    が成り立つので,A(rn+1)On+1を得る.また,(r,s)Δn,(r,s)<(rn+1,sn+1),とすると,
    Cl(W(r,s))U(s)U(sn+1)
    であり,任意の(r,s)Δn, (rn+1,sn+1)<(r,s),に対して,(r,s)<(r,s)より
    Cl(W(r,s))W(r,s)
    が成り立つので,Cl(W(r,s))On+1を得る.以上より
    Cn+1On+1
    が成り立つので,補題4より,開集合W(rn+1,sn+1)τ(X)であって
    Cn+1W(rn+1,sn+1)Cl(W(rn+1,sn+1))On+1
    を満たすものが存在する.Cn+1,On+1の定め方より,開集合族(W(ri,si))i[n+1]は明らかに所期の条件を満たす.

Step. 2

Xの閉被覆(X(r))rD
X(r):={{Cl(W(r,s))sD, r<s},r<1X,r=1
で定める.このとき

  1. r<sX(r)Int(X(s));
  2. AX(r)=A(r);

が成り立つことを示す.

Step. 2-1

(r,s)Δとする.
X(r)X=Int(X(1))
であるから,s<1としてよい.D[0,1]の稠密性より,sDであってr<s<sなるものが存在する.このとき,(r,s)<(s,s)より,
X(r)Cl(W(r,s))W(s,s)
が成り立つ.一方,
X(s)={Cl(W(s,t))tD, s<t}
であった.そこでtD,s<t,とすると,(s,s)<(s,t)より
W(s,s)Cl(W(s,s))W(s,t)Cl(W(s,t))
が成り立つ.よって,
W(s,s){Cl(W(s,t))tD, s<t}=X(s)
となるので,
X(r)W(s,s)Int(X(s))
が成り立つ.

Step. 2-2

rDとする.
AX(1)=A=A(1)
であるから,r<1としてよい.

  1. 任意のsD,r<s,に対して
    A(r)W(r,s)Cl(W(r,s))
    が成り立つので,
    A(r)AX(r)
    を得る.
  2. 逆に,
    AX(r)A{U(s)sD, r<s}={AU(s)sD, r<s}={UA(s)sD, r<s}A(r)
    が成り立つが,D[0,1]の稠密性より,
    {UA(s)sD, r<s}A(r)
    も成り立つ.

以上より
AX(r)=A(r)
が成り立つ.

Step. 3

写像f~:X[0,1]
f~(x):=F(X(r))rD(x)=inf{rDxX(r)}
で定めると,補題2より,これは連続写像である.あとはf~|A=fを示せばよい.そこでxAとする.

  1. 任意のrD,xX(r)に対して,
    xAX(r)=A(r)
    より,f(x)rとなるので,
    f(x)f~(x)
    が成り立つ.
  2. もしf(x)<f~(x)であるとすると,D[0,1]の稠密性より,rDであってf(x)<r<f~(x)なるものが存在するが,このとき
    xUA(r)A(r)=AX(r)X(r)
    より
    f~(x)r<f~(x)
    となり不合理である.

h:[a,b][0,1]を同相写像とする.正規空間Xの閉集合AX上の連続写像f:A[a,b]に対して,hf:A[0,1]の連続拡張をg:X[0,1]とおくと,f~:=h1g:X[a,b]fの連続拡張である.実際,xAとすると
f~(x)=h1(g(x))=h1(h(f(x)))=f(x)
が成り立つ.

Urysohnの補題

Xを正規空間,A0,A1Xを交わらない閉集合とする.このとき,連続写像f:X[0,1]であって
f(A0){0}, f(A1){1}
を満たすものが存在する.

写像g:A0A1[0,1]
g(x):={0,xA01,xA1
で定めると,これは連続であるから,定理1より,連続写像f:X[0,1]であってf|A0A1=gを満たすものが存在する.明らかに
f(A0){0}, f(A1){1}
が成り立つ.

Xを正規空間,AXをその閉集合とし,f:ARを連続写像とする.このとき,連続写像f~:XRであってf~|A=fを満たすものが存在する.

連続写像φ:R]1,1[:ψ
φ(r):=2πarctan(r); ψ(s):=tan(πs2)
で定めると,これらは互いの逆写像である.そこで
f0:=id]1,1[[1,1]φf:AR]1,1[[1,1]
とおくと,定理1より,連続写像f0~:X[1,1]であってf0~|A=f0を満たすものが存在する.いま,
A0:=f0~({1,1})X
Aと交わらない閉集合であるから,定理2より,連続写像g:X[0,1]であって
g(A0){0}, g(A){1}
を満たすものが存在する.このとき,任意のxX=A0(XA0)に対して
f0~(x)g(x)]1,1[
が成り立つので,連続写像f~:XR
f~(x):=ψ(f0~(x)g(x))
で定めることができる.このf~fの連続拡張を与えている.実際,xAとすると,g(x)=1より,
f~(x)=ψ(f0~(x))=ψ(f0(x))=ψ(φ(f(x)))=f(x)
が成り立つ.

補遺:Urysohnの補題の直接証明

(Tietzeの拡張定理に依らない)よく見る証明もついでに書いておく.

開集合族(X(r))rDであって
r<sA0X(r)Cl(X(r))X(s)XA1
を満たすものを,rDnとなるnNに関して帰納的に定める:

  1. 閉集合A0Xの開近傍XA1τ(A0,X)に対して,補題4より,Vτ(A0,X)であって
    Cl(V)XA1
    を満たすものが存在する.そこで
    X(0):=V, X(1):=XA1
    とおく.
  2. r:=(2i+1)2(n+1)Dn+1Dnとする.いま
    Cl(X(i2n))X(i+12n)τ(X)
    であるから,補題4より,Vτ(Cl(X(i/2n)),X)であって
    Cl(V)X(i+12n)
    を満たすものが存在する.そこで
    X(r):=Vτ(X)
    とおくと,
    A0Cl(X(i2n))X(r)Cl(X(r))X(i+12n)XA1
    が成り立つ.

改めてX(1):=Xとおくと,Xの開被覆(X(r))rDはやはり
r<sCl(X(r))X(s)
を満たすので,補題2より,写像
f:=F(X(r))rD:X[0,1]; xinf{rDxX(r)}
は連続である.

  1. xA0のとき,xA0X(0)より
    f(x)=0
    が成り立つ.
  2. xA1のとき,
    {rDxX(r)}={1}
    より
    f(x)=1
    が成り立つ.

疑問:Ossaの論文の証明について

[2]では,次の補題を用いて閉被覆(X(r))rDを構成している:

Xを正規空間とし,A,CXをその閉集合とする.さらに,Wτ(C,X)ACの閉近傍NACANACAWを満たすとする.このとき,Cの閉近傍NCXであって
NCW, ANC=NAC
を満たすものが存在する.

Wτ(C,X)に対して,補題4より,Cの閉近傍N1XであってN1Wを満たすものが存在する.ここで
A:=Cl(ANAC)=Cl(ANAC)A=ClA(ANAC)
とおくと,
A=ClA(ANAC)=AIntA(NAC)A(AC)=AC
より,AC=が成り立つ.したがって,XAτ(C,X)に対して,補題4より,Cの閉近傍N2XであってN2XAを満たすものが存在する.このN2について
AN2A(XA)=AANAC
が成り立つことに注意する.そこでN0:=N1N2とおくと,
CInt(N1)Int(N2)=Int(N1N2)=Int(N0)
よりN0XCの閉近傍であり,
N0N1W,
および
AN0AN2NAC
が成り立つ.よって,
NC:=N0NAC
とおくと,
CInt(N0)Int(NC)
よりNCXCの閉近傍であり,
NCW(AW)W,
および
ANC=(AN0)(ANAC)=(AN0)NAC=NAC
が成り立つ.

閉被覆(X(r))rD

  1. r<sX(r)Int(X(s));
  2. AX(r)=A(r);

を満たすように構成したい.rD0に対しては
X(0):=A(0), X(1):=X
とおけばよい.r:=(2i+1)2(n+1)Dn+1Dnとする.このとき
C:=X(i2n), W:=Int(X(i+12n))
とおくと,CXは閉集合でWτ(C,X)であり,
AC=A(i2n)UA(r)A(r)
より,NAC:=A(r)ACAにおける閉近傍である.[2]では,補題5より,Cの閉近傍NCXであって
NCW, ANC=NAC
を満たすものが存在するので,
X(r):=NC
とおけばよい,としている.ところが,補題5を適用するために必要な条件
NACAW
が成り立つとは限らず,証明が回っていないように思う.

修正の要不要あるいは可否など,お気づきの点があればコメントしてくださると助かります.

解決:Ossaの論文の証明について

コメント欄にて,[2]の証明のギャップを埋める方法(補題8)を教えていただきました. ナンブキトラさん ,ありがとうございました.

ここにそれを紹介するとともに,[2]の方法に沿ってTietzeの拡張定理を再証明します.上述の証明(定理1)や,Urysohnの補題の系として得るよく見る証明と読み比べてみてください.

Key Lemma

Xを位相空間とし,A,BXとする.このとき次は同値である:

  1. U,Vτ(X)であって
    AU, BV, UV=
    を満たすものが存在する;
  2. Uτ(X)であって
    AU, Cl(U)B=
    を満たすものが存在する.

(i)(ii)

UXVτc(X)
より
Cl(U)XVXB,
すなわち
Cl(U)B=
が成り立つ.

(ii)(i)

V:=XCl(U)とおけばよい.

Xを位相空間とし,F,GXとする.閉集合の(増大)列(Fn)nNであって
F=nNFn
を満たすものが存在するとき,FXFσ集合という.また,XGXFσ集合であるとき,GXGδ集合という.

Xを正規空間とし,F=nFn,C=nCnXFσ集合とする.このとき,
FCl(C)==Cl(F)C
が成り立つならば,U,Vτ(X)であって
FU, CV, UV=
を満たすものが存在する.

任意のnNに対して,
FnCl(C)FCl(C)=
Xの正規性より,Unτ(Fn,X)であって
Cl(Un)Cl(C)=
を満たすものが存在する.同様に,任意のmNに対して,
Cl(F)CmCl(F)C=
Xの正規性より,Vmτ(Cm,X)であって
Cl(F)Cl(Vm)=
を満たすものが存在する.そこでXの開集合U,Vτ(X)
U:=nN(Unj[n]Cl(Vj)), V:=mN(Vmi[m]Cl(Ui))
で定めると,任意のn,mNに対して,
FnUnCl(F)Un(Xj[n]Cl(Vj))=Unj[n]Cl(Vj),
および
CmVmCl(C)Vm(Xi[m]Cl(Ui))=Vmi[m]Cl(Ui)
が成り立つので,
F=nNFnU, C=mNCmV
を得る.さらに,
(Unj[n]Cl(Vj))(Vmi[m]Cl(Ui))=(Uni[m]Cl(Ui))(Vmj[n]Cl(Vj))=
より,
UV=
も成り立つ.

Key Lemma ( [4] 補題14 )

Xを正規空間,A,CXをその閉集合とし,Wτ(C,X)とする.また,AFσ開集合FAGδ閉集合NACA
ACFNACAW
を満たしているとする.このとき,AFσ集合F,ANACについて,
FCl(ANAC)==Cl(F)(ANAC)
が成り立つならば,Cの閉近傍NCXであって
NCW, ANC=NAC, FInt(NC)
を満たすものが存在する.

  1. Fτ(A)よりNACAACの閉近傍なので,補題5より,Cの閉近傍NCXであって
    NCW, ANC=NAC
    を満たすものが存在する.
  2. いまAXが閉集合なので,Aの閉集合の合併であるF,ANACXFσ集合で(も)ある.さらにFNACτc(X)より
    Cl(F)NACW
    であるから,XFσ集合F,(XW)(ANAC)について,
    FCl((XW)(ANAC))=F((XW)Cl(ANAC))=,
    および
    Cl(F)((XW)(ANAC))=
    が成り立つ.よって,補題7より,Fの開近傍Vτ(X)であって
    Cl(V)((XW)(ANAC))=
    を満たすものが存在する.このとき
    Cl(V)W, ACl(V)NAC
    が成り立つことに注意する.
  3. NCXCの閉近傍であったので,
    NC:=NCCl(V)X
    Cの閉近傍である.
    1. 明らかにNCWが成り立つ.
    2. NC,Vの取り方より
      ANC=(ANC)(ACl(V))=NAC(ACl(V))=NAC
      が成り立つ.
    3. FVNCより
      FVInt(NC)
      が成り立つ.

Tietzeの拡張定理の(再)証明

Step. 0

改めて記号を確認しておく:
UA(r):={xAf(x)<r}{xAf(x)r}=:A(r).

いまf:A[0,1]は連続なので,UA(r)Aの開集合であり,A(r)Aの閉集合である.

Step. 1

閉集合族(X(r))rDであって

  1. r<sX(r)Int(X(s)):連続写像f~:X[0,1]を得るための条件(補題2);
  2. AX(r)=A(r)f~fの拡張であるようにするための条件;
  3. UA(r)Int(X(r)):構成の帰納法が回るようにするための条件;

を満たすものを,rDnとなるnNについて帰納的に定める:

  1. X(0):=A(0), X(1):=Xとおけばよい.
  2. (X(r))rDnまで定まったとし,r:=(2i+1)2(n+1)Dn+1Dnとする.いま
    C:=X(i2n)Int(X(i+12n))=:W
    であり,
    i2n=2i2n+1<2i+12n+1<2i+22n+1=i+12n
    と帰納法の仮定より,
    AC=A(i2n)UA(r)A(r)UA(i+12n)AInt(X(i+12n))=AW
    が成り立つ.さらに,
    F:=UA(r)={A(s)sD, s<r}
    より,FAFσ開集合であり,
    NAC:=A(r)={UA(s)sD, r<s}
    より,NACAGδ閉集合である(自明でない方の包含関係を示すときにD[0,1]の稠密性を用いる).Aτc(X)よりAの閉集合はXの閉集合でもあることに注意すると,AFσ集合F,ANACについて,
    FCl(ANAC)=UA(r)Cl(AA(r))=UA(r)Cl({xAr<f(x)})UA(r){xA|rf(x)}=,
    および
    Cl(F)(ANAC)=Cl(UA(r))(AA(r))A(r)(AA(r))=
    が成り立つことがわかる.よって,補題8より,Cの閉近傍NCXであって
    NCW, ANC=NAC, FInt(NC)
    を満たすものが存在する.そこで
    X(r):=NC
    とおくと,
    X(i2n)Int(X(r))X(r)Int(X(i+12n)),
    および
    AX(r)=A(r), UA(r)Int(X(r))
    が成り立つ.

Step. 2

以上より,Xの閉被覆(X(r))rDであって
r<sX(r)Int(X(s))
を満たすものが得られた.よって,補題2より,写像
f~:X[0,1]; xinf{rDxX(r)}
は連続である.あとはf~|A=fを示せばよい.そこでxAとする.

  1. 任意のrD,xX(r)に対して,
    xAX(r)=A(r)
    より,f(x)rとなるので,
    f(x)f~(x)
    が成り立つ.
  2. もしf(x)<f~(x)であるとすると,D[0,1]の稠密性より,rDであってf(x)<r<f~(x)なるものが存在するが,このとき
    xUA(r)A(r)=AX(r)X(r)
    より
    f~(x)r<f~(x)
    となり不合理である.

参考文献

投稿日:20241027
更新日:2024113
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うすい
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11920
位相空間論に興味があります.

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  1. 準備:稠密集合で添字づけられた増大列
  2. 本題:Tietzeの拡張定理とUrysohnの補題
  3. 補遺:Urysohnの補題の直接証明
  4. 疑問:Ossaの論文の証明について
  5. 解決:Ossaの論文の証明について
  6. Key Lemma
  7. Tietzeの拡張定理の(再)証明
  8. 参考文献