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現代数学解説
文献あり

ラマヌジャン総和法3:主要な定理と交代級数

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はじめに

 この記事では 前回の記事 に引き続きラマヌジャンの総和法について勉強していきます。
 さて 前回の記事 ではfOπに対してラマヌジャン和を
n1Rf(n):=f(1)2+i0f(1+it)f(1it)e2πt1dt
によって定めたのでした。特にラマヌジャン和を特徴付ける関数
R[f](x)=1xf(t)dt+f(x)2+i0f(x+it)f(xit)e2πt1dt
は正則関数fの積分変換となっているので解析的に非常に優れた性質を持つこととなります。
 今回の記事ではラマヌジャン和の解析的・代数的な性質から導かれる様々な定理について紹介し、次回の記事でその応用例について解説していこうと思います。

定理集

 以下fOπに対し
R[f](x)=1xf(t)dt+f(x)2+i0f(x+it)f(xit)e2πt1dt
と定める(これをffractional remainderと言う)。

部分和分

 f,gOπかつfgOπなる関数f,gに対し
n1R(f(n+1)f(n))g(n)=n1Rf(n+1)(g(n+1)g(n))f(1)g(1)+12f(t)g(t)dt
が成り立つ。

証明

 推移性
n1Rf(n)g(n)=n1Rf(n+1)g(n+1)+f(1)g(1)12f(t)g(t)dt
に注意して
f(x)g(x)f(x+1)g(x+1)=(f(x)f(x+1))g(x)+f(x+1)(g(x)g(x+1))
の両辺のラマヌジャン和を取ることでわかる。

Z上の総和

 整関数fOπに対しZ上のラマヌジャン和を
nZRf(n)=n1Rf(n)+n1Rf(1n)01f(x)dx=n1Rf(n)+f(0)+n1Rf(n)11f(x)dx
によって定める。

 任意のmZに対して
nZRf(n+m)=nZRf(n)
が成り立つ。

証明

 推移性
n1Rf(n+1)=n1Rf(n)f(1)+12f(x)dxn1Rf(2n)=n1Rf(1n)+f(1)12f(1x)dx=n1Rf(1n)+f(1)01f(x)dx
に注意すると
nZRf(n+1)=n1Rf(n+1)+n1Rf(2n)01f(x+1)dx=n1Rf(n)+n1Rf(1n)01f(x)dx=nZRf(n)
とわかる。

倍数公式

xx+1R[f](t)dt=1xf(t)dt

証明

xx+1R[f](t)dt=1x+1R[f](t)dt1xR[f](t)dt=12R[f](t)dt+1x(R[f](t+1)R[f](t))dt=1xf(t)dt
とわかる。

n1Rf(n+a)=R[f](a+1)+1a+1f(x)dx

証明

R[f](x+a)R[f](x+a+1)=f(x+a)
および
12R[f](x+a)dx=a+1a+2R[f](x)dx=1a+1f(x)dx
に注意するとf(x+a)のfractional remainderは
R(x)=R[f](x+a)12R[f](x+a)dx=R[f](x+a)+1a+1f(x)dx
と表せる。よって
n1Rf(n+a)=R(1)=R[f](a+1)+1a+1f(x)dx
を得る。

倍数公式

 fOπに対し
n1Rf(nN)=k=0N1n1Rf(nkN)k=2N1/Nk/Nf(x)dx
特にgOπ/Nに対し
n1Rg(n)=k=0N1n1Rg(Nnk)1Nk=2N1kg(x)dx
が成り立つ。

証明

R(x)=k=0N1R[f](x+kN)
とおくと
R(x)R(x+1)=R[f](xN)R[f](xN+1)=f(xN)
が成り立つので
12R(x)dx=1N+1R[f](xN)dx=N1/N1/N+1R[f](x)dx=N11/Nf(x)dx
に注意するとg(x)=f(x/N)のfractional remainderは
R[g](x)=k=0N1R[f](x+kN)N1/N1f(t)dt
と表せる。
 また上の補題より
n1Rf(n1+kN)=R[f](kN)+1k/Nf(x)dx
が成り立つことに注意すると
n1Rf(nN)=k=0N1R[f](k+1N)N1/N1f(x)dx=k=1N(R[f](kN)1/N1f(x)dx)=k=1N(n1Rf(nNkN)1k/Nf(x)dx1/N1f(x)dx)=k=0N1n1Rf(nkN)k=2N1/Nk/Nf(x)dx
を得る。またこれをg(x)=f(x/N)について書き直すことで
n1Rg(n)=k=0N1n1Rg(Nnk)1Nk=2N1kg(x)dx
を得る。

n1Rf(n)=n1Rf(2n)+n1Rf(2n1)1212f(x)dx

fractional sum

 fOπに対し
φ(x)φ(x1)=f(x),φ(0)=0
なるφOπが一意に存在し、特に
φ[f](x)=R[f](1)R[f](x+1)
と表せる。この関数のことをffractional sumと言う。

φの倍数公式

φ[f(x/N)](x)=k=0N1φ[f](xkN)+n1Rf(nN)Nn1Rf(n)+N1/N1f(x)dx
が成り立つ。

証明

 上の証明より
R[f(x/N)](x)=k=0N1R[f](x+kN)N1/N1f(t)dt
が成り立っていたのでこれをxx+1とすることで
n1Rf(nN)φ[f(x/N)](x)=k=1N(n1Rf(n)φ[f](x+kN1))N1/N1f(t)dt=Nn1Rf(n)k=0N1φ[f](xkN)N1/N1f(t)dt
を得る。

関数項級数

項別微分

 Re(x)>0およびある領域zDにおいて定義された関数f(x,z)が各変数について正則であり、また任意のコンパクト集合KDに対しあるC,ε>0が存在して
|f(x,z)|<Ce(πε)|x|
を満たすものとする。
 このとき
n1Rf(n,z)
zDにおいて正則関数を定め、特に
dkdzkn1Rf(n,z)=n1Rkfkz(n,z)
が成り立つ。

証明

 仮定より任意のコンパクト集合KDに対し
|f(1+it,z)f(1it,z)e2πt1|<2Ce(πε)(1+t)e2πt1
と優関数によって抑えられるので積分記号下微分が正当化でき
ddzn1Rf(n,z)=fz(1,z)2+i0fz(1+it,z)fz(1it,z)e2πt1dt=n1Rfz(n,z)
を得る。
 また
fz(x,z)=12πiCf(x,w)(wz)2dw
に注意するとこれは再び上の仮定を満たすことがわかるので繰り返し項別微分することができ
dkdzkn1Rf(n,z)=n1Rkfkz(n,z)
を得る。

級数の交換

 ある点z0Dの近傍において
f(x,z)=k=0ak(x)(zz0)k
とテイラー展開したとき
n1Rf(n,z)=k=0(n1Rak(n))(zz0)k
とテイラー展開できる。

 fOπが整関数であれば
n1Rf(nz)=1z0zf(x)dxf(0)2k=1B2k2kf(2k1)(0)(2k1)!z2k1
が成り立つ。特に
n1Rf(n)=01f(x)dxf(0)2k=1B2k2kf(2k1)(0)(2k1)!
が成り立つ。

証明

 仮定よりg(x,z)=f(xz)gOzπを満たすので
n1Rf(nz)=k=0f(k)(0)k!(n1Rnk)zk=f(0)2+k=1f(k)(0)k!1Bk+1k+1zk=f(0)2+k=0f(k)(0)(k+1)!zkk=1B2k2kf(2k1)(0)(2k1)!z2k1=f(0)2+1z0zf(x)dxk=1B2k2kf(2k1)(0)(2k1)!z2k1
を得る。

 fOπが整関数であれば正整数pに対し
n1Rf(n)np=011xp(f(x)k=0p1f(k)(0)k!xk)dx+k=1p(n1R1nk)f(k1)(0)(k1)!12f(p)(0)p!k=1B2k2kf(2k+p1)(0)(2k+p1)!
が成り立つ。ただしγはオイラー定数とした。

証明

g(x)=1xp(f(x)k=0p1f(k)(0)k!xk)=k=0f(k+p)(0)(k+p)!xk
についてラマヌジャン和を取ることでわかる。

項別積分

 Re(x)>1δ(δ>0)およびある区間uIにおいて定義された関数f(x,u)に対しあるC(u),ε>0が存在し
|f(x,u)|<C(u)e(πε)|x|,IC(u)du<
が成り立つとする。
 このとき
I(n1Rf(x,u))du=n1RIf(x,u)du
が成り立つ。

証明

I0|f(1+it,u)f(1it)e2πt1|dtduI0C(u)2e(πε)(1+t)e2πt1dtduIC(u)du02e(πε)(1+t)e2πt1dt<
が成り立つのでフビニの定理より積分の順序交換が正当化でき
I(n1Rf(x,u))du=12If(1,u)du+i0If(1+it,u)duIf(1it,u)due2πt1dt=n1RIf(x,u)du
を得る。

二重和の交換

 Re(x),Re(y)>0において各変数について正則な関数fがあるC,ε>0に対し
|f(x,y)|<Ce(πε)(|x|+|y|)
を満たすとき
m1Rn1Rf(m,n)=n1Rm1Rf(m,n)

証明

R(x,y)R(x+1,y)=f(x,y),12R(x,y)dx=0S(x,y)S(x,y+1)=R(x,y),12S(x,y)dy=0
なる関数R,Sを取る。このとき
S(1,1)=n1RR(1,n)=n1Rm1Rf(m,n)
が成り立つことに注意する。
 ここで
T(x,y)=S(x,y)S(x+1,y)
とおくと
T(x,y)T(x,y+1)=S(x,y)S(x+1,y)(S(x,y+1)S(x+1,y+1))=R(x,y)R(x+1,y)=f(x,y)
および
12T(x,y)dy=12(S(x,y)S(x+1,y))dy=0
が成り立つので
U(x,y)=S(x,y)12S(t,y)dt
とおくことで
U(1,1)=m1RT(m,1)=m1Rn1Rf(m,n)
を得る。
 さらに仮定より項別積分が適用でき
12S(x,1)dx=n1R12R(x,n)dx=0
と求まるので
S(1,1)=U(1,1)
を得る。

交代級数の総和

 さて最後に交代級数の総和法について簡単に触れておきましょう。
 いま級数f(n)がラマヌジャン総和可能であるためにはf(n)Oπという条件が必要なのでした。したがって交代級数(1)nf(n)=eπinf(n)のラマヌジャン和を一般に考えるには例えばfO0という強い条件が必要となります。したがって例えば(1)n(1)nnのような級数の和すら考えられないため少し不便です。
 そこで交代級数に対してはラマヌジャン和とは少し異なる総和法を考えることにします。具体的にはラマヌジャン和がオイラー・マクローリンの和公式
k=1nf(k)=1nf(x)dx+f(n)+f(1)2+k=1mB2k(2k)!(f(2k1)(n)f(2k1)(1))+1nB2m+1({x})(2m+1)!f(2m+1)(x)dx
に着想を得ていたように、交代級数にはオイラー・ブールの和公式
k=1n1(1)k1f(k)=12k=0mEk(0)k!(f(k)(1)+(1)nf(k)(n))+121nE~m(x)m!f(m+1)(x)dx
(ただしEn(x)はオイラー多項式としE~m(x)=(1)m+xEm({x})とおいた)
を基点とした次のような総和法が考えられます。

オイラー総和法(仮)

 あるMより先の任意のmに対し
1Em({x})f(m+1)(x)dx
が収束するときmMにおいて
C~(f)=12k=0mEk(0)k!f(k)(1)+121Em({x})m!f(m+1)(x)dx
mに依らない定数となる。この定数のことを級数f(n)オイラー和と言い
C~(f)=n1E(1)n1f(n)
と表す。

 これは方程式
T(n+1)T(n)=(1)n1f(n)
によって特徴づけられる関数
T(n)=(1)n2k=0mEk(0)k!f(k)(n)12nE~m(x)m!f(m+1)(x)dx
によってC~(f)=T(1)と表せ、特にA(n)=(1)nT(n)とおくと次のような基本定理が成り立ちます。

 fOπに対し
A(x)+A(x+1)=f(x)
を満たすようなAOπが一意に存在する。特に
A(x)=R[f(2x)](x2)R[f(2x)](x+12)
が成り立つ。

 一意性については方程式の線形性から
A(x)+A(x+1)=0
を満たすようなAOπA=0のみであることを示せばよい。これについては 前回の記事 の補題4と同様にして
A(x)=n=cne(2n+1)πix
とフーリエ級数展開できること、およびAOπであることからわかる。
 また存在性についてはf(2x)O2πから 前回の記事 の定理5より
R(x)R(x+1)=f(2x)
を満たすような関数Rが存在することに注意して
A(x)=R[f(2x)](x2)R[f(2x)](x+12)
とおくと
A(x)+A(x+1)=R[f(2x)](x2)R[f(2x)](x2+1)=f(x)
とわかる。

 ラマヌジャン和とは違ってフーリエ級数の定数項が存在しないため12R(x)dx=0のような条件が必要ないというのが面白いですね。
 さてこれによりオイラー和は次のように定められます。

オイラー総和法(決定版)

 交代級数(1)n1anがオイラー総和可能であるとはf(n)=anなるfOπが存在することを言い、このとき方程式
A(x)+A(x+1)=f(x)
によって一意に定まる関数AOπを用いて
n1E(1)n1an=A(1)
と定まる値のことをオイラー和と言う。

ラマヌジャン和との関係

 こうして交代級数の和が定まったわけですが、実のところfOπ/2という条件下でオイラー和はラマヌジャン和を用いて以下のように表せることがわかります。

 fOπ/2に対し
n1E(1)n1f(n)=n1Rf(2n1)n1Rf(2n)+1212f(x)dx
が成り立つ。

 補題4から
R[f(2x)](12)=n1Rf(2(n1+12))11/2f(2x)dx=n1Rf(2n1)+1212f(x)dx
が成り立つことに注意すると
n1E(1)n1f(n)=R[f(2x)](12)R[f(2x)](1+12)=n1Rf(2n1)n1Rf(2n)+1212f(x)dx
を得る。

n1E(1)n1f(n)=n1Rf(n)2n1Rf(2n)+12f(x)dx=2n1Rf(2n1)n1Rf(n)n1Rf(2n1)=12n1Rf(n)+12n1E(1)n1f(n)n1Rf(2n)=12n1Rf(n)12n1E(1)n1f(n)+1212f(x)dx

 倍数公式
n1Rf(n)=n1Rf(2n1)+n1Rf(2n)1212f(x)dx
に注意するとわかる。

 ちなみに
n0Rf(n):=n1Rf(n1)=n1Rf(n)+f(0)01f(x)dx
とおくと
n0Rf(2n)=n1Rf(2n)+f(0)1202f(x)dx
が成り立つので上の関係は次のようにも表せます。

n1E(1)n1f(n)=n0Rf(n)2n0Rf(2n)n0Rf(2n)=12n0Rf(n)12n1E(1)n1f(n)

基本性質

線形性

n1E(1)n1(af(n)+bg(n))=an1E(1)n1f(n)+bn1E(1)n1g(n)

並進性

n1R(1)n1f(n)=f(1)+n1R(1)nf(n+1)

 A[f(x+1)](x)=A[f(x)](x+1)が成り立つことから
n1R(1)n1f(n+1)=A[f](2)=f(1)A[f](1)=f(1)n1R(1)n1f(n)
を得る。

正規性

 fOπn=0(1)nf(x+n)Oπを満たすとき
n1E(1)n1f(n)=n=1(1)n1f(n)
が成り立つ。

収束級数表示

オイラーの級数変換公式

 Re(x)>x0(x0<1)における正則関数fがあるC>0に対し
|f(x)|C2|x|
を満たすとき
n1E(1)n1f(n)=k=0(1)k(Δkf)(1)2k+1
が成り立つ。ただしΔは差分作用素(Δf)(n)=f(n+1)f(n)とした。

証明

 いくつかの議論については省略して説明する。
 仮定からfRe(x)>max(x0,1/2)で収束するニュートン級数展開
f(x)=n=0(x1n)(Δnf)(1)((x1n)=(x1)(x2)(xn)n!)
を持つことが知られている(Nörlund)。
 いま
B(x)=(1+z)x12+z
とおくと
B(x)+B(x+1)=(1+z)x1
が成り立つので
(1+z)x1=n=0(x1n)zn,12+z=12n=0(z2)n
に注意してこの両辺のznの係数を比較することで
A[(x1n)](x)=12k=0n(x1k)(12)nk
つまり
A[f](x)=n=0(1)n(Δnf)(1)2n+1k=0n(x1k)(2)k
と求まる(これがAOπを満たすことは別途示せる)。
 したがって
n1Rf(n)=k=0(1)k(Δkf)(1)2k+1
を得る。

 またこれと同様にしてラマヌジャン和は次のような収束級数表示があることが示せます。

 Re(x)>x0(x0<1)における正則関数fがあるC>0に対し
|f(x)|C2|x|
を満たすとき
n1E(1)n1f(n)=k=0βk+1(k+1)!(Δkf)(1)
が成り立つ。ただし
βnn!=01(xn)dx
とおいた。

証明

(xn+1)(x1n+1)=(x1n)x(x(n+1))n+1=(x1n)
に注意すると
R[(x1n)](x)=(x1x+1)+12(x1n+1)dx=(x1x+1)+βn+1(n+1)!
つまり
R[f](x)=n=0(βn+1(n+1)!(x1k+1))(Δnf)(1)
および
n1Rf(n)=k=0βk+1(k+1)!(Δkf)(1)
を得る。

 ちなみにこのβnは第二種ベルヌーイ数と言い
n=0βnn!tn=01(n=0(xn)tn)dx=01(1+t)xdx=tlog(1+t)
という母関数を持ちます。

具体例

 f(x)=xk(k0)とおくとオイラー多項式
2etxet+1=n=0En(x)n!tn
の性質
Ek(x)+Ek(x+1)=2xk
から
A[f](x)=Ek(x)2
つまり
n1E(1)n1nk=Ek(1)2
と求まる。なお下に示すようにこれは(12k+1)ζ(k)とも求まる。
 ちなみに
2etet+1=22et+1
よりk0において
n1E(1)n1nk=Ek(0)2
とも表せる。

 f(x)=1/xsとおくと正規性よりRe(s)>1において
n1E(1)n1ns=n=11ns2n=11(2n)s=(121s)ζ(s)
と求まる。
 またsCに対して明らかにf(x)Olog2が成り立つので
n1E(1)n1ns=k=0(1)k(Δkf)(1)2k+1
と収束級数表示でき、これによりゼータ関数の解析接続
ζ(s)=1121sk=0(1)k(Δkf)(1)2k+1
が与えられる(このことは この記事 でも紹介している)。

 ちなみにラマヌジャンのノートブックには次のような記述が見られる。
Notebook 2より Notebook 2より
 この変形の正当性を考えてみよう。いま
C=n0Rn
とおくと
3C=C4C=n0Rn2n0R2n=n1E(1)n1n
が成り立つ。また|z|<1において
n1E(z)n1n=n=1(z)n1n=1(1+z)2
が成り立つのでこれをz1とすることで
n1E(1)n1n=14
つまり
C=112
を得る。

 ラマヌジャンはこんなことまで考えてはなかったと思いますが、このような議論も実はちゃんと正当化できるというのは面白いですね。

参考文献

[1]
Bernard Candelpergher, Ramanujan Summation of Divergent Series, Springer, 2017
投稿日:2024210
更新日:2024211
OptHub AI Competition

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子葉
子葉
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主に複素解析、代数学、数論を学んでおります。 私の経験上、その証明が簡単に探しても見つからない、英語の文献を漁らないと載ってない、なんて定理の解説を主にやっていきます。 同じ経験をしている人の助けになれば。最近は自分用のノートになっている節があります。

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  9. 収束級数表示
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