0

直交多項式と超幾何関数(6)〜JacobiからLaguerre・Hermiteへ〜

82
0

第六回目の今日は
古典的直交多項式列の他の2つ、
Laguerre(ラゲール)多項式・Hermite(エルミート)多項式
についての記事を書こうと思う。

これらとJacobi多項式は、それぞれ独立して紹介されることが一般的には多いが
密接した関係があることがわかる。
従って、今回はそのモチベーションを基軸に話そうと思う。

(筆者注:この流れで書いてある文献がなく、かつ計算ミス多発で書くの時間かかった...)

Jacobi多項式からLaguerre多項式へ

さて、簡単に前回の復習で
Jacobi多項式の定義をおさらいする。
Jacobi多項式は区間(1,1)上の重さ関数w(x)=(1x)α(1+x)βに関する直交多項式列で、
Pn(α,β)(1)=(n+αn)という正規化の下で定められていた。

適当にxに1次式の変換を掛けることで、有界区間で同様のことも考えられる(リスケーリング)。
では、Jacobi多項式を(0,)上で定義することは考えられるだろうか?

方針は次のとおりである。

  • まずβは十分大きい正の数としておく。
  • 次に、(0,β)上でJacobi多項式を考える。
  • 最後に、βの極限を取る(ようにうまいこと関数を調整する)

ではやってみようと思う。
Jacobi多項式に関するRodriguesの公式は
Pn(α,β)(x)=(1)n2nn!(1x)α(1+x)βdndxn{(1x)n+α(1+x)n+β}
で与えられていたことを思いだす。

さてまずは区間x(1,1)の上から区間x(0,β)に1次式で変換させるのだが
1βに、10に移すようにとる。(大小逆順にとっていることに注意)
すなわち
x=β2(x1)x=2xβ+1
これをJacobi多項式の式に代入し、xの関数として見ると
Pn(α,β)(x)=(1)n2nn!(1(2xβ+1))α(1+(2xβ+1))βdndxn{(1(2xβ+1))n+α(1+(2xβ+1))n+β}=(1)n2nn!(2xβ)α(2β2xβ)βdndxn{(2xβ)n+α(2β2xβ)n+β}
ここで微分の変換を行わなければならない。
次の等式が成り立つ:
dndxn=(ddx)n=(β2ddx)n=(1)nβn2ndndxn
また、x以外の係数は微分の前に出してこれることを思うと
Pn(α,β)(x)=(1)n2nn!(2xβ)α(2β2xβ)β(1)nβn2ndndxn{(2xβ)n+α(2β2xβ)n+β}=(1)n2nn!(2β)α(x)α2β(βxβ)β(1)nβn2n(2β)n+α2n+βdndxn{(x)n+α(βxβ)n+β}=1n!(x)α(βxβ)βdndxn{(x)n+α(βxβ)n+β}
ものすごく「それらしい」形が出現した。最後にβの極限を飛ばしたい。
最初の係数のところは
limβ(βxβ)β=limβ(1xβ)β=ex
次に微分の中身のところは
limβ(βxβ)n+β=limβ(1xβ)n+β=ex
となることから、次のことが従う。[ここは微分と極限の交換ができることを仮定する]
limβPn(α,β)(x)=1n!(x)αexdndxn{(x)n+αex}

generalized Laguerre polynomial

次のように関数の列を定める。
Ln(α)(x):=limβPn(α,β)(12xβ)
このように定めた関数を、一般化されたLaguerre多項式(以下GLPと適宜略す)と呼ぶ。
上の議論から、Rodrigues形の表示として
Ln(α)(x)=1n!xαexdndxn{xn+αex}
を得ることができた。この表示からも特にGLPLn(α)(x)n次の多項式になることが従う。

一般化されたLaguerre多項式の性質

まずはGLPの一般項について。
そもそも(1+x)が無限に飛ぶように極限を取ったので、Rodriguesの変形の表示と超幾何の表示は一致する。

GLPの一般項の超幾何関数による表示

上で定められたGLPLn(α)(x)の一般項は次のように求められる。
Ln(α)(x)=(n+αn)k=0n(n)kk!(α+1)kxk=:(n+αn)1F1(n;α+1,x)
ここで1F1の形の超幾何はKummerの合流型超幾何関数と呼ばれる。

合流という言葉は、実は上で行った極限操作と関係があるのだが、それも後の回で。

Jacobi多項式の2F1形の超幾何関数からは、βの入った(n+α+β+1)kの項が消えた。
その意味でJacobi多項式の超幾何関数表示からはすぐに示される。

Jacobi多項式の超幾何関数表示は次のようであった。
Pn(α,β)(x)=(n+αn)k=0n(n)k(n+α+β+1)kk!(α+1)k(1x2)k
ここでx12xβとおくことで
Pn(α,β)(12xβ)=(n+αn)k=0n(n)k(n+α+β+1)kk!(α+1)k(xβ)k=(n+αn)k=0n(n)kk!(α+1)k(n+α+β+1)kβkxk
最後にβとすることで、上の一般項表示を得る。(証明終わり)

GLPの数値例

L0(α)(x)=1L1(α)(x)=x+(α+1)L2(α)(x)=12(x22(α+2)x+(α+2)(α+1))L3(α)(x)=16(x3+3(α+3)x23(α+3)(α+2)x+(α+3)(α+2)(α+1))
となり非常に計算がしやすい多項式になっている。最高次係数は(1)nn!である。
なお、上の計算例は次のような表示式として一般化可能である:
Ln(α)(x)=1n!k=0n(1)k(nk)(α+n)nkxk

次に、GLPが満たす微分方程式について述べる。これもRodriguesの公式と関係が深かった。

GLPが満たす二階線形微分方程式

GLPは次の微分方程式を満たす:xy+(x+α+1)y+ny=0

Rodriguesの公式からも導けるが、あえてJacobi多項式に戻ろうと思う。

Jacobi多項式が満たす微分方程式は
(1x2)d2dx2Pn(α,β)(x){(α+β+2)x+αβ}ddxPn(α,β)(x)+n(n+α+β+1)Pn(α,β)(x)=0
のように書き表されていた。
ここにx12xβの置換をする。
以下P~n(α,β)(x)=Pn(α,β)(12xβ)とおく。すると
{1(12xβ)2}(β2)2d2dx2P~n(α,β)(x){(α+β+2)(12xβ)+αβ}(β2)ddxP~n(α,β)(x)+n(n+α+β+1)P~n(α,β)(x)=0x(βx)d2dx2P~n(α,β)(x)+{(α+β+2)x+(α+1)β}ddxP~n(α,β)(x)+n(n+α+β+1)P~n(α,β)(x)=0x(1xβ)d2dx2P~n(α,β)(x)+{α+β+2βx+(α+1)}ddxP~n(α,β)(x)+nn+α+β+1βP~n(α,β)(x)=0
最後の行はβで割っただけである。そして最後にβの極限を取ると
xd2dx2Ln(α)(x)+(x+α+1)ddxLn(α)(x)+nLn(α)(x)=0
という題意の微分方程式を得た。(証明終わり)

note: ここで(まだ示してないが実は)重さ関数w(x)=xαexを両辺に掛けると
xy+(x+α+1)y+ny=0xα+1exy+xαex(x+α+1)y+nxαexy=0ddx(xα+1exy)+nxαexy=0
となり、演算子Lw=xαexddx(xα+1exddx)を定めるとGLPはLwの固有値nの固有多項式である。

GLPの満たす三項間漸化式

GLPLn(α)(x)は次の三項間漸化式を満たす。
(n+1)Ln+1(α)(x)=(x+2n+α+1)Ln(α)(x)(n+α)Ln1(α)(x),L0(α)(x)=1,L1(α)(x)=x+α+1

これも同様にJacobi多項式の三項間漸化式を使う。次のように書けていた。
2(n+1)(n+α+β+1)(2n+α+β)Pn+1(α,β)(x)=(2n+α+β+1){(2n+α+β)(2n+α+β+2)x+α2β2}Pn(α,β)(x)2(n+α)(n+β)(2n+α+β+2)Pn1(α,β)(x)
さてx=12xβを代入すると、中括弧内の係数が変わる。
そこだけ計算すると
(2n+α+β)(2n+α+β+2)(12xβ)+α2β2=2β(2n+α+β)(2n+α+β+2)x+(2n+α+β)(2n+α+β+2)+α2β2=2β(2n+α+β)(2n+α+β+2)x+2(2n+α+1)β+(2n+α)(2n+α+2)+α2
[ここでβ2の項が消えるのがポイントである]
さらにβ2で割ると、次のようになる。
2(n+1)(1+n+α+1β)(1+2n+αβ)Pn+1(α,β)(12xβ)=(1+2n+α+1β){2(1+2n+αβ)(1+2n+α+2β)x+2(2n+α+1)+(2n+α)(2n+α+2)+α2β}Pn(α,β)(12xβ)2(n+α)(1+nβ)(1+2n+α+2β)Pn1(α,β)(12xβ)
となるので、また同様にβの極限を取ることで漸化式を得る。
初項の値については上で計算したとおりである。(証明終わり)

次に、GLPに関する直交性及びノルムの値を計算する。

GLPの直交性

GLPLn(α)(x)は重さ関数w(x)=xαexに関する直交多項式になり、また以下の等式
0Lm(α)(x)Ln(α)(x)w(x)dx=Γ(n+α+1)n!δmn
を満たしている。

この定理もJacobi多項式から示すことも不可能ではないが、積分の極限操作(積分範囲も動く)が必要。
(必要ならば追記予定)
直交性はRodriguesの公式からも従うが、Bessel多項式のときの証明にならって証明する。

  • mnのとき
    上に記述したことから、微分演算子Lw=xαexddx(xα+1exddx)を定めることで
    GLPはLwLn(α)(x)=nLn(α)(x)を満たしていた。
    よって
    n0Lm(α)(x)Ln(α)(x)xαexdx=0Lm(α)(x)(LwLn(α)(x))xαexdx=0Lm(α)(x)ddx{xα+1exdLn(α)(x)dx}dx=0dLm(α)(x)dxxα+1exdLn(α)(x)dxdx(部分積分)=m0Lm(α)(x)Ln(α)(x)xαexdx(m と n の役割交換)
    がわかり、mnであったことから直交性が従う。
  • m=nのとき
    このときは(結局部分積分をn回使うので)Rodriguesの公式から示す。
    0{Ln(α)(x)}2xαexdx=0Ln(α)(x){1n!xαexdndxn{xn+αex}}xαexdx=1n!0Ln(α)(x)dndxn{xn+αex}dx=(1)nn!0{dndxnLn(α)(x)}xn+αexdx(n 回部分積分)=(1)nn!0{n!(1)nn!}xn+αexdx(最高時係数の値を代入)=1n!0xn+αexdx=Γ(n+α+1)Γ(n+1)(Gamma 関数の定義より)
    となり示すことができた。(証明終わり)

またGLPの一階微分を計算できるのでそれも主張として掲載する。

GLPの一階微分

n1のとき、GLPLn(α)(x)の一階微分はddxLn(α)(x)=Ln1(α+1)(x)を満たしている。

これもJacobi多項式における一階微分の式ddxPn(α,β)(x)=n+α+β+12Pn1(α+1,β+1)(x)と対応がある。
しかしここから証明するにはJacobi多項式のx=1の近傍での振る舞いの計算が必要。

こちらも前記事の証明をならって証明をする。

前記事同様に添え字を1つずらしてddxLn+1(α)(x)を考える。
任意のn1次以下の多項式ϕ(x)に対して、
0{ddxLn+1(α)(x)}ϕ(x)xα+1exdx=[Ln+1(α)(x)ϕ(x)xα+1ex]00Ln+1(α)(x)ddx{ϕ(x)xα+1ex}dx=0Ln+1(α)(x)ddx{ϕ(x)xα+1ex}dx=0Ln+1(α)(x)(LwΦ(x))xαexdx=0
ただしΦϕの原始関数の一つである。また最後はGLPの直交性を用いた。
ゆえにddxLn+1(α)(x)は重さ関数xα+1exで直交性を満たし、GLPLn(α+1)(x)と比例関係にあることがわかる。
Ln(α)(x)の最高次係数が(1)nn!であることを考えると
その比例定数は-1であることがわかり示された。(証明終わり)

以上よりGLPの性質を見ることができた。

Laguerre多項式・Laguerre陪多項式

Laguerre多項式Ln(x)は、GLPを用いてLn(x):=Ln(0)(x)と書ける多項式で、
その重さ関数はw(x)=exである。

Laguerre多項式の性質

以下は全て上の議論にα=0を代入することで求められる。

  • Rodriguesの公式 Ln(x)=exn!dndxn(xnex)
  • 微分方程式 xy+(1x)y+ny=0exddx(xexy)=ny
  • 一般項 Ln(x)=k=0n(n)k(k!)2xk=k=0n(nk)(1)kk!xk=:1F1(n;1,x)
  • 三項間漸化式 (n+1)Ln+1(x)=(x+2n+1)Ln(x)nLn1(x),L0(x)=1,L1(x)=x+1
  • 直交性 0Lm(x)Ln(x)exdx=δmn
  • 一階微分 Ln(x)=Ln1(1)(x)=nx(Ln(x)Ln1(x))

Laguerre陪多項式Lnm(x)はLaguerre多項式のm階微分Lnm(x):=dmdxmLn(x)として定められる多項式である。
実はLaguerre陪多項式もGLPで書き表すことができる。
すなわちnmに対してLnm(x)=(1)mLnm(m)(x)と書くことができる。

Jacobi多項式からHermite多項式へ

さて、半無限区間にJacobi多項式を実現することがLaguerreとして実現されたのであれば
全実数においてJacobi多項式を実現することは可能なのであろうか。

例えば区間(β,β)上に移してからβを取る?
・・・実はこれもまた一工夫必要である。

例によってRodriguesの公式に沿って見ていこうと思う。
まずはJacobi多項式の公式
Pn(α,β)(x)=(1)n2nn!(1x)α(1+x)βdndxn{(1x)n+α(1+x)n+β}
において、α=β>0とする。
前記事において名前は述べたがGegenbaur多項式と呼ばれるものである。すなわち
Pn(α,α)(x)=(1)n2nn!(1x2)αdndxn(1x2)n+α
さてこの状態で、区間の長さをα1/2倍にリスケーリングする。
すなわち、xのところをxα1/2としておき直すと
Pn(α,α)(xα12)=(1)n2nn!(1x2α)ααn/2dndxn(1x2α)n+α
となる。こうするとαの極限に意味がある形になった。
なお、微分dndxnについて、変数変換からαn/2がかかってしまうので、最終的にはこれで割り直す必要がある。
また極限の値は
limα(1x2α)α=ex2,limα(1x2α)n+α=ex2
となる。すなわち次の定義を得る。

Hermite多項式

Hermite多項式Hn(x)は、Hn(x):=2nn!limααn/2Pn(α,α)(xα1/2)として定められる式とする。
またこのときRodriguesの公式
Hn(x)=(1)nex2dndxnex2
が成り立っている。特にHn(x)n次多項式である。

Hermite多項式の定義は大きく2つの流派がある。
上で定めたものは「物理学者の」Hermite多項式と呼ばれることがある。
それに対して、「確率論者の」Hermite多項式は
H~n(x)=(1)nex22dndxnex22
と冪のx2が半分ズレている。すなわち2倍のリスケーリングを行っている。
H~n(x)=2n2Hn(x2)
と書けていることに注意する。以下では上の定義のHermite多項式Hn(x)を扱う。

正規分布の確率密度関数がちょうどこの形なのよね。ガウス積分。
その話は数回後で書く予定。

Hermite多項式の数表

H0(x)=1H1(x)=2xH2(x)=4x22H3(x)=8x312xH4(x)=16x448x2+12H5(x)=32x5160x3+120xH6(x)=64x6480x4+720x2120H7(x)=128x71344x5+3360x31680xH8(x)=256x83584x6+13440x413440x2+1680H9(x)=512x99216x7+48384x580640x3+30240x

Hermite多項式の性質

以下に示すべき性質をまとめておく。

Hermite多項式の性質
  • 微分方程式 y2xy+2ny=0ex2ddx(ex2y)=2ny
  • 三項間漸化式 Hn+1(x)=2xHn(x)2nHn1(x),H0(x)=1,H1(x)=2x
  • 直交性 Hm(x)Hn(x)ex2dx=2nn!πδmn
  • 微分 Hn(x)=2nHn1(x)
  • 一般項 Hn(x)=m=0[n/2](1)mm!(n2m)!(2x)n2m
微分方程式

これは先ほど同様に、Jacobi多項式の微分方程式から求める。
(1x2)d2dx2Pn(α,β)(x){(α+β+2)x+αβ}ddxPn(α,β)(x)+n(n+α+β+1)Pn(α,β)(x)=0
まずここでα=βとおくことでGegenbaur多項式の微分方程式
(1x2)d2dx2Pn(α,α)(x)2(α+1)xddxPn(α,α)(x)+n(n+2α+1)Pn(α,α)(x)=0
を満たしている。次にxxα1/2と変数変換することで
(1x2α1)αd2dx2Pn(α,α)(xα1/2)2(α+1)xα1/2α1/2ddxPn(α,α)(xα1/2)+n(n+2α+1)Pn(α,α)(xα1/2)=0(1x2α)d2dx2αn/2Pn(α,α)(xα1/2)2(1+1α)xddxαn/2Pn(α,α)(xα1/2)+n(2+n+1α)αn/2Pn(α,α)(xα1/2)=0
そして最後にαの極限を取り、2nn!で割る(式自体に影響はない)ことで
d2dx2Hn(x)2xddxHn(x)+2nHn(x)=0
の式を得ることができた。(証明終わり)

三項間漸化式

Jacobi多項式の三項間漸化式は
2(n+1)(n+α+β+1)(2n+α+β)Pn+1(α,β)(x)=(2n+α+β+1){(2n+α+β)(2n+α+β+2)x+α2β2}Pn(α,β)(x)2(n+α)(n+β)(2n+α+β+2)Pn1(α,β)(x)
のようであった。ここでα=βとおきGegenbaur多項式の漸化式を得ると
(n+1)(n+2α+1)Pn+1(α,α)(x)=(n+α+1)(2n+2α+1)xPn(α,α)(x)(n+α)(n+α+1)Pn1(α,α)(x)
のように書くことができた。さらにxxα1/2の変換を行うと
(n+1)(n+2α+1)Pn+1(α,α)(xα1/2)=(n+α+1)(2n+2α+1)xα1/2Pn(α,α)(xα1/2)(n+α)(n+α+1)Pn1(α,α)(xα1/2)
次にαnによる調整を行うことで
(n+1)(n+2α+1)αα(n+1)/2Pn+1(α,α)(xα1/2)=(n+α+1)(2n+2α+1)α2xαn/2Pn(α,α)(xα1/2)(n+α)(n+α+1)α2α(n1)/2Pn1(α,α)(xα1/2)
となる。αとすることで、limααn/2Pn(α,α)(xα1/2)=12nn!Hn(x)に注意して
2(n+1)2n+1(n+1)!Hn+1(x)=2x2nn!Hn(x)12n1(n1)!Hn1(x)Hn+1(x)=2xHn(x)2nHn1(x)
となり三項間漸化式を満たすことが示された。(証明終わり)

直交性と微分は、上のLaguerreの場合同様に微分作用素L=ex2ddx(ex2ddx)に関する議論で証明可能である。
一般項に関しては、Chebyshev同様に微分方程式を係数に関する漸化式とみなすのが一番いいかもしれない。

以上で、Hermite多項式にも同様の性質が成り立つことがわかった。

note: Hermiteの場合は、超幾何型で書こうとするとnの偶奇で形が違ってくる。

まとめ

今回はJacobi多項式を基準に、
適当な1次式による変換と極限操作を行うことで、
一般化されたLaguerre多項式・Hermite多項式と呼ばれる
古典的直交多項式が得られることを見た。

実は古典的直交多項式と呼ばれる、その「古典的」の言葉にも
2つ指すものがあって、紛らわしいのだが
今呼んでいる古典的な直交多項式は

  • Jacobi (Gegenbaur, Chebyshev, Legendreを含む)
  • Laguerre
  • Hermite
  • そして初回に登場した、Bessel

この4つで全てである。

次からはここをもう少し掘り下げてみよう。

投稿日:2024529
更新日:2024529
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

整数論を研究中。 本音は組合せ論がやりたい。 最近は直交多項式・超幾何級数にお熱。 だけど幾何と解析は鬼弱い。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. Jacobi多項式からLaguerre多項式へ
  2. 一般化されたLaguerre多項式の性質
  3. Laguerre多項式・Laguerre陪多項式
  4. Jacobi多項式からHermite多項式へ
  5. Hermite多項式の性質
  6. まとめ