この記事は「一般相対性理論に必要なテンソルを大学1年生でもわかるように書いてみた[直線座標編]」の続きです。
まだ読んでいない方は先にご覧ください。
一般相対性理論に必要なテンソルを大学1年生でもわかるように書いてみた[直線座標編]
さて、この記事では曲線座標上のテンソル場を扱います。
直線座標上のテンソルの扱いは慣れたと思うのでいってみましょう。
まず、極座標と球座標を復習します。
このとき
このとき、
さて、ここからは変数変換に必要なヤコビアンについて考察していきます。
このとき、ヤコビアン
で定める行列
たとえば
(1)
(2)
(3)
(1)
(2)
まず偏微分を計算する。
よって
同様に、
よって
また、
よって
次に、
よって
同様に、
よって
また、
よって
最後に、
よって
同様に、
よって
また、
よって
以上より、
(3)
なんと単位行列になりました。
一般の場合でも成立します。
逆の場合も同様。
よって次のことがわかります。
座標
特に、
とおくと
見覚えありますよね。
そう、基底と双対基底の変換行列が互いに逆行列であることを示す式と一緒です。
ということは、勘の鋭い方ならお気づきの通りここからテンソル場が定義できます。
座標
が成立しているとき、
これが一般的なテンソル場の定義です。
ためしに
この定義は曲線座標についても適用できるんですね。
これを基底をつけて表現してみましょう。
まず、関数を連鎖律で偏微分すると
つまり
とします。このとき
と変換すると
となってうまく整合します。
同様に、
つまり
このとき
と変換すると
となってうまく整合します。
なので、この前学んだテンソル場で
と変換した基底をつければよいことがわかりますね。
これらのことを念頭に置いて基底ありでのテンソル場の定義を述べます。
座標
このとき、
が成立するならば、
もまた成立する。これを
慣れない記法で違和感があるかもしれませんが、この記法の威力に後ほど気づくでしょう。
さて、ここで接続係数という概念を導入します。
まずは定義から。
変数の組
このとき、次の式を満たすように接続係数
これから何をし始めようとしているのかというと、
もし
そのときの係数が接続係数です。
ここで、偏微分が交換できる関数しか扱わないというルールのもとで
ゆえに
そんなことを言われても訳が分からないと思うので問題を解いてみましょう。
このとき、
(1)満たすべき条件は
であるから、
ここで
同様に、
ここで
よって
下添字の対称性より、
最後に、
より
よって
と表せる。満たすべき条件は
であるが、
このように、直線座標同士の変換では接続係数はすべて
さっき定義した接続係数を用いてテンソル場の微分をしてみましょう。
座標
が成立しているとき、
その前にこれから大活躍する定理を示します。
次が成立:
定理2と積の偏微分より、
これを踏まえて問題を解いてみましょう。
を結ぶ等式を示せ。
が与えられている。これとテンソル場の定義及び積の偏微分、変数変換の定理を繰り返し使い、
なお、途中添字を入れ替えたところがある。
疲れましたね。
ですが、ここで気づいてほしかったのは次の2つのルールです。
(1)反変成分はそのまま接続係数で書き換える
(2)共変成分は変数変換してから接続係数で書き換える
これを一般化すると共変微分になります。
まずは定義から。
テンソル場を座標
これを共変微分と呼ぶ。
たとえば、
です。
共変微分には面白い性質がいくつもありますが、その1つが積の共変微分です。
次が成立:
これは先程の計算からわかります。
これを用いると共変微分が簡単に計算できます。
というのも、任意のテンソル場は
ここで
で定め、それ以外のテンソル場の共変微分を積の共変微分で定めます。
そうするとうまく定義できるんですね。
これから共変微分を求める際にはそうしていこうと思います。
この節では曲線の長さを求める方法を考えていこうと思います。
まずは正規直交座標が入っている平面上での曲線の長さを求めましょう。
座標平面上での2点
と表されているものとします。
このとき、曲線
となりますね。
正規直交座標
座標平面
と表されているものとします。
このとき、
で表されます。両辺
ここで
とおいて内積をとると、
よって曲線
となりますね。
この
計量テンソルの登場により曲線の長さの公式が一般化できました。
実際、
計量テンソル
で定義する。
曲線座標
よってテンソル場の定義より
ここで、基底ありのテンソル場の定義を思い出しましょう。
座標
このとき、
が成立するならば、
もまた成立する。これを
この記法を使うと、計量テンソルを
正規直交座標
より
よって
直交座標上の計量テンソルの式
どちらの方法でも同じ答えが出せましたね。
計量テンソルの重要な役割があります。
それは添字の上げ下げです。
計量テンソルは
なので添字を上げ下げするのには非常に便利なのです。
その威力は後で体感していただくとしましょう。
計量テンソルと接続係数の関係式を求めます。
よって
同様にして、
も得られます。接続係数と計量の下添字の対称性から
ここで
を得ます。
次が成立:
この公式の威力は後ほど体感してください。
さらにもうひとつ計量には特徴があります。
それがこちらです。
次の4つが成立:
(i)
(ii)
(iii)
(iv)
(i)
積の共変微分より
これより
(ii)積の共変微分と(i)より即座に得られる。
(iii)
より
(iv)積の共変微分と(iii)より即座に得られる。
これにより計量は共変微分において定数と同じように扱えます。
ここまでは平面に埋め込まれている直線座標と曲線座標の間でのテンソル場を調べていきました。
ここからは
で与えるとき、それらの
の線形結合で表せ。ここに、
で与えられる。また、
よって、
このように、
余計な
そこで、球面
どういう意味かというと、
だから球面
そのためにどうするかというと、
たとえば、正規直交座標
一般的にベクトルを正射影すると、基底のどれかが
それを使いましょう。
さっきの問題では、接平面に正射影したベクトルは
となりますね。
こうして定義したベクトル
実際、さっきの問題で
とすると
なので
なので成立しています。
一般的に
となります。
邪魔な法線ベクトル成分
ですがこれを接平面に正射影すると、
が得られました。
これは間違いなく接続係数の定義を満たしテンソル場になります。
つまり、曲面の微分は
これを曲面のテンソル場とします。
状況を整理しましょう。
です。
ですが、
そうすると、
となります。
ここで、もう1つ問題です。
また、
法線ベクトルも考えることにより
を得る。
計量を求めると
よって
これらより
を得る。
ここで、
一方、
それらが一致するのです。驚くべきことだと思います。
ということは、接続係数さえ手に入れてしまえば曲線座標のテンソル場と同様に計算できます。
この事実は後ほど大活躍するので楽しみにしていてください。
これで曲線座標のテンソル場は終わりです。
最後に曲率に進みます。