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約数関数に関する予想の証明

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はじめに

約数関数に関する予想 で紹介した予想の証明がついにできたので,こうして記事にすることにした.記号の定義はそちらの記事で確認してほしい.また都合上,一部の数値計算を WolframAlpha Desmos で行った.

準備

p進付値

vp(n)=max{kN{0} | pk|n}

n番目の素数をpnとおく.
n+1pn
が成立し,等号成立はn=1,2のみである.

ほとんど説明は不要だろうと思う.n=1,2のときはp1=2,p2=3より明らか.n3のときを考える.
数列{pn}n3は次の不等式を満たす.
pnpn1+2 , p2=3
この不等式から
pnpn1+2>pn1+1>p2+(n2)=n+1
となる.

σ(n)<(ω(n)+1)n
が成立する.

途中で補題1を用いる.
n=p|npvp(n)と素因数分解すると,
σ(n)=p|npvp(n)+11p1<np|npp1nk=1ω(n)pkpk1nk=1ω(n)k+1k=(ω(n)+1)n
となり,σ(n)<(ω(n)+1)nをえる.

f(x)=(1+1x)xとすると関数fx>0で狭義単調増加し,上限はネイピア数eである.

証明は様々なところにあるので各自でやってほしい(書くのがめんどくさい).

logn(σ1(n))σ0(n)12Ω(n)  (n>1)
を満たす素数はn=2のみ.

素数n=pが不等式を満たすと仮定する.
σ0(p)12Ω(p)logp(σ1(p))2logp(p+1)<logp(2p)=1+logp2
となる.logp2pに関して単調減少するため解は有限個であり,p=11ではじめて不成立になる.よってp11では不等式を満たさず,p=2,3,5,7がこれを満たす.しかしp=3,5,7は元の不等式を満たさないため,p=2のみが解である.

logn(σ1(n))σ0(n)12Ω(n)  (n>1)
を満たすnのうち,素数の冪になるのはn=2,4,8,16のみである.

pを素数,aを自然数とし,n=paが不等式を満たすと仮定する.
σ0(pa)12Ω(pa)logpa(σ1(pa))(a+1)12a1alogp((ω(pa)+1)pa)=1+1alogp2a+1(1+1alogp2)2a=(1+1alogp2)alogp22logp2<e2logp2
となる.右辺はpに関して単調減少する.

  1. p=2のとき
    a+1<e2a6n=2,4,8,16,32,64
    となるが,このうち解となるものはn=2,4,8,16のみ.

  2. p=3のとき
    a+1<e2log32a2n=3,9
    となるが,このうち解となるものは存在しない.

  3. p=5,7のとき
    a=1となるが,定理4により解は存在しない.

  4. p11のとき
    a<1となり,解は存在しない.

以上により,素数の冪になる解はn=2,4,8,16のみ.

証明

いよいよ予想の証明に入っていく.
ここで新しく関数を定義し,いくつか補題を示す.

ω(n)>0とする.
p1(n)=min{p ;prime | n mod p=0}

p1(4)=2,p1(15)=3という具合に,nの最小の素因数を表す.

p1(n)Ω(n)n

nを割り切る素数をp1,,pω(n)とすると,1kω(n)なる整数kに対しp1(n)pkが成立する.

正整数a1,a2,b1,b2a1a2 , b1b2を満たすとする.
(a1a2)b1+b22a1b1a2b2
が成立する.

非負の数αをとると,
a1b1+αa2b2α=(a1a2)αa1b1a2b2a1b1a2b2
となる.α=b2b12とすればよい.

σ0(n)2ω(n)
が成立する.

n=1のとき
σ0(1)=1=2ω(1)
で成立する.n>1のとき
σ0(n)=p|n(vp(n)+1)p|n2=2ω(n)

σ0(n)Ω(n)+1

n=1のとき
σ0(1)=1=Ω(1)+1
で成立する.n>1のとき
σ0(n)=p|n(vp(n)+1)1+p|nvp(n)=Ω(n)+1

logn(σ1(n))σ0(n)12Ω(n)  (n>1)
の解は2,4,8,16のみ.

まず,nは奇数であると仮定し矛盾を導く.p1(n)3である.
σ0(n)12Ω(n)logn(σ1(n))<logn((ω(n)+1)n)=1+logn(ω(n)+1)1+logp1(n)Ω(n)(ω(n)+1)=1+1Ω(n)logp1(n)(ω(n)+1)σ0(n)<(1+1Ω(n)logp1(n)(ω(n)+1))2Ω(n)<e2logp1(n)(ω(n)+1)=(ω(n)+1)2logp1(n)e2ω(n)<(ω(n)+1)2logp1(n)e
となる.右辺はp1(n)に関して単調減少し,有限次元のω(n)の多項式で上から抑えられる.対して左辺は単調増加する指数関数であるため,この不等式を満たすω(n)は有限個.

  1. p1(n)=3のとき
    ω(n)4となる.

  2. p1(n)=5,7のとき
    ω(n)=1となるが定理5より不適.

  3. p1(n)11のとき
    ω(n)=0より不適.

以上よりp1(n)=3の場合で考えればよい.

n=3am   (6 | ̸m)と書くことにする.p1(m)5である.
σ0(3am)12Ω(3am)log3am(σ1(3am))((a+1)σ0(m))12(a+Ω(m))<log3am((ω(3am)+1)3am)=1+log3am(ω(m)+2)1+log3ap1(m)Ω(m)(ω(m)+2)1+log(3p1(m))a+Ω(m)2(ω(m)+2)    (aΩ(m))(a+1)σ0(m)<(1+2a+Ω(m)log3p1(m)(ω(m)+2))2(a+Ω(m))<e4log3p1(m)(ω(m)+2)=(ω(m)+2)4log3p1(m)e(a+1)2ω(m)<(ω(m)+2)4log3p1(m)e
となる.aΩ(m)と,定理5からω(m)1に注意すれば

  1. p1(m)=5のとき
    a=1ω(m)=1a2で解なし.よってこのときn=35b  (b1)

  2. p1(m)=7のとき
    a=1ω(m)=1a2で解なし.よってこのときn=37b  (b1)

  3. p1(m)11のとき
    解なし.

となる.さて,ここで少し戻って不等式(a+1)σ0(m)<(ω(m)+2)4log3p1(m)ea=1,m=pbを代入すると,
2(b+1)<81log3pe
となる.p=5のときb=1p=7のときb=1であるが,n=15,21は解ではない.
以上によりa>Ω(m)となる.途中式から
(a+1)2ω(m)<(ω(m)+2)2log3e
となり,a3で解なし.よってa2となり,仮定よりa=2,Ω(m)=1n=9pとなる.しかし
σ0(9p)12Ω(9p)<log9pσ1(9p)616<1+log9p3
p5で不成立となる.

以上により奇数の解は存在せず,解は偶数のみである.よってp1(n)=2である.
ω(n)2と仮定する(ω(n)=1の場合は定理5によりn=2,4,8,16となる).n=2am  (2 | ̸m)と書くことにすると,先ほどと同様にして
(a+1)2ω(m)(a+1)σ0(m)<(ω(m)+2)4log2p1(m)e(ω(m)+2)4log6e   (aΩ(m))
が出てくる.a5で解なしであるからa4である.また,a=1としてp1(m)を動かすとp1(m)13ω(m)<1となり矛盾するためp1(m)11である.a=2としてp1(m)を動かすとp1(m)7で解なしであるからp1(m)5である.a=3としてp1(m)を動かすとp1(m)5で解なしであるからp1(m)=3である.a=4としてp1(m)を動かすとp1(m)5で解なしであるからp1(m)=3である.
以下にまとめる.

  • a=1p1(m)=3,5,7,11
  • a=2p1(m)=3,5
  • a=3p1(m)=3
  • a=4p1(m)=3

m=p1(m)bm  (2p1(m) | ̸m)と書くことにすると
(a+1)(b+1)2ω(m)(a+1)(b+1)σ0(m)<(ω(m)+3)4log2p1(m)e(ω(m)+3)4log6e   (ab+Ω(m))

  1. a=4のとき
    b4で解なし.よって1b3  (a=4>b+Ω(m))m=1 (Ω(m)=0)のときn=48,144,432となるがどれも解ではない.よってm>1,b=1,2
    b=2のとき,Ω(m)=1n=144pとなる.しかし
    σ0(144p)12Ω(144p)<log144pσ1(144p)30114<1+log144p4
    p5で不成立となる.
    b=1のとき,Ω(m)=1,2Ω(m)=1とするとn=48pとなるが,
    σ0(48p)12Ω(48p)<log48pσ1(48p)20112<1+log48p4
    p5で不成立となる.Ω(m)=2とすれば
    σ0(48m)12Ω(48m)<log48mσ1(48m)30114<1+log48m4<1+log48p1(m)24
    となるが,p1(m)5で不成立となる.
    よってこの場合は解にならない.

  2. a=3のとき
    b3で解なし.よってb=1,2  (a=3>b+Ω(m))m=1  (Ω(m)=0)のときn=24,72となるがどれも解ではない.よってm=p,b=1n=24pとなる.しかし
    σ0(24p)12Ω(24p)<log24pσ1(24p)16110<1+log24p4
    p5で不成立となる.
    よってこの場合は解にならない.

  3. a=2のとき
    b3で解なし.よってb=1,2となる.
    b=2のとき,m=1とするとn=36,100となるが解ではない.
    n=36mのときΩ(m)4とすると
    σ0(36m)12Ω(36m)<log36mσ1(36m)(9σ0(m))12Ω(m)+8<1+log36p1(m)Ω(m)4<1+log24p1(m)Ω(m)492ω(m)<(1+2Ω(m)+4log2p1(m)4)2(Ω(m)+4)<e4log2p1(m)4=256log2p1(m)e
    となり,p1(m)5ω(m)<1となり矛盾する.よって1Ω(m)3である.ここで2Ω(m)3を仮定すると,
    σ0(36m)12Ω(36m)<log36mσ1(36m)(9σ0(m))12Ω(m)+8<1+log36p1(m)Ω(m)427114<1+log36p1(m)24
    となるが,p1(m)5で不成立となる.よってΩ(m)=1となりn=36pとなるが
    σ0(36p)12Ω(36p)<log36pσ1(36p)18110<1+log36p4
    p5で不成立となる.
    n=100mのときはlog100mσ1(100m)<1+log100m4<1+log36m4により,同様にして解にならないとわかる.
    以上によりa=2>b+Ω(m)となる.
    b=1のときm=1となるが,n=12,20は解ではない.
    よってこの場合は解にならない.

  4. a=1のとき
    b5で解なし.よって1b4
    b=4のとき,m=1ならn=162,1250,4802,29282となるがどれも解ではない.よってm>1.ここでΩ(m)5とすると
    σ0(2p1(m)4m)12Ω(2p1(m)4m)<log2p1(m)4mσ1(2p1(m)4m)(10σ0(m))12Ω(m)+10<1+log162p1(m)Ω(m)4102ω(m)<(1+2Ω(m)+5log2p1(m)4)2(Ω(m)+5)<e4log2p1(m)4=256log2p1(m)e
    となるがp1(m)5ω(m)<1となり矛盾する.よって1Ω(m)4.ここで2Ω(m)4を仮定すると
    σ0(2p1(m)4m)12Ω(2p1(m)4m)<log2p1(m)4mσ1(2p1(m)4m)(10σ0(m))12Ω(m)+10<1+log162p1(m)Ω(m)430118<1+log162p1(m)24
    となるが,p1(m)5では不成立となる.よってΩ(m)=1となる.しかしこの場合でも,
    (10σ0(m))12Ω(m)+10<1+log162p1(m)Ω(m)420112<1+log162p1(m)4
    p1(m)5で不成立となる.
    b=3のとき,m=1ならn=54,250,686,2662となるがどれも解ではない.よってm>1.ここでΩ(m)4とすると
    σ0(2p1(m)3m)12Ω(2p1(m)3m)<log2p1(m)3mσ1(2p1(m)3m)(8σ0(m))12Ω(m)+8<1+log54p1(m)Ω(m)482ω(m)<(1+2Ω(m)+4log2p1(m)4)2(Ω(m)+4)<e4log2p1(m)4=256log2p1(m)e
    となるがp1(m)5ω(m)<1となり矛盾する.よって1Ω(m)3.ここで2Ω(m)3を仮定すると
    σ0(2p1(m)3m)12Ω(2p1(m)3m)<log2p1(m)3mσ1(2p1(m)3m)(8σ0(m))12Ω(m)+8<1+log54p1(m)Ω(m)424114<1+log54p1(m)24
    となるが,p1(m)5では不成立となる.よってΩ(m)=1となる.しかしこの場合でも,
    (8σ0(m))12Ω(m)+8<1+log54p1(m)Ω(m)416110<1+log54p1(m)4
    p1(m)5で不成立となる.
    b=2のとき,m=1ならn=18,50,98,242となるがどれも解ではない.よってm>1.ここでΩ(m)3とすると
    σ0(2p1(m)2m)12Ω(2p1(m)2m)<log2p1(m)2mσ1(2p1(m)2m)(6σ0(m))12Ω(m)+6<1+log18p1(m)Ω(m)462ω(m)<(1+2Ω(m)+3log2p1(m)4)2(Ω(m)+3)<e4log2p1(m)4=256log2p1(m)e
    となるがp1(m)5ω(m)<1となり矛盾する.よって1Ω(m)2Ω(m)=2とすると
    σ0(2p1(m)2m)12Ω(2p1(m)2m)<log2p1(m)2mσ1(2p1(m)2m)(6σ0(m))12Ω(m)+6<1+log18p1(m)Ω(m)418110<1+log18p1(m)24
    となるがp1(m)5で不成立.またΩ(m)=1のとき
    σ0(2p1(m)2m)12Ω(2p1(m)2m)<log2p1(m)2mσ1(2p1(m)2m)(6σ0(m))12Ω(m)+6<1+log18p1(m)Ω(m)41218<1+log18p1(m)4
    となるがp1(m)5では不成立となる.
    b=1のとき,m=1ならn=6,10,14,22となるがどれも解ではない.よってm>1.ここでΩ(m)2とすると
    σ0(2p1(m)m)12Ω(2p1(m)m)<log2p1(m)mσ1(2p1(m)m)(4σ0(m))12Ω(m)+4<1+log6p1(m)Ω(m)442ω(m)<(1+2Ω(m)+2log2.4p1(m)4)2(Ω(m)+2)<e4log2.4p1(m)4=256log2.4p1(m)e
    となりp1(m)7で不成立.よってp1(m)=3,p1(m)=5となり,このときω(m)=1であるからn=65cと書ける.しかし
    σ0(65c)12Ω(65c)<log65cσ1(65c)(4(c+1))12c+4<1+log65c4<1+1c+1=c+2c+1=111c+24(c+1)<1(11c+2)2(c+2)(32)6<12
    よりc=1,n=30となるが解ではない.よってΩ(m)=1n=2pq  (p<q).しかしこの場合も
    σ0(2pq)12Ω(2pq<log2pqσ1(2pq)816<1+log6q4
    q5で不成立となる.

以上により,ω(n)2では解が存在しないことが示せた.よって定理5により,logn(σ1(n))σ0(n)12Ω(n)  (n>1)の解はn=2,4,8,16のみである.

おわりに

今回の証明では細かな議論をところどころ省略している.しかし実際に省略せずに記事を書こうとすると,細々とした数値計算や大小比較の計算ばかりの退屈な記事になってしまう.

自分で立てた予想なので,自分の手で解決することができとても嬉しい.この問題は思い入れのあるものになるだろう.

投稿日:2023930
更新日:2024214
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投稿者

約数関数、数列関係の記事を中心に書いていきます。 記事の内容に間違いがあれば教えてくれるとありがたいです。

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