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現代数学解説
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一般相対性理論に必要なテンソルを大学1年生でもわかるように書いてみた[曲線座標編]

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前置き

この記事は「一般相対性理論に必要なテンソルを大学1年生でもわかるように書いてみた[直線座標編]」の続きです。

まだ読んでいない方は先にご覧ください。

一般相対性理論に必要なテンソルを大学1年生でもわかるように書いてみた[直線座標編]

さて、この記事では曲線座標上のテンソル場を扱います。

直線座標上のテンソルの扱いは慣れたと思うのでいってみましょう。

曲線座標のテンソル場

まず、極座標と球座標を復習します。

極座標

(x,y)を通常の直交座標としたとき、(x,y)=(rcosθ,rsinθ)を満たすように0<r0θ<2πを定める。

このとき(r,θ)を極座標という。

球座標

(x,y,z)を通常の直交座標としたとき、(x,y,z)=(rsinθcosφ,rsinθsinφ,rcosθ)を満たすように0<r,0θπ,0φ<2π を定める。

このとき、(r,θ,φ)を球座標という。

さて、ここからは変数変換に必要なヤコビアンについて考察していきます。

ヤコビアン

n個の変数f=f1,,fnおよびx=x1,,xnがある。

このとき、ヤコビアンJ(f,x)ij成分を

fixj

で定める行列(1i,jn)とする。

たとえばx=x1,y=x2,z=x3,r=r1,θ=r2,φ=r3としましょう。

x=x1,x2,x3,r=r1,r2,r3 とする。
(1) J(x,r) を求めよ。
(2) J(r,x) を求めよ。
(3) J(x,r)J(r,x) を求めよ。

解答

(1)

J(x,r)=(xrxθxφyryθyφzrzθzφ)=(sinθcosφrcosθcosφrsinθsinφsinθsinφrcosθsinφrsinθcosφcosθrsinθ0).

(2)

まず偏微分を計算する。r2=x2+y2+z2 より

x(r2)=2rrx=2x=2rsinθcosφ.

よってr0の条件のもと

rx=sinθcosφ.

同様に、

y(r2)=2rry=2y=2rsinθsinφ.

よって

ry=sinθsinφ.

また、

z(r2)=2rrz=2z=2rcosθ.

よって

rz=cosθ.

次に、cos2θ=z2r2=z2x2+y2+z2 より

x(cos2θ)=x(z2x2+y2+z2)=2xz2(x2+y2+z2)2=2cosθx(cosθ)=2cosθsinθθx.

よって

θx=xz2r4cosθsinθ=rsinθcosφr2cos2θr4cosθsinθ=cosθcosφr.

同様に、

y(cos2θ)=y(z2x2+y2+z2)=2yz2(x2+y2+z2)2=2cosθy(cosθ)=2cosθsinθθy.

よって

θy=yz2r4cosθsinθ=rsinθsinφr2cos2θr4cosθsinθ=cosθsinφr.

また、

z(cos2θ)=z(z2x2+y2+z2)=2z(x2+y2)(x2+y2+z2)2=2cosθz(cosθ)=2cosθsinθθz.

よって

θz=z(x2+y2)r4cosθsinθ=rcosθr2sin2θr4cosθsinθ=sinθr.

最後に、tan2φ=y2x2 より

x(tan2φ)=x(y2x2)=2y2x3=2tanφx(tanφ)=2tanφcos2φφx.

よって

φx=r2sin2θsin2φcos2φr3sin3θcos3φtanφ=sinφrsinθ.

同様に、

y(tan2φ)=y(y2x2)=2yx2=2tanφy(tanφ)=2tanφcos2φφy.

よって

φy=rsinθsinφcos2φr2sin2θcos2φtanφ=cosφrsinθ.

また、

z(tan2φ)=z(y2x2)=0=2tanφcos2φφz.

よって

φz=0.

以上より、

J(x,r)=(rxryrzθxθyθzφxφyφz)=(sinθcosφsinθsinφcosθcosθcosφrcosθsinφrsinθrsinφrsinθcosφrsinθ0).

(3)

J(r,x)J(x,r)=(sinθcosφrcosθcosφrsinθsinφsinθsinφrcosθsinφrsinθcosφcosθrsinθ0)(sinθcosφsinθsinφcosθcosθcosφrcosθsinφrsinθrsinφrsinθcosφrsinθ0)=(100010001).

なんと単位行列になりました。

一般の場合でも成立します。

ヤコビアンの変換公式

Iを単位行列とすると、

J(f,x)J(x,f)=J(x,f)J(f,x)=I.

J(f,x)J(x,f)ij成分をJjiとおくと、合成関数の偏微分を使い

Jji=fixkxkfj=fifj=δji.

逆の場合も同様。

よって次のことがわかります。

座標の変換則

座標(x)と座標(x)があるとき次が成立:

xixkxkxj=δji,xixkxkxj=δji.

特に、

xixj=bji,xixj=aji

とおくと bkiajk=δji,akibjk=δji.

見覚えありますよね。

そう、基底と双対基底の変換行列が互いに逆行列であることを示す式と一緒です。

ということは、勘の鋭い方ならお気づきの通りここからテンソル場が定義できます。

テンソル場

座標(x)に対して座標(u)を任意に取る。

Tの座標(x)での成分Tj1,,jsi1,,ir(x)と座標(u)での成分Tj1,,jsi1,,ir(u)との間に

Tj1,,jsi1,,ir(x)=xi1uk1xirukrul1xj1ulsxjsTl1,,lsk1,,kr(u)

が成立しているとき、Tr階反変s階共変テンソル場であるという。

これが一般的なテンソル場の定義です。

ためしに(x)uが線形変換で結ばれているものとするとこの前やったテンソル場と同じ定義が得られます。

この定義は曲線座標についても適用できるんですね。

これを基底をつけて表現してみましょう。

まず、関数を連鎖律で偏微分すると

fx1=u1x1fu1+u2x1fu2,fx2=u1x2fu1+u2x2fu2.

fを外して、形式的に

x1=u1x1u1+u2x1u2,x2=u1x2u1+u2x2u2,

つまり

xi=ujxiuj

とします。このとき

uiei,xiei

と変換すると

ei=ujxiej

となってうまく整合します。

同様に、fを全微分して

df=fu1du1+fu2du2.

fx1,x2を代入して

dx1=x1u1du1+x1u2du2,dx2=x2u1du1+x2u2du2,

つまり

dxi=xiujduj.

このとき

duifi,dxifi

と変換すると

fi=xiujfj

となってうまく整合します。

なので、この前学んだテンソル場で

eiui,eixi,fidui,fidxi

と変換した基底をつければよいことがわかりますね。

これらのことを念頭に置いて基底ありでのテンソル場の定義を述べます。

テンソル場(基底あり)

座標(x)に対して座標(u)を任意に取る。

このとき、

Tj1,,jsi1,,ir(x)=xi1uk1xirukrul1xj1ulsxjsTl1,,lsk1,,kr(u)

が成立するならば、

Tj1jsi1ir(u)ui1uirduj1dujs=Tj1jsi1ir(x)xi1xirdxj1dxjs

もまた成立する。これをr階反変s階共変テンソル場と呼ぶ。

慣れない記法で違和感があるかもしれませんが、この記法の威力に後ほど気づくでしょう。

さて、ここで接続係数という概念を導入します。

接続係数

まずは定義から。

接続係数

変数の組u=u1,,unおよびx=x1,,xnが与えられている。

このとき、次の式を満たすように接続係数Γを定義する:

2xlujuk=Γjkixlui.

Γjkixで見たuの接続係数という。

iは媒介変数であり消えることに注意してください。

これから何をし始めようとしているのかというと、2階微分を1階微分の線形結合で書こうという発想です。

もし2階微分が1階微分の線形結合で書けるならば、何階微分であろうが1階微分の線形結合で書けることになります。

そのときの係数が接続係数です。

ここで、偏微分が交換できる関数しか扱わないというルールのもとでj,kは交換可能です。

ゆえにΓjki=Γkjiが成立します。

そんなことを言われても訳が分からないと思うので問題を解いてみましょう。

(x,y)を正規直交座標とする。

0<r,0θ<2πのもとで原点を除き(x,y)=(rcosθ,rsinθ)と一意に表せる。

このとき、(x,y)で見た(r,θ)の接続係数Γをすべて求めよ。

解答

x1=x,x2=y,r1=r,r2=θとおく。

(1)満たすべき条件は

2xlrjrk=Γjkixlri.

であるから、

2xlr1r1=Γ111xlr1+Γ112xlr2.

ここでl=1,2として調べるとΓ111=Γ112=0がわかる。

同様に、

2xlr1r2=Γ121xlr1+Γ122xlr2.

ここでl=1,2として調べると

{sinr2=Γ121cosr2Γ122r1sinr2cosr2=Γ121sinr2+Γ122r1cosr2

よってΓ121=0,Γ122=1r1.

下添字の対称性より、

Γ211=0,Γ212=1r1も得る。

最後に、

2xlr2r2=Γ221xlr1+Γ222xlr2

よりl=1,2として調べると

{r1cosr2=Γ221cosr2Γ222r1sinr2r1sinr2=Γ221sinr2+Γ222r1cosr2

よってΓ221=r1,Γ222=0を得る。

(x1,x2)を正規直交座標とする。

(u1,u2)=(3x12x2,x1+x2)と表されているとき(x1,x2)で見た(u1,u2)をすべて求めよ。

解答

(x1,x2)=(u1+2u25,u13u25)

と表せる。満たすべき条件は

2xlujuk=Γjkixlui.

であるが、2階偏微分はすべて0になるから接続係数もすべて0になる。

このように、直線座標同士の変換では接続係数はすべて0になります。

テンソル場の微分

さっき定義した接続係数を用いてテンソル場の微分をしてみましょう。

テンソル場(再掲)

座標(x)に対して座標(u)を任意に取る。

Tの座標(x)での成分Tj1,,jsi1,,ir(x)と座標(u)での成分Tj1,,jsi1,,ir(u)との間に

Tj1,,jsi1,,ir(x)=xi1uk1xirukrul1xj1ulsxjsTl1,,lsk1,,kr(u)

が成立しているとき、Tr階反変s階共変テンソル場であるという。

その前にこれから大活躍する定理を示します。

変数変換

次が成立:

2ulxjukxiul=2xiukululxj.

定理2と積の偏微分より、

uk(xiululxj)=uk(δji)=0=2xiukululxj+2ulxjukxiul.

これを踏まえて問題を解いてみましょう。

xで見たuの接続係数が与えられている。

1階反変1階共変テンソル場Tji(x)Tji(u)に対して、

Tji(x)xk,Tji(u)uk

を結ぶ等式を示せ。

解答

2xlujuk=Γjkixlui.

が与えられている。これとテンソル場の定義及び積の偏微分、変数変換の定理を繰り返し使い、

Tji(x)xk=xk(xiumunxjTnm(u))=ulxkul(xiumunxjTnm(u))=ulxk(2xiulumunxjTnm(u)+xiumul(unxjTnm(u)))=ulxk(ΓlmωxiuωunxjTnm(u)+xium2unulxjTnm(u)+xiumunxjTnm(u)ul)=ulxk(ΓlωmxiumunxjTnω(u)+xium2unulxjTnm(u)+xiumunxjTnm(u)ul)=ulxk(ΓlωmxiumunxjTnω(u)unxjxiumunTnm(u)+xiumunxjTnm(u)ul)=ulxk(ΓlωmxiumunxjTnω(u)ΓmnpxiupunxjTnm(u)+xiumunxjTnm(u)ul)=ulxk(ΓlωmxiumunxjTnω(u)ΓpnmxiumunxjTnp(u)+xiumunxjTnm(u)ul)=ulxkxiumunxj(Tnm(u)ul+ΓlωmTnω(u)ΓpnmTnp(u)).

なお、途中添字を入れ替えたところがある。

疲れましたね。

ですが、ここで気づいてほしかったのは次の2つのルールです。

(1)反変成分はそのまま接続係数で書き換える
(2)共変成分は変数変換してから接続係数で書き換える

これを一般化すると共変微分になります。

共変微分

まずは定義から。

共変微分

テンソル場を座標(xi)で偏微分してつくったテンソル場の座標(ui)でのテンソル成分をiで表す。

これを共変微分と呼ぶ。

たとえば、1階反変1階共変テンソルのときは

kTji=Tjiuk+ΓkliTjlΓkjlTli

です。

共変微分には面白い性質がいくつもありますが、その1つが積の共変微分です。

積の共変微分

次が成立:

i(AB)=(iA)B+A(iB).

これは先程の計算からわかります。

これを用いると共変微分が簡単に計算できます。

というのも、任意のテンソル場は0階反変0階共変テンソル場、1階反変0階共変テンソル場、0階反変1階共変テンソル場の3つのテンソル場の積で表せるからです。

ここで0階反変0階共変、1階反変0階共変、0階反変1階共変テンソル場に対してそれぞれ共変微分を

if=fui,jTi=Tiuj+ΓjkiTk,jTi=TiujΓjikTk

で定め、それ以外のテンソル場の共変微分を積の共変微分で定めます。

そうするとうまく定義できるんですね。

これから共変微分を求める際にはそうしていこうと思います。

計量テンソル

この節では曲線の長さを求める方法を考えていこうと思います。

まずは正規直交座標が入っている平面上での曲線の長さを求めましょう。

座標平面上での2点A,Bを結ぶ曲線が媒介変数t

r(t)=(c1(t),c2(t))(αtβ)

と表されているものとします。

このとき、曲線ABの長さs

s=αβ|drdt|dt=αβdrdtdrdtdt

となりますね。

正規直交座標(x)と一般の曲線座標(u)をとって同じことをします。

座標平面(u)上での2点A,Bを結ぶ曲線Cが媒介変数t

C:(u1,u2)=(c1(t),c2(t))(αtβ)

と表されているものとします。

このとき、C(x)上の式は

x(t)=(x1(u1,u2),x2(u1,u2))=(x1(c1(t),c2(t)),x2(c1(t),c2(t)))

で表されます。両辺tで微分して、合成関数の偏微分を使い

dxdt=(ddtx1(c1(t),c2(t)),ddtx2(c1(t),c2(t)))=(dc1(t)dtu1x1(c1(t),c2(t))+dc2(t)dtu2x1(c1(t),c2(t)),dc1(t)dtu1x2(c1(t),c2(t))+dc2(t)dtu2x2(c1(t),c2(t)))=dc1(t)dtx(t)u1+dc2(t)dtx(t)u2.

ここで

gij=xuixuj

とおいて内積をとると、

dxdtdxdt=(dc1(t)dtx(t)u1+dc2(t)dtx(t)u2)(dc1(t)dtx(t)u1+dc2(t)dtx(t)u2)=dci(t)dtx(t)uidcj(t)dtx(t)uj=dci(t)dtdcj(t)dtxuixuj=gijdci(t)dtdcj(t)dt.

よって曲線ABの長さs

s=αβ|dxdt|dt=αβdxdtdxdtdt=αβgijdci(t)dtdcj(t)dtdt

となりますね。

このgijこそが計量テンソルです。

計量テンソルの登場により曲線の長さの公式が一般化できました。

実際、gij=δij(クロネッカーのデルタ)とすると最初に求めた直線座標での曲線の長さの公式に一致します。

計量テンソル

計量テンソルgの正規直交座標(x)での成分を

gij=xuixuj

で定義する。

gij2階共変テンソルとなることを示せ。

解答

曲線座標(u)での計量gij(u)と曲線座標(u)での計量gij(u)を考えると、

gij(u)=xuixuj=(x1ui,,xnui)(x1uj,,xnuj)=kxkuixkuj=kuluixkulumujxkum=uluiumujkxkulxkum=uluiumujglm(u).

よってテンソル場の定義よりgij2階の共変テンソルである。

ここで、基底ありのテンソル場の定義を思い出しましょう。

テンソル場(基底あり)

座標(x)に対して座標(u)を任意に取る。

このとき、

Tj1,,jsi1,,ir(x)=xi1uk1xirukrul1xj1ulsxjsTl1,,lsk1,,kr(u).

が成立するならば、

Tj1jsi1ir(u)ui1uirduj1dujs=Tj1jsi1ir(x)xi1xirdxj1dxjs

もまた成立する。これをr階反変s階共変テンソル場と呼ぶ。

この記法を使うと、計量テンソルをg=gijduiduj と表すことができます。

正規直交座標(x,y)を基準とし、(x,y)=(rcosθ,rsinθ)と極座標で表されているときの計量テンソルgを求めよ。

方法1

x=(x,y)とする。定義通り計算すると、

xr=(cosθ,sinθ),xθ=(rsinθ,rcosθ)

より

xrxr=1,xrxθ=xθxr=0,xθxθ=r2.

よってg=drdr+r2dθdθ.

方法2

x=rcosθ,y=rsinθをそれぞれ全微分してdx=cosθdrrsinθdθ および dy=sinθdr+rcosθdθを得る。

直交座標上の計量テンソルの式g=dxdx+dydyに代入して、

g=dxdx+dydy=(cosθdrrsinθdθ)(cosθdrrsinθdθ)+(sinθdr+rcosθdθ)(sinθdr+rcosθdθ)=drdr+r2dθdθ.

どちらの方法でも同じ答えが出せましたね。

計量テンソルの重要な役割があります。

それは添字の上げ下げです。

計量テンソルは2階共変テンソルかつ対称テンソルでしたね。

なので添字を上げ下げするのには非常に便利なのです。

その威力は後で体感していただくとしましょう。

計量テンソルの公式

計量テンソルと接続係数の関係式を求めます。

gijuk=uk(xuixuj)=uklxluixluj=l(2xlukuixluj+xlui2xlukuj)=2xukuixuj+xui2xukuj=(Γkilxul)xuj+xui(Γkjlxul)=Γkilglj+Γkjlgil.

よって

gijuk=Γkilglj+Γkjlgil.

同様にして、

gjkui=Γijlglk+Γiklgjl,gkiuj=Γjklgli+Γjilgkl

も得られます。接続係数と計量の下添字の対称性から

12(gijuk+gjkuigkiuj)=12(Γkilglj+Γkjlgil+Γijlglk+ΓiklgjlΓjklgliΓjilgkl)=Γkilglj.

ここでgikgkj=δijを満たす2階反変テンソルgijが存在するならば(普通は存在する)、

Γkilgljgjl=Γkilδll=Γkil=12gjl(gijuk+gjkuigkiuj)

を得ます。

計量と接続係数の関係

次が成立:

Γkil=12gjl(gijuk+gjkuigkiuj).

この公式の威力は後ほど体感してください。

さらにもうひとつ計量には特徴があります。

それがこちらです。

計量と共変微分の関係

次の4つが成立:

(i) kgij=0
(ii) k(gijT)=gijk(T)
(iii) kgij=0
(iv) k(gijT)=gijk(T)

(i) AiBjをそれぞれ1階共変テンソルとすると、Tij=AiBj2階共変テンソルになる。

積の共変微分より

k(Tij)=k(AiBj)=k(Ai)Bj+Aik(Bj)=(AiukΓkilAl)Bj+Ai(BjukΓkjlBl)=AiukBj+AiBjukΓkilAlBjΓkjlAiBl=(AiBj)ukΓkilAlBjΓkjlAiBl=TijukΓkilTljΓkjlTil.

これより2階共変テンソルに対する一般的な共変微分が得られた。

Tij=gijとし代入すると、

k(gij)=gijukΓkilgljΓkjlgil=0.

(ii)積の共変微分と(i)より即座に得られる。

(iii)

l(gikgkj)=l(δij)=0=l(gik)gkj+gikl(gkj)=gikl(gkj)

よりl(gkj)=0を得る。

(iv)積の共変微分と(iii)より即座に得られる。

これにより計量は共変微分において定数と同じように扱えます。

曲面のテンソル場

ここまでは平面に埋め込まれている直線座標と曲線座標の間でのテンソル場を調べていきました。

ここからはR3に埋め込まれている3次元の曲面上のテンソル場について調べていきます。

0<Rを定数とする。球面E(θ,φ)=(Rsinθcosφ,Rsinθsinφ,Rcosθ)の接ベクトルを

Eθ,Eφ

で与えるとき、それらのθ,φによる微分を

Eθ,Eφ,n(θ,φ)

の線形結合で表せ。ここに、n(θ,φ)は球面Eの単位法線ベクトルである。

解答

Eθ=(RcosθcosφRcosθsinφRsinθ),Eφ=(RsinθsinφRsinθcosφ0),n(θ,φ)=(sinθcosφsinθsinφcosθ)

で与えられる。また、

2Eθθ=(RsinθcosφRsinθsinφRcosθ),2Eθφ=2Eφθ=(RcosθsinφRcosθcosφ0),2Eφφ=(RsinθcosφRsinθsinφ0).

よって、

2Eθθ=Rn(θ,φ),2Eθφ=2Eφθ=cosθsinθEφ,2Eφφ=sinθcosθEθRsin2θn(θ,φ).

このように、R3上で2つの変数で媒介変数表示されている曲面の2階微分は接ベクトルだけの線形結合では表すことはできません。

余計なnが必要になってくるからですね。

そこで、球面E(θ,φ)を全世界として接ベクトルの微分を計算してみましょう。

どういう意味かというと、R3上の曲面を考えたから余計な法線ベクトルがでてきてしまったのです。

だから球面E2次元の曲線座標と見て微分を実行することにします。

そのためにどうするかというと、R3上での微分の結果を球面Eの接平面に正射影します。

たとえば、正規直交座標(x,y,z)で定義されたベクトル(2,4,5)xy平面に正射影すると(2,4)になりますね。

一般的にベクトルを正射影すると、基底のどれかが0ベクトルになり次元が1つ下がります。

それを使いましょう。

さっきの問題では、接平面に正射影したベクトルは

2Eθθ0,2Eθφ=2EφθcosθsinθEφ,2EφφsinθcosθEθ.

となりますね。

こうして定義したベクトルpiが次の式を満たすのは明らかですね:

pjuk=Γjkipi.

実際、さっきの問題でu1=r,u2=θとし、

p1=Eθ,p2=Eφ

とすると

Γ111=0,Γ112=0,Γ121=0,Γ122=cosθsinθ,Γ211=0,Γ212=cosθsinθ,Γ221=sinθcosθ,Γ222=0

なので

p1u1=Γ111p1+Γ112p2,p1u2=Γ121p1+Γ122p2,p2u1=Γ211p1+Γ212p2p2u2=Γ221p1+Γ222p2

なので成立しています。

一般的に2次元の曲面をSとします。

R3上では、曲面の微分は

2Suiuj=ΓijkSuk+nij

となります。

邪魔な法線ベクトル成分nijがありテンソル場とは言えませんでした。

ですがこれを接平面に正射影すると、S上で

2Suiuj=ΓijkSuk

が得られました。

これは間違いなく接続係数の定義を満たしテンソル場になります。

つまり、曲面の微分はR3上ではテンソル場にならないけれど、S上ではテンソル場になるということです。

これを曲面のテンソル場とします。

状況を整理しましょう。

R3の世界に住んでいる人から見れば、間違いなく

2Suiuj=ΓijkSuk+nij

です。

ですが、S上に住んでいる人から見ればnijは認識できません。

nijSに正射影されて0ベクトルになることに対応しています。

そうすると、Sに住んでいる人から見れば間違いなく

2Suiuj=ΓijkSuk

となります。

ここで、もう1つ問題です。

0<Rを定数とする。球面E(θ,φ)=(Rsinθcosφ,Rsinθsinφ,Rcosθ)が与えられている。

また、R3上の正規直交座標を(x)=(x,y,z)とする。

  1. E3次元空間R3上の曲面と見たとき、R3上での接ベクトルを計算することによりEでみたu=θ,φの接続係数を求めよ。
  2. E2次元の曲面と見たとき、計量テンソル
    gij=EuiEuj
    および接続係数と計量を結びつける公式
    Γkil=12gjl(gijuk+gjkuigkiuj)
    を使いEでみたu=θ,φの接続係数を求めよ。
解答

u1=θ,u2=φとする。

  1. 法線ベクトルも考えることにより
    Γ111=0,Γ112=0,Γ121=0,Γ122=cosθsinθ,Γ211=0,Γ212=cosθsinθ,Γ221=sinθcosθ,Γ222=0
    を得る。

  2. 計量を求めると
    g11=R2,g12=g21=0,g22=R2sin2θ.
    よって
    g22=1R2,g12=g21=0,g22=1R2sin2θ.
    これらより
    Γ111=12gj1(g1ju1+gj1u1g11uj)=0,Γ112=12gj2(g1ju1+gj1u1g11uj)=0,Γ121=12gj1(g2ju1+gj1u2g12uj)=0,Γ122=12gj2(g2ju1+gj1u2g12uj)=cosθsinθ,Γ211=12gj1(g1ju2+gj2u1g21uj)=0,Γ212=12gj2(g1ju2+gj2u1g21uj)=cosθsinθ,Γ221=12gj1(g2ju2+gj2u2g22uj)=sinθcosθ,Γ222=12gj2(g2ju2+gj2u2g22uj)=0
    を得る。

ここで、R3S上で接続係数が一致していることに注目してください。

R3上に住んでいる人は直接接ベクトルを計算することにより接続係数が得られます。

一方、S上に住んでいる人は2次元平面の曲線座標の計量テンソルを計算することでしか接続係数は得られません。

それらが一致するのです。驚くべきことだと思います。

ということは、接続係数さえ手に入れてしまえば曲線座標のテンソル場と同様に計算できます。

この事実は後ほど大活躍するので楽しみにしていてください。

これで曲線座標のテンソル場は終わりです。

最後に曲率に進みます。

一般相対性理論に必要なテンソルを大学1年生でもわかるように書いてみた[リーマン曲率テンソル
編]

参考文献

[1]
石井俊全, 一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する
投稿日:202435
更新日:2024831
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みつき
みつき
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数学が好きな大学1年生です。

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  1. 前置き
  2. 曲線座標のテンソル場
  3. 接続係数
  4. テンソル場の微分
  5. 共変微分
  6. 計量テンソル
  7. 計量テンソルの公式
  8. 曲面のテンソル場
  9. 参考文献