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大学数学基礎解説
文献あり

次元定理まで

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線型空間

Vを可換群とする.このとき,Vの自己群準同型全体のなす集合
EndZ(V):={f:VVf(u+v)=f(u)+f(v)}

f+g:=[vf(v)+g(v)]
で定まる和により可換群となり,写像の合成を積としてモノイドをなす.さらにこれらの演算に関して分配律が成り立ち,したがって環をなす.

Kを体とする.可換群Vと環準同型s:KEndZ(V)との組(V,s)K(上の)線型空間という.

  1. aKに対して,群準同型
    sa:=s(a):VV
    によるvVの像をav,av,va,vaなどと書く.
  2. s:KEndZ(V)が環準同型であることから,
    v(a+b)=va+vbv0=0v(a)=(va)v(ab)=(va)bv1=v
    が成り立つ.
  3. sa:VVが群準同型であることから,
    (v+v)a=va+va0a=0(v)a=(va)
    が成り立つ.
  4. 任意のaK{0}に対してsa1sa=idVとなるので,
    va=0v=0a=0
    が成り立つ.

以下,例によって“線型空間V”などと略記する.

Kを含む任意の体KK
sa(k):=ak=ka
によりK線型空間となる.

“縦ベクトル”空間

Iを集合とする.

  1. 写像x:IKに対して
    supp(x):={iIxi:=x(i)0}
    とおく.
  2. 集合KI
    KI:={x:IK#supp(x)<}
    で定めると,これは
    x+y:=[ixi+yi]xa:=[ixia]
    により線型空間となる.
  3. jIに対して,写像ϵj=ϵjI:IK
    ϵj(i):=δij:={1i=j0ij
    で定める.明らかにϵjKIである.
  4. xKIとする.このとき,任意のiIに対して
    (jsupp(x)ϵjxj)(i)=jsupp(x)ϵj(i)xj=jsupp(x)δijxj=xi=x(i)
    が成り立つ.したがって
    x=jsupp(x)ϵjxj=:jIϵjxj
    が成り立つ.

Iを集合としVを線型空間とする.このとき,写像集合
Map(I,V):={ff:IV}

f+g:=[if(i)+g(i)]af:=[iaf(i)]
により線型空間となる.

V,Wを線型空間とする.このとき,直積集合V×W
(v,w)+(v,w):=(v+v,w+w)(v,w)a:=(va,wa)
により線型空間となる.これをV,W(外部)直和といいVWで表わす.

線型写像:その1

(V,sV),(W,sW)を線型空間とする.

    1. 群準同型f:VWについて
      aK, fsV(a)=sW(a)f
      が成り立つとき,f線型写像という.
      VsV(a)fVfWsW(a)W
    2. さらに,線型写像g:WVであって
      gf=idV, fg=idW
      を満たすものが存在するとき,f線型同型(写像)という.
  1. 線型同型写像VWが存在するとき,VWとは(線型)同型であるといいVWで表わす.

任意のbKに対して,群準同型
sb:VV; vvb
は線型写像である:
sb(va)=(va)b=v(ab)=v(ba)=(vb)a=(sbv)a.
とくに
s0:VV; v0s1:VV; vv
は線型写像である.

f:VWを線型写像とする.このとき次は同値である:

  1. fは線型同型である;
  2. fは全単射である.

(i)(ii)

明らか.

(ii)(i)

逆写像f1:WVが線型写像であることを示せばよい.ところで,f1は群準同型であり,任意のaKに対して
f1sW(a)=f1(sW(a)f)f1=f1(fsV(a))f1=sV(a)f1
が成り立つ.

線型写像の合成は線型写像である.

f:UV, g:VWを線型写像とする.このとき,gf:UWは群準同型であり,任意のaKに対して
(gf)sU(a)=g(fsU(a))=g(sV(a)f)=(gsV(a))f=(sW(a)g)f=sW(a)(gf)
が成り立つ.

部分空間と商空間

(V,s)を線型空間とし,UVを(可換群Vの)部分群とする.任意のaKに対してUsa不変であるとき,UV部分(線型)空間という.

aKに対して
sU(a):UU; usa(u)
は群準同型であり,
sU:KEndZ(U); asU(a)
は環準同型である.よって(U,sU)は線型空間であり,包含写像idUV:UVは線型写像である.

  1. V,Wを線型空間とする.このとき,
    Hom(V,W):={ff:VW:linear}
    は線型空間Map(V,W)の部分空間である:
    (f+g)v=fv+gv;(af)v=a(fv).
  2. 線型空間End(V):=Hom(V,V)は環EndZ(V)の部分環でもあり,
    (af)g=a(fg)=f(ag)
    が成り立つ.
  3. End(V)EndZ(V)とは一般には一致しない.たとえば,C線型空間Cについて,複素共軛を取る写像
    f:CC; zz¯
    は群準同型であるが,線型写像ではない:
    f(11)=f(1)=11=11=f(1)1.
  4. Q線型空間Vについて,End(V)=EndZ(V)が成り立つ.実際,fEndZ(V)とすると,
    1. 任意のvV,nNに対して,f(vn)=f(v)nが成り立つ:
      f(v0)=0=f(v)0;f(vn)=f(v)nf(v(n+1))=f(vn+v)=f(vn)+f(v)=f(v)n+f(v)=f(v)(n+1).
    2. 任意のvV,nNに対して,
      f(v(n))=f((vn))=f(vn)=(f(v)n)=f(v)(n)
      が成り立つ.
    3. 任意のvV,q:=m/nQに対して,
      f(vq)n=f(vm)=f(v)m  f(vq)=f(v)q
      が成り立つ.

f:VWを線型写像とする.このとき次が成り立つ:

  1. Ker(f):=f({0})Vの部分空間である;
  2. Im(f):=f(V)Wの部分空間である.
  1. 任意のvKer(f),aKに対して,
    f(va)=(fv)a=0a=0
    より,vaKer(f)が成り立つ.
  2. wIm(f),aKとする.このときvVであってfv=wなるものが存在するので,
    wa=(fv)a=f(va)Im(f)
    が成り立つ.

任意の線型写像f:VWに対して,
f:injectiveKer(f)={0}
が成り立つ.

  1. fが単射であるとき,vKer(f)とすると,
    fv=0=f0
    よりv=0が成り立つ.
  2. Ker(f)={0}のとき,
    fv=fvf(vv)=0vvKer(f)={0}v=v
    が成り立つので,fは単射である.

Vを線型空間としWVをその部分空間とする.各aKに対して,
vvWvavaW
より,剰余群V/Wのあいだの群準同型s¯a:V/WV/Wが一意に定まる:
VsaVV/Ws¯aV/W
誘導群準同型の一意性より,写像
s¯:KEndZ(V/W); as¯a
は環準同型であり,したがって(V/W,s¯)は線型空間である.これをVWによる商(線型)空間という.写像s¯の定義より,射影π:VV/Wは線型写像である.

任意の線型写像f:VWに対して,
f:surjectiveCoker(f):=W/Im(f)={0}
が成り立つ.

任意の全射線型写像f:VWは線型同型
V/Ker(f)W
を誘導する.

π:VV/Ker(f)を射影とする.誘導される群同型写像f¯:V/Ker(f)Wが線型写像であることを示せばよい(cf. iso-bij).そこでaKとすると,
(f¯s¯V(a))π=f¯(s¯V(a)π)=f¯(πsV(a))=(f¯π)sV(a)=fsV(a)=sW(a)f=sW(a)(f¯π)=(sW(a)f¯)π
より
f¯s¯V(a)=sW(a)f¯
が成り立つ.

線型写像:その2

Iを集合とする.このとき,任意の線型空間Vとその元の族v:=(vi)iIVIとに対して,線型写像Lv:KIVであって
jI, Lvϵj=vj
を満たすものがただ一つ存在する:
IϵvKILvV

一意性

f:KIVfϵj=vjなる線型写像とすると,任意のxKIに対して
fx=jsupp(x)f(ϵjxj)=jsupp(x)(fϵj)xj=jsupp(x)vjxj
が成り立つ.

存在

写像Lv:KIV
Lvx:=jsupp(x)vjxj=:jIvjxj
で定める.Lvが線型写像であることを示せばよい.

  1. 任意のx,yKIに対して,
    Lv(x+y)=jIvj(xj+yj)=jIvjxj+jIvjyj=Lvx+Lvy
    が成り立つ.
  2. 任意のxKI,aKに対して,
    Lv(xa)=jIvj(xja)=(jIvjxj)a=(Lvx)a
    が成り立つ.

Vを線型空間とし(vi)iIVIとする.線型写像L(vi)iI:KIVが,

  1. 全射であるとき,(vi)iIV生成する(vi)iIV張るなどという;
  2. 単射であるとき,(vi)iI線型独立であるという;
  3. 単射でないとき,(vi)iI線型従属であるという;
  4. 全単射であるとき,(vi)iIV基底という.

f:VWを全射線型写像とする.このとき,v:=(vi)iIVを生成するならば,fv:=(fvi)iIWを生成する.実際,free-modより
Lfv=fLv:KIW; ϵjfvj
となるので,
Lv:surj.Lfv:surj.
が成り立つ.

v0Vとする.このとき
(vi)i[0]:lin. indep.v00
が成り立つ.実際,
(vi)i[0]:lin. indep.L(vi)i[0]:injectiveKer(L(vi)i[0])={0}[v0x0=0x0=0]v00
が成り立つ.

f:VWを線型写像とする.このとき,v:=(vi)iIVIが線型従属ならば,fv:=(fvi)iIWIも線型従属である.また,fが単射ならば,逆も成り立つ.実際,free-modより
Lfv=fLv:KIW; ϵjfvj
となるので,
Lfv:inj.Lv:inj.
が成り立ち,fが単射ならば,
Lv:inj.Lfv:inj.
が成り立つ.

L(ϵi)iI=idKIなので,(ϵi)iIKIの基底である.これをKI標準基底という.

Iを集合としVを線型空間とする.このとき,写像
Φ:Hom(KI,V)Map(I,V); f[ifϵi]
は線型同型である.実際,線型空間構造の定め方より
Φ(f+g)=Φf+Φg, Φ(af)=a(Φf)
が成り立つのでΦは線型写像であり,free-modよりΦは全単射である(cf. iso-bij).とくに“縦ベクトル”空間の双対は“横ベクトル”空間である:
Hom(KI,K)Map(I,K).

  1. I,Jを集合とする.このとき,Map(I×J,K)の部分空間
    Mat(I,J;K):={AMap(I×J,K)jJ, A^(j):=[iA(i,j)]KI}
    の元を((列有限)(I,J)型)行列という.
  2. 任意の行列AMat(I,J;K)に対して,free-modより,線型写像fA:KJKIであって
    jJ, fAϵjJ=iIϵiIA(i,j)(=A^(j))
    を満たすものがただ一つ存在する.
  3. 逆に,任意の線型写像f:KJKIに対して,行列MfMat(I,J;K)
    Mf(i,j):=(fϵjJ)(i)
    により定まる.
  4. 対応AfAは線型写像であり,fMfが逆写像を与える:
    Mat(I,J;K)Hom(KJ,KI); AfA.
  5. 集合H,I,Jに対して,行列の
    Mat(H,I;K)×Mat(I,J;K)Mat(H,J;K); (A,B)MfAfB=:AB
    が定まる.A,Bが列有限であることから
    fAfBϵjJ=fA(iIϵiIB(i,j))=iI(fAϵiI)B(i,j)=iIhHϵhHA(h,i)B(i,j)=hHϵhH(iIA(h,i)B(i,j))
    となるので,
    (AB)(h,j)=(fAfBϵjJ)(h)=iIA(h,i)B(i,j)
    を得る.
  6. 適当な型の行列A,B,Cに対して,
    fABfC=(fAfB)fC=fA(fBfC)=fAfBC
    より,
    (AB)C=A(BC)
    が成り立つ.

V,Wを線型空間とし,(vi)iIVI,(wi)iIWIとする.このとき,(vi)iIVの基底ならば,線型写像f:VWであってfvj=wjなるものがただ一つ存在する.さらに,
f:surjectiveL(wi)iI:surjective;f:injectiveL(wi)iI:injective;
が成り立つ.

  1. 仮定より線型同型
    LV:=L(vi)iI:KIV; ϵjvj,
    および線型写像
    LW:=L(wi)iI:KIW; ϵjwj
    が存在するので,f:=LWLV1:VWとおけばよい.
    KILVKILWVfW
    明らかに,fが全射(resp. 単射)であるためには,LWが全射(resp. 単射)であることが必要かつ十分である.
  2. 線型写像g:VWgvj=wjを満たすとすると,
    gLVϵj=wj
    よりgLV=LWとなるので(cf. free-mod),
    g=LWLV1=f
    が成り立つ.

生成系と独立系

線型空間Vの元の族(vi)iIVIに対して
Span((vi)iI):=Im(L(vi)iI)
とおく.これは{viViI}を含むVの部分空間のうち最小のものである(cf. subsp).

Vを線型空間としv:=(vj)jJ,v:=(vi)iIVの元の族とする.このとき次は同値である:

  1. {vjjJ}Span((vi)iI);
  2. Span((vj)jJ)Span((vi)iI).

(i)(ii)

v:=LvxSpan((vj)jJ)とする.仮定より,各jsupp(x)に対して,ηjKIであってvj=Lvηjなるものが存在する.よって
v=Lvx=jsupp(x)vjxj=jsupp(x)(Lvηj)xj=Lv(jsupp(x)ηjxj)Span((vi)iI)
が成り立つ.

(ii)(i)

明らか.

Vを線型空間,v:=(vi)iIVIをその元の族とし,JIとする.このとき次が成り立つ:

  1. Lv|J:surjectiveLv:surjective;
  2. Lv:injectiveLv|J:injective.
  1. span-clより
    V=Span(v|J)Span(v)V
    が成り立つ.
  2. JIであるから,free-modより,線型写像LJI:KJKIであってLJIϵjJ=ϵjIなるものがただ一つ存在する.このときLJIは単射であり,free-modより
    Lv|J=LvLJI:KJV; ϵjJvj
    が成り立つので,Lv|Jは単射である.

Vを線型空間とし(vi)iIVIとする.このとき次は同値である:

  1. (vi)iIは線型独立である;
  2. 任意の有限部分集合JIに対して,(vj)jJは線型独立である.

(ii)(i) が成り立つことを示せばよい.そこでxKer(L(vi)iI)とすると,有限部分集合J:=supp(x)Iについて,仮定より
0=L(vi)iIx=jJvjxj=L(vj)jJ(x|J)  x|J=0
が成り立つので,x=0を得る.

(vi)iIVIが線型独立ならば,

  1. 任意のiIに対してvi0である(cf. nonzero).
  2. 任意のi,jIに対して
    ijvivj
    が成り立つ.

uR{0}=:R×に対して,free-modより,線型写像u:RNRであってuϵi=uiなるものがただ一つ存在する.このとき(u)uR×は線型独立である.実際,任意の有限部分集合{u1,,un}R×に対して,
u1x1++unxn=0
とすると,(ϵi)i[n1]での値を取ることで
[11u1unu1n1unn1][x1xn]=[ 0 0]
となるが, ヴァンデルモンドの行列式 より
det[11u1unu1n1unn1]=i>j(uiuj)0
であるから,
x1==xn=0
を得る.

Vを線型空間とし(vi)iIVIを線型独立な族とする.このとき,任意のvIVに対して,
vISpan((vi)iI)(vi)iI{I}:lin. indep.
が成り立つ.

  1. vISpan((vi)iI)よりvI0である.
  2. 任意の有限部分集合{i1,,in}Iに対して,
    vi1xi1++vinxin+vIxI=0
    とすると,vISpan((vi)iI)よりxI=0であるから,span-indep-dualより,
    vi1xi1++vinxin=0  xi1==xin=0
    が成り立つ.

よってlin-indep-subより,(vi)iI{I}は線型独立である.

基底の存在

Vを線型空間としW1,W2Vをその部分空間とする.このとき
W1+W2:={vVwiWi, v=w1+w2}
Vの部分空間である.とくに
V=W1+W2, W1W2={0}
が成り立つとき,
V=W1W2
と書き,W3iWi補空間という.

V=W1W2のとき,Vは線型空間W1,W2の外部直和(ここではW1eW2と書く)と同型である.実際,線型写像
f:W1eW2V; (w1,w2)w1+w2
を考えると,V=W1+W2よりfは全射であり,W1W2={0}よりfは単射である(cf. inj-keriso-bij).

Vを線型空間,WVを部分空間とし,(vi)iIVIとする.このとき
V=W+Span((vi)iI)
が成り立つならば,JIであって
(vj)jJ:lin. indep., V=WSpan((vj)jJ)
を満たすものが存在する.

(包含関係による)順序集合
I:={II(vi)iI:lin. indep., WSpan((vi)iI)={0}}
を考える.

  1. IよりIである.
  2. IIを全順序部分集合とする.このとき
    I:=II
    が成り立つことを示す.
    1. 任意の有限部分集合I0Iに対して,Iの全順序性より,IIであってI0Iなるものが存在するので,span-indep-dualより(vi)iI0は線型独立である.よってlin-indep-subより(vi)iIは線型独立である.
    2. w=L(vi)iIxWSpan((vi)iI)
      とする.このとき,有限集合supp(x)Iに対して,IIであってsupp(x)Iなるものが存在するので,
      w=isupp(x)vixiWSpan((vi)iI)={0}
      よりw=0となる.

よってZornの補題より極大元JIが存在する:
(vj)jJ:lin. indep., WSpan((vj)jJ)={0}.
あとは
V=W+Span((vj)jJ)
が成り立つことを示せばよい.

  1. 等号が成り立たないとすると,仮定とspan-clより,Iであって
    vW+Span((vj)jJ)
    なるものが存在する.
  2. indep-spanより(vj)jJ{}は線型独立である.
  3. また,vの取り方より
    w=jJvjxj+vxWSpan((vj)jJ{})x=0  wWSpan((vj)jJ)={0}
    となるので,WSpan((vj)jJ{})={0}が成り立つ.
  4. よってJJ{}Iとなるが,これはJの極大性に反する.

Iが有限集合のときは
m:=max{nNII, #I=n} (#I<)
が定まるので,JIであって#J=mなるものを取ればよい.

(基底の存在)

任意の線型空間V ({0})は基底を持つ.

extractW:={0},idVVVに適用すればよい.

(基底の延長)

Vを線型空間,WVをその部分空間とし,β:=(βi)iIWIWの基底とする(cf. base).このとき,Vの線型独立な族γ:=(γj)jJVJであって,
βγ:IJV; h{βhhIγhhJ
Vの基底となるようなものが存在する.

W,idVVVに対してextractを適用することで,JVであって
γ:=idV|JVJ:lin. indep., V=WSpan(γ)
を満たすものが得られる.

  1. 明らかに
    V=Span(βγ)
    が成り立つ.
  2. Lβγx=0とすると,
    Lβ(x|I)=Lγ(x|J)WSpan(γ)={0}
    より,
    x|I=0, x|J=0  x=0
    が成り立つ.
(補空間の存在)

線型空間Vの任意の部分空間WVに対して,その補空間が(同型を除いてただ一つ)存在する.

一意性のみ示せばよい.そこでUVWの補空間とする.

  1. Wの基底βおよびUの基底γを取るとβγVの基底であるから,kitei-no-yukusakiより,全射線型写像πU:VUであって
    πUβi=0πUγj=γj
    を満たすものがただ一つ存在する.
  2. 定義よりW=Ker(πU)が成り立つので,isom-thmより
    V/WU
    を得る.

Vを線型空間としWVをその部分空間とする.

  1. 全射線型写像πW:VWであってπW|W=idWとなるものが存在する.
  2. 任意の線型写像f:WVに対して,線型写像f~:VVであってf~|W=fを満たすものが存在する:
    f~:=fπW:VWV.

線型空間の次元

線型空間V次元dimVN{}を次のように定める:

  1. V={0}のとき,V0次元であるといいdimV:=0と定める;
  2. nN>0とする.線型独立な族βVnが存在し,任意の(vi)i[n]V[n]が線型従属であるとき,Vn次元であるといいdimV:=nと定める;
  3. 任意のnNに対して,線型独立な族(vi)i[n]V[n]が存在するとき,V無限次元であるといいdimV:=と定める(cf. infin-dim).

#I=ならば,dimKI=である(cf. can-baselin-indep-sub).

epimonoより
VWdimV=dimW
が成り立つ.

dualを見ると,同じ無限次元でも,RNの“次元”よりもHom(RN,R)の“次元”の方がはるかに“大きい”ように思える.この印象は,無限次元線型空間の“次元”を適切に定義することで正当化される.詳しくは,たとえば以下を参照せられたい:

Vを線型空間とする.

  1. dimVNであるとき,V有限次元であるといいdimV<で表わす.
  2. 部分空間WVについて,商空間V/Wの次元をW余次元といいcodimWで表わす:
    codimW:=dim(V/W).
    また,codimW<なるとき(すなわちWVの補空間が有限次元であるとき(cf. complementiso-dim)),W有限余次元であるという.

Vを線型空間とし,nN>0とする.このとき次は同値である:

  1. dimV=n;
  2. Vは基底βVnを持つ.

(i)(ii)

仮定より,線型独立な族βVnが存在する.このときV=Span(β)となることを示せばよい.そこでvVとすると,dimV=nより(v,β1,,βn)V[n]は線型従属なので,xKer(L(v,β1,,βn)){0}が取れる:
0=L(v,β1,,βn)x=vx0+j=1nβjxj.
もしx0=0であるとすると,βの線型独立性より
0=j=1nβjxj  x1==xn=0
となって不合理である.よってx00であり,
v=j=1nβj(xjx01)Span(β)
が成り立つ.

(ii)(i)

線型独立な族(vi)i[n]V[n]が存在したとする.

  1. 仮定よりv0V=Span(β)であるから,
    v0=β1x1++βnxn
    と書ける.いまv00であるから,必要なら番号を付け替えることで,x10としてよい.よってβ1Span((v0,β2,,βn))となるので,span-clより
    Span(β)=Span((v0,β2,,βn))
    となる.
  2. v1Span(β)=Span((v0,β2,,βn))より,
    v1=v0x0+β2x2++βnxn
    と書ける.v10であって(v0,v1)は線型独立なので(cf. span-indep-dual),x20としてよい.よって
    Span(β)=Span((v0,v1,β3,,βn))
    が成り立つ.
  3. 以下同様にして
    vnSpan(β)=Span((v0,,vn1))
    を得るが,これは(v0,,vn1,vn)が線型独立であることに反する.

dimV=dimW:=n<のとき,dimより
VK[n]>0W
が成り立つ.

RQ線型空間として無限次元である(cf. reference ):

  • 有限次元Q線型空間は可算集合であるから,非可算集合Rは有限次元ではあり得ない.
  • n番目の素数をpnとおくと,(logpn)nN>0は線型独立な族を与える.
  • tRを超越数とすると,(tn)nNは線型独立な族を与える.

dim (ii)(i) と同様の証明で次がわかる:

Vを線型空間とし,wVm,βVnとする.このとき,wが線型独立であって{w1,,wm}Span(β)が成り立つならば,mnである.

Vを線型空間としWVを部分空間とする.このとき,dimV<ならば,dimW<であって

  1. dimWdimV;
  2. dimW=dimVW=V;

が成り立つ.

V,W{0}としてよい.

  1. indep-leq-spanより
    m:=max{nN>0(w1,,wn)Wn:lin. indep.}dimV
    が定まる.したがって線型独立な族γWmが存在し,mの最大性より任意の(wi)i[m]W[m]は線型従属である.よって
    dimW=mdimV<
    が成り立つ.
    1. dimW=dimVのとき,Wの基底はVの基底であり,したがってW=Vが成り立つ(cf. dimの証明).
    2. W=Vのとき,明らかにdimW=dimVが成り立つ.

次元定理

f:VWを線型写像とする.線型空間Im(f)が有限次元であるとき,f有限階数であるという.また,その次元dimIm(f)Nf階数といいrankfで表わす.

dimV<とする.このとき,任意の部分空間WVは有限次元かつ有限余次元であり
dimV=dimW+codimW
が成り立つ.

  1. dim-subspより,Wは有限次元である.
  2. complementの証明より,V/WWVの補空間に同型である.よってiso-dimdim-subspよりWは有限余次元である.
  3. base-ext(の証明)より
    dimV=dimW+codimW
    が成り立つ.

WVの補空間(のひとつ)をUとおくと,UV/Wが成り立つのだった(cf. complement).よって(Vの次元にかかわらず)
V=WUW(V/W)
が成り立つ.

次元定理

f:VWを線型写像とする.

  1. dimV<ならば,fは有限階数であり
    rankfdimV=dimKer(f)+rankf
    が成り立つ.さらに
    rankf=dimVf:injective
    が成り立つ.
    Im(f)Ker(f)f
  2. dimW<ならば,fは有限階数であり
    rankfdimW=rankf+dimCoker(f)
    が成り立つ.さらに
    rankf=dimWf:surjective
    が成り立つ.
  1. isom-thmよりV/Ker(f)Im(f)であるから,iso-dimcodimよりfは有限階数であって
    rankfdimKer(f)+rankf=dimKer(f)+dimIm(f)=dimKer(f)+dim(V/Ker(f))=dimKer(f)+codimKer(f)=dimV
    が成り立つ.さらにinj-kerより
    rankf=dimVKer(f)={0}f:injective
    が成り立つ.
  2. codimより,Im(f)Wは有限(余)次元であり
    rankfrankf+dimCoker(f)=dimIm(f)+dim(W/Im(f))=dimIm(f)+codimIm(f)=dimW
    が成り立つ.さらにdim-subspより
    rankf=dimWIm(f)=Wf:surjective
    が成り立つ.

Ker(f)Vの補空間(のひとつ)をUとおくと
UV/Ker(f)Im(f)
が成り立つのだった(cf. complementisom-thm).よって(Vの次元にかかわらず)
V=Ker(f)UKer(f)Im(f)
が成り立つ.同様に(Wの次元にかかわらず)
WIm(f)Coker(f)
が成り立つ.

  1. 線型写像f:VWについて,Ker(f),Coker(f)がともに有限次元であるとき,その次元の差
    indf:=dimKer(f)dimCoker(f)Z
    f(Fredholm)指数という.
  2. V,Wが有限次元であるとき,codimより,任意のfHom(V,W)に対してその指数が定まるが,fin-rankより
    indf=dimKer(f)dimCoker(f)=dimKer(f)(dimWrankf)=(dimKer(f)+rankf)dimW=dimVdimW
    となる.

f:VWを指数が定義できる線型写像とする.このとき,indf=0ならば,次は同値である:

  1. fは全射である;
  2. (線型)写像s:WVであってfs=idWなるものが存在する;
  3. fは単射である;
  4. (線型)写像r:WVであってrf=idVなるものが存在する;
  5. fは全単射である(cf. iso-bij).

明らかに,(v)(ii)(i),および (v)(iv)(iii) が成り立つので,あとは(i)(iii) が成り立つことを示せば十分である.ところで,仮定より
dimKer(f)=dimCoker(f)
であるから,surj-cokinj-kerより
f:surjectiveCoker(f)={0}dimCoker(f)=0dimKer(f)=0Ker(f)={0}f:injective
が成り立つ.


V,Wが有限次元のとき,仮定よりdimV=dimW<であるから,fin-rankより,fは有限階数であって
f:surjectiverankf=dimWrankf=dimVf:injective
が成り立つ.

参考文献

[1]
N. Bourbaki, Algebra I Chapters 1-3, Springer
[2]
C. Chevalley, Fundamental Concepts of Algebra, Academic Press
[3]
S. Mac Lane and G. Birkhoff, Algebra (third edition), AMS Chelsea Pub.
[4]
彌永昌吉,小平邦彦, 現代数学概説 I, 岩波書店
[5]
有馬哲, 線型代数入門, 東京図書
投稿日:20241221
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うすい
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  6. 基底の存在
  7. 線型空間の次元
  8. 次元定理
  9. 参考文献