Eulerの五角数定理 は(q;q)∞=∑n∈Z(−1)nqn(3n−1)2によって与えられる恒等式である. 五角数は, 整数nを用いてn(3n−1)2で表される数のことであり, それはmod 5で0,1,2のいずれかと合同であるという性質を持つ. よって,
(q;q)∞=a(q5)+b(q5)q+c(q5)q2のように, べき級数a,b,cを用いて表されるので, このそれぞれに積表示があるかという問題が考えられる. それを与えるのが次の公式である.
(q;q)∞=(q10,q15,q25;q25)∞(q5,q20;q25)∞−q(q25;q25)∞−q2(q5,q20,q25;q25)∞(q10,q15;q25)∞
Jacobiの三重積 より,∏0<n(1−2qncos2θ+q2n)(1−qn)=∑0≤n(−1)nsin(2n+1)θsinθqn(n+1)2であるから, これにθ=2π5を代入すると, α=1+52,β=1−52として,∏0<n(1+αqn+q2n)(1−qn)=∑0≤m(−1)5msin2π(10m+1)5sin2π5q(25m2+5m)/2+∑0<m(−1)5m−1sin2π(10m−1)5sin2π5q((5m−1)2+(5m−1))/2+∑0≤m(−1)5m+1sin2π(10m+3)5sin2π5q((5m+1)2+(5m+1))/2+∑0<m(−1)5m−2sin2π(10m−3)5sin2π5q((5m−2)2+(5m−2))/2=∑0≤m(−1)mq(25m2+5m)/2+∑0<m(−1)mq(25m2−5m)/2−β(∑0≤m(−1)mq((5m+1)2+(5m+1))/2+∑0≤m(−1)mq((5m−1)2−(5m−1))/2)=∑m∈Z(−1)mq(25m2+5m)/2−β∑m∈Z(−1)mq((5m+1)2+(5m+1))/2=(q10,q15,q25;q25)∞−βq(q5,q20,q25;q25)∞ここで, 最後の等号はJacobiの三重積による. 係数の5を−5に置き換えたものと合わせて,∏0<n(1+αqn+q2n)(1−qn)=(q10,q15,q25;q25)∞−βq(q5,q20,q25;q25)∞∏0<n(1+βqn+q2n)(1−qn)=(q10,q15,q25;q25)∞−αq(q5,q20,q25;q25)∞が成り立つ. この2つを掛け合わせると, (1+αqn+q2n)(1+βqn+q2n)=1−q5n1−qnより,(q;q)∞(q5;q5)∞=((q10,q15,q25;q25)∞−βq(q5,q20,q25;q25)∞)((q10,q15,q25;q25)∞−αq(q5,q20,q25;q25)∞)=(q10,q15,q25;q25)∞2−q(q5,q10,q15,q20,q25,q25;q25)∞−q2(q5,q20,q25;q25)∞2=(q10,q15,q25;q25)∞2−q(q5;q5)∞(q25;q25)∞−q2(q5,q20,q25;q25)∞2両辺を(q5;q5)∞で割って, 定理を得る.
Hirschhornの論文においては, 定理1の応用として, Ramanujanによる恒等式 ∑0≤np(5n+4)qn=5(q5;q5)∞5(q;q)∞6が導かれている.
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