不等辺三角形 $ABC$ において、$\angle B, \angle C$ 内の傍心をそれぞれ $I_B, I_C$ とし、傍接円をそれぞれ $\omega_B, \omega_C$ とします。また、$\omega_B$ と $BC, CA, AB$ の接点をそれぞれ $D_B, E_B, F_B$ とし、$\omega_C$ と $BC, CA, AB$ の接点をそれぞれ $D_C, E_C, F_C$ とします。
いま、以下の条件をすべてみたす点 $X$ が平面上にちょうど 2 つ存在するため、それらを $X_1, X_2$ と名づけます。
このとき、三角形 $ABC$ の形状によらず、$X_1 X_2$ が三角形 $ABC$ の $n$ 番目の中心を通るように、自然数 $n$ の値を定めてください。
お待たせしました。2026 年 5 月 4 日 ~ 5 月 12 日にかけて開催した『 第6回匿式図形問題エスパー杯 (T-GUESS Cup 6: Tock's Geometry "Using Extra-Sensory Solutions" Cup The 6th)』の、最終問題の解説です。
まずは右側のスクロールバーをご覧ください。危険な分量ですね。
匿(Tock)
がもつ物量耐性と
Melid
氏がもつ幾何学的筋力のシナジーにより、Mathlog のサーバーに多大なる負荷をかけています。
PDF 版
は Google ドライブにアップロードし、Google に負荷をかけることも忘れません(A4 用紙で 19 ページあります)。
なんと、全編を通じて主催者のハンドメイドです。参加者の AI 使用を部分的に認めておきながら、この主催者、一切 AI 系サービスを使いこなせず、仕方なく一文字一文字手打ちしました。想像してください、「製造物責任法……製造物責任法……」と呟きながら、薄暗い部屋の隅で延々とキーボードを叩いている主催者の姿を。問題を作るとは、こういうことです(過度な一般化)。
ただ、問題D2という 1 問の背景には、何十個もの非自明が隠れています。分量だけ見てブラウザバックする前に、未知の構造で満たされた幾何研究の世界を、少し覗いていきませんか?
工夫を凝らし、日本数学オリンピック(JMO)の予選 7 番相当以上の幾何力があれば、(各種文献を調べつつ粘り強く解読することで)なんとか最後まで読み切れる文章になったはずです。図形問題上級者が「構図」の一言で片づける諸々も、半分以上は証明を添えました。国際数学オリンピック以上の世界に、国内予選レベルの初学者をもいざなう所存です。ですから、どうか。本当に。19 ページ分の壁打ちは流石に精神崩壊ものでありまして。皆様お忙しいとは思われますが。何卒。
冒頭に記した問題D2の解説を行い、問題化に至らなかった周辺の話題へ軽く触れます。
※ A1~C2の解説は
こちら
。
※ PDF で解説を読みたい方は、
こちら
からダウンロード可能です。
本問を解くにあたり、以下の長文を読んでいただきます。なお、円錐曲線(とりわけ直角双曲線)に関する知識が必須となるため、齋藤輝氏の PDF 『 等角共役とシムソン線の幾何学 』や、最近公開された kaede_Arcadia 氏の記事『 円錐曲線に慣れ親しもう 』に触れておくことが望ましいです。かつ、解説全体を通じ、有向角は $\mathrm{mod}\; \pi$ で一致するものを同一視して考えます(Evan Chen 氏の書籍『 Euclidean Geometry in Mathematical Olympiads 』の「1.5 Directed Angles」の項が参考になります)。
三角形における直線の等角共役は、3 頂点を通る(外接する)円錐曲線になることが知られています。特に、もとの直線が三角形の外心を通るとき、その等角共役は三角形の外接直角双曲線になり、こうして得られる双曲線を Poncelet 束と総称します(ここまでは先述の PDF に書いてあります)。問題D2を解き進めるための初手は、以下の Poncelet 束を発見することです。
基準三角形 $ABC$ の内接円を $\omega$ 、内心を $I$ とし、接触三角形を $DEF$ とする。$EI \cap FD = P_b$, $FI \cap DE = P_c$ とし、$\angle EDF$ の内角・外角の二等分線が直線 $EF$ とそれぞれ $K_a, L_a$ で交わるとする。このとき、5 点 $A, D, I, P_b, P_c$ を通る円錐曲線 $\eta_A$ は、三角形 $D K_a L_a$ における Poncelet 束に含まれる。

半直線 $AI$ と $\omega$ の交点を $A$ から近い順に $V_a, U_a$ とする。$\omega$ における弧長に注目し、3 点 $D, K_a, V_a$ および 3 点 $U_a, D, L_a$ の共線が従う。線分 $U_a V_a$ は $\omega$ の直径であるため、これは三角形 $U_a V_a L_a$ の垂心が $K_a$ であることを示している。$AI$ に関し $K_a$ と対称な点を $K_a'$とすれば、内角に注目し、四角形 $U_a L_a V_a K_a'$ は円に内接するといえる。いま、$AI \cap EF = M_{EF}$ とおくと、方べきの定理より $$AM_{EF} \times IM_{EF} = EM_{EF} \times FM_{EF} = U_a M_{EF} \times V_a M_{EF} = L_a M_{EF} \times K_a' M_{EF}$$ と計算できるため、四角形 $A L_a I K_a'$ も円に内接し、ゆえに 4 点の組 $(A, I, K_a, L_a)$ は垂心系をなす(どの 1 点も残り 3 点で作られる三角形の垂心になっている)。
有名性質より、垂心系をなす 4 点を通る円錐曲線は直角双曲線である。円錐曲線は独立な 5 点で一意に定まるため、5 点 $A, D, I, K_a, L_a$ を通る直角双曲線 $\eta_A'$ を一意に描くことができる。いま、$DF \cap EV_a = X_D$ とし、円 $\omega$ 上の 6 点の組 $(D, U_a, V_a, E, F, F)$ に Pascal の定理を適用すると、3 点 $A, L_a, X_D$ の共線が従う。また、6 点の組 $(D, K_a, L_a, A, I, P_b)$ において、$DK_a \cap AI = V_a$, $K_a L_a \cap I P_b = E$, $L_a A \cap P_b D = X_D$ が共線であるため、Pascal の定理の逆より、これらは同一の 2 次曲線上に存在する。すなわち、双曲線 $\eta_A'$ は点 $P_b$ を通り、対称性より点 $P_c$ も通るといえる。よって、$\eta_A$ も $\eta_A'$ も独立な 5 点 $A, D, I, K_a, L_a$ を通るため、$\eta_A = \eta_A'$ が確認できる。
加えて、直角三角形 $D K_a L_a$ に注目すれば、この垂心は明らかに点 $D$ である。いま、点 $D$ に限りなく近い $\eta_A$ 上の点 $D_x$ をとり、三角形 $D_x K_a L_a$ の垂心を $D_y$ としよう。$D_y$ もまた $\eta_A$ 上の点であり、かつ $D_y$ もまた三角形 $D K_a L_a$ の垂心 $D$ に限りなく近い。ゆえに、$D_x D_y$ の傾きは $\eta_A$ の $D$ における接線の傾きに限りなく近いため、$D_x D_y \perp K_a L_a$ に注目し、点 $D$ における $\eta_A$ の接線は $EF$ と直交する。すなわち、三角形 $D K_a L_a$ における $\eta_A$ の等角共役は三角形 $D K_a L_a$ の外心を通る直線となり、Theorem 0.1 が示された(垂心と外心の等角共役性に注目せよ)。 $\blacksquare$
この定理から、7 点 $A,$$D,$$I,$$K_a,$$L_a,$$P_b,$$P_c$ が同一直角双曲線上に並ぶといえます。大きな収穫です。さらに、内接円・内心を傍接円・傍心に置き換えることで、以下の Poncelet 束も考えられます。
基準三角形 $ABC$ の傍接円を $\omega_A$ 、傍心を $I_A$ とし、$\omega_A$ が作る接触三角形を $D_A E_A F_A$ とする。$E_A I \cap F_A D_A = P_B$, $F_A I \cap DE = P_C$ とし、$\angle E_A D_A F_A$ の内角・外角の二等分線が直線 $E_A F_A$ とそれぞれ $K_A, L_A$ で交わるとする。このとき、5 点 $A, D, I, P_B, P_C$ を通る円錐曲線 $\mathcal{H}_A$ は、三角形 $D K_A L_A$ における Poncelet 束に含まれる。
Theorem 0.1 の証明と同様に行えるため割愛する。 $\blacksquare$
さて、双曲線に関するいくつかの構図を、補題の形式で紹介します。
中心を $O$ とする円錐曲線 $h$ 上の 2 点 $P, Q$ を、$PQ$ が特定の直線 $u$ と平行になるように動かす。このとき、線分 $PQ$ の中点及び $h$ における $PQ$ の極は、いずれも $O$ を通る特定の直線 $u'$ 上を動く。
$h$ 上の 4 点 $P, Q, P', Q'$ が $PQ \parallel P'Q'$ を満たしているとし、線分 $PQ$ の中点を $M$ とする。$PP' \cap QQ' = X$、$PQ' \cap P'Q = Y$ とし、$h$ における $PQ$ の極を $Z$ とする。$h$ 上の 6 点の組 $(P, P, P', Q, Q, Q')$ に Pascal の定理を適用し、$X, Y, Z$ の共線を得る(この直線を $u'$ とする)。また、$u'$ は三角形 $XPQ$ の中線であるから、$M$ は $u'$ 上にある。円錐曲線の有名性質 [a] より $O, M, Z$ は共線であるため、$O$ も $u'$ 上にあると判明し、Lemma 0.2 が示された。 $\blacksquare$
中心を $O$ とする直角双曲線 $h$ 上に 2 点 $P_1, P_2$ をとる。線分 $P_1 P_2$ の中点を $M$ とすれば、2 直線 $OM, P_1 P_2$ がなす角の二等分線は、$h$ の 2 本の漸近線と平行である。
$h$ の漸近線を $l_1, l_2$ とし、$P_1 P_2 \cap l_1 = Q_1,$ $P_1 P_2 \cap l_2 = Q_2$ とおく。すると、三角形 $O Q_1 Q_2$ は直角三角形であるため、図全体を $l_1$ 方向に引き伸ばす、ないしは押し縮めることで、これを直角二等辺三角形へと変形させられる。変形後、図形 $a$ が移る先を $a^*$ で表せば、$h^*$ は $O^*$ を中心とする直角双曲線である(反比例のグラフが直角双曲線であったことを顧みよ)。ゆえに、対称性より $\overrightarrow{{P_1}^* {Q_1}^*} = \overrightarrow{{Q_2}^* {P_2}^*}$ が成り立ち、変形前の図において $M$ は線分 $Q_1 Q_2$ の中点でもある。これは三角形 $O Q_1 Q_2$ の外心が $M$ に一致することを表しており、Lemma 0.3 が示された。 $\blacksquare$
Theorem 0.1 の図において、$EF$ 上に任意の点 $P$ をとり、$IP$ が $\eta_{A}$ と再び交わる点を $P'$ とする。このとき、直線 $DP, DP'$ は $D K_a$ に関し対称である。

Tethered Moving Points と呼ばれる手法を用いる(kaede_Arcadia 氏の記事『
射影幾何の基礎とMoving Pointsについて
』を参照されたい)。点 $P \in EF$ を点 $P'_f (\ne P) \in \eta_A$ に送る写像 $f$ 、ならびに点 $P \in EF$ を点 $P'_g (\ne P) \in \eta_A$ に送る写像 $g$ を以下のように定義しよう。
$$\begin{cases}
f(P): & ((I, P, P'_f)\text{が同一直線上に並ぶような点}) \\
g(P): & \measuredangle EDP = \measuredangle P'_g DF
\end{cases}$$ 写像 $f, g$ はいずれも明らかに projective map である
[b]
。また、$P$ が $E, F$ と一致するとき、それぞれ $f(P) = g(P) = P_b, $ $f(P) = g(P) = P_c$ となる。加えて、$P$ が $M_{EF}$ (線分 $EF$ の中点)と一致するとき、$f(P) = A$ となるが、類似中線の性質より $g(P) = A$ が成り立ち、これにより異なる 3 点で $f(P) = g(P)$ が成立した。すなわち $f$ と $g$ は恒等的であり、Lemma 0.4 が示された。 $\blacksquare$
Theorem 0.1' の図において、$E_A F_A$ 上に任意の点 $P$ をとり、$I_A P$ が $\mathcal{H}_{A}$ と再び交わる点を $P'$ とする。このとき、直線 $D_A P, D_A P'$ は $D_A K_A$ に関し対称である。
Lemma 0.4 の証明と同様に行えるため割愛する。$\blacksquare$
Lemma 0.4 について、$D K_a$ に関し $DP$ と対称な直線が $IP$ と交わる点は一意ですから、Lemma 0.4 の逆も成立します。同じく、 Lemma 0.4' の逆も成立します。
ところで、Lemma 0.4' で行った点のとり方は、問題D2に登場する 2 つの条件と酷似しています。具体的に申し上げると、1 つ目の条件
を満足する点 $X$ の軌跡は、$\angle B$ について $\mathcal{H}_A$ と同様に定義した $\mathcal{H}_B$ そのものなのです。言わずもがな、$\angle C$ について $\mathcal{H}_A$ と同様に $\mathcal{H}_C$ を定義すれば、2 つ目の条件
を満足する点 $X$ の軌跡は $\mathcal{H}_C$ そのものです。ゆえに、問題D2で作図すべき $X_1, X_2$ は、直角双曲線 $\mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C$ の交点であると判明します。突拍子もなく現れた Poncelet 束が、もとの問題と繋がりました。次章にて、これらを厳密に定義し、その特徴を探っていきます。
問題D2という怪物を倒すべく、前章で $X_1, X_2$ の正体を突き止めました。ここまでの進捗をまとめ、以下の定義を行います。一気に多くの点を登場させますが、この定義は以降頻用するため、是非とも理解していただきたいです。念のため、GeoGebra アプリによる作図の一例を こちら に残しておきます。
基準三角形 $ABC$ の内接円を $\omega$ 、内心を $I$ とし、接触三角形を $DEF$ とする。また、$\angle A$ 内の傍接円を $\omega_A$ 、傍心を $I_A$ とし、$\omega_A$ が作る接触三角形を $D_A E_A F_A$ とする。$\angle B, \angle C$ についても同様に、$\omega_B, \omega_C$, $I_B, I_C$, $E_B, F_B, D_B$, $F_C, D_C, E_C$ を定める。
$\angle E_A D_A F_A$ の内角・外角の二等分線が直線 $E_A F_A$ とそれぞれ $K_A, L_A$ で交わるとし、同様に $K_B, L_B$, $K_C, L_C$ を定める。このとき、5 点 $A, D_A, I_A, K_A, L_A$ を通る直角双曲線 $\mathcal{H}_A$ 、5 点 $B, E_B, I_B, K_B, L_B$ を通る直角双曲線 $\mathcal{H}_B$ 、5 点 $C, F_C, I_C, K_C, L_C$ を通る直角双曲線 $\mathcal{H}_C$ が、つねに定義されるので、これらの中心をそれぞれ $O_A, O_B, O_C$ とおく。

先述の通り、$\mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C$ の 2 交点が $X_1, X_2$ となります。交点に注目したいところですが、一旦図の概形を眺めてみます。すると、$\mathcal{H}_A, \mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C$ の 2 本の枝が、それぞれ同じ向きへ遠ざかっていくように見えます。また、3 点 $O_A, O_B, O_C$ を結んで描かれる三角形は、基準三角形 $ABC$ と相似であるように見えます。以上を予想としてまとめます(議論を円滑にするため、順番を入れ替えました)。
これらが問題D2とどのように関連するかはともかく、示していきます。
Definition 1.0 で設えた定義は断りなく用います。Euler 線、およびそれと垂直に交わることが保証された垂軸が、予想証明の鍵となります。
Theorem 0.1 の図において、4 直線 $D P_b, P_b I, I P_c, P_c D$ が作る完全四辺形の Miquel 点を $D'$ とする。このとき、$\eta_A$ の中心 $O_a$ は線分 $DD'$ の中点である。
$P_{b}$ を通る $EF$ の平行線が $AC$ と $R_{c}$ で交わり、$P_{c}$ を通る $EF$ の平行線が $AB$ と $R_{b}$ で交わるとする。$\angle FDP_{c} = \angle FR_{b}P_{c}$ より $F, R_{b}, D, P_{c}$ は共円であるから、$\angle R_{b}DP_{c} = {90}^{\circ}$ である。いま、$\eta_A$ に外接する三角形 $D P_c R_b'$ が $\angle R_{b}' D P_{c} = {90}^{\circ}$ をみたすように $R_b'$ を設ければ、$\eta_A$ 上の 4 点の組 $(D, D, P_c, R_b')$ は垂心系をなさなければならないため、
Theorem 0.1
の証明に倣い、$D$ における $\eta_A$ の接線と $P_c R_b'$ は直交するといえる。すなわち $EF \parallel P_c R_b'$ であり、特に $R_b = R_b'$ が判明するので、$R_b$ は $\eta_A$ 上の点であると判る。同様に、$R_c$ も $\eta_A$ 上の点である。
$\eta_A$ における $D$ の対蹠点を $D''$ とすると、$D''$ における $\eta_A$ の接線もまた $EF$ と直交する。ゆえに、4 点の組 $(D'', D'', P_c, R_b)$ および $(D'', D'', P_b, R_c)$ がともに垂心系をなすと判り、$D''$ は線分 $P_c R_b$ を直径とする円、線分 $P_b R_c$ を直径とする円の双方に含まれる。これは $D' = D''$ と同値であるため、Lemma 1.1.1 が示された。 $\blacksquare$
4 直線 $D_A E_A, E_A I_A, I_A F_A, F_A D_A$ が作る完全四辺形の Miquel 点を $D_A'$ とする。このとき、$\mathcal{H}_A$ の中心 $O_A$ は線分 $D_A D_A'$ の中点である。同様に、4 直線 $E_B F_B, F_B I_B, I_B D_B, D_B E_B$ が作る完全四辺形の Miquel 点 $E_B'$ は点 $O_B$ に関する点 $E_B$ の鏡映であり、4 直線 $F_C D_C, D_C I_C, I_C E_C, E_C F_C$ が作る完全四辺形の Miquel 点 $F_C'$ は点 $O_C$ に関する点 $F_C$ の鏡映である。
Lemma 1.1.1 の証明と同様に行えるため割愛する。 $\blacksquare$
$O_A$ を通る $O_A D_A$ の垂線を $l_A$ とし、$l_B, l_C$ も同様に定める。このとき、三角形 $I_A B C, I_B C A, I_C A B$ の Euler 線はそれぞれ $O_A D_A, O_B E_B, O_C F_C$ と平行であり、垂軸はそれぞれ $l_A, l_B, l_C$ である。

三角形 $I_A B C$ についてのみ示せば、対称性から残りも示される。$O_A$ に関して $D_A$ と対称な点を $D_A'$ とし、三角形 $I_A B C$ の垂心、外心をそれぞれ $H_A, V_A$ とする。有名性質より四角形 $I B H_A C$ は平行四辺形であり、$\dfrac{B H_A}{B V_A} = \dfrac{I C}{V_A C}$ となる。Trillium の定理から得られる二等辺三角形 $V_A C I, I_A D_A F_A$ の相似に注目し、$\dfrac{I C}{V_A C} = \dfrac{F_A D_A}{I_A D_A} = \dfrac{F_A D_A}{I_A E_A}$ となる。また、
Lemma 1.1.1'
より $D_A'$ は四角形 $D_A E_A I_A F_A$ の Miquel 点、すなわち三角形 $D_A' F_A D_A, D_A' I_A E_A$ の回転相似の中心であることに留意し、$\dfrac{F_A D_A}{I_A E_A} = {D_A' D_A}{D_A' E_A}$ である。以上をまとめ、$\dfrac{B H_A}{B V_A} = \dfrac{D_A' D_A}{D_A' E_A}$ が判る。
有向角を用いた角度追跡を行おう。$I_A E_A \cap F_A D_A = W_{A1}$ とすれば、Miquel の定理より 4 点 $D_A, E_A, W_{A1}, D_A'$ は共円であるため、以下のように追跡できる。
$$\measuredangle H_A B V_A = \measuredangle (CI, V_A B) = \measuredangle (CA, I_A B) = \measuredangle (I_A E_A, F_A D_A) = \measuredangle E_A W_{A1} D_A = \measuredangle E_A D_A' D_A$$ 先程示した $\dfrac{BH_A}{BV_A} = \dfrac{D_A' D_A}{D_A' E_A}$ とこの結果を併せ、三角形 $H_A B V_A, D_A D_A' E_A$ は負の向きに相似である。ゆえに $\measuredangle B H_A V_A = \measuredangle E_A D_A D_A'$ が従い、これと $B H_A \parallel D_A E_A$ より、$H_A V_A \parallel O_A D_A$ が確定する。定義から $H_A V_A$ こそが三角形 $I_A B C$ の Euler 線であり、ここで補題の前半が示された。
$BC \cap E_A F_A = M_A$ とする。$M_A$ を中心とする半径 $M_A D_A$ の円は $\omega_A$ と直交するため、この円における反転で $E_A$ と $F_A$ が写りあう。すなわち、この円は 2 点 $E_A, F_A$ からの距離の比が $E_A D_A : F_A D_A$ である点の軌跡として描かれる Apollonius の円に一致し、特に 2 点 $K_A, L_A$ を通る(一般に、Apollonius の円は角の二等分線と対辺の交点を通る)。傍心に対する Iran lemma より、$B$ から $I_A C$ へ下ろした垂線の足、$C$ から $I_A B$ へ下ろした垂線の足はいずれも $E_A F_A$ 上に存在するため、定義から $M_A$ は垂軸に含まれる。Poncelet 束の有名性質
[c]
および $\angle K_A D_A L_A = {90}^{\circ}$ より、$D_A'$ は三角形 $D_A K_A L_A$ の外接円と $\mathcal{H}_A$ の第 4 交点であるため、$O_A M_A$ は線分 $D_A D_A'$ の垂直二等分線となる。Euler 線と垂軸の直交性を思い出せば、$O_A M_A$ は $l_A$ に一致すると断定でき、Lemma 1.1.2 が示された。 $\blacksquare$
さて、Encyclopedia of Triangle Centers によれば、基準三角形の Feuerbach 点 $X(11)$ の anticomplement (重心 $G$ を中心とし $-2$ 倍拡大を行った点)は $X(100)$ と、かつその antipode (外接円上の点を外心 $O$ で対称移動した点)は $X(104)$ と、各々定められています。括弧の中の数字が大きいですね。可読性のために、以下の定義をしておきます。
慣用的な命名規則に従い、$X(1) = I,$ $X(2) = G,$ $X(3) = O,$ $X(4) = H,$ $X(5) = N,$ $X(6) = L,$ $X(7) = Ge,$ $X(8) = Na,$ $X(9) = Mi,$ $X(10) = Sp,$ $X(11) = Fe$ と定める。$n \ge 12$ について、$X_n$ で基準三角形 $ABC$ の $X(n)$ を表すことにする(問題D2のステートメントで $X_1, X_2$ を既に定義してしまったため、それらと混同しないように注意されたい)。加えて、基準三角形 $ABC$ の Feuerbach 双曲線 を $\mathcal{F}$ 、三角形 $I_A I_B I_C$ の Jerabek 双曲線 を $\mathcal{J}_I$ とする。
例えば、基準三角形の Jerabek 双曲線の中心は $X(125)$ なので、以下では $X_{125}$ と表記されます。Definition 1.1.3 で挙げた表記も利用し、議論を進めます。
円 $ABC$ と $\mathcal{F}$ の第 4 交点は $X_{104}$ であり、$\mathcal{J}_I$ の中心は $X_{100}$ である。
$\mathcal{J}_I$ の中心、円 $ABC$ と $\mathcal{F}$ の第 4 交点 を各々 $Y_{100}, Y_{104}$ とおく。$I_B I_C$ に関する $I, X_{40}$ の対蹠点を $I', X_{40}'$ とし、$I' X_{40}'$ と円 $I_A I_B I_C$ の交点を $Y_{1768} (\neq I')$ とする。また、$\mathcal{J}_I$ における $I_A, I$ の対蹠点をそれぞれ $I_A', Y_{5541}$ とする。
Poncelet 束の有名性質
[d]
より、$Fe$ は線分 $H Y_{104}$ の中点である。anticomplement の定義より $\dfrac{Fe X_{100}}{X_{100} G} = \dfrac{3}{2}$, $\dfrac{GO}{OH} = \dfrac{1}{3}$ なので、三角形 $FeGH$ における Menelaus の定理の逆より、3 点 $X_{100}, O, Y_{104}$ は共線となる。ここから $Y_{104} = X_{104}$ が判り、補題の前半が示される。
いま、四角形 $I I_A Y_{5541} X_{40}$ は $\mathcal{J}$ に内接するため、直角双曲線の有名性質
[e]
より $\measuredangle X_{40} I I_A = \measuredangle I_A Y_{5541} X_{40}$ である。したがって、$\measuredangle I_A I' Y_{1768} = \measuredangle X_{40} I I_A = \measuredangle I_A Y_{5541} X_{40}$ と追跡され、円周角の定理と併せて線分 $Y_{1768} Y_{5541}$ は円 $I_A I_B I_C$ の直径であると判明する。また、Simson 線の性質より、三角形 $ABC$ における $X_{104} (= Y_{104})$ の等角共役点は $OI$ 方向の無限遠点であるため、$A$ を通る $O X_{40}$ の平行線と $A X_{104}$ は $I_B I_C$ に関して対称である。このことは、$A X_{104} \parallel I' Y_{1768}$ 、つまり $X_{104}$ が線分 $I Y_{1768}$ の中点であることを意味し、$I$ を中心とする相似拡大から、線分 $Y_{100} X_{104}$ が円 $ABC$ の直径であると導かれる。ゆえに $Y_{100} = X_{100}$ が確定し、Lemma 1.1.4 が示された。 $\blacksquare$
ちなみに、凄まじく頑張れば $Y_{1768} = X_{1768}$ や $Y_{5541} = X_{5541}$ を示すこともできます(あるいは Encyclopedia of Triangle Centers で $X(1768)$ や $X(5541)$ を検索することにより補題証明の一部をショートカットできます)。ですが、以降の議論でこれらの事実を用いないため、特に証明せず進みます。
三角形 $I_A B C, I_B C A, I_C A B$ の Euler 線は、いずれも点 $X_{100}$ を通る。

Lemma 1.1.4
の証明で定義した点の名称はそのまま用いる。また、$I_A$ を通る $OI$ の平行線が円 $I_A I_B I_C$ と再び交わる点を $L_1$ とし、$OI$ と $I_A' Y_{5541}$ の交点を $L_2$ とする。
Lemma 1.1.4 より、$X_{100}$ は $\mathcal{J}_I$ の中心である。$Y_{5541}$ は $\mathcal{J}_I$ と円 $I_A I_B I_C$ の第 4 交点であるため、Poncelet 束の有名性質
[f]
より、三角形 $I_A I_B I_C$ における $Y_{5541}$ の等角共役点は $OI$ 方向の無限遠点となる。すなわち、$I_A L_1$ と $I_A Y_{5541}$ は $\angle I_B I_A I_C$ の二等分線に関して対称であると判明し、特に四角形 $I_A Y_{5541} L_2 I$ は $I I_A \parallel L_2 Y_{5541}$ の等脚台形であることが従う。三角形 $I_A I_B I_C$ において $I, X_{40}$ が等角共役である事実と併せ、$\measuredangle Y_{5541} L_2 X_{40} = \measuredangle I I_A L_1 = \measuredangle Y_{5541} I_A X_{40}$ と計算できるため、4 点 $I_A, X_{40}, L_2, Y_{5541}$ は共円である。三角形 $I_A B C$ の垂心、外心をそれぞれ $H_A, V_A$ とすれば(
Lemma 1.1.2
の証明で既出)、三角形 $I_A B C, I_A I_B I_C$ の相似において対応する頂点を結ぶことで、$\measuredangle I_A X_{40} I = \measuredangle H_A V_A I_A$ を得る。以上より、
$$\measuredangle I_A' I I_A = \measuredangle I_A Y_{5541} L_2 = \measuredangle I_A X_{40} I = \measuredangle H_A V_A I_A$$という角度追跡に基づき、$I_A' I \parallel H_A V_A$ と導かれる。$V_A$ は線分 $I I_A$ の中点であるため、平行四辺形 $I_A I I_A' Y_{5541}$ の中心が $X_{100}$ である事実と併せ、3 点 $H_A, V_A, X_{100}$ は共線であるといえる。$H_A V_A$ こそが三角形 $I_A B C$ の Euler 線であり、同様の議論を三角形 $I_B C A, I_C A B$ についても行うことで、Lemma 1.1.5 が示された。 $\blacksquare$
これらの補題を用いつつ、いよいよ、大きな進捗を生み出します。$l_B \cap l_C = J_A$, $l_C \cap l_A = J_B$, $l_A \cap l_B = J_C$ と定め、三角形 $I_A B C, I_B C A, I_C A B$ の Euler 線をそれぞれ $e_A, e_B, e_C$ と定めます。また、線分 $K_A L_A, K_B L_B, K_C L_C$ の中点を各々 $M_A, M_B, M_C$ とし($M_A$ は既出)、$e_B \cap l_B = L_3$, $e_C \cap l_C = L_4$, $l_C \cap A I_C = R_{CA}$, $l_C \cap B I_C = R_{CB}$ と名づけておきます。
三角形 $ABC$ と三角形 $O_A O_B O_C$ は負の向きに相似である。

簡単な角度計算により、三角形 $A I_B C, A B I_C$ は正の向きに相似であると判り、その回転相似の中心は $A$ である。従って、図形を図形に送る写像 $g$ を
$$g(x) = \left({\text{$A$ を中心に図形 $x$ を $\measuredangle I_B A B$ だけ回転させ、同じく $A$ を中心に $\dfrac{A B}{A I_B}$ 倍拡大した図形}}\right)$$と定義すれば、$g(I_B) = B$, $g(C) = I_C$, $g(e_B) = e_C$, $g(l_B) = l_C$ が成立する。ここから
$$g(L_3) = g(e_B \cap l_B) = g(e_B) \cap g(l_B) = e_C \cap l_C = L_4$$が従い、写像 $g$ により図形が回転する角度を考えれば、4 点 $X_{100}, J_A, L_3, L_4$ は線分 $X_{100} J_A$ を直径とする円に含まれるといえる(
Lemma 1.1.5
で $e_B \cap e_C = X_{100}$ を示した)。さらに、$\measuredangle L_3 A L_4 = \measuredangle L_3 A g(L_3)$$= \measuredangle (l_B, g(l_B)) = \measuredangle L_3 J_A L_4$ であるから、$A$ もこの円上に存在する。ゆえに $AJ \perp AX_{100}$ が明らかとなり、$X_{100}, X_{104}$ が基準三角形 $ABC$ の antipode であった事実に鑑み、3 点 $A, X_{104}, J_A$ の共線が確定する。なお、三角形 $I_A B C, A I_B C$ や三角形 $A B I_C, I_A B C$ の回転相似に注目して同様の考察を行えば、三角形 $J_A J_B J_C$ の内角がすべて判明し、三角形 $I_A I_B I_C$ と三角形 $J_A J_B J_C$ は負の向きに相似であると導かれる。
さて、$\measuredangle M_B A R_{CA} = \measuredangle M_B J_A R_{CA}$ が簡単に判るため、4 点 $A, M_B, J_A, R_{CA}$ は共円である。
$$g(M_B) = g(l_B \cap AC) = g(l_B) \cap g(AC) = l_C \cap A I_C = R_{CA}$$および $g(C) = I_C$ から $M_B R_{CA} \parallel C I_C$ が成立するため、様々な共線関係を用いつつ、
$$\begin{align*}
\measuredangle J_A R_{CB} I_A &= \measuredangle R_{CB} R_{CA} I_C + \measuredangle R_{CA} I_C R_{CB} = \measuredangle J_A R_{CA} M_B + \measuredangle M_B R_{CA} A + \measuredangle A I_C B \\
&= \measuredangle J_A A M_B + \measuredangle M_B R_{CA} A + \measuredangle A I_C B = \measuredangle X_{104} A C + \measuredangle C I_C A + \measuredangle A I_C B \\
&= \measuredangle X_{104} A C + \measuredangle C A I_A = \measuredangle X_{104} A I_A = \measuredangle J_A A I_A
\end{align*}$$と計算できる。この式変形の両端を見れば、4 点 $A, I_A, R_{CB}, J_A$ はある円 $\kappa$ の周上に並ぶことが従う。ところで、$BC \cap I_B I_C = T_A$ とすると、定義より $T_A$ は三角形 $I_A I_B I_C$ の垂軸に乗っている。三角形 $I_A I_B I_C, A B I_C$ の相似において、$T_A$ と $R_{CB}$ は対応する点であるから(いずれも特定の辺と垂軸の交点である)、$\dfrac{B I_C}{R_{CB} I_C} = \dfrac{I_B I_C}{T_A I_C}$ 、ひいては三角形 $I_B I_C B, T_A I_C R_{CB}$ の相似を得る(厳密に言えば、比の表記により線分の向きの情報を失っているが、その点は文脈と図で適宜補完していただきたい)。ゆえに $\measuredangle T_A R_{CB} I_A = {90}^{\circ}$ であり、明らかに判る $\measuredangle T_A A I_A = {90}^{\circ}$, $\measuredangle T_A D_A I_A = {90}^{\circ}$ と併せ、6 点 $A, I_A, R_{CB}, J_A, D_A, T_A$ はいずれも線分 $T_A I_A$ を直径とする円 $\kappa$ 上の点である。
$\mathcal{H}_A$ に内接する四角形 $A D_A I_A D_A'$ において、直角双曲線の有名性質
[g]
より $\measuredangle A D_A I_A = \measuredangle I_A D_A' A$ が従う。いま、四角形 $I_A D_A' A J_A'$ が平行四辺形となるように点 $J_A'$ をとると、$\measuredangle A J_A' I_A = \measuredangle I_A D_A' A = \measuredangle A D_A I_A$ より、 4 点 $A, D_A, I_A, J_A'$ は共円であり、特に $J_A'$ は $\kappa$ 上に存在する。ここで
Theorem 0.1
の証明を思い出せば、点 $D_A$ における $\mathcal{H}_A$ の接線 $t_A$ は $A I_A$ と平行であるため、
Lemma 0.2
を $t_A, A I_A$ に適用し、$O_A D_A$ は線分 $A I_A$ の中点を通るといえる。これは 4 点 $D_A', O_A, D_A, J_A'$ の共線を意味しており、
Lemma 1.1.2
および
Lemma 1.1.5
を用いつつ、以下のように角度追跡を行える。
$$\begin{align*}
\measuredangle J_A' A I_A &= \measuredangle J_A' D_A I_A = \measuredangle O_A D_A I_A = \measuredangle (D_A O_A, D_A I_A) = \measuredangle (e_A, V_A O) \\
&= \measuredangle (V_A X_{100}, V_A O) = \measuredangle X_{100} V_A O = \measuredangle O X_{100} V_A = \measuredangle X_{104} X_{100} V_A = \measuredangle X_{104} A I_A
\end{align*}$$ 式変形の両端を見れば、3 点 $A, X_{104}, J_A'$ の共線が判り、$J_A'$ が $\kappa$ の周上に乗る事実と併せ、$J_A' = J_A$ が確定する。結局、$O_A$ は $J_A$ から $l_A$ に下ろした垂線の足である。$J_B, J_C$ でも同様にして、三角形 $O_A O_B O_C$ は三角形 $J_A J_B J_C$ の垂足三角形であるため、三角形 $I_A I_B I_C, J_A J_B J_C$ の相似に鑑み、Theorem 1.1.6 が示された。 $\blacksquare$
Theorem 1.1.6 で得た負の向きの相似を、もう一段階掘り下げてみましょう。線分 $BC, CA, AB$, $O_B O_C, O_C O_A, O_A O_B$ の中点をそれぞれ $N_A, N_B, N_C$, $N_A', N_B', N_C'$ とし、線分 $A D, A D_A, A R_A, D_A I_A$ の中点をそれぞれ $M_{AD}, M_{ADa}, M_{ARa}, M_{DaIa}$ とします。また、三角形 $J_A J_B J_C$ の垂心を $Y_{1145}$ とし、その anticomplement を $Y_{1320}$ とします(慣例通り、最終的には $Y_{1145} = X_{1145}$ や $Y_{1320} = X_{1320}$ が判りますが、これを示せなくても大筋に影響はありません)。
3 本の直線 $A D_A', B E_B', C F_C'$ は、いずれも $Y_{1320}$ を通る。
内接円 $\omega$ に関する $D$ の対蹠点を $S$ 、傍接円 $\omega_A$ に関する $D$ の対蹠点を $S_A$ と定める。まず、三角形 $D_A A D_A', D_A M_{ADa} O_A$ の相似や三角形 $D S D_A, D I N_A$ の相似に注目し、$A D_A' \parallel M_{ADa} O_A$, $A D_A \parallel I N_A$ を確かめておく。また、$A, D_A$ を焦点にもち $B, C$ を通る楕円を考えれば、楕円の有名性質
[h]
より、$I_A B, I_A C$ はいずれもこの楕円の接線であるから、
Lemma 0.2
を $BC$ に適用することで、3 点 $M_{ADa}, N_A, I_A$ の共線が判る。
すると、三角形 $I_A I_B I_C, J_A J_B J_C$ の相似において、$I$ と $Y_{1145}$ は対応するので、$\dfrac{I_A N_A}{N_A M_{ADa}} = \dfrac{I_A I}{I A} = \dfrac{J_A Y_{1145}}{Y_{1145} O_A}$ と計算できる。$M_{ADa} O_A \parallel A D_A' \parallel J_A I_A$ であるから、四角形 $M_{ADa} J_A I_A O_A$ の対角線に注目し、 $M_{ADa} O_A \parallel N_A Y_{1145}$ が従う。$N_A$ の anticomplement は $A$ であるため、$G$ を中心に $N_A Y_{1145}$ を $-2$ 倍拡大した直線こそが $A Y_{1320}$ となる。$N_A Y_{1145} \parallel M_{ADa} O_A \parallel A D_A'$ より、$Y_{1320}$ は $A D_A'$ 上に存在するため、$B E_B', C F_C'$ でも同様に議論し、Lemma 1.2.1 が示された。 $\blacksquare$
三角形 $ABC$ と三角形 $O_A O_B O_C$ の mittenpunkt は一致する。

三角形 $O_A O_B O_C$ の mittenpunkt を ${Mi}_O$ とし、${Mi}_O \neq Mi$ であると仮定する。三角形 $I_A I_B I_C, J_A J_B J_C$ の相似において、$N_A$ と $N_A'$ は対応するので、$\measuredangle I_A I N_A = -\measuredangle N_A' Y_{1145} J_A$ である。これと $A D_A \parallel I N_A$, $N_A Y_{1145} \parallel A D_A'$ より、
$$\measuredangle N_A Y_{1145} J_A = \measuredangle A D_A' J_A = \measuredangle I_A J_A D_A' = \measuredangle I_A A D_A = \measuredangle I_A I N_A = \measuredangle J_A Y_{1145} N_A'$$と計算され、3 点 $Y_{1145}, N_A, N_A'$ の共線が従い、特に $A D_A' \parallel I_A J_A \parallel N_A N_A'$ となる。
いま、$Mi, {Mi}_O$ の定義より、これらはそれぞれ $I_A N_A, J_A N_A'$ 上に存在し、かつ $\dfrac{I_A N_A}{N_A Mi} = \dfrac{J_A N_A'}{N_A' {Mi}_O}$ が成立するため(相似な三角形の mittenpunkt 同士は対応する)、$N_A N_A' \parallel Mi {Mi}_O$ でなければならない。これは $Mi {Mi}_O \parallel A D_A'$ を意味しており、$N_B N_B', N_C N_C'$ でも同様に議論し、3 直線 $A D_A', B E_B', C F_C'$ はいずれも $Mi {Mi}_O$ に平行であると導かれる。しかしながら、この主張は
Lemma 1.2.1
に矛盾する。ゆえに、当初の仮定が誤っており、Lemma 1.2.2 が示された。 $\blacksquare$
一般に、三角形 $P_1 P_2 P_3, Q_1 Q_2 Q_3$ が負の向きに相似であることを証明したい場合、「三角形 $O' P_2 P_3, O' Q_2 Q_3$ 、三角形 $O' P_3 P_1, O' Q_3 Q_1$ 、三角形 $O' P_1 P_2, O' Q_1 Q_2$ がそれぞれ相似となるような点 $O'$ を平面上に与える」という手法が知られています( 2025 年 JMO 本選 の第 5 問などが好例です)。Lemma 1.2.2 はこの手法を逆用し、負の向きに相似な三角形 $ABC, O_A O_B O_C$ を先に見つけてから、平面上の点 $Mi$ がこのような相似条件をみたすものと主張しています。
さて、図形を図形に送る写像 $f$ を、以下のように定義します。
$$f(x) = \left({\text{$\angle A Mi O_A$ の二等分線で図形 $x$ を対称移動させたのち、$Mi$ を中心に $\dfrac{Mi O_A}{Mi A}$ 倍拡大した図形}}\right)$$
Theorem 1.1.6
および
Lemma 1.2.2
より、これは三角形 $ABC$ を三角形 $O_A O_B O_C$ に送る写像です。$g(I_A) = J_A$, $g(N_A) = N_A'$ も明らかです($I_B, I_C, N_B, N_B'$ についても同様です)。
Lemma 1.2.2
より、$Mi$ は写像 $g$ における不動点となります。また、$f$ の逆写像を $f^{-1}$ と表記します(すなわち $f(f^{-1}(x)) = f^{-1}(f(x)) = x$ です)。
三角形 $J_A J_B J_C$ の外心は $X_{104}$ である。
有名性質より、3 直線 $I_A D_A, I_B E_B, I_C F_C$ はいずれも基準三角形 $ABC$ の Bevan 点 $X_{40}$ を通る。いま、
Theorem 1.1.6
の証明で用いた円 $\kappa$ に注目すれば、
$$\begin{align*}
\measuredangle J_C J_A X_{104} &= \measuredangle J_C J_A Y_{1145} + \measuredangle D_A J_A A = -\measuredangle f^{-1}(J_C) f^{-1}(J_A) f^{-1}(Y_{1145}) + \measuredangle D_A I_A A \\
&= -\measuredangle I_C I_A I + \measuredangle D_A I_A I = \measuredangle D_A I_A I + \measuredangle I I_A I_C = \measuredangle D_A I_A I_C
\end{align*}$$と追跡できる。$\measuredangle J_A J_C X_{104}$ からも同様の追跡を行い、$\measuredangle J_A J_C X_{104} = \measuredangle F_C I_C I_A$ を得る。三角形 $X_{40} I_A I_C$ は二等辺三角形であるため、$\measuredangle X_{40} I_A I_C = -\measuredangle X_{40} I_C I_A$ が成り立ち、$\measuredangle J_C J_A X_{104} = -\measuredangle J_A J_C X_{104}$ 、すなわち三角形 $X_{104} J_A J_C$ が $X_{104} J_A = X_{104} J_C$ の二等辺三角形であることが確定する。図の対称性から $X_{104} J_A = X_{104} J_B$ なども同様に導かれ、Lemma 1.2.3 が示された。 $\blacksquare$
$\angle A Mi O_A$ の二等分線は、$\mathcal{F}$ の漸近線のいずれか一方と平行である。
双曲線 $\mathcal{C}_H$ の漸近線 2 本の集合を $\beta(\mathcal{C}_H)$ で、2 直線 $l_u, l_v$ がなす角の二等分線 2 本の集合を $\beta(l_u, l_v)$ でそれぞれ表し、集合 $\mathcal{S}_1, \mathcal{S}_2$ が含む無限遠点が一致することを便宜上 $\mathcal{S}_1 \parallel \mathcal{S}_2$ と表す。
anticomplement の関係に注目し、 $Fe N_A \parallel X_{100} A \perp A X_{104}$ である。これと
Lemma 1.2.3
から得られる $J_A X_{104} \perp O_B O_C$ を併せ、$Fe N_A \parallel O_B O_C$ が判明する。いま、$B, C$ は $\mathcal{F}$ 上の点であるから、
Lemma 0.3
より、$\beta(Fe N_A, B C)$、すなわち $\angle Fe N_A B$ の内角・外角の二等分線は $\beta(\mathcal{F})$ と平行である。$Fe N_A \parallel O_B O_C$ より、これは $\beta(\mathcal{F}) \parallel \beta(BC, O_B O_C)$ であることを意味する。写像 $f$ の定義より、$\angle A Mi O_A$ の二等分線で $BC$ を対称移動させた直線 $a_f$ は $O_B O_C$ と平行になるため、$\beta(\mathcal{F}) \parallel \beta(BC, O_B O_C)$ $ \parallel \beta(BC, a_f) \parallel \beta(Mi A, Mi O_A)$ と導かれ、Lemma 1.2.4 が示された。 $\blacksquare$
Feuerbach 双曲線 $\mathcal{F}$ を描いたことにより、当初予想していた平行が、さらに大きな性質の系であることが判ります。つまり、以下の主張が成立します。
$\mathcal{F}, \mathcal{H}_A, \mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C$ の漸近線は、いずれも平行である。

$A, I_A$ は $\mathcal{H}_A$ 上の点であるから、 Lemma 0.3 より、$\beta(\mathcal{H_A}) \parallel \beta(O_A M_{AIa}, A I_A)$ を得る。写像 $f$ の定義および Lemma 1.2.4 を用いれば、$\beta(\mathcal{F}) \parallel \beta(O_A Y_{1145}, A I)$ を得る($\because$ $O_A X_{1145} = f(A)f(I)$)。$\beta(O_A M_{AIa}, A I_A)$ と $\beta(O_A Y_{1145}, A I)$ は一致するため、結局 $\mathcal{F}, \mathcal{H}_A$ の漸近線は平行であると導かれる。$\mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C$ でも同様に議論し、Theorem 1.2.5 が示された。 $\blacksquare$
Theorem 1.1.6 の相似が見えていれば、Theorem 1.2.5 はすぐに示せましたね。ちなみに、Melid 氏により、Theorem 1.1.6 を用いない証明も与えられていますが、それなりに長いため、生憎省略いたします。
前章で示した 2 つの定理が決して寄り道などではなく、問題D2の解決へと密接に関わることを、本章で説明します。これまで通り、順番に補題を示していきましょう。
$\mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C$ の無限遠点でない交点は、三角形 $ABC$ の形状によらず 2 個存在する。
Theorem 0.1
の証明を応用し、点 $D_A$ における $\mathcal{H}_A$ の接線は $A I_A$ と平行であることが判る。同様に、点 $E_B$ における $\mathcal{H}_B$ の接線は $B I_B$ と平行であり、点 $F_C$ における $\mathcal{H}_C$ の接線は $C I_C$ と平行である。いま、線分 $A I_A$ を直径にもつ円 $c_A$ を描くと、4 点 $A, D_A, I_A, J_A$ の共円より、
$${A M_{AIa}}^2 = {D_A M_{AIa}} \times {J_A M_{AIa}} = {D_A M_{AIa}} \times {D_A' M_{AIa}}$$と計算され、$D_a$ と $D_a'$ は $c_A$ における反転で移りあう。
$${O_A M_{AIa}}^2 = \left(\frac{{D_A M_{AIa}} + {D'_A M_{AIa}}}{2}\right)^2 > {D_A M_{AIa}} \times {D_A' M_{AIa}}$$より、$O_A$ は $c_A$ の外部にあり、線分 $O_A D_A$ と $c_A$ はただ 1 つの点 $D_Q$ を共有する。${90}^{\circ} = \measuredangle A D_Q I_A > \measuredangle A O_A I_A$ より、2 点 $A, I_A$ は $\mathcal{H}_A$ の同じ側の枝に乗っている
[i]
。また、明らかに $\angle A D_A I_A > {90}^{\circ}$ であるため、$\mathcal{H}_A$ の弧 $A I_A$ は $D_A$ を通ると示される。同様に、3 点 $B, E_B, I_B$ は $\mathcal{H}_B$ の一続きの弧で結ばれ、3 点 $C, F_C, I_B$ は $\mathcal{H}_C$ の一続きの弧で結ばれる。
半直線 $C I_C$ 方向の無限遠点を $C_{\infty}$ とする。$AB < BC$ のとき、$E_B, C$ は $B I_B$ について同じ側に存在し、$I_C$ は反対側に存在する。$E_B$ における $\mathcal{H}_B$ の接線は $B I_B$ と平行であり、この接線と $B I_B$ に挟まれた帯状の領域を $\mathcal{D}_B$ とおけば、$C, I_C$ は $\mathcal{D}_B$ により隔てられている。同様に、$F_C$ における $\mathcal{H}_C$ の接線と $C I_C$ に挟まれた帯状の領域を $\mathcal{D}_C$ とおく。いま、 $F_C$ は四角形 $B C I_B I_C$ の内部に存在するため、三角形 $I_A I_B I_C$ が鋭角三角形であることより、2 点 $C, F_C$ は四角形 $B C I_B C_{\infty}$ の内部に存在する。円錐曲線と直線の交点は高々 2 つであることに留意すると、$\mathcal{H}_C$ の弧 $C I_C$ は $\mathcal{D}_C$ の内部もしくは境界のみを通ると判り、特に四角形 $B C I_B C_{\infty}$ の外部へ出ることはない。したがって、双曲線の弧 $B I_B, C I_C$ の連続性より、$\mathcal{H}_C$ の弧 $C I_C$ が $\mathcal{D}_B$ を横切るとき、少なくとも 1 回は $\mathcal{H}_B$ の弧 $B I_B$ と交わる。「漸近線が平行な双曲線同士は、共有点をもたないか、1 点で接するか、もしくは 2 点で交わる」という事実が一般に成り立つため、
Theorem 1.2.5
と併せ、このとき $\mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C$ は 2 点で交わるものと解される。$AB > BC$ のときも同様にして、Lemma 2.1 が示された。 $\blacksquare$
漸近線が平行な 2 本の双曲線 $h_1, h_2$ が 2 点で交わるとき、共通弦がなす直線を $l(h_1, h_2)$ と表記する。このとき、$l(\mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C)$, $l(\mathcal{H}_C, \mathcal{H}_A)$, $l(\mathcal{H}_A, \mathcal{H}_B)$ が定義でき、かつこれらは $f^{-1} (Fe)$ を通る。

$l(\mathcal{H}, \mathcal{H}_A)$ と $\mathcal{H}$ は $A$ ともう 1 点で交わっているため、その点を $R_A$ とする。線分 $A R_A$ の中点 $M_{ARa}$ を拵えれば、$\mathcal{H}$ の弦 $A R_A$ に
Lemma 0.3
を適用し、$\beta(\mathcal{F}) \parallel \beta(Fe M_{ARa}, A R_A)$ である($\because$ $\mathcal{F}$ の中心は $Fe$ であるため)。$\mathcal{H}_A$ の弦 $A R_A$ にも
Lemma 0.3
を適用し、$\beta(\mathcal{H}_A) \parallel \beta(O_A M_{ARa}, A R_A)$ である。
Theorem 1.2.5
より $\beta(\mathcal{F}) \parallel \beta(\mathcal{H}_A)$ であるから、3 点 $Fe, M_{ARa}, O_A$ の共線が従う。 $f^{-1} (O_A Fe) = A f^{-1} (Fe)$ であり、また $f^{-1} (O_A Fe)$ は $\mathcal{F}$ の漸近線の一方で $O_A Fe$ を対称移動させた直線と平行であるため、ここから $f^{-1} (O_A Fe)$ と $AR_A$ の一致が判る。ゆえに、直線 $AR_A$ 、すなわち $l(\mathcal{F}, \mathcal{H}_A)$ は特に $f^{-1} (Fe)$ を通る。同様に、$l(\mathcal{F}, \mathcal{H}_B),$ $l(\mathcal{F}, \mathcal{H}_C)$ も $f^{-1} (Fe)$ を通っている。
Lemma 2.1
より、$l(\mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C),$ $l(\mathcal{H}_C, \mathcal{H}_A),$ $l(\mathcal{H}_A, \mathcal{H}_B)$ が定義できる。いま、3 本の双曲線 $\mathcal{F}, \mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C$ は各漸近線方向の無限遠点、すなわち 2 点を共有すると解釈できるため、three conics theorem を $\mathcal{F}, \mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C$ に適用し、$l(\mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C)$ は $f^{-1} (Fe)$ を通ることが確定する。対称性より、$l(\mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C)$, $l(\mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C)$ も $f^{-1} (Fe)$ を通り、Lemma 2.2 が示された。 $\blacksquare$
前触れなく three conics theorem を登場させましたが、もしもご存じでない読者がいらっしゃったならば、Wolfram MathWorld の記事『
Three Conics Theorem
』 等を各自で参照してください。
何はともあれ、Lemma 2.2 の主張は非常に強いです。思い返すと、問題D2は $l(\mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C)$ が必ず通る点を求めるものであったため、$l(\mathcal{H}_B, \mathcal{H}_C)$, $l(\mathcal{H}_C, \mathcal{H}_A)$, $l(\mathcal{H}_A, \mathcal{H}_B)$ の共点とし、具体的に $f^{-1} (Fe)$ という解答を用意できたことになります。あとは $X(n) = f^{-1} (Fe)$ 、すなわち $f(X_n) = Fe$ となる自然数 $n$ を探すだけです。より分かりやすく書くならば、問題D2の長いステートメントを 、「$Fe$ は三角形 $O_A O_B O_C$ の何番目の中心に一致するか」という単純明快な疑問に帰着させられたのです。
GeoGebra 等を用いた数値実験により、$n = 200$ なのではないか、という予想が立ちます。それを確かめるべく、以下の定義を設けます。cevian triangle および anticevian triangle についても、Wolfram MathWorld にそれぞれ『 Cevian Triangle 』、『 Anticevian Triangle 』という記事があるため、適宜参照してください。Wolfram MathWorld の記事『 Ceva Conjugate 』も読んでおくと、よりスムーズな理解を得られるものと考えます。
三角形 $ABC$ における $Na$ の cevian triangle は $D_A E_B F_C$ である。三角形 $ABC$ における $Mi$ の anticevian triangle を $A_{a9} B_{a9} C_{a9}$ とする。Encyclopedia of Triangle Centers の定義に則れば、$X_{200}$ は三角形 $D_A E_B F_C$, $A_{a9} B_{a9} C_{a9}$ の 配景の中心 である。また、線分 $I_B I_C, I I_A$ の中点をそれぞれ $U_A, V_A$ とする($V_A$ は既出である)。
三角形 $ABC$ に外接する直角双曲線 $\mathcal{H}$ 上に2点 $P, Q$ がある。三角形 $ABC$ における $P$ の cevian triangle を $DEF$ とし、$QD, QE, QF$ が $\mathcal{H}$ と再び交わる点をそれぞれ $X, Y, Z$ とする。このとき、三角形 $DEF$ における $Q$ の anticevian triangle は三角形 $XYZ$ である。
$PQ \cap BY = R$, $CQ \cap AY = S$ とする。双曲線 $\mathcal{H}$ 上の 6 点の組 $(A, Y, B, C, Q, P)$ に Pascal の定理を適用し、$R, S, D$ は共線であると判る。また、三角形 $ABY, CPQ$ は $E$ を中心とした配景をなすため、これらに Desargues の定理を適用し、$F, R, S$ の共線が従う。いま、$BC \cap YZ = D_?$ とし、双曲線 $\mathcal{H}$ 上の 6 点の組 $(B, A, Y, Z, Q, C)$ に Pascal の定理を適用すると、$F, S, D_?$ は共線である。よって、ここまでの共線関係から $D_? = D$ が確定し、$D, Y, Z$ の共線が導かれる。同様にして、$E, Z, X$ と $F, X, Y$ もそれぞれ共線であるといえるため、Lemma 2.4 が示された。 $\blacksquare$
3 点 $U_A, Mi, M_{AIa}$ は共線である(ただし、$M_{AIa}$ は線分 $A I_A$ の中点を指す)。
三角形 $I_A I_B I_C$ の重心を $G_I$ とし、三角形 $I_A I_B I_C$ における $Mi, G$ の垂足三角形をそれぞれ $A_{Mi} B_{Mi} C_{Mi}, A_G B_G C_G$ とする。また、$Mi$ に関し $A_{Mi}$ と対称な点を $A_{Mi}'$ とする。重心の性質より、三角形 $I_B I_C G_I$, $I_C I_A G_I$, $I_A I_B G_I$ の面積は等しいため、$Mi$ が三角形 $I_A I_B I_C$ の類似重心であることより、$\dfrac{Mi B_{Mi}}{Mi A_{Mi}}$$= \dfrac{G_I A_G}{G_I B_G}$$= \dfrac{I_A I_C}{I_B I_C}$ が従う。同様にして $\dfrac{Mi C_{Mi}}{Mi B_{Mi}}$$= \dfrac{I_B I_A}{I_C I_A}$ も判る。よって $\dfrac{Mi A_{Mi}}{I_B I_C}$$= \dfrac{Mi B_{Mi}}{I_C I_A}$$= \dfrac{Mi C_{Mi}}{I_A I_B} = u$ となる実数 $u$ が存在する。四角形 $Mi A_{Mi} I_C B_{Mi}$ が円に内接するため、三角形 $B_{Mi} A_{Mi}' Mi$, $I_A I_B I_C$ は相似であるといえて、その相似比は $u : 1$ である。すなわち、三角形 $Mi A_{Mi} B_{Mi}$, $I_A I_B I_C$ の面積比は $u^2 : 1$ に等しく、三角形 $Mi B_{Mi} C_{Mi}$ と三角形 $I_A I_B I_C$ 、三角形 $Mi C_{Mi A_{Mi}}$ と三角形 $I_A I_B I_C$ でも同様の面積比計算を各々行えば、3 つの三角形 $Mi A_{Mi} B_{Mi}$, $Mi B_{Mi} C_{Mi}$, $Mi C_{Mi} A_{Mi}$ はいずれも三角形 $I_A I_B I_C$ の $u^2$ 倍の面積を有することが判明する。これは $Mi$ が三角形 $A_{Mi} B_{Mi} C_{Mi}$ の重心であることを表す。
さて、4 点 $Mi, E_I, I_A, F_I$ は線分 $Mi I_A$ を直径とする円の周上に並ぶ。これは線分 $E_I F_I$ の中点に関し $Mi$ と対称な点、すなわち $A_{Mi}'$ が、三角形 $I_A E_I F_I$ の垂心であることを意味する。三角形 $I_A I_B I_C$ において $I_B I_C, E_I F_I$ が逆平行である事実より、 $\measuredangle U_A I_A I_C = \measuredangle I_B I_A Mi = \measuredangle F_I E_I Mi$ が成り立つ。これと $I_A I_C \perp E_I Mi$ から $U_A I_A \perp F_I E_I$ が判り、3 点 $U_A, A_{Mi}', I_A$ の共線を得る。かつ、三角形 $U_A A_{Mi} A_{Mi}'$, $U_A A I_A$ が相似なので、各々の中線に注目し、Lemma 2.5 が示された。 $\blacksquare$
$I N_A$, $U_A X_{40}$ は三角形 $I_A I_B I_C$ の Jerabek 双曲線 $\mathcal{J}_I$ 上で交わり、その交点は $A_{a9}$ に一致する。

$U_A X_{40}$ と $\mathcal{J}_I$ の交点を $P_0 (\ne X_{40})$ とし、円 $I_A I_B I_C$ の $I_B, I_C$ における接線の交点を $X_I$ とする。類似中線の性質より、 $I_A, N_A, Mi, X_I$ は共線であることに留意しておく。いま、$\mathcal{J}_I$ の三角形 $I_A I_B I_C$ における等角共役は三角形 $I_A I_B I_C$ の Euler 線となるため、5 点 $I_A, I_B, I_C, I, Mi$ はいずれも $\mathcal{J}_I$ に乗っている
[j]
。これらに対し
Lemma 2.4
を用いれば、$A_{a9}$ は $A Mi$ と $\mathcal{J}_I$ が再び交わる点であることが確かめられる($\because$
Definition 2.3
に定めた三角形 $A_{a9} B_{a9} C_{a9}$ の定義より)。
$P_0 X_{40} \perp I_B I_C$ より、直角双曲線 $\mathcal{J}_I$ 上の 4 点の組 $(P_0, X_{40}, I_B, I_C)$ は垂心系をなし、特に $X_{40}$ は三角形 $P_0 I_B I_C$ の垂心である。したがって、4 点 $X_I, X_{40}, I_B, I_C$ の共円に鑑み、 $U_A P_0 \times U_A X_{40}$$= U_A I_B \times U_A I_C$$=U_A P_0 \times U_A X_I$ より $U_A P_0 = U_A X_I$ が得られる。
Lemma 2.5
より 3 点 $U_A, Mi, M_{AIa}$ は共線であるため、三角形 $I_A M_{AIa} Mi$, $X_I U_A Mi$ の相似に注目し、$\dfrac{M_{AIa} Mi}{U_A Mi}$$= \dfrac{M_{AIa} I_A}{U_A X_I}$$= \dfrac{M_{AIa} A}{U_A P_0}$ と計算される。すなわち 3 点 $A, Mi, P_0$ は共線である。よって、$P_0$ は $A Mi$ と $\mathcal{J}_I$ の $Mi$ でない交点であるため、$P_0 = A_{a9}$ が確定する。最後に、四角形 $I B I_A C$ の Newton-Gauss 線を考えると 3 点 $U_A, N_A, V_A$ の共線が明らかとなるため、三角形 $I_A V_A N_A$, $X_I U_A N_A$ の相似に鑑み、$\dfrac{V_A N_A}{U_A N_A}$$= \dfrac{V_A I_A}{U_A X_I}$$= \dfrac{V_A I}{U_A P_0}$ と計算される。これは 3 点 $I, N_A, P_0$ の共線を意味し、$P_0 = A_{a9}$ と併せて Lemma 2.6 が示された。 $\blacksquare$
仕上げです。Encyclopedia of Triangle Centers は三角形の中心を重複なく登録しているため、ひとつの中心が条件をみたすと証明できれば、その他の中心は解になり得ないといえます。つまり、以下の Theorem 2.7 を証明すれば $f^{-1}(Fe) = X(n)$$\Longleftrightarrow$$n = 200$ が得られ、 Lemma 2.2 の結果から、問題D2の答えは $200$ であると断言できます。煩雑な図ですが、どうかご容赦ください(円滑な読解のために、 こちら で最終的な作図を確認できるようにしました)。
$Fe$ は三角形 $O_A O_B O_C$ の 200 番目の中心である。すなわち、三角形 $f(D_A) f(E_B) f(F_C)$, $f(A_{a9}) f(B_{a9}) f(C_{a9})$ の配景の中心は $Fe$ に一致する。

$Fe$ が $f(D_A) f(A_{a9})$ 上に存在することを示せば、同様にして $Fe$ が $f(E_B) f(B_{a9})$, $f(F_C) f(C_{a9})$ 上に存在することも示せるため、証明が完成する。
Lemma 1.2.1
の証明過程で示した 3 点 $M_{ADa}, N_A, I_A$ の共線と同様の手法で、3 点 $M_{AD}, I, N_A$ の共線を証明できる(ただし $M_{AD}$ は線分 $AD$ の中点である)。そのため、
Lemma 2.6
で示した 3 点 $I, N_A, A_{a9}$ の共線と併せ、$A D_A \parallel N_A A_{a9}$ が成立する。また、
Lemma 1.2.2
の証明過程で、3 点 $Y_{1145}, N_A, N_A'$ の共線および $A D_A' \parallel N_A N_A'$ を証明した。3 点の組 $(A, Mi, A_{a9})$, $(M_{ADa}, Mi, N_A)$, $(O_A, Mi, f(A_{a9}))$ はそれぞれ明らかに共線であるため、先程確認した 2 組の平行と併せ、三角形 $A Mi M_{ADa}$ と三角形 $A_{a9} Mi N_A$ 、三角形 $M_{ADa} Mi O_A$ と三角形 $N_A Mi f(A_{a9})$ はそれぞれ相似な三角形の組となる。したがって、
$$\frac{A M_{ADa}}{O_A M_{ADa}} = \frac{A M_{ADa}}{Mi M_{ADa}} \times \frac{Mi M_{ADa}}{O_A M_{ADa}} = \frac{A_{a9} N_A}{Mi N_A} \times \frac{Mi N_A}{f(A_{a9}) N_A} = \frac{A_{a9} N_A}{f(A_{a9}) N_A}$$を得る(ここから三角形 $A M_{ADa} O_A$, $A_{a9} N_A f(A_{a9})$ の相似も従うが、以降の議論では用いない)。
さて、有名性質
[k]
より、三角形 $AOI$, $Fe N_A D$ は正の向きに相似であるため、$\dfrac{D_A N_A}{Fe N_A}$$= \dfrac{D N_A}{Fe N_A}$$= \dfrac{IO}{AO}$$= \dfrac{I X_{40}}{I_A X_{40}}$ と計算される(円 $ABC$ が三角形 $I_A I_B I_C$ の九点円であることを用いた)。また、三角形 $I_A I_B I_C$, $I_A B C$ の相似において $I, X_{40}$ と $H_A, V_A$ はそれぞれ対応するので(ただし $H_A$ は三角形 $I_A B C$ の垂心である)、
Lemma 1.1.2
の結果と併せ、$\dfrac{I X_{40}}{I_A X_{40}}$$= \dfrac{H_A V_A}{I_A V_A}$$= \dfrac{D_A M_{AIa}}{I_A M_{AIa}}$ を得る。
Theorem 1.1.6
の証明過程で 4 点 $A, D_A, I_A, J_A$ の共円、および四角形 $A J_A I_A D_A'$ が平行四辺形であることを示しており、ここから $\dfrac{D_A M_{AIa}}{I_A M_{AIa}}$$= \dfrac{D_A A}{I_A J_A}$$= \dfrac{A D_A}{D_A' A}$ が従う。これらを連結し、
$$\frac{D_A N_A}{Fe N_A} = \frac{I X_{40}}{I_A X_{40}} = \frac{D_A M_{AIa}}{I_A M_{AIa}} = \frac{A D_A}{D_A' A} = \frac{A M_{ADa}}{O_A M_{ADa}} = \frac{A_{a9} N_A}{f(A_{a9}) N_A}$$が導かれる。最後に、
Lemma 1.2.4
の証明過程で示した $Fe N_A \parallel O_B O_C$ に留意しつつ、$\dfrac{Fe N_A}{f(A_{a9}) N_A}$$= \dfrac{D_A N_A}{A_{a9} N_A}$$= \dfrac{f(D_A N_A)}{f(A_{a9} N_A)}$$= \dfrac{f(D_A) N_A'}{f(A_{a9}) N_A'}$ と計算すれば、式変形の両端に注目し、3 点 $Fe, f(D_A), f(A_{a9})$ の共線が確定する。これこそが示すべきことであったため、Theorem 2.7 が示された。 $\blacksquare$
以上のすべての議論を統合し、求める自然数は $\mathbf{200}$ です。

Definition 1.0 の図において $Fe, I, N (= X(5))$ は共線であるため、anticomplement の関係に注目し、$FeI \parallel OX_{100}$ が判ります。 Lemma 0.3 の $h, P_1, P_2$ を $\mathcal{F}, I, I$ に置き換えれば $\beta(\mathcal{F}) \parallel \beta(FeI, OI)$ を得るため、写像 $f$ で $I, X_{40}$ がそれぞれ $Y_{1145}, X_{104}$ に送られる事実と併せ、4 点 $O, X_{100}, X_{104}, Y_{1145}$ の共線が導かれます。いま、円 $ABC$, $\omega$ の半径をそれぞれ $R, r$ とすると、以下の Theorem 3.1 が導出されます。
三角形 $ABC$, $O_A O_B O_C$ の相似比は $2 \sqrt{R (R - 2 r)} : (2 R - r)$ である。
四角形 $D_A H_A V_A V_1$ が平行四辺形となるような点 $V_1$ をとると、 Lemma 1.1.2 から $V_1$ は $O V_A, O_A D_A$ の交点である。先程言及した 4 点 $O, X_{100}, X_{104}, Y_{1145}$ の共線に鑑み、三角形 $OV_A X_{100}$, $OV_1 Y_{1145}$ は相似な二等辺三角形であるといえる。ここから $X_{100} Y_{1145} = V_A V_1 = H_A D_A = I D = r$ が判り、$X_{104} Y_{1145} = 2 R - r$ が従う。また、外接円と内接円の半径に関する Euler の公式より、$OI = \sqrt{R(R - 2 r)}$ 、すなわち $X_{40} I = 2 \sqrt{R(R - 2 r)}$ である。写像 $f$ は $X_{40}, I$ をそれぞれ $X_{104}, Y_{1145}$ に送るため、拡大率たる $\dfrac{Mi O_A}{Mi A}$ がこれらの比に一致し、Theorem 3.1 が示された。 $\blacksquare$
$I$ の anticomplement は $Na$ ですから、$Na \in X_{100} X_{104}$ です。ゆえに $O Na \times O X_{104}$$= O I \times O X_{40}$ となり、4 点 $I, Na, X_{40}, X_{104}$ の共円が得られます。さらには、四角形 $Fe I X_{100} X_{1145}$, $X_{104} I X_{100} X_{104}$ がともに平行四辺形であることより、4 点 $I, G, Na, X_{200}$ の共線を確かめられます($\because$ $\measuredangle X_{200} I X_{40}$$= -\measuredangle Fe X_{1145} X_{104}$$= \measuredangle X_{1145} X_{104} X_{40}$$= \measuredangle Na I X_{40}$)。
なお、
Poncelet の閉形定理
より、外接円・内接円をともに共有する三角形は、連続体濃度で無限に存在します。Theorem 3.1 は、それらのいずれであっても $\dfrac{Mi O_A}{Mi A}$ が一定値 $\dfrac{2 R - r}{2 \sqrt{R(R - 2 r)}}$ に等しくなると、そう主張しているのです。これだけでも強いですが、3 直線 $E_A F_A$, $F_B D_B$, $D_C E_C$ で作られる三角形と三角形 $I_A I_B I_C$ の配景関係、および諸々の面積比を考えれば、より巧妙な問題を作ることもできます。
三角形 $I_A I_B I_C$ の重心 $X_{165}$ が $X_{100} X_{200}$ 上に存在することを証明しなさい。
こちらの証明は演習問題とします。最後に、解説作成時点で筆者が示せていない予想を列挙します。
$\mathcal{F}$ と $f(\mathcal{F})$ の $Mi$ でない交点は $IY_{1145}$ 上に存在し、特に $X_{12641}$ である。
三角形 $f^{-1}(N_A) E_B F_C'$ と 三角形 $f^{-1}(N_A) F_C E_B'$ は正の向きに合同である。
主催者として、それぞれの問題を振り返っていきます。「数学だけ覗きに来た」という方は、ここまででお帰りいただいても大丈夫です。
問題A1。第4回にもご提供いただいた
天真
様の作品です。この方の問題は主催者同様算数らしい傾向があり、今回も「五角形の内角の和」という算数範囲の概念がポイントになりました。全体的な正答率も高く、エントリーという大役を完遂してくれたように感じます。
続く問題B1は、T-GUESS 初の空間幾何。
Kikachu
様からご提供いただきました。とはいえ、接点に注目すれば平面に帰着させられ、それ以降は受験数学にも登場しうる典型的なアプローチであったため、「手を動かせば得点できる」といって過言にならない、ほどよい難易度であったと考えます。
問題C1の作者は、第5回で最も好評を集めた問題の作者、
翔子さん
様。様々なコンテストに問題提供をなさっており、今回は T-GUESS 向けに算数らしいチューニングをしてくださいました。主催者はそれなりの難易度に感じましたが、結果的にはB1との難易度逆転が生じ、皆様の算数力に感心する次第です。
公募枠の最終問題となる問題D1。上記のD2にも少なからず(というか大部分)貢献してくださった、
Melid
様の作品となります。そのまま日本数学オリンピック(JMO)の予選で出せそうな完成度ですね。難易度も高く、解き終えた際にはどこかの山に登頂したかのような達成感があったことと思われます。
そして、問題A2からが主催者、つまり筆者の出題になります。典型になりうるポテンシャルを秘めた図ですが、意外にもここまで類題を見つけておりません。「円弧は円全体と中心を描き加える」という幾何定石、知っておいて損はありませんね(第4回にも同様の定石が効く問題を出しました)。正答率は高かったです。
問題B2に移り、T-GUESS 以外の幾何コンテストでは見たことがない図形、レムニスケートの登場です。しかしながら、本質はレムニスケートに外接する凧形の相似。その気になれば算数範囲です。解説を送るや否や、testerから「簡単やん」と一蹴された背景があります。ビジュアルの強烈さゆえか、そもそもの解答提出数が少なめでした。
まともなコンテストならばここで終わったであろう、問題C2。なんと、別の問題からの差し替えで、開催日の夕方に完成した問題です。エスパーで $81$$(= 36 + 45)$ と誤答してもらおう、などという良くない企図を含ませつつも、そのような誤答は全く来ませんでした。有料プランの AI であれば、もしかするとこの辺りまでを解いてくるかもしれませんね。
ラスト、問題D2。初手の $\eta_A$ は 2021 年時点で既に発見しており、自力で進捗を得ていた
Lemma 0.4
の手前までを Melid 様に共有したところ、とんでもなく強化された次第です。見方によっては、作問に 4 年余りをかけているとも言えます。そのため、間違いなく歴代 T-GUESS で最難問、
Math Olympiad Hardness Scale(MOHS)
換算でも 60M もしくはそれ以上……なのですが、
とんでもなく強い参加者
の襲来により陥落してしまいました。今でもなお夢かと疑っています。ちなみに、上記とは異なり、円錐曲線の別の側面にフォーカスした解法でした。大変勉強になりました。
改めて、コンテストに興味を抱いてくださり、ありがとうございました。感想・指摘等がございましたら、コメントでお知らせください。最後に、解説記事の Markdown コード長ですが、前半(A1~C2)で約 19,500 Byte 、後半(D2)で約 85,500 Byte でした。100 KB 以上の答案を 1 週間で求める理不尽なコンテストでしたね。
[a]: 正円(普通の円)$c$ の弦 $G_1 G_2$ の中点と直線 $G_1 G_2$ の極 $P_c$ を結ぶ直線は、明らかに $c$ の中心を通る。$c$ が $h$ に写るような射影変換を施せば、共線関係はこの変換で保たれるため、$O, M, Z$ もまた共線である。
[b]:
こちら
の記事より、直線上の 4 点 $A_a, A_b, A_c, A_d$ の複比は、直線上にない任意の点 $O$ をとったときの 4 直線 $OA_a,$$OA_b,$$OA_c,$$OA_d$ のなす角で定まる。$EF$ 上に任意の 4 点をとり、$I$ からこうした 4 直線を引いた場合、写像 $f$ はこれらの直線を全く動かさず、写像 $g$ はこれらの直線を対称移動させるため、いずれも直線同士のなす角を保つ。
[c]:
こちら
の定理 2.6. の証明 (1) を参照されたい。直角三角形の垂心は直角をなす頂点に一致するため、その Poncelet 束に含まれる円錐曲線の第 4 交点と直角をなす頂点の中点が、円錐曲線の中心となる。
[d]: 脚注 [c] と同様。
[e]:
こちら
の補題56 を参照されたい。
[f]:
こちら
の定理 2.6. の証明 (2) を参照されたい。
[g]: 脚注 [e] と同様。
[h]: 2 点 $F_1, F_2$ を焦点とする楕円 $\epsilon$ において、$F_1$ から放たれた光線を $\epsilon$ の周で反射すると、必ず $F_2$ へ向かっていく。これを逆に考え、$F_1$ 、$\epsilon$ の周上の点、$F_2$ を順に結ぶ折れ線の外角の二等分線は、$\epsilon$ の接線にほかならない。
[i]: $C_h$ を中心とする直角双曲線上に 2 点 $H_a, H_b$ を、それぞれが異なる枝に乗るようにとったとき、つねに $\angle H_a C_h H_b > {90}^{\circ}$ が成立する。この対偶をとればよい。
[j]: Jerabek 双曲線は基準三角形の Euler 線上にある点の等角共役の軌跡として定まる双曲線である。また、$Mi$ は三角形 $I_A I_B I_C$ の類似重心($= X(6)$)であるため、その等角共役は重心となり、Euler 線上に存在する。$I$ についても同様である。
[k]:
こちら
の定理8 を参照されたい。