前回:モノイドについて1 の続きです.
半群Sのある元s∈Sについて, ⟨s⟩={sn∈S | n∈Z>0}をsで生成される巡回半群という.
以下, Sを有限半群とし, Sの元s∈Sについて考える.
n=#⟨s⟩とするとsn+1∈{s,s2,⋯,sn}であるため, sn+1=scとなるn以下の正整数cが存在する. このnをsの位数といい, cをsの指数といい, d=n+1−cをsの周期という.よって, sc=sc+dとなる.
#SをSの位数という.
⟨s⟩の部分半群C={sn | n≥c}は位数dの巡回群.
sc=sc+d=scsd=sc+dsd=sc+2d=scs2d=sc+ds2d=sc+3d=⋯より, sを[の倍数c+(dの倍数)]乗したものはscに等しい.si倍を考えれば, sを[の倍数c+i+(dの倍数)]乗したものはsc+iに等しいことも分かる.C={sc,sc+1,⋯,sc+d−1}であり, c以上c+d未満のdの倍数をωとおけば, sc+i+ω=sc+iである.よってsc+isω=sc+i=sωsc+iとなり, sωはCの単位元である.2cd+id≥2c+iより, s2cd+id−c−i∈Cであり,sc+is2cd+id−c−i=s2cd+id=s2cd+idsω=sc+(ω−c)+2cd+id=sc+(ω−c)=sωよって, s2cd+id−c−iはsc+iの逆元であり, Cは群になる.
半群Sの部分集合X⊂Sについて, E(X)={e∈X | e=e2}.
E(⟨s⟩)={sω}.
sωはCの単位元なので, 明らかにsω∈E(⟨s⟩).sk∈E(⟨s⟩)とすると, sk=s2k.c ≤#⟨s⟩=#{s,s2,⋯,s2k−1}<2k.よって, s2k∈C. sk=s2kの逆元をxとすれば,sk=sksω=skskx=s2kx=sω.
空でない有限半群Sについて, E(S)≠∅
s∈Sに対し, {sω}=E(⟨s⟩)⊂E(S).
有限半群Sの位数n=#Sについて, Sn={s1s2⋯sn | si∈S}はSE(S)S={uev | u∈S,e∈E(S),v∈S}と等しい. すなわち,Sn=SE(S)S.
uev∈SE(S)Sならばuev=uenv∈Sn+2⊂Sn.
s1s2⋯sn∈Snとする.t1=s1, t2=s1s2, ⋯, tn=s1s2⋯snとおくと,(i)t1∼tnが相異なる場合と, (ii)ti=tjとなるi<jが存在する場合が考えられる.(i)t1∼tnが相異なる場合, {t1,⋯,tn}=Sより, ti∈E(S)≠∅となるiが存在する.このとき,s1s2⋯sn=ti⋅ti⋅(tisi+1⋯sn)∈SE(S)S.(ii)ti=tjとなるi<jが存在する場合, x=si+1⋯sjとおくと, ti=tix=tix2=⋯=tixω=tixω+1.s1s2⋯sn=ti x sj+1⋯sn=ti xω+1 sj+1⋯sn=ti⋅xω⋅(xsj+1⋯sn)∈SE(S)S.
タイトルに反して, モノイドが登場しないので, 少しだけ扱います.
半群Sと冪等元e∈E(S)に対し, eSe={ese|s∈S}はeを単位元にもつモノイドである.
e=e3∈eSe.ese⋅ete=e(set)e∈eSe よりeSeは積について閉じている.ese⋅e=ese=e⋅ese よりeは単位元である.
モノイドeSeの単元群をGe=(eSe)×と表す.また, Ie=eSe∖Geと表す.
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