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現代数学解説
文献あり

Kaneko-Sakataの和公式の母関数による証明

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前の記事 で, 導分関係式を用いてMurahara-Sakataの和公式を示し, その特別な場合としてKaneko-Sakataの和公式を得たが, 今回は母関数によって直接的な証明を与える.

Kaneko-Sakata(2016)

正整数a,bに対して,
ζ({1}a1,b+1)=0<r(1)r10<a1,,ar,a1++ar=a0<b1,,br,b1++br=bζ(a1+b1,,ar+br)

Aomoto-Drinfel'dの公式
0<a,bζ({1}a1,b+1)xayb=1Γ(1x)Γ(1y)Γ(1xy)
を用いる. ガンマ関数のWeierstrass乗積表示
1Γ(1+x)=eγx0<n(1+xn)exn
を用いれば, 右辺は
1Γ(1x)Γ(1y)Γ(1xy)=10<n(1x+yn)(1xn)(1yn)=10<nn(nxy)(nx)(ny)=10<n(1xy(nx)(xy))=0<r(1)r1(xy)r0<n1<<nr1(n1x)(n1y)1(nrx)(nry)=0<a,bxayb0<r(1)r10<a1,,ar,a1++ar=a0<b1,,br,b1++br=bζ(a1+b1,,ar+br)
となるから, xaybの係数を比較して定理を得る.

このように, 母関数を用いることによってシンプルに証明できるというのは面白いと思う. 上の証明から, 逆にKaneko-Sakataの和公式を用いてAomoto-Drinfel'dの公式を示すこともできることが分かる.

参考文献

[1]
M. Kaneko, M. Sakata, On multiple zeta values of extremal height, Bull. Aust. Math. Soc., 2016, 186-193
投稿日:35
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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