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モノイドについて2

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前回:モノイドについて1 の続きです.

巡回半群

半群Sのある元sSについて, s={snS | nZ>0}sで生成される巡回半群という.

以下, Sを有限半群とし, Sの元sSについて考える.

位数, 指数, 周期

n=#sとするとsn+1{s,s2,,sn}であるため, sn+1=scとなるn以下の正整数cが存在する. このnsの位数といい, csの指数といい, d=n+1csの周期という.
よって, sc=sc+dとなる.

#SSの位数という.

sの部分半群C={sn | nc}は位数dの巡回群.

sc=sc+d=scsd=sc+dsd=sc+2d=scs2d=sc+ds2d=sc+3d=
より, sを[c+(dの倍数)]乗したものはscに等しい.
si倍を考えれば, sを[c+i+(dの倍数)]乗したものはsc+iに等しいことも分かる.
C={sc,sc+1,,sc+d1}であり, c以上c+d未満のdの倍数をωとおけば, sc+i+ω=sc+iである.
よってsc+isω=sc+i=sωsc+iとなり, sωCの単位元である.
2cd+id2c+iより, s2cd+idciCであり,
sc+is2cd+idci=s2cd+id=s2cd+idsω=sc+(ωc)+2cd+id=sc+(ωc)=sω
よって, s2cd+idcisc+iの逆元であり, Cは群になる.

冪等元の集合

半群Sの部分集合XSについて, E(X)={eX | e=e2}.

E(s)={sω}.

sωCの単位元なので, 明らかにsωE(s).
skE(s)とすると, sk=s2k.
c #s=#{s,s2,,s2k1}<2k.
よって, s2kC. sk=s2kの逆元をxとすれば,
sk=sksω=skskx=s2kx=sω.

空でない有限半群Sについて, E(S)

sSに対し, {sω}=E(s)E(S).

有限半群Sの位数n=#Sについて, Sn={s1s2sn | siS}SE(S)S={uev | uS,eE(S),vS}と等しい. すなわち,
Sn=SE(S)S.

SnSE(S)S.

uevSE(S)Sならばuev=uenvSn+2Sn.

SnSE(S)S.

s1s2snSnとする.t1=s1, t2=s1s2, , tn=s1s2snとおくと,
(i)t1tnが相異なる場合と, (ii)ti=tjとなるi<jが存在する場合が考えられる.
(i)t1tnが相異なる場合, {t1,,tn}=Sより, tiE(S)となるiが存在する.このとき,
s1s2sn=titi(tisi+1sn)SE(S)S.
(ii)ti=tjとなるi<jが存在する場合, x=si+1sjとおくと, ti=tix=tix2==tixω=tixω+1.
s1s2sn=ti x sj+1sn=ti xω+1 sj+1sn=tixω(xsj+1sn)SE(S)S.

タイトルに反して, モノイドが登場しないので, 少しだけ扱います.

半群Sと冪等元eE(S)に対し, eSe={ese|sS}eを単位元にもつモノイドである.

e=e3eSe.
eseete=e(set)eeSe よりeSeは積について閉じている.
esee=ese=eese よりeは単位元である.

モノイドeSeの単元群をGe=(eSe)×と表す.
また, Ie=eSeGeと表す.

投稿日:16日前
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