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述語論理 ①

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Def.

説明(直観)

集合とは、対象を要素として含む集まりであり、
個々の要素は区別され、その集まりに属しているか否かが明確に識別されるものである。

ここで示す集合の定義は、素朴集合論に基づく直感的な説明である。
(公理的集合論における)厳密な議論では、ZF集合論などの公理系に基づく定義が用いられる。

定義

集合 $S$ に属する対象 $a$$S$ の元(要素)といい、$a$$S$ の元であることを
$$ a\in S $$
と書く。
$ $
$a$$S$ の元でないことを
$$ a\notin S $$
と書く。

定義

$S$ を集合とし、$x$$S$ の元を表す変数とする。$x$$S$ の元に限って動かすとき、
$P(x)$ (つまり、自由変数 $x$ をもつ"開いた"論理式)が、各 $a\in S$ を代入すると命題 $P(a)$ となり、その真偽が定まるものとする。
$ $
このとき、$P(x)$$S$ を定義域とする命題関数という。

開いた論理式(開論理式)とは、変数が残っていて、それだけでは真偽が決まらない論理式のことを言う。

条件 $P(x): x+4\ \text{は偶数である}$ を集合 $S=\mathbb{Z}$ を定義域とする命題関数とする。
このとき $P(1)$ は偽な命題であり、$P(2)$ は真な命題である。

条件 $Q(x): x^2\le 9$ を集合 $S=\mathbb{N}$ を定義域とする命題関数とする。
このとき $Q(2)$ は真な命題であり、$Q(4)$ は偽な命題である。

条件 $R(x): x\ \text{は}\ 6\ \text{の倍数である}$ を集合 $S=\mathbb{Z}$ を定義域とする命題関数とする。
このとき $R(12)$ は真な命題であり、$R(5)$ は偽な命題である。

定義

$S$ を集合とし、$P(x)$$S$ を定義域とする命題関数とする。このとき
$$ \text{「任意の }x\in S\text{ に対して }P(x)\text{ が成り立つ」} $$
この命題を 全称命題 という。全称命題は
$$ \forall x\in S,\ P(x) $$
と書く。ここで記号 $\forall$ を全称記号という。

全称命題 $\forall x\in S,\ P(x)$ が真であるとは、その定義からも分かる通り
$S$ の全ての元 $a\in S$ について命題 $P(a)$ が真であることをいう。
$ $
逆に、少なくとも$1$つの $a\in S$ について命題 $P(a)$ が真でないとき、
全称命題 $\forall x\in S,\ P(x)$ は偽である。

定義域 $S$ が空集合 $S=\varnothing$ の場合、量化を含む命題の真偽は次のようになる。
$$ \forall x\in S,\ P(x)\ \text{は真} $$
実際、全称命題 $\forall x\in S\,P(x)$ は「任意の $x$$S$ に属するなら $P(x)$ が成り立つ」という意味であり、
形式的には
$$ \forall x\,(x\in S\Rightarrow P(x)) $$
と書ける。$S=\varnothing$ のとき、任意の $x$ に対して $x\in S$ は偽である。
含意 $A\Rightarrow B$$A$ が偽なら常に真(空虚に真)なので、この場合すべての含意が真となり、全称命題は真である。

定義

$S$ を集合とし、$P(x)$$S$ を定義域とする命題関数とする。このとき
$$ \text{「ある }x\in S\text{ が存在して }P(x)\text{ が成り立つ」} $$
この命題を 存在命題 という。存在命題は
$$ \exists x\in S\ \text{s.t.}\ P(x) $$
と書く。ここで記号 $\exists$ を存在記号という。

$\text{s.t.}$ は英語の $\text{such that}$ の略記である。

存在命題では、少なくとも$1$つは存在している事を主張しているのであって、どの程度存在するかまでは主張していない。
しかし、ただ$1$つだけ存在する場合は、この後で触れる記号$\exists!$を用いる。

$\forall$$\exists$ が複数現れる命題では、量化記号の並び方や括弧の付け方によって意味が変わることがあるので注意が必要である。
$ $
たとえば、
$$ \forall x\in\mathbb{N},\ \exists y\in\mathbb{N}\ \text{s.t.}\ y>x^2 $$
は、「任意の自然数 $x$ に対して、ある自然数 $y$ が存在して、$y>x^2$ を満たす」という命題である。
実際どんな自然数 $x$ に対しても、例えば $y=x^2+1$ とすれば $y=x^2+1>x^2$ となるので、真な命題である。
$ $
一方で、
$$ \exists y\in\mathbb{N}\ \text{s.t.}\ \forall x\in\mathbb{N},\ y>x^2 $$
は、「ある自然数 $y$ が存在して、任意の自然数 $x$ に対して、$y>x^2$ を満たす」という命題である。
これは偽な命題である。なぜならば、もしそのような自然数 $y$ が存在したとすると、($x$は任意の自然数であるから)$x=y$ とおけば、$y>x^2=y^2$ を満たさなくてはならないが、自然数 $y$ は非負であるから $y^2\ge y$ となり $y>y^2$ は成り立たず、矛盾する。
$ $
このように $\forall$$\exists$ を含む論理式は左から右へと読んでゆくことが大切で、
$\forall$$\exists$ の順序を入れ替えると命題の意味が変わることがある。

定義域 $S$ が空集合 $S=\varnothing$ の場合、量化を含む命題の真偽は次のようになる。
$$ \exists x\in S\ \text{s.t}\ P(x)\ \text{は偽} $$
実際、存在命題 $\exists x\in S\ \text{s.t}\ P(x)$ は「ある $x$$S$ に属し、かつ $P(x)$ が成り立つ」という意味であり、形式的には
$$ \exists x\,(x\in S\land P(x)) $$
と書ける。$S=\varnothing$ のとき、任意の $x$ に対して $x\in S$ は偽なので、連言 $x\in S\land P(x)$ は常に偽となり、存在命題は偽である。

定義

$S$ を集合とし、$P(x)$$S$ を定義域とする命題関数とする。
このとき
$$ \exists! x\in S\ \text{s.t.}\ P(x) $$
とは、次の$2$つが同時に成り立つことをいう。

  1. $P(x)$ を満たす $S$ の元が少なくとも$1$つ存在する。すなわち
    $$ \exists a\in S\ \text{s.t.}\ P(a) $$
    が成り立つ。
    $ $
  2. $P(x)$ を満たす $S$ の元は高々$1$つである。すなわち
    $$ \forall b\in S,\ \forall c\in S,\ \bigl((P(b)\land P(c))\Rightarrow b=c\bigr) $$
    が成り立つ。

-以上を満たすとき、「$S$ の中に $P(x)$ を満たす元がただ$1$つ存在する」という。

Prop & Proof

集合 $S$ を定義域とする命題関数 $P(x)$ について次が成り立つ。
$$ \neg\bigl(\forall x\in S,\ P(x)\bigr)\ \Leftrightarrow\ \exists x\in S\ \text{s.t.}\ \neg P(x) $$

全称命題 $\forall x\in S,\ P(x)$ が真であるとは、任意の $a\in S$ について命題 $P(a)$ が真であることをいう。
従って $\forall x\in S,\ P(x)$ が偽であるとは、ある $a\in S$ が存在して $P(a)$ が偽であることをいう。
よって
$$ \neg\bigl(\forall x\in S,\ P(x)\bigr) $$
が真であることは、
$$ \exists x\in S\ \text{s.t.}\ \neg P(x) $$
が真であることと同値である。
$ $
以上より
$$ \neg\bigl(\forall x\in S,\ P(x)\bigr)\ \Leftrightarrow\ \exists x\in S\ \text{s.t.}\ \neg P(x) $$
が成り立つ。
$$ \Box$$

集合 $S$ を定義域とする命題関数 $P(x)$ について次が成り立つ。
$$ \neg\bigl(\exists x\in S\ \text{s.t.}\ P(x)\bigr)\ \Leftrightarrow\ \forall x\in S,\ \neg P(x) $$

存在命題 $\exists x\in S\ \text{s.t.}\ P(x)$ が真であるとは、ある $a\in S$ が存在して命題 $P(a)$ が真であることをいう。
従って $\exists x\in S\ \text{s.t.}\ P(x)$ が偽であるとは、任意の $a\in S$ について命題 $P(a)$ が偽であることをいう。
よって
$$ \neg\bigl(\exists x\in S\ \text{s.t.}\ P(x)\bigr) $$
が真であることは、
$$ \forall x\in S,\ \neg P(x) $$
が真であることと同値である。
$ $
以上より
$$ \neg\bigl(\exists x\in S\ \text{s.t.}\ P(x)\bigr)\ \Leftrightarrow\ \forall x\in S,\ \neg P(x) $$
が成り立つ。
$$ \Box$$

$\forall x\in\mathbb{N},\ x+1>x$」は真な命題である。一方「$\exists x\in\mathbb{N}\ \text{s.t.}\ x+1\le x$」は偽な命題である。

$\forall x\in\mathbb{Z},\ x^2\ge 0$」は真な命題である。一方「$\exists x\in\mathbb{Z}\ \text{s.t.}\ x^2<0$」は偽な命題である。

$\forall x\in\mathbb{R},\ x^2\ge x$」は偽な命題である。一方「$\exists x\in\mathbb{R}\ \text{s.t.}\ x^2< x$」は真な命題である。

投稿日:4日前
更新日:23時間前
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投稿者

集合論の勉強から再度始める事にしました。自分がいつ読み返しても理解できるノートづくりを心がけているつもりです。証明や命題に誤りがありましたら、ご指摘いただけますと幸いです(2025/12/28)

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