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大学数学基礎解説
文献あり

正規分布を導出する

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$$$$

Def.

$n\in\mathbb N$$n\geq3$ を満たすように固定し、$\theta\in\mathbb R$ を未知の母数とする。
また、$(\Omega,\mathcal F,\mathbb P)$ を確率空間とする。

  1. 観測値を、同じ確率空間上に定義された実数値確率変数
    $$ X_1,\ldots,X_n $$
    で表し、各 $i=1,\ldots,n$ に対して
    $$ X_i=\theta+E_i $$
    と表されるとする。
    このとき、$E_i$$i$ 回目の誤差という。
    $ $
  2. 誤差 $E_1,\ldots,E_n$ は互いに独立同分布であり、共通の正値確率密度関数
    $$ f:\mathbb R\to(0,\infty) $$
    をもつとする。
    i) すなわち、任意の実数 $a,b$ に対して $a< b$ ならば、
    $$ \mathbb P(a< E_i\leq b) = \int_a^b f(x)\,dx $$
     が成り立つとする。
    $ $
    ii) また、$f$ は確率密度関数であるから、
    $$ \int_{-\infty}^{\infty}f(x)\,dx=1 $$
     を満たす。
    $ $
    iii) さらに、$f$$\mathbb R$ 上で $C^1$ 級であるとする。
    $ $
  3. 観測値の実現値 $x_1,\ldots,x_n\in\mathbb R$ が与えられたとき、$t\in\mathbb R$ に関する尤度を
    $$ L_n(t) := \prod_{i=1}^{n}f(x_i-t) $$
    で定める。
    このとき、固定したこの $n$ に対して、任意の観測値の実現値 $x_1,\ldots,x_n\in\mathbb R$ に対して、
    $$ \overline x := \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}x_i $$
    とおくとき、
    $$ L_n(\overline x)\geq L_n(t) \quad (t\in\mathbb R) $$
    が成り立つと仮定する。

本記事では、上記の仮定を便宜上「誤差の公理」と呼ぶことにする。
ただし、この呼称は一般に確立された標準的名称ではなく、本記事内での一時的な呼称である点に注意する。
ここでいう「誤差の公理」とは、誤差の独立同分布性、共通の正値密度の存在、密度の正則性、および算術平均の最尤性をまとめた仮定を指す。

Prop&Proof.

誤差の公理からの正規分布の導出

$n\in\mathbb N$$n\geq3$ を満たすように固定し、$\theta\in\mathbb R$ を未知の母数とする。
また、$(\Omega,\mathcal F,\mathbb P)$ を確率空間とする。
同じ確率空間 $(\Omega,\mathcal F,\mathbb P)$ 上に定義された実数値確率変数
$$ X_1,\ldots,X_n, \quad E_1,\ldots,E_n $$
があり、各 $i=1,\ldots,n$ に対して
$$ X_i=\theta+E_i $$
が成り立つとする。
この固定した $n$ に対する誤差 $E_1,\ldots,E_n$ が、本記事で定めた意味で「誤差の公理」を満たすとする。
すなわち、次の条件が成り立つ。

  1. 誤差 $E_1,\ldots,E_n$ は独立同分布である。
  2. 誤差 $E_1,\ldots,E_n$ は共通の正値確率密度関数 $f:\mathbb R\to(0,\infty)$ をもつ。
  3. $f$$\mathbb R$ 上で $C^1$ 級である。
  4. この固定した $n$ に対して、任意の観測値の実現値 $x_1,\ldots,x_n\in\mathbb R$ に対して、$t\in\mathbb R$ に関する尤度
    $$ L_n(t) := \prod_{i=1}^{n}f(x_i-t) $$
    は、算術平均
    $$ \overline x := \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}x_i $$
    で最大値をとるとする。

-このとき、ある $\tau>0$ が存在して、
$$ f(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi\tau^2}} \exp\left( -\frac{x^2}{2\tau^2} \right) \quad (x\in\mathbb R) $$
が成り立つ。
さらに、各 $i=1,\ldots,n$ に対して、任意の $a,b\in\mathbb R$$a< b$ を満たすならば、
$$ \mathbb P(a< X_i\leq b) = \int_a^b \frac{1}{\sqrt{2\pi\tau^2}} \exp\left( -\frac{(t-\theta)^2}{2\tau^2} \right) \,dt $$
が成り立つ。

証明のスケッチ

本稿では、以下の$5$つのステップで証明する。

  1. 対数尤度の停留条件を導く。
  2. $\psi$ が一次関数であることを示す。
  3. 微分方程式を解く。
  4. $a<0$ を示す。
  5. 正規化定数を決定する。

$n\geq3$ を満たす $n$ を最初に固定する。
その固定した $n$ に対して、任意の観測値 $x_1,\ldots,x_n$ で算術平均が尤度を最大化すると仮定する。

  1. 対数尤度の停留条件を導く。
    仮定より $f(x)>0$ であるから、任意の $t\in\mathbb R$ に対して
    $$ L_n(t) = \prod_{i=1}^{n}f(x_i-t) > 0 $$
    である。したがって、対数尤度
    $$ \ell_n(t) := \log L_n(t) = \sum_{i=1}^{n}\log f(x_i-t) $$
    が定義される。
    $ $
    また、$\log$ は狭義単調増加であるから、
    $L_n(t)$$t=\overline x$ で最大値をとるならば、$\ell_n(t)$$t=\overline x$ で最大値をとる( 証明はコチラ )。
    $ $
    $f:\mathbb R\to(0,\infty)$$C^1$ 級であり、$\log:(0,\infty)\to\mathbb R$$C^1$ 級である。
    したがって、$C^1$ 級関数の合成は再び $C^1$ 級であることから、
    $$ \log f = \log\circ f $$
    $C^1$ 級である。また、チェーンルールより、
    $$ (\log f)'(x) = \frac{f'(x)}{f(x)} $$
    である。ここで、
    $$ \psi(x) := \frac{f'(x)}{f(x)} \quad (x\in\mathbb R) $$
    とおく。
    仮定より、$\ell_n(t)$$t=\overline x$ で最大値をとる。$\overline x\in\mathbb R$ は定義域 $\mathbb R$ の内点であるから、
    微分可能な関数の最大値に関する必要条件(証明要(後日更新))より、
    $$ \ell_n'(\overline x)=0 $$
    である。
    一方で、
    $$ \begin{align} \ell_n'(t) &= \frac{d}{dt} \ell_n(t)\\ &= \frac{d}{dt} \sum_{i=1}^{n}\log f(x_i-t)\\ &= \sum_{i=1}^{n} \frac{d}{dt}\log f(x_i-t) \quad \because \text{有限和の微分は微分の和に等しい}\\ &= \sum_{i=1}^{n} \frac{1}{f(x_i-t)} \frac{d}{dt}f(x_i-t) \quad \because \text{$\log f(x_i-t)$ にチェーンルールを用いる}\\ &= \sum_{i=1}^{n} \frac{1}{f(x_i-t)} f'(x_i-t)\frac{d}{dt}(x_i-t) \quad \because \text{$f(x_i-t)$ にチェーンルールを用いる}\\ &= \sum_{i=1}^{n} \frac{1}{f(x_i-t)} f'(x_i-t)(-1) \quad \because \text{$x_i$ は定数であり、$\frac{d}{dt}(x_i-t)=-1$ である}\\ &= -\sum_{i=1}^{n} \frac{f'(x_i-t)}{f(x_i-t)}\\ &= -\sum_{i=1}^{n} \psi(x_i-t) \quad \because \psi(x):=\frac{f'(x)}{f(x)} \end{align} $$
    である。ゆえに、
    $$ 0 = \ell_n'(\overline x) = -\sum_{i=1}^{n}\psi(x_i-\overline x) $$
    であるから、
    $$ \sum_{i=1}^{n}\psi(x_i-\overline x)=0 $$
    が成り立つ。ここで、
    $$ z_i:=x_i-\overline x \quad (i=1,\ldots,n) $$
    とおくと、
    $$ \begin{align} \sum_{i=1}^{n}z_i &= \sum_{i=1}^{n}(x_i-\overline x)\\ &= \sum_{i=1}^{n}x_i-n\overline x\\ &= \sum_{i=1}^{n}x_i - n\cdot\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}x_i\\ &= 0 \end{align} $$
    である。
    逆に、任意の $z_1,\ldots,z_n\in\mathbb R$
    $$ \sum_{i=1}^{n}z_i=0 $$
    を満たすとする。
    このとき、観測値の実現値を
    $$ x_i:=z_i \quad (i=1,\ldots,n) $$
    と選ぶ。すると、
    $$ \begin{align} \overline x &= \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}x_i\\ &= \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}z_i \quad \because x_i:=z_i\\ &= \frac{1}{n}\cdot 0 \quad \because \sum_{i=1}^{n}z_i=0\\ &= 0 \end{align} $$
    である。
    したがって、各 $i=1,\ldots,n$ に対して、
    $$ \begin{align} x_i-\overline x &= z_i-\overline x \quad \because x_i:=z_i\\ &= z_i-0 \quad \because \overline x=0\\ &= z_i \end{align} $$
    である。
    よって、すでに得た等式
    $$ \sum_{i=1}^{n}\psi(x_i-\overline x)=0 $$

    $$ x_i-\overline x=z_i $$
    を代入すると、
    $$ \sum_{i=1}^{n}\psi(z_i)=0 $$
    が得られる。
    したがって、任意の $z_1,\ldots,z_n\in\mathbb R$ に対して、
    $$ \sum_{i=1}^{n}z_i=0 \quad\Longrightarrow\quad \sum_{i=1}^{n}\psi(z_i)=0 $$
    が成り立つ。
    $ $
  2. $\psi$ が一次関数であることを示す。
    $1$ 段階より、任意の $z_1,\ldots,z_n\in\mathbb R$ に対して、
    $$ \sum_{i=1}^{n}z_i=0 \quad\Longrightarrow\quad \sum_{i=1}^{n}\psi(z_i)=0 $$
    が成り立つ。まず、
    $$ z_1=\cdots=z_n=0 $$
    とおくと、
    $$ \sum_{i=1}^{n}z_i=0 $$
    であるから、
    $$ \sum_{i=1}^{n}\psi(0)=0 $$
    である。すなわち、
    $$ n\psi(0)=0 $$
    である。
    $n\geq3$ であるから、特に $n\ne0$ であり、
    $$ \psi(0)=0 $$
    である。
    次に、任意の $x,y\in\mathbb R$ に対して、
    $$ z_1=x,\quad z_2=y,\quad z_3=-x-y $$
    とおく。
    さらに、$n\geq4$ の場合には、$i=4,\ldots,n$ に対して
    $$ z_i=0 $$
    とおく。このとき、
    $$ \sum_{i=1}^{n}z_i = x+y+(-x-y)+0+\cdots+0 = 0 $$
    である。
    したがって、第 $1$ 段階の結果より、
    $$ \begin{align} 0 &= \sum_{i=1}^{n}\psi(z_i)\\ &= \psi(z_1)+\psi(z_2)+\psi(z_3)+\sum_{i=4}^{n}\psi(z_i)\\ &= \psi(x)+\psi(y)+\psi(-x-y)+\sum_{i=4}^{n}\psi(0) \quad \because z_1=x,\ z_2=y,\ z_3=-x-y,\ z_4=\cdots=z_n=0\\ &= \psi(x)+\psi(y)+\psi(-x-y)+(n-3)\psi(0) \quad \because \text{$i=4,\ldots,n$ は全部で $n-3$ 個である} \end{align} $$
    である。
    すでに $\psi(0)=0$ を得ているので、
    $$ \psi(x)+\psi(y)+\psi(-x-y)=0 $$
    である。
    特に、$y=0$ とすると、
    $$ \psi(x)+\psi(0)+\psi(-x)=0 $$
    である。
    $\psi(0)=0$ より、
    $$ \psi(-x)=-\psi(x) $$
    が成り立つ。したがって、
    $$ \psi(-x-y)=-\psi(x+y) $$
    である。ゆえに、
    $$ \psi(x)+\psi(y)-\psi(x+y)=0 $$
    であるから、
    $$ \psi(x+y)=\psi(x)+\psi(y) \quad (x,y\in\mathbb R) $$
    が成り立つ。
    また、$f$$C^1$ 級であり $f>0$ であるから、$f'$ は連続であり、$1/f$ も連続である。
    したがって、
    $$ \psi=\frac{f'}{f} $$
    は連続関数である。
    よって、連続な加法的関数は一次関数であるから、ある定数 $a\in\mathbb R$ が存在して、
    $$ \psi(x)=ax \quad (x\in\mathbb R) $$
    が成り立つ( 証明はコチラ )。
    したがって、
    $$ \frac{f'(x)}{f(x)}=ax \quad (x\in\mathbb R) $$
    である。
    $ $
  3. 微分方程式を解く。
    $2$ 段階より、任意の $x\in\mathbb R$ に対して
    $$ \frac{f'(x)}{f(x)}=ax $$
    が成り立つ。
    また、$f(x)>0$ であるから $\log f(x)$ が定義され、チェーンルールより
    $$ \frac{d}{dx}\log f(x) = \frac{f'(x)}{f(x)} $$
    である。
    したがって、
    $$ \frac{d}{dx}\log f(x) = ax $$
    である。
    ここで、
    $$ G(x) := \log f(x)-\frac{a}{2}x^2 $$
    とおく。
    すると、
    $$ \begin{align} G'(x) &= \frac{d}{dx}\log f(x) - \frac{d}{dx}\left(\frac{a}{2}x^2\right)\\ &= ax-ax\\ &= 0 \end{align} $$
    である。
    したがって、$G$$\mathbb R$ 上で定数関数である(補足を参照)。
    ゆえに、ある定数 $C\in\mathbb R$ が存在して、
    $$ \log f(x)-\frac{a}{2}x^2=C \quad (x\in\mathbb R) $$
    である。
    すなわち、
    $$ \log f(x) = \frac{a}{2}x^2+C \quad (x\in\mathbb R) $$
    である。
    両辺の指数をとると、
    $$ \begin{align} f(x) &= \exp\left(\frac{a}{2}x^2+C\right)\\ &= e^C\exp\left(\frac{a}{2}x^2\right) \end{align} $$
    である。
    ここで
    $$ A:=e^C $$
    とおけば、$A>0$ であり、
    $$ f(x) = A\exp\left(\frac{a}{2}x^2\right) \quad (x\in\mathbb R) $$
    が成り立つ。
    $ $
  4. $a<0$ を示す。
    $f$ は確率密度関数であるから、
    $$ \int_{-\infty}^{\infty}f(x)\,dx=1 $$
    である。したがって、$f$$\mathbb R$ 上で可積分である。
    いま、
    $$ f(x)=A\exp\left(\frac{a}{2}x^2\right) \quad (A>0) $$
    である。
    $ $
    i) $a>0$ の場合を考える。
     $|x|\geq1$ ならば、
    $$ \frac{a}{2}x^2\geq\frac{a}{2} $$
     であるから、
    $$ \exp\left(\frac{a}{2}x^2\right) \geq \exp\left(\frac{a}{2}\right) $$
     である。したがって、
    $$ f(x) = A\exp\left(\frac{a}{2}x^2\right) \geq A\exp\left(\frac{a}{2}\right) \quad (|x|\geq1) $$
     である。よって、
    $$ \begin{align} \int_{-R}^{R}f(x)\,dx &\geq \int_1^R f(x)\,dx\\ &\geq \int_1^R A\exp\left(\frac{a}{2}\right)\,dx\\ &= A\exp\left(\frac{a}{2}\right)(R-1) \end{align} $$
     ここで、$R\to\infty$ とすると右辺は $\infty$ に発散する。
     したがって、
    $$ \int_{-\infty}^{\infty}f(x)\,dx=\infty $$
     となり、$\int_{-\infty}^{\infty}f(x)\,dx=1$ に矛盾する。
     これは $f$ が確率密度関数であることに矛盾する。
    $ $
    ii) $a=0$ の場合を考える。
     このとき、
    $$ f(x)=A \quad (x\in\mathbb R) $$
     である。$A>0$ なので、
    $$ \int_{-R}^{R}f(x)\,dx = \int_{-R}^{R}A\,dx = 2AR $$
     である。
     $R\to\infty$ とすると $2AR\to\infty$ である。
     したがって、
    $$ \int_{-\infty}^{\infty}f(x)\,dx=\infty $$
     となり、$\int_{-\infty}^{\infty}f(x)\,dx=1$ に矛盾する。
     これも $f$ が確率密度関数であることに矛盾する。
    $ $
    以上より、$a>0$ でも $a=0$ でもない。
    したがって、
    $$ a<0 $$
    である。
    ゆえに、$-a>0$ であるから、
    $$ \tau:=\frac{1}{\sqrt{-a}}>0 $$
    とおける。
    このとき、
    $$ a=-\frac{1}{\tau^2} $$
    である。
    したがって、
    $$ f(x) = A\exp\left( -\frac{x^2}{2\tau^2} \right) $$
    である。
    $ $
  5. 正規化定数を決定する。
    $f$ は確率密度関数であるから、
    $$ 1 = \int_{-\infty}^{\infty}f(x)\,dx $$
    である。
    また、第 $4$ 段階より、
    $$ f(x) = A\exp\left( -\frac{x^2}{2\tau^2} \right) $$
    であるから、
    $$ \begin{align} 1 &= \int_{-\infty}^{\infty}f(x)\,dx\\ &= \int_{-\infty}^{\infty} A\exp\left( -\frac{x^2}{2\tau^2} \right)\,dx\\ &= A\int_{-\infty}^{\infty} \exp\left( -\frac{x^2}{2\tau^2} \right)\,dx \quad \because A>0 \text{ は定数である} \end{align} $$
    である。
    ここで、変数変換
    $$ u:=\frac{x}{\sqrt{2}\tau} $$
    を行うと、
    $$ x=\sqrt{2}\tau u, \quad dx=\sqrt{2}\tau\,du $$
    である。
    また、$\tau>0$ であるから、$x\to-\infty$ のとき $u\to-\infty$$x\to\infty$ のとき $u\to\infty$ である。
    したがって、
    $$ \begin{align} \int_{-\infty}^{\infty} \exp\left( -\frac{x^2}{2\tau^2} \right)\,dx &= \int_{-\infty}^{\infty} e^{-u^2}\sqrt{2}\tau\,du\\ &= \sqrt{2}\tau \int_{-\infty}^{\infty} e^{-u^2}\,du\\ &= \sqrt{2}\tau\sqrt{\pi}\\ &= \sqrt{2\pi\tau^2} \end{align} $$
    である(3つ目の等号はガウス積分:証明要(後日更新))。
    よって、
    $$ 1 = A\sqrt{2\pi\tau^2} $$
    である。
    したがって、
    $$ A = \frac{1}{\sqrt{2\pi\tau^2}} $$
    である。
    ゆえに、
    $$ f(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi\tau^2}} \exp\left( -\frac{x^2}{2\tau^2} \right) \quad (x\in\mathbb R) $$
    である。

-以上より、本記事でいう「誤差の公理」を満たす関数は、ある $\tau>0$ が存在して、
$$ f(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi\tau^2}} \exp\left( -\frac{x^2}{2\tau^2} \right) \quad (x\in\mathbb R) $$
で表される。
さらに、各 $i=1,\ldots,n$ に対して、$E_i$ の密度関数は $f$ であるから、任意の $a,b\in\mathbb R$$a< b$ を満たすならば、
$$ \mathbb P(a< E_i\leq b) = \int_a^b \frac{1}{\sqrt{2\pi\tau^2}} \exp\left( -\frac{x^2}{2\tau^2} \right) \,dx $$
である。
また、仮定より、
$$ X_i=\theta+E_i $$
である。
したがって、任意の $a,b\in\mathbb R$$a< b$ を満たすならば、
$$ \begin{align} \mathbb P(a< X_i\leq b) &= \mathbb P(a<\theta+E_i\leq b)\\ &= \mathbb P(a-\theta< E_i\leq b-\theta)\\ &= \int_{a-\theta}^{b-\theta} \frac{1}{\sqrt{2\pi\tau^2}} \exp\left( -\frac{u^2}{2\tau^2} \right) \,du \end{align} $$
である。
ここで、変数変換
$$ t:=u+\theta $$
を行うと、
$$ u=t-\theta, \qquad du=dt $$
である。また、$u=a-\theta$ のとき $t=a$ であり、$u=b-\theta$ のとき $t=b$ である。
ゆえに、
$$ \begin{align} \mathbb P(a< X_i\leq b) &= \int_a^b \frac{1}{\sqrt{2\pi\tau^2}} \exp\left( -\frac{(t-\theta)^2}{2\tau^2} \right) \,dt \end{align} $$
である。
$$ \Box$$

$G$$\mathbb R$ 上で定数関数である。

$G'(x)=0$ が任意の $x\in\mathbb R$ で成り立つ。
任意の $u,v\in\mathbb R$$u< v$ として取る。
$G$$[u,v]$ 上で連続、$(u,v)$ 上で微分可能であるから、平均値の定理より、ある $c\in(u,v)$ が存在して、
$$ \frac{G(v)-G(u)}{v-u} = G'(c) $$
が成り立つ。
ところが $G'(c)=0$ であるから、
$$ \frac{G(v)-G(u)}{v-u} = 0 $$
である。
$v-u\ne0$ より、
$$ G(v)-G(u)=0 $$
である。
したがって、
$$ G(v)=G(u) $$
である。
ゆえに、$G$$\mathbb R$ 上で定数関数である。

標準正規分布

そこで、$(\Omega,\mathcal F,\mathbb P)$ を確率空間とし、
$$ Z:(\Omega,\mathcal F)\to(\mathbb R,\mathcal B(\mathbb R)) $$
を実数値確率変数とする。
$Z$ が標準正規分布に従うとは、任意の $a,b\in\mathbb R$ に対して $a< b$ ならば、
$$ \mathbb P(a< Z\leq b) = \int_a^b \frac{1}{\sqrt{2\pi}} \exp\left( -\frac{t^2}{2} \right) \,dt $$
が成り立つことをいう。
すなわち、標準正規分布とは、パラメータ $\mu=0$$\sigma^2=1$ の正規分布のことである。

正規分布

さらに、$(\Omega,\mathcal F,\mathbb P)$ を確率空間とし、
$$ X:(\Omega,\mathcal F)\to(\mathbb R,\mathcal B(\mathbb R)) $$
を実数値確率変数とする。また、$\mu\in\mathbb R$$\sigma>0$ とする。
$X$ がパラメータ $\mu,\sigma^2$ の正規分布に従うとは、任意の $a,b\in\mathbb R$ に対して $a< b$ ならば、
$$ \mathbb P(a< X\leq b) = \int_a^b \frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^2}} \exp\left( -\frac{(t-\mu)^2}{2\sigma^2} \right) \,dt $$
が成り立つことをいう。
ここで、$\mu$ は中心の位置を表す母数であり、$\sigma>0$ は広がりを表す母数である。
本記事の証明で得られた誤差密度は、$\mu=0$$\sigma=\tau$ の場合に対応する。
また、観測値 $X_i=\theta+E_i$ の密度は、誤差密度を $\theta$ だけ平行移動したものに対応する。

正規分布と標準正規分布の関係

標準正規分布は、正規分布のうち中心が $0$、広がりの母数が $1$ の特別な場合である。
一般のパラメータ $\mu,\sigma^2$ の正規分布は、標準正規分布を $\sigma$ 倍に尺度変換し、さらに $\mu$ だけ平行移動した分布である。
具体的には、$Z$ が標準正規分布に従うとき、
$$ X:=\mu+\sigma Z $$
とおけば、任意の $a,b\in\mathbb R$ に対して $a< b$ ならば、
$$ \mathbb P(a< X\leq b) = \int_a^b \frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^2}} \exp\left( -\frac{(t-\mu)^2}{2\sigma^2} \right) \,dt $$
が成り立つ。
逆に、$X$ がパラメータ $\mu,\sigma^2$ の正規分布に従うとき、
$$ Z:=\frac{X-\mu}{\sigma} $$
とおけば、任意の $a,b\in\mathbb R$ に対して $a< b$ ならば、
$$ \mathbb P(a< Z\leq b) = \int_a^b \frac{1}{\sqrt{2\pi}} \exp\left( -\frac{t^2}{2} \right) \,dt $$
が成り立つ。

参考文献

投稿日:2日前
数学の力で現場を変える アルゴリズムエンジニア募集 - Mathlog served by OptHub

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Kagura
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■ 分野を問わず数学の証明が好きです。あとで自分が読み返したときに、きちんと理解できるノートを作ることを心がけています。不定期に過去のノートを確認し、修正&更新 (追加&削除) しています。定義、命題、証明などに誤りや不正確な点がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです(2025年12月28日)。          ----------------------------------------------- ■ ノート『数学概論』の読み方     STEP1:まずは定義を一通り理解し覚える。 STEP2:具体例を考えてみる。    STEP3:各命題の主張を一通り理解する。 STEP4:証明を繰り返し読んで流れを掴む。 (まずはココまでで良い)         STEP5:何も見ずに定義に従って証明を創る。 STEP6:STEP5の他の証明方法を創ってみる。    STEP7:自由に命題と証明を創ってみる  

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