こんにちは。Melidです。
2026年8月8日から同月13日にかけて、「
Melid's Quadri-Show
」というコンテストを開催させて頂きました。3名も参加者がいればいい方だと思っておりましたが、幸いなことに7名の方にご参加いただきました。ありがとうございます。また、Testerをしていただいた
匿(Tock)
氏にも感謝申し上げます。
本記事では、こちらで出題した問題の解説を書き綴ります。初学者にも分かり易いように、丁寧な解説を心掛け、なるべく多くの図を添付しました。後半の問題の解説もお読みいただけると嬉しいです。問題制作・解答の打ち込みにそれなりに難渋したので……
特に断りが無い限り、「$XY$」で「直線$XY$」、「円$XYZ$」で「三角形$XYZ$の外接円」を表します。
凸四角形$ABCD$は$O$を中心とする円に内接している.$AB$と$CD$の交点を$P$とし,$AC,BD$上にそれぞれ点$E,F$を,$PE/\!/BD$及び$PF/\!/AC$を満たすようにとる.このとき,$OP\perp EF$を示せ.
凸四角形$ABCD$の内部に存在する異なる2点$P,Q$が以下の条件を全て満たしているとする.
四角形$ABCD$の重心(幾何中心)を$G$とするとき,$PQ$は$G$を通ることを示せ.
凸四角形$ABCD$は$\angle B$内に傍接円$\omega$を持ち$^{*1}$,$AB\ne BC$を満たしている.$AB$と$CD$の交点を$E$とし,$BC$と$AD$の交点を$F$とする.三角形$ABC,ADC,BEF,DEF$の内心をそれぞれ$I_{1},I_{2},I_{3},I_{4}$とし,$AC$と$EF$の交点を$P$,$I_{1}I_{2}$と$I_{3}I_{4}$の交点を$Q$とする.また,$I_{1}I_{2},I_{3}I_{4}$と$\omega$の交点のうち,$EF$に関して$B$と同じ側にあるものをそれぞれ$X,Y$とする$^{*2}$.このとき,$PQ\perp XY$を示せ.
凸四角形$ABCD$は台形と凧形のいずれでもなく,内接円を持っているとする.$AB$と$CD$の交点を$E$,$AD$と$BC$の交点を$F$とし,円$EAD$と円$FAB$の交点を$G(\ne A)$とする.円$GAC$と円$GBD$の交点を$P(\ne G)$,円$GBD$と円$GEF$の交点を$Q(\ne G)$,円$GEF$と円$GAC$の交点を$R(\ne G)$とするとき,3つの直線$AC,BD,EF$が成す三角形の外接円と円$PQR$は接することを示せ.
$^{*1}$ つまり,円$\omega$と凸四角形$ABCD$は以下を満たす.
$^{*2}$ このような$X,Y$がそれぞれ1つに定まることは証明なしに用いてよい.
$AD$と$BC$の交点を$Q$とし、$AC$と$BD$の交点を$R$とします。$OP$との直交を示すのですから、Brocardの定理が使えそうです。知らない方のために証明しておきましょう。
凸四角形$ABCD$は$O$を中心とする円に内接している.$AB$と$CD$の交点を$P$,$AD$と$BC$の交点を$Q$,$AC$と$BD$の交点を$R$とする.このとき,$O$は三角形$PQR$の垂心である.また,円$ABCD$に関する$P,Q,R$の極線はそれぞれ$QR,RP,PQ$である.
円$RAD$と円$RBC$の交点を$X(\ne R)$とすると,根軸定理より$Q,R,X$は共線である.$\measuredangle AXB=\measuredangle AXR+\measuredangle RXB=\measuredangle ADR+\measuredangle RCB=\measuredangle AOB$と計算できるため,$A,B,O,X$は共円であり,同様に$C,D,O,X$も共円である.従って,根軸定理より$P,X,O$は共線と分かる.さらに,$\measuredangle RXO=\measuredangle RXB+\measuredangle BXO=\measuredangle ACB+\measuredangle BAO=90^{\circ}$から$OP\perp QR$が判明し,同様に$OQ\perp PR$であるから,$O$は三角形$PQR$の垂心である.
また,円$ABCD$に関して円$ABOX,CDOX$を反転するとそれぞれ$AB,CD$に移るため,この反転で$P$と$X$は互いに入れ替わることが分かる.よって,$OP\perp QR$と併せて,円$ABCD$に関する$P$の極線は$QR$であると導かれる.同様に円$ABCD$に関する$Q$の極線は$RP$であり,$O$が三角形$PQR$の垂心であることから円$ABCD$に関する$R$の極線が$PQ$であることも従う.$\square$
線分$EF$の中点を$M$、$EF$上の無限遠点を$E_{\infty}$とし、$PR$と$AD$の交点を$X$とします。$(A,D;Q,X)=(E,F;E_{\infty},M)=-1$であるため、$R$を中心とする射影を考えれば、$EF/\!/QR$が従います。一方、Brocardの定理より$OP\perp QR$となるため、$OP\perp EF$が示されました。$\square$
主定理の証明に入る前に、四角形に関して等角共役な2点が持つ性質について紹介します。
凸四角形$ABCD$とその内部の点$P,Q$について,$P$と$Q$が四角形$ABCD$に関して等角共役であるならば,$\angle APB+\angle CPD=\angle AQB+\angle CQD=180^{\circ}$が成立する.
$P$から$AB,BC,CD,DA$に下ろした垂線の足をそれぞれ$P_{1},P_{2},P_{3},P_{4}$とし,$Q$から$AB,BC,CD,DA$に下ろした垂線の足をそれぞれ$Q_{1},Q_{2},Q_{3},Q_{4}$とする.また,線分$PQ$の中点を$M$とする.
$B,P,P_{1},P_{2}$及び$B,Q,Q_{1},Q_{2}$はそれぞれ共円である.さらに,$\measuredangle PP_{1}B=\measuredangle BQ_{2}Q=90^{\circ}$と$\measuredangle P_{1}BP=\measuredangle QBQ_{2}$より三角形$PP_{1}B$と三角形$QQ_{2}B$は負の向きに相似であるとわかる.従って,$\measuredangle Q_{2}P_{2}P_{1}=\measuredangle BP_{2}P_{1}=\measuredangle BPP_{1}=\measuredangle Q_{2}QB=\measuredangle Q_{2}Q_{1}B$と計算でき,$P_{1},P_{2},Q_{1},Q_{2}$はある円$\Gamma$上にあると判明する.ここで,$\Gamma$の中心は線分$P_{1}Q_{1},P_{2}Q_{2}$の垂直二等分線の交点であるため,これは$M$に一致する.他の頂点でも同様にして,$P_{1},P_{2},P_{3},P_{4},Q_{1},Q_{2},Q_{3},Q_{4}$はいずれも$\Gamma$上にあることが言える.
よって,$\measuredangle APB+\measuredangle CPD=360^{\circ}-(\measuredangle PAP_{1}+\measuredangle P_{1}BP+\measuredangle PCP_{3}+\measuredangle P_{3}DP)=360^{\circ}-(\measuredangle PP_{4}P_{1}+\measuredangle P_{1}P_{2}P+\measuredangle PP_{2}P_{3}+\measuredangle P_{3}P_{4}P)=360^{\circ}-(\measuredangle P_{1}P_{2}P_{3}+\measuredangle P_{3}P_{4}P_{1})=360^{\circ}=0^{\circ}$となるため,$P$が四角形$ABCD$の内部にあるときは$\angle APB+\angle CPD=180^{\circ}$である.同様にして,$\angle AQB+\angle CQD=180^{\circ}$も成立する.$\square$
線分$AD,BC$の中点をそれぞれ$M,N$とし、四角形$PBXC$が調和四角形となるように円$PBC$上に点$X$をとります。
定理1より$\angle APD=\angle BXC$となります。さらに、$PA\times PC=PB\times PD$より$PA:PD=PB:PC=XB:XC$であるため、$\triangle PAD\sim \triangle XBC$が従います。また、$\angle NPC=\angle BCX=\angle ADP=\angle QDC$(調和四角形の性質を用いた)及び$\angle PCN=\angle DCQ$より$\triangle NPC\sim \triangle QDC$が得られます。ここで、回転相似を考えれば、$\triangle PDC\sim \triangle NQC$となります。$\measuredangle NPC=\measuredangle ADP$と同様に$\measuredangle MPD=\measuredangle BCP$が示されるため、$\measuredangle MPN=\measuredangle MPD+\measuredangle DPC+\measuredangle CPN=\measuredangle BCP+\measuredangle CPN+\measuredangle QNC=\measuredangle BNP+\measuredangle QNC=\measuredangle QNP$と計算でき、$MP/\!/QN$が判明します。同様にして$MQ/\!/PN$が得られるため、四角形$MPNQ$は平行四辺形となり、$PQ$は線分$MN$の中点$G$を通ります。$\square$

あまり見慣れない点$X,Y$が登場しています。この正体を突き止めるのには、IMO 2008年/問題6が役に立ちそうです。まずはこちらの問題を解いていきましょう。なお、元の問題文と解答は こちら をご確認ください。
凸四角形$ABCD$と円$\omega$を問題3と同様に定義する.三角形$ABC,ADC$の内接円をそれぞれ$\omega_{1},\omega_{2}$とするとき,$\omega_{1}$と$\omega_{2}$の2本の共通外接線は$\omega$上で交わることを示せ.
既に知っている方も多いと思われますが、まずは以下の事実を復習しておきましょう。
三角形$ABC$において,その内接円を$\omega$とし,$\omega$が$BC$と接する点を$D$とする.$\omega$における$D$の対蹠点を$D'$とし,線分$BC$上に$BD=CE$を満たすように点$E$をとる.このとき,$A,D',E$は共線である.
$\omega$と$AB,AC$の接点をそれぞれ$P_{B},P_{C}$とし,三角形$ABC$の$\angle A$内の傍接円と$AB,AC$の接点をそれぞれ$E',Q_{B},Q_{C}$とする.$AB+BE'=AB+BQ_{B}=AQ_{B}=AQ_{C}=AC+CQ_{C}=AC+CE'$より,$AC+CE'$は三角形$ABC$の半周長に等しい.一方,$AC+BD=AP_{C}+CP_{C}+BD=AP_{B}+CD+BP_{B}=AB+CD$であるため,$AC+BD$も三角形$ABC$の半周長に等しい.従って,$BD=CE'$となるため,$E$と$E'$は一致する.よって,$A$を中心とする相似拡大を考えれば,$A,D',E$は共線である.$\square$
$\omega$と$AB,BC,CD,DA$の接点をそれぞれ$T_{1},T_{2},T_{3},T_{4}$とし、$\omega_{1}$と$AC,BA,BC$の接点をそれぞれ$P,P_{A},P_{C}、\omega_{2}$と$AC,DA,DC$の接点をそれぞれ$Q,Q_{A},Q_{C}$とします。
$BA+AT_{4}=BA+AT_{1}=BT_{1}=BT_{2}=BC+CT_{2}=BC+CT_{3}$及び$DT_{3}=DT_{4}$から、$BA+AD=BC+CD$が導かれます。加えて、$BP_{A}=BP_{C}$と$DQ_{A}=DQ_{C}$が成立するため、$AP_{A}+AQ_{A}=CP_{C}+CQ_{C}$が得られます。従って、$AP+AQ=CP+CQ$となります。$AP+AQ+CP+CQ=2AC$であるため、$AP+AQ=AC$が言え、$AQ=PC$と結論付けられます。
$\omega$上の点$X$は$T_{1}T_{2}$に関して$B$と同じ側にあり、$X$における$\omega$の接線は$AC$と平行であるとします。ここで、定理2より$B.P',Q$は共線であるため、$B$を中心とする相似拡大を考えて、$P'Q$は$X$を通ると判明します。同様に、$D$を中心とする相似拡大を考えて、$PQ'$も$X$を通ります。線分$P'P,QQ'$はそれぞれ$\omega_{1},\omega_{2}$の直径であるため、$P'P/\!/QQ'$と併せて$X$は$\omega_{1}$と$\omega_{2}$の外相似中心となります。従って、$\omega_{1}$と $\omega_{2}$の2本の共通外接線は$\omega$上で交わります。$\square$
三角形$ABC,ADC,BEF,DEF$の内接円をそれぞれ$\omega_{1},\omega_{2},\omega_{3},\omega_{4}$とし、$BD$と$AC,EF$の交点をそれぞれ$R,S$とします。また、$\omega$の中心を$J$とし、$\omega$と$AB,BC,CD,DA$の接点をそれぞれ$T_{1},T_{2},T_{3},T_{4}$とします。
$\omega$と$\omega_{1}$の外相似中心は$B$であり、$\omega$と$\omega_{2}$の内相似中心は$D$であるため、
Monge-d'Alembertの定理
を$\omega,\omega_{1},\omega_{2}$に適用すれば、$\omega_{1}$と$\omega_{2}$の内相似中心は$BD$上にあると分かります。一方、$AC$は$\omega_{1}$と$\omega_{2}$の共通内接線ですから、$\omega_{1}$と$\omega_{2}$の内相似中心は$BD$と$AC$の交点$R$に一致すると判明します。よって、$I_{1},I_{2},R$は共線であると導かれます。同様にして、$I_{3},I_{4},S$も共線となります。
また、
Brianchonの定理
を六角形$T_{1}T_{1}T_{4}T_{2}T_{2}T_{3}$及び$T_{3}T_{3}T_{2}T_{4}T_{4}T_{1}$に用いれば、$T_{1}T_{2}$と$T_{3}T_{4}$の交点は$P$に一致することが得られます。同様に、$T_{1}T_{3}$と$T_{2}T_{4}$の交点は$R$に一致し、$T_{1}T_{4}$と$T_{2}T_{3}$の交点は$S$に一致します。従って、Brocardの定理より$J$は三角形$PRS$の垂心であると分かります。
さて、IMO 2008年/問題6の証明から、$X$における$\omega$の接線は$AC$と平行である、つまり、$JX\perp AC$であると言えます。このことから、前の議論と併せて$J,S,X$の共線が従います。同様に$J,R,Y$の共線も従います。
ここで、$XY$と$AC,EF$の交点をそれぞれ$U,V$とし、$JX$と$AC$の交点を$H$とします。Menelausの定理より
$$
\dfrac{JY}{YR}\times \dfrac{RQ}{QX}\times \dfrac{XS}{SJ}=1,\quad \dfrac{JY}{YR}\times \dfrac{RU}{UH}\times \dfrac{HX}{XJ}=1
$$
が成立します。加えて、Brocardの定理より、$\omega$に関する$PR$の極は$S$であるため、$JS\times JH=JX^{2}$となり、$JS:JX=JX:JH$つまり
$$
\dfrac{XS}{SJ}=\dfrac{HX}{XJ}
$$
が得られます。以上の式を合わせて$RQ:RX=RU:RH$となり、$JX/\!/QU$が導かれます。同様に$JY/\!/QV$が導かれるため、$\measuredangle QUV=\measuredangle JXY=\measuredangle XYJ=\measuredangle UVQ$より$QU=QV$となります。一方、垂心の性質から$\measuredangle RPS=\measuredangle XJY$であり、このことと$\angle XJY$の二等分線が$XY$と垂直であることから、$\measuredangle PUV=\measuredangle UVP$となり$PU=PV$が従います。よって、$PQ$は線分$UV$の垂直二等分線であるため、$PQ\perp XY$が成立します。$\square$

四角形$ABCD$の内心を$I$とします。ここで、容易な角度追跡から$\triangle GAB\sim \triangle GDC,\;\triangle GAD\sim \triangle GBC,\;\triangle GDE\sim \triangle GFB$となるため、$GA\times GC=GB\times GD=GE\times GF$が成り立ち、さらに$\angle AGC,\angle BGD,\angle EGF$の二等分線は一致するということに注意しましょう。証明にあたって、以下の補題を設けます。
$\triangle GAI \sim \triangle GIC$が成立する.同様に$\triangle GBI \sim \triangle GID$及び$\triangle GEI \sim \triangle GIF$が成立する.
$I$を中心$G$,半径$\sqrt{GA\times GC}$の円によって反転した後,$\angle AGC$の二等分線に関して対称移動した点を$I'$とすると,容易な角度追跡により$\triangle GAI \sim \triangle GI'C$及び$\triangle GBI' \sim \triangle GID$が得られる.$\measuredangle AID+\measuredangle CIB=180^{\circ}$に留意すれば,$\measuredangle BI'C=\measuredangle BI'G+\measuredangle GI'C=\measuredangle IDG+\measuredangle GAI=\measuredangle IDC+\measuredangle CDG+\measuredangle GAB+\measuredangle BAI=\measuredangle IDC+\measuredangle BAI=\measuredangle ADI+\measuredangle IAD=\measuredangle AID=\measuredangle BIC$であり,同様に$\measuredangle DI'C=\measuredangle DIC$である.よって$I=I'$が判明し,命題が示される.$\square$
$AC$と$BD$の交点を$X$、$BD$と$EF$の交点を$Y$、$EF$と$AC$の交点を$Z$とします。
$G$は三角形$XYZ$の九点円上にある.
線分$XY,YZ,ZX$の中点をそれぞれ$L,M,N$とし,$MN$と$AB,CD$の交点をそれぞれ$V,W$とする.$(A,C;Z,X)=-1$であるから,調和点列の性質より
$$
NA\times XC=NA\times (\frac{NX^{2}}{NA}-NX)=NX(NX-NA)=NX\times AX
$$
と計算でき,$NA:AX=NX:XC$が得られる.よって,$VA:AB=NA:AX=NX:XC=WD:DC$となり,$\triangle GAB\sim \triangle GDC$と併せて$\triangle GVA\sim \triangle GWD$が従うため,$\measuredangle GVE=\measuredangle GWE$より$E,G,V,W$は共円である.故に,三角形$ADE,ABF,EVW$に対する$G$における
Simson線
を考えて,$G$から$AB,BC,CD,DA,MN$に下ろした垂線の足はいずれもある直線$l$上にある.同様にして,$G$から$LM,LN$に下ろした垂線の足も$l$上にある.$G$から三角形$LMN$の各辺に下ろした垂線の足が共線であるため,Simsonの定理の逆より$G$は円$LMN$,つまり三角形$XYZ$の九点円上にある.$\square$
四角形$ABCD$の内接円と$AB,BC,CD,DA$の接点をそれぞれ$T_{1},T_{2},T_{3},T_{4}$とし、$G$に関して$I$と対称な点を$T$とします。
Brianchonの定理
を六角形$T_{1}T_{1}T_{4}T_{2}T_{2}T_{3}$及び$T_{4}T_{4}T_{1}T_{3}T_{3}T_{2}$に用いれば、$T_{1}T_{2}$と$T_{3}T_{4}$の交点は$Z$に一致すると分かります。同様に$T_{1}T_{4}$と$T_{2}T_{3}$は$Y$で交わり、$T_{1}T_{3}$と$T_{2}T_{4}$は$X$で交わります。従って、Brocardの定理より、$I$は三角形$XYZ$の垂心となります。三角形の外接円は垂心を中心として九点円を2倍に相似拡大したものであることに留意して、定理4から$T$は円$XYZ$上にあると導かれます。
ここで、$G$を中心とする半径$GI$の円によって反転した後、$GI$に関して対称移動する変換$f$を考えます。定理3より$GI^{2}=GA\times GC=GB\times GD=GE\times GF$が成り立つため、変換$f$によって円$GAC,GBD,GEF$はそれぞれ$AC,BD,EF$に移ります。従って、変換$f$によって円$PQR$と円$XYZ$は互いに入れ替わると分かります。さらに、変換$f$において$T$は不変であるため、円$PQR$も$T$を通ると判明します。反転における等角性から、円$PQR,XYZ$の$T$における接線は一致し、結局円$PQR$と円$XYZ$は接します。$\square$
三角形という図形は古来長らく研究されてきました。では四角形はどうでしょうか。多くの研究がされてきたということは間違いありませんが、三角形と比べると少し劣っているような気がします。競技数学の問題を幾つか見てみても、やはり三角形から始まる問題が多いようです(最近は他の図形から始まる問題も増えてきているようですが)。今更言うまでもないと思いますが、本コンテストは四角形をテーマとしたものでした。四角形の面白さをもっと知ってもらいたいとの思いでコンテストを開催しましたが、難易度調整を誤ったのでしょうか……
最後に各問題のコメントを残して締め括りましょう。
問題1は初学者にも取り組みやすいよう、見た目がシンプルになるよう意識しました。結果、当初の想定より参加者を増やすことができましたが、今考え直してみると、1問目から複比が登場しているのは初学者に優しくなかったかもしれません……
問題2は問題1と問題3の難易度の乖離を調整するために、最後に作った問題です。$P,Q$が等角共役であることから、隠れた条件$\angle APB+\angle CPD=180^{\circ}$を発見できるかが鍵でした。私としてはIMO2番級くらいの難易度かと思っていましたが、Testerからは「問題1との難易度にギャップがある」との講評を受けており、実際のところはもう少し難しかった可能性も否めません。「指摘があったのなら修正すればよいではないか」という至極真っ当な批判をなさる方もいらっしゃるかもしれませんが、言い訳させてください。時間が無かったのです。本問題を作ったのは7月の中旬であり、Writer,Tester双方の事情もあって代替の問題を用意する余裕が無かったのです。どうか怒らないでください……
傍接円を持つ四角形についての問題が不足していると感じて作ったのが問題3です。そもそも需要が低いとか言ってはいけません。 傍接円を持つ四角形の性質を色々詰め込んで作ったような問題でした。IMO3番級の問題をも補題として用いており、難易度はMOHS 40程度はあると推測されます。因みに、当初はもっと煩雑な解法を用意しておりましたが、匿氏がより簡潔な解法を発見しましたので、本記事ではこちらを一部修正したものを掲載しております。
いよいよボス枠の問題4です。ボス枠と言いつつも、難易度は問題3と大差ないと思われます。2026年1月にはこの問題は完成していたのですが、
某コンテストの某問題
の作成もあって、今になってやっと出題できました。実は、定理3・定理4が既出であることは確認しております。既出の事項を組み合わせれば相応に太刀打ちできる問題だった訳です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。誤字等がありましたらコメントでお知らせください。それでは。