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大学数学基礎解説
文献あり

素数ゼータ関数

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定義

δa,bクロネッカーのデルタ
p,p素数を小さい順に演算
L(s,f):=n=1f(n)nsL関数
P(s) :=ppsP(s,f) :=pf(p)ps素数ゼータ関数
自然数を定義域として
かつα(1)0である
関数αに対してα1
dnα(d)α1(nd)=δn,1
とする。
ディリクレ逆元

通常の素数ゼータ関数

特殊関数 グラフィックスライブラリー に複素関数としての考察やグラフがあります。
本記事におけるP(n)(0)に関する考察は独自に考えた厳密ではないもののため留意してください。

補題

1

d|nμ(d)=δn,1

2

x1
g(x)=n=1α(n)f(nx)nsf(x)=n=1α1(n)g(nx)ns

メビウスの反転公式(Wikipedia) と呼ばれるものの一つです。

の両辺が対称的であるため、のみ証明する。
n=1α1(n)g(nx)ns=n=1α1(n)nsk=1α(k)f(nkx)ks=l=1f(lx)lsk|lα(k)α1(lk)=l=1f(lx)lsδl,1=f(x)

3

x1
g(x)=n=1f(nx)nsf(x)=n=1μ(n)g(nx)ns

補題1よりα(n)=1に対してα1(n)=μ(n)であるため、これを補題2に代入する。

リーマンゼータ関数

1

lnζ(s)=n=1P(ns)nP(s)=n=1μ(n)nlnζ(ns)

[特殊関数 グラフィックスライブラリー](http://math-functions-1.watson.jp/sub1_spec_030.html#section040)より。
高さは絶対値、色は偏角を表します。
特殊関数 グラフィックスライブラリー より。
高さは絶対値、色は偏角を表します。

lnζ(s)=lnp11ps=pln(1ps)=pn=1pnsn=n=1P(ns)n補題3より、P(s)=n=1μ(n)nlnζ(ns)

この式から、s=1に対数分岐点があり、P(0)=lnζ(0)n=1μ(n)n=ln(12)ζ(1)=0
であることが推測できます。
複素平面上でグラフにしてみると、虚軸付近に対数分岐点が密集していることが伺えます。

特殊値

2

n2N0{1}
P(n)(0)=(1)n+1nBn(lnζ(s))(n)|s=0

上述したP(0)=0の一般化です。厳密な証明ではないため、予想というべきかもしれません。

定理1より、lnζ(s)=k=1P(ks)kn階微分してs=0を代入し、(lnζ(s))(n)|s=0=P(n)(0)k=1kn1=P(n)(0)ζ(n+1)=(1)n+1BnnP(n)(0)

冪級数展開

任意のn2N0+1(ζ(s)ζ(s))(n)|s=0が有限の値として定義され、定理2を認めるならば、
P(s)の偶成分P(s)+P(s)2s=0でテイラー展開できます。

3

P(s)+P(s)2=n=1s2n(2n1)!B2n(ζ(t)ζ(t))(2n1)|t=0

定理2より、
(左辺)=n=0P(2n)(0)(2n)!s2n=(右辺)

n=1s2n1(2n1)!(ζ(t)ζ(t))(2n1)|t=0=12(ζ(t)ζ(t)ζ(t)ζ(t))
の収束半径が0でなければ、上記の冪級数の収束半径はとなりP(s)+P(s)2は整関数となります。
その場合、P(s)の特異点は全て奇成分P(s)P(s)2に由来することになります。

ディリクレ指標による一般化

ディリクレ指標

χ0は法Nの自明な指標。

補題

4

x1
g(x)=n=0f((2n+1)x)(2n+1)sf(x)=n=0μ(2n+1)g((2n+1)x)(2n+1)s

α(n)={0if 2n1if 2n
に対して、
α1(n)={0if 2nμ(n)if 2n
とすれば、dnα(d)α1(nd)=δn,1が成り立つ。
nが偶数の時、dndの少なくとも一方が偶数となるため
d|nα(d)α1(nd)=0となり、
nが奇数の時、dndの両方が奇数となるため、補題1より
d|nα(d)α1(nd)=δn,1となる。

5

L(s,χ0)=[p|N(1ps)]ζ(s)

L関数

4

χは法Nの実指標。
lnL(s,χ)=n=0P((2n+1)s,χ)2n+1+12(lnζ(2s)+p|Nln(1p2s))P(s,χ)=n=0μ(2n+1)2n+1[lnL((2n+1)s,χ)12(lnζ((4n+2)s)+p|Nln(1p(4n+2)s))]

lnL(s,χ)=lnp11χ(p)ps=pln(1χ(p)ps)=pn=1χ(p)npnsn=pn=1(χ(p)p(2n1)s2n1+χ0(p)p2ns2n)(χ(k){0,1,1}|χ(k)|=χ0(k)であるため、χ(k)2n1=χ(k),χ(k)2n=χ0(k))=n=0P((2n+1)s,χ)2n+1+lnL(2s,χ0)2=n=0P((2n+1)s,χ)2n+1+12(lnζ(2s)+p|Nln(1p2s))補題4より、P(s,χ)=n=0μ(2n+1)2n+1[lnL((2n+1)s,χ)12(lnζ((4n+2)s)+p|Nln(1p(4n+2)s))]

χが自明な指標である場合、定理1に帰着されます。
定理2と同様にして、
P(n)(0,χ)=(1)n+1n(12n1)Bn[lnL(s,χ)12(lnζ(2s)+p|Nln(1p2s))](n)|s=0
という式が導けます。しかし、N2の時一般にp|Nln(1p2s)やそのn階導関数はs=0に特異点を持つためP(n)(0,χ)を定義するのは困難です。

参考文献

投稿日:2023615
更新日:20231223
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著者の記事における命題は大半が自分で発見したものであり、 何かしらの論文などに基づいたものではありません。

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  1. 定義
  2. 通常の素数ゼータ関数
  3. 補題
  4. リーマンゼータ関数
  5. 特殊値
  6. 冪級数展開
  7. ディリクレ指標による一般化
  8. ディリクレ指標
  9. 補題
  10. L関数
  11. 参考文献