こんにちは。
突然ですがクラスって知ってますか? 学級のことではないです。
集合論でのクラスとはざっくり言えば「集合とはいいたくないものを含む、集まり」です。
例えば集合全体や順序数全体など、集合と呼んでしまったら矛盾する(しそう)なものも含みます。
よく数学の土台となっているZFC集合論ではすべての概念が集合なので、対象としてのクラスを扱うことができません。そのため、「クラスとは論理式のことである」などと言って扱うことも多いです。
しかし、クラスをも対象として扱う集合論が存在します。その一つがNBG集合論(Von Neumann–Bernays–Gödel set theory)です。
NBGの主な特徴として有限公理化可能で、ZFCの保存拡大というのがあります。(保存拡大については詳しくないので聞いた話になります…)
この記事では、公理の紹介、クラス存在定理の概要、およびいくつかのクラスの例示をします。
NBGにおいて対象はすべてクラスと呼ばれる。
その中で、集合は以下のように定義される。
また
以下、
とする.(独自の表記)
・外延性の公理
・対の公理
ここで、集合
ZFCのときと同様に
NBGでは量化の束縛範囲を集合に限定した内包公理が成立する。
これをクラス存在定理と呼ぶ。これの証明のために必要な外延性と対以外の以下の公理をクラス存在公理という。
・帰属
・共通部分
・補集合
・領域
これらの公理のうち帰属の公理以外は、外延性の公理からそれ以前の全称された変数に対し一意に定まる。
それらを順に
このとき、帰属の公理で存在が言える
・
・巡回
・転置
上の
外延性の公理と対の公理以外の集合を扱うために必要な公理。
また
・正則性公理
・置換公理
・和集合の公理
・冪集合の公理
・無限公理
・大域選択公理
・関数をクラスで表せるから、置換公理は一つの公理である
・和集合の公理、冪集合の公理は少し弱いものとなっているが、置換公理から元の公理を導ける
・無限公理も弱い形だが、これから元の形を導くには(おそらく)選択公理も必要
・大域選択公理は選択公理より真に強い
クラス存在公理から、任意の個数の組の置換、拡張ができることがわかる。特に二組の置換は
また、外延性の公理から
また、量化を集合に制限した論理式は
後三つは
ここでは、それに加えて
ここからより非形式的になります。
集合でないクラスを真のクラスといいます
・集合全体
・順序数全体
・群全体
・位相空間全体
・超現実数全体
・自然数全体
・実数全体
また、以下の命題が成立する(本質的に同値である)
・任意の真のクラス
・任意のクラスは整列可能である。
・クラス
・クラス
・任意の真のクラス
今回はNBGの紹介をしましたが、詳しいクラスの構成や命題の証明は省略したので、最後の命題の証明や、クラス存在定理のプログラム、超現実数などの普遍的なクラスの構成をしてみたいです。