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放物線上を跳ねる物体とフィボナッチ数

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$$\newcommand{a}[0]{\alpha} \newcommand{Aut}[0]{\operatorname{Aut}} \newcommand{b}[0]{\beta} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{c}[0]{\cdot} \newcommand{d}[0]{\delta} \newcommand{dis}[0]{\displaystyle} \newcommand{e}[0]{\varepsilon} \newcommand{F}[4]{{}_2F_1\left(\begin{matrix}#1,#2\\#3\end{matrix};#4\right)} \newcommand{farc}[2]{\frac{#1}{#2}} \newcommand{FF}[6]{{}_3F_2\left(\begin{matrix}#1,#2,#3\\#4,#5\end{matrix};#6\right)} \newcommand{G}[0]{\Gamma} \newcommand{g}[0]{\gamma} \newcommand{Gal}[0]{\operatorname{Gal}} \newcommand{H}[0]{\mathbb{H}} \newcommand{id}[0]{\operatorname{id}} \newcommand{Im}[0]{\operatorname{Im}} \newcommand{Ker}[0]{\operatorname{Ker}} \newcommand{l}[0]{\left} \newcommand{L}[0]{\Lambda} \newcommand{la}[0]{\lambda} \newcommand{La}[0]{\Lambda} \newcommand{Li}[0]{\operatorname{Li}} \newcommand{li}[0]{\operatorname{li}} \newcommand{M}[4]{\begin{pmatrix}#1& #2\\#3& #4\end{pmatrix}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{o}[0]{\omega} \newcommand{O}[0]{\Omega} \newcommand{ol}[1]{\overline{#1}} \newcommand{ord}[0]{\operatorname{ord}} \newcommand{P}[0]{\mathfrak{P}} \newcommand{p}[0]{\mathfrak{p}} \newcommand{q}[0]{\mathfrak{q}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{r}[0]{\right} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Re}[0]{\operatorname{Re}} \newcommand{s}[0]{\sigma} \newcommand{t}[0]{\theta} \newcommand{ul}[1]{\underline{#1}} \newcommand{vp}[0]{\varphi} \newcommand{vt}[0]{\vartheta} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} \newcommand{z}[0]{\zeta} \newcommand{ZZ}[1]{\mathbb{Z}/#1\mathbb{Z}} \newcommand{ZZt}[1]{(\mathbb{Z}/#1\mathbb{Z})^\times} $$

はじめに

 この記事では apu_yokai さんの記事
放物線の上をはね続けるボールの研究①フィボナッチ数が生えた話
放物線の上をはね続けるボールの研究②はね続ける条件の話
の結果を元に個人的に考察したことについてまとめていきます。
 かなり色々な説明を端折ると思うので先に上記の記事に目を通しておくことをおすすめします。

問題設定

 放物線$y=-x^2$の上を跳ねるボールの挙動について考える。
 ただし重力加速度は$1$、反発係数は$1$(つまり弾性衝突)とする。また簡単のためボールの質量も$1$とする。

ボールの描く放物線と不変量

 いま時刻$t=0$におけるボールの位置と速度がそれぞれ$(x_0,y_0),(u_0,v_0)$であったとき、時刻$t$におけるボールの位置は
$$(x,y)=(x_0+u_0t,\ y_0+v_0t-\tfrac12t^2)$$
と表せることに注意しましょう。
 まずボールがある時刻$t$の前後で描く放物線の方程式を
$$y=ax^2+bx+c$$
とおき、上の媒介変数表示をこの陽関数表示に置き換えることを考えてみましょう。

 位置$(x,y)$におけるボールの速度は
$$(u,v)=\l(\frac1{\sqrt{-2a}},\frac{2ax+b}{\sqrt{-2a}}\r)$$
と表せる。ただし$u>0$とした。

\begin{align} y&=-\frac12t^2+v_0t+y_0\\ &=-\frac12\l(\frac{x-x_0}{u_0}\r)^2+v_0\c\frac{x-x_0}{u_0}+y_0 \end{align}
より最高次の係数を比較することで
$$-\frac1{2u_0^2}=a$$
がわかる。したがって
\begin{align} u&=u_0=\frac1{\sqrt{-2a}}\\ v&=\frac{dy}{dt}=\frac{dy}{dx}\frac{dx}{dt} =\frac{2ax+b}{\sqrt{-2a}} \end{align}
を得る。

 ボールの持つ力学的エネルギー$E$
$$E=-\frac{b^2-4ac+1}{4a}$$
と表せる。

 上の結果から
\begin{align} E&=\frac{u^2+v^2}2+y\\ &=\frac{1+(2ax+b)^2}{-4a}+(ax^2+bx+c)\\ &=-\frac{b^2-4ac+1}{4a} \end{align}
とわかる。

 ボールが放物線$y=-x^2$に衝突し、その軌道の方程式が
$$y=a'x^2+b'x+c'$$
に変化したとする。このとき
$$\frac{ac'-a'c}{a-a'}=-\frac14$$
が成り立つ。

 ボールが$y=-x^2$と位置$(p,-p^2)$において衝突したとする。このとき三つの放物線
\begin{align} y&=-x^2\\ y&=ax^2+bx+c\\ y&=a'x^2+b'x+c' \end{align}
の接ベクトル
$$(1,-2p),\ (1,2ap+b),\ (1,2a'p+b')$$
のなす角を考えると
$$(1,-2p)\c\frac{(1,2ap+b)}{\sqrt{1+(2ap+b)^2}} =(1,-2p)\c\frac{(1,2a'p+b')}{\sqrt{1+(2a'p+b')^2}}$$
が成り立たなければならない。
 また位置$(p,-p^2)$における力学的エネルギーを考えると
\begin{align} E+p^2 &=\frac{u^2+v^2}2=\frac{1+(2ap+b)^2}{-4a}\\ &=\frac{u'^2+v'^2}2=\frac{1+(2a'p+b')^2}{-4a'} \end{align}
が成り立つので結局
$$\frac{1-2p(2ap+b)}{\sqrt{-4a}}=\frac{1-2p(2a'p+b')}{\sqrt{-4a'}}$$
を得る。
 これを二乗すると
$$\frac{1-4p(2ap+b)+4p^2(2ap+b)^2}{-4a} =\frac{4bp+4p^2-1}{4a}+2p^2+4p^2(E+p^2)$$
が成り立つので
$$\frac{4bp+4p^2-1}{4a}=\frac{4b'p+4p^2-1}{4a'}$$
つまり
$$-\frac{ab'-a'b}{a-a'}p=p^2-\frac14$$
を得る。
 ここで
\begin{align} -p^2&=ap^2+bp+cp\\ &=a'p^2+b'p+c'p \end{align}
より
$$-(a-a')p^2=(ab'-a'b)p+(ac'-a'c)$$
が成り立つことに注意すると
$$\frac{ac'-a'c}{a-a'} =-\frac{ab'-a'b}{a-a'}p-p^2=-\frac14$$
を得る。

 ボールが描く二つの放物線
\begin{align} y&=ax^2+bx+c\\ y&=a'x^2+b'x+c' \end{align}
の二交点と点$F:(0,-1/4)$は一直線上に存在する。
 特に一方の放物線が$F$を通ればもう一方の放物線も$F$を通る。

$$f(x)=ax^2+bx+c$$
とおくと二点$(p,f(p)),(q,f(q))$を通る直線の方程式は
\begin{align} y&=\frac{f(p)-f(q)}{p-q}(x-q)+f(q)\\ &=\frac{f(p)-f(q)}{p-q}x-\frac{f(p)q-pf(q)}{p-q} \end{align}
と表せるのでこの直線は$x=0$において
$$y=-\frac{f(p)q-pf(q)}{p-q}=-apq+c$$
を通る。
 いま$p,q$を二次方程式
$$ax^2+bx+c=a'x^2+b'x+c'$$
の解とすると、解と係数の関係から
$$pq=\frac{c-c'}{a-a'}$$
が成り立つので上の結果より
$$-apq+c=\frac{ac'-a'c}{a-a'}=-\frac14$$
を得る。

 放物線の方程式を決定するためには通常三つの独立した情報が必要となります。素朴にはボールの衝突前の挙動から衝突後の挙動を決定するのに

  • 衝突点の座標
  • 入射角・反射角の対称性
  • 力学的エネルギーの保存

という情報を用いることとなりますが、衝突前の軌道から衝突後の軌道を決定するには

  • 衝突点の座標
  • $y=-x^2$の焦点$F$との関係性(補題3 or 4)
  • 力学的エネルギーの保存(補題1 or 2)

という情報に置き換えることができます。
 これにより今回考えている問題に対して代数的な議論がかなりしやすくなります。では具体的にどのような結果が導けるのかを以下で見ていくこととしましょう。

衝突点の漸化式

 ボールと放物線$y=-x^2$$n$回目に衝突するときの$x$座標を$x_n\neq0$、その後にボールが描く放物線の方程式を
$$y=a_nx^2+b_nx+c_n$$
とおき、この$x_n,a_n,b_n,c_n$がどのような性質を持つのか考察していきましょう。
 一般の場合について考えるのは難しいので各放物線が$(0,-1/4)$を通る場合について考察します。

$$a_n+1=-\frac1{4x_nx_{n+1}},\quad b_n=\frac{x_n+x_{n+1}}{4x_nx_{n+1}},\quad c_n=-\frac14$$
が成り立つ。

 $x_n$の取り方から二次方程式
$$-x^2=a_nx^2+b_nx+c_n$$
$x=x_n,x_{n+1}$を解に持つので
$$(a_n+1)x^2+b_nx+c_n=(a_n+1)(x-x_n)(x-x_{n+1})$$
と因数分解できる。
 また
$$y=a_nx^2+b_nx+c_n$$
は点$(0,-1/4)$を通ることから
$$c_n=(a_n+1)x_nx_{n+1}=-\frac14$$
を得る。あとは
$$b_n=-(a_n+1)(x_n+x_{n+1})$$
に注意するとわかる。

 $X_n=1/x_n$とし、ボールの持つエネルギーを$E$とおくと
$$E=\frac1{16}\frac{(X_n-X_{n+1})^2}{X_nX_{n+1}+4}$$
が成り立つ。

 上の結果は
$$a_n=-\frac{X_nX_{n+1}+4}4,\quad b_n=\frac{X_n+X_{n+1}}4,\quad c_n=-\frac14$$
と表せるので補題2より
\begin{align} E&=-\frac{b_n^2-4a_nc_n+1}{4a_n}\\ &=\frac1{16}\frac{(X_n+X_{n+1})^2-4(X_nX_{n+1}+4)+16}{X_nX_{n+1}+4}\\ &=\frac1{16}\frac{(X_n-X_{n+1})^2}{X_nX_{n+1}+4} \end{align}
を得る。

 三項間漸化式
$$X_{n+2}=(16E+2)X_{n+1}-X_n$$
が成り立つ。

 上の補題より
$$X_n^2+X_{n+1}^2-(16E+2)X_nX_{n+1}-64E=0$$
が成り立つので、これを一項ずらした式
$$X_{n+2}^2+X_{n+1}^2-(16E+2)X_{n+2}X_{n+1}-64E=0$$
との差を取ることで
$$(X_{n+2}-X_n)(X_{n+2}+X_n-(16E+2)X_{n+1})=0$$
つまり
$$X_{n+2}=(16E+2)X_{n+1}-X_n$$
が得られる。

 $n$回目の衝突直後のボールの速度は
$$(u,v)=\frac{\sqrt{32E}}{X_n-X_{n+1}}\l(1,\; \frac{X_n-X_{n+1}}4-\frac2{X_n}\r)$$
であり、$n+1$回目の衝突直前のボールの速度は
$$(u,v)=\frac{\sqrt{32E}}{X_n-X_{n+1}}\l(1,\; \frac{X_{n+1}-X_n}4-\frac2{X_{n+1}}\r)$$
と表せる。

 補題1
$$(u,v)=\frac1{\sqrt{-2a_n}}(1,\ 2a_nx+b_n)$$
において$x=x_n,\ x_{n+1}$とすると
\begin{align} \sqrt{-2a_n} &=\sqrt{\frac{X_nX_{n+1}+4}2}\\ &=\sqrt{\frac{(X_n-X_{n+1})^2}{32E}}\\ &=\frac{X_n-X_{n+1}}{\sqrt{32E}}\\ 2a_nx_n+b_n &=-\frac{X_nX_{n+1}+4}{2X_n}+\frac{X_n+X_{n+1}}4\\ &=\frac{X_n-X_{n+1}}4-\frac2{X_n} \end{align}
のようにしてわかる。

フィボナッチ数・リュカ数との関係

 上の漸化式
$$X_{n+2}=(16E+2)X_{n+1}-X_n$$
からは$E$を恣意的に調整することで様々な数列を出現させることができ、その最たる例としてフィボナッチ数やリュカ数が挙げられます。

\begin{align} F_0&=0,\ F_1=1,\ F_{n+2}=F_{n+1}+F_n\\ L_0&=2,\ L_1=1,\ L_{n+2}=L_{n+1}+L_n \end{align}
によって定まる数列$F_n,L_n$をそれぞれフィボナッチ数、リュカ数と言う。
 これらは黄金比$\phi=\frac{1+\sqrt5}2$を用いて
$$F_n=\frac{\phi^n-(-\phi)^{-n}}{\sqrt5},\quad L_n=\phi^n+(-\phi)^{-n}$$
と表せる。

 三項間漸化式
$$a_{n+2}=L_{2k}a_{n+1}-a_n$$

$$a_n=\a\phi^{2kn}+\b\phi^{-2kn}$$
と解ける($\a,\b$は任意)。

 いま漸化式
$$a_{n+2}=L_{2k}a_{n+1}-a_n$$
の特性方程式
$$x^2-L_{2k}x+1=x^2-(\phi^{2k}+\phi^{-2k})x+1=0$$
$x=\phi^{2k},\phi^{-2k}$と解けるので線形漸化式の一般論により主張を得る。

 以下ボールのエネルギーは
$$E=\frac{L_{2k}-2}{16}$$
を満たすものとし
$$E_k=\frac{\phi^k+\phi^{-k}}{2\sqrt5}=\l\{\begin{array}{ll} F_k/2&(k\mbox{が奇数のとき})\\ L_k/2\sqrt5&(k\mbox{が偶数のとき}) \end{array}\r.$$
とおきます。

 最初の衝突点$x_0=1/X_0$
$$X_0=-\frac{F_{2a}}{E_k},\quad-\frac{L_{2a+1}}{\sqrt5E_k}$$
を満たすとき、それぞれ
$$X_n=-\frac{F_{2kn+2a}}{E_k},\quad-\frac{L_{2kn+2a+1}}{\sqrt 5E_k}$$
が成り立つ。

 $X_0=-F_{2a}/E_k$のときのみ証明する。
 $X_n$の満たす漸化式
$$X_{n+2}=L_{2k}X_{n+1}-X_n$$
に注意して
$$X_0=\frac{F_{2a}}c\Rightarrow X_1=\frac{F_{2k+2a}}c$$
が成り立つような定数$c$、特に
$$16E=L_{2k}-2=\frac{(F_{2a}-F_{2k+2a})^2}{F_{2a}F_{2k+2a}+4c^2}$$
が成り立つようなものを考える。
 いま
\begin{align} L_{2k}-2&=(\phi^k-\phi^{-k})^2\\ F_{2k+2a}-F_{2a} &=\frac1{\sqrt5}(\phi^{2a}(\phi^{2k}-1)+\phi^{-2a}(1-\phi^{-2k}))\\ &=\frac1{\sqrt5}(\phi^{k+2a}+\phi^{-(k+2a)})(\phi^k-\phi^{-k})\\ F_{2a}F_{2k+2a} &=\frac15(\phi^{2k+4a}+\phi^{-2k-4a}-\phi^{2k}-\phi^{-2k}) \end{align}
に注意すると
\begin{align} 4c^2 &=\frac{(F_{2a}-F_{2k+2a})^2}{L_{2k}-2}-F_{2a}F_{2k+a}\\ &=\frac15(\phi^{2k}+\phi^{-2k}+2)\\ &=\l(\frac{\phi^k+\phi^{-k}}{\sqrt5}\r)^2\\ &=4E_k^2 \end{align}
つまり$c=\pm E_k$を得る。

 どのような定数$C$および初期値$X_0$を取っても
$$X_n=CF_{2kn+2a+1},\ CL_{2kn+2a}$$
は成り立たない。

 上と同様に
$$X_0=\frac{F_{2a+1}}c\Rightarrow X_1=\frac{F_{2k+2a+1}}c$$
つまり
$$L_{2k}-2=\frac{(F_{2a+1}-F_{2k+2a+1})^2}{F_{2a+1}F_{2k+2a+1}+4c^2}$$
が成り立つような定数$c$を考えると
$$4c^2=-\l(\frac{\phi^k+\phi^{-k}}{\sqrt5}\r)^2<0$$
を満たさなければならず、そのような$c$は存在しないことがわかる。

$$X_n=-\frac{F_N}{E_k}\qquad(N=2kn+2a)$$
において、$n$回目の衝突直後の速度と$n+1$回目の衝突直前の速度をそれぞれ$(u_n,v_n),(u'_n,v'_n)$とおくと
$$u_n=u'_n=\frac1{\sqrt2}\frac{E_k}{E_{N+k}}$$
および
\begin{align} v_n &=\frac1{2\sqrt2}\frac{L_{2N+2k}-L_{2N}+L_{2k}+6}{10F_NE_{N+k}}\\ v'_n &=\frac1{2\sqrt2}\frac{L_{2N+2k}-L_{2N+4k}+L_{2k}+6}{10F_{N+2k}E_{N+k}}\\ \end{align}
が成り立つ。

\begin{align} 16E&=L_{2k}-2\\ &=(\phi^k-\phi^{-k})^2\\ X_n-X_{n+1} &=\frac{F_{N+2k}-F_N}{E_k}\\ &=\frac1{\sqrt5E_N}(\phi^N(\phi^{2k}-1)+\phi^{-N}(1-\phi^{-2k}))\\ &=\frac{2E_{N+k}}{E_N}(\phi^k-\phi^{-k}) \end{align}
が成り立つので
$$\frac{\sqrt{32E}}{X_n-X_{n+1}}=\frac1{\sqrt2}\frac{E_k}{E_{N+k}}$$
を得る。
 また$N'=N+2k$とおくと
\begin{align} \frac{\sqrt{32E}}{X_n-X_{n+1}}\l(\frac{X_n-X_{n+1}}4-\frac2{X_n}\r) &=\frac{\phi^k-\phi^{-k}}{2\sqrt2}+\frac1{\sqrt2}\frac{\phi^k+\phi^{-k}}{\phi^{N+k}+\phi^{-N-k}}\frac{\phi^k+\phi^{-k}}{\phi^N-\phi^{-N}}\\ \frac{\sqrt{32E}}{X_n-X_{n+1}}\l(\frac{X_{n+1}-X_n}4-\frac2{X_{n+1}}\r) &=\frac{\phi^{-k}-\phi^k}{2\sqrt2}+\frac1{\sqrt2}\frac{\phi^k+\phi^{-k}}{\phi^{N'-k}+\phi^{-N'+k}}\frac{\phi^k+\phi^{-k}}{\phi^{N'}-\phi^{-N'}}\\ \end{align}
が成り立つので、これを整理することで
\begin{align} v_n&=\frac1{2\sqrt2}\frac{\phi^{2N+2k}+\phi^{-2N-2k}-\phi^{2N}-\phi^{-2N}+\phi^{2k}+\phi^{-2k}+6}{(\phi^N-\phi^{-N})(\phi^{N+k}+\phi^{-N-k})}\\ v'_n&=\frac1{2\sqrt2}\frac{\phi^{2N'-2k}+\phi^{-2N'+2k}-\phi^{2N'}-\phi^{-2N'}+\phi^{2k}+\phi^{-2k}+6}{(\phi^{N'}-\phi^{-N'})(\phi^{N'-k}+\phi^{-N'+k})} \end{align}
を得る。

 ちなみに上の式は次のようにも表せます(証明略)。

  • $k$が奇数のとき
    \begin{align} (u_n,v_n)&=\frac1{\sqrt2}\l(\frac{F_k}{F_{N+k}},\frac{F_NF_{N+k}L_k+2F_k^2}{2F_NF_{N+k}}\r)\\ (u'_n,v'_n)&=\frac1{\sqrt2}\l(\frac{F_k}{F_{N+k}},\frac{-F_{N+k}F_{N+2k}L_k+2F_k^2}{2F_{N+k}F_{N+2k}}\r)\\ \end{align}
  • $k$が偶数のとき
    \begin{align} (u_n,v_n)&=\frac1{\sqrt2}\l(\frac{L_k}{L_{N+k}},\frac{5F_NL_{N+k}F_k+2L_k^2}{2\sqrt5F_NL_{N+k}}\r)\\ (u'_n,v'_n)&=\frac1{\sqrt2}\l(\frac{L_k}{L_{N+k}},\frac{-5F_{N+2k}L_{N+k}F_k+2L_k^2}{2\sqrt5F_{N+2k}L_{N+k}}\r)\\ \end{align}

が成り立つ。

 また例えば apu_yokaiさんの記事 にて提示されていた$N=6n-2$における公式
$$v_n=\frac{F_{6n-1}F_{6n}+1}{F_{6n-1}F_{6n}-1}\sqrt2$$
を包含する式
$$v_n=\frac1{2\sqrt2}\frac{F_{N+1}F_{N+k-1}L_k+\frac{L_{2k-1}+9}5}{F_{N+1}F_{N+k-1}-\frac{L_{k-2}+L_k}5}$$
などもありますが、このようにフィボナッチ数・リュカ数の変形の仕方は無数にあるのでとりあえずはこの程度にしておきましょう。

おわりに

 以上が簡単に考察したことのまとめとなります。
 個人的に物理学的な現象を放物線の方程式
$$y=ax^2+bx+c$$
の係数$a,b,c$に関する主張に還元できたことや
$$X_{n+2}=(16E+2)X_{n+1}-X_n$$
という興味深い漸化式が得られるなど中々綺麗な結果が出せて満足しています。
 ただ上で導出した結果はゴリ押し計算でどうにかした部分も多く、この問題の本質的な部分には迫れていないような気もします。まだ気になることも少なくないですが、とりあえず今回の記事はこんなところで。では。

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子葉
子葉
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主に複素解析、代数学、数論を学んでおります。 私の経験上、その証明が簡単に探しても見つからない、英語の文献を漁らないと載ってない、なんて定理の解説を主にやっていきます。 同じ経験をしている人の助けになれば。最近は自分用のノートになっている節があります。

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