こんにちは,itouです.今回はグリーン・タオの定理(著:関真一朗)(郎ではなく朗!)第2章の解説の続きです.前回の記事は こちら .
前回示したグラハム・ロスチャイルドの定理の特殊な場合であるファン・デル・ヴァルデンの定理とは以下の命題でした.(正確にはグラハム・ロスチャイルドの定理の
正整数全体の集合を有限個の部分集合に分割するとき,それらのうち少なくとも一つの部分集合は任意の長さの等差数列を含む.(ただし分割と呼ぶときはどの部分集合も共通部分が空集合である)
そしてファン・デル・ヴァルデンの定理は等差数列がどの部分集合に含まれているか教えてくれないという欠点があるのでした.この欠点を克服するための拡張がセメレディの定理です.
とする.
※
セメレディの定理は任意の長さの等差数列を含むための十分条件を与えてくれるという意味でファン・デル・ヴァルデンの定理の拡張になっています.さらなる拡張も紹介しましょう.
とする.
バナッハ上密度と上密度について,一般に
しかし残念ながら,
さらにもう1つ紹介します.
正整数
有限版セメレディの定理
という関係があるので有限版から考えたいということです.
なお,グリーン・タオの定理は素数セメレディの定理において
有限版素数セメレディの定理
という関係です.
さて,本書ではAPラムゼー問題を
と表される
星座はグラハム・ロスチャイルドの定理に登場した等差数列の一般化とは異なる方向への一般化であることに注意して下さい.(星座という訳はロマンチックですね)
この多次元の等差数列,改め星座についても同様の定理が成り立ちます.
とする.
とする.
以上述べた7つの定理のうち最も強いのが有限版多次元セメレディの定理です.さらに有限版多次元セメレディの定理はハイパーグラフ除去補題によって示されます.実際は
ハイパーグラフ除去補題
という流れで示されます.
次回はこの流れを特殊化したもの,
三角形除去補題
を三角形除去補題を認めた上で見ていきましょう.
次回からグラフの話をします.離散数学初めてやるかも
ここまで読んで下さりありがとうございました。誤り等の指摘よろしくお願いいたします。