かえでです.
Feuerbach点について書きます.
必ず作図ソフト(特にGeogebra)で作図をしながら読んでください.(たとえ図を無しに理解ができたとしてもです)
Feuerbachの定理
Feuerbachの定理
正三角形でない三角形について,その九点円は内接円に内接し,3つの傍接円に外接する.
九点円と内接円の接点をFeuerbach点といい,傍接円との接点を外Feuerbach点という.
この内接円と九点円の接点には様々な性質が含まれている.沢山の視点を導入して一つ一つ見ていこう.
また,作図について,TriangleCenterやConicなどのコマンドについては必ず確認しておくことを勧める.
Euler-Poncelet点
まず,Euler-Poncelet点について考えよう.Euler-Poncelet点はEP点,Poncelet点とも言われるが,ここでは以降Poncelet点を採用する.
Poncelet点
四点について,三角形の九点円及びにおける垂足円は一点で交わる.この点を四点のPoncelet点という.
証明は省略する.
以下,次のように点を定義する.
基準三角形をなる不等辺鋭角三角形とし,その内心を,-傍心を,外心を,垂心を,九点円心を,Feuerbach点を,-外Feuerbach点を,外接円を,内接円を,-傍接円を,九点円をとする.また,と直線の接点をそれぞれとし,の中点をそれぞれとする.さらに,とし,についてと対称な点を,がと再び交わる点を,におけるの対蹠点をとする.
は(三角形の九点円)と(の三角形における垂足円)の唯一の交点なのでよい.
今後展開されるすべての構図は定理2が根本原理になっていることに留意して,いくつかの構図を見ていこう.
の中点をとすれば定理2よりは共円である.よってとなって示される.
証明から分かるように,定理3はより一般にを任意の点に,をのPoncelet点に置き換えても成り立つ.
(ISL'18G4でこれがそのまま出題されたこともあるので要チェックである)
直線がと再び交わる点を,-Mixtilinear Excircleとの接点をとする.直線と直線は等角共役だからは共線であり,さらにこれはとの内相似中心を通る.ゆえにである.一方定理3からであるから示される.
実は,Feuerbach点は角の二等分線や直線でのreflection(対称移動)と相性がよい場合が多い.これゆえにMixtilinearが登場したのであって,Feuerbach点とMixtilinearとで直接的な関係が強いわけではないことに注意が必要である.
Orthopole / Orthotransversal
さて,視点を追加してFeuerbach点をFeuerbach点たらしめている構図について考察していこう.
Orthopole
三角形と直線について,からに下ろした垂線の足をそれぞれとする.このとき,を通りに垂直な直線,を通りに垂直な直線,を通りに垂直な直線は一点で交わる.この共点を三角形におけるのorthopoleという.
Orthotransversal
三角形と点について,を通りに垂直な直線と直線の交点,を通りに垂直な直線と直線の交点,を通りに垂直な直線と直線の交点は共線である.この直線を三角形におけるのorthotransversalという.
過去の記事
(の定理4)を見よ.Second Fonteneの定理を認めれば容易に証明可能である.
さて,2つの非常に強い結果を得た.これらを用いて幾つかの構図を証明していこう.
からに下ろした垂線の足をそれぞれとし,とする.このとき,は共円であり,さらにである.
定理6からはすべてを直径とする円に乗る.また,定理5からである.
から直線に下ろした垂線の足をとする.定理7から, である.
多くの束縛条件1つの構図が定理3,8,9から演繹できる.
練習問題1
解答
定理8からなので,は直線上にあり,定理7からである.一方,今の中心についてと,とは対称なので,である.
解答
定理7から明らか.
(この事実には非常に数多くの証明が存在する.この構図のもとで成り立つ諸性質の探索と併せて自ら考察してみるとよい.)
OMCG001(J)改題
がと再び交わる点をとする.がすべて相異なり,共線であるとき,
(a)の共線を示せ.
(b)を示せ.
解答
からに下ろした垂線の足を,の中点をとする.定理3から,は共線である.よって,からは共線である.一般には共線であるから,対称性よりは共線であり,はなる等脚台形である.
@yyaa_math より
直線と直線の交点をそれぞれとし,の中点をそれぞれとする.についてと対称な点をとしたとき,の共線を示せ.
解答
工事中 についてと対称な点をとする.は上にあり,さらには共線であることを示せ.
解答
工事中 をについて反転した点をとする.直線は三角形のEuler線と平行であることを示せ.
解答
Eulerの定理よりである.よって と計算できるため示される. Telv CohlのBlog より
三角形の重心を,de Longchamps点(についてと対称な点)をとする.は円と円の根軸上にあることを示せ.
ヒント
問題5を使う. 解答
Telv Cohl の
Feuerbach point lies on Radical axis
AoPSより改題
三角形において,その外接円における点での接線の成す三角形を三角形とし,の対蹠点をそれぞれとする.直線がと再び交わる点をそれぞれとし,の中点をそれぞれとするとき,円はと接することを示せ.
解答
基準三角形を三角形とすれば,円はその九点円を内接円で反転した円になるので,Feuerbachの定理より示される. Feuerbach双曲線
Poncelet束
三角形の外心を通る直線について,その等角共役による像は垂心を通る外接双曲線となる.この外接双曲線全体の集合をPoncelet束という.
Feuerbach双曲線
を通る双曲線を三角形のFeuerbach双曲線という.
Feuerbach双曲線はPoncelet束に属する.
を通る直角双曲線の中心は九点円上にあり,のPoncelet点に等しい.
円錐曲線をいきなり登場させてしまうと敷居が上がると感じたので伏せていたが,実はFeuerbach双曲線を用いることであらゆるFeuerbach点の構図を記述することができる.
三角形のNagel点,Gergonne点,Schiffler点,Mittenpunktはすべて上にある.
※ 各点の定義は以下に載せる.
Nagel点 : -傍接円との接点をとし同様にを定めた時のの共点.
Gergonne点 : の共点.
Schiffler点 : 三角形のEuler点の共点.
Mittenpunkt : 傍心三角形の類似重心.
Nagel点,Gergonne点の等角共役は内接円と外接円の相似中心なので直線上にある.また,Schiffler点は三角形の垂心(これは直線上にある)の等角共役点である.Mittenpunktの等角共役点について,これは傍心三角形と三角形の配景中心なので,直線上にある.
余談
不意に書いてみたくなったので,定理12のMittenpunktの等角共役点についての余談を挟む(本題とは関係がないので飛ばしてもらって構わない).
今,新たに基準三角形をとし,その重心を,垂心を,類似重心をとする.また,の垂足三角形をとし,の三角形における等角共役点をとする.
三角形を基準三角形として基準三角形を傍心三角形と見ると,が三角形のMittenpunktであって,がその等角共役点となることに注意せよ.
では定義に入ろう.
Cevian Triangle
三角形と点について,直線と直線の交点を,直線と直線の交点を,直線と直線の交点をとしたとき,三角形を三角形における点のcevian triangleという.
Anticevian Triangle
三角形と点について,ある三角形が一意に存在して,三角形における点のcevian triangleは三角形となるので,この三角形を三角形における点のanticevian triangleという.
Cevian Quotient
三角形と点について,のcevian triangleを,のAnticevian triangleをとする.このとき三角形と三角形は配景的である.この配景の中心をのcevian quotientといい,で表す.
三線極点(Tripole)
三角形と直線について,がその三線極線となるような点が一意に存在するので,この点をの三線極点という.
Orthocorrespondent
三角形と点について,三角形における点のorthotransversalの三線極点を点のorthocorrespondentという.
一見複雑に見えるものをいくつか定義したが,実はこれらはMittenpunktがFeuerbach双曲線上にあること,すなわちMittenpunktの等角共役がOI線上にあることと関係が深い.
構図をいくつか見ていこう.
三角形と点について,のAnticevian triangleをとし,の三角形における等角共役点を,の三角形における等角共役点を,のorthocorrespondentをとする.このとき,は共線であり,である.
定理14については,@yyaa_math の
orthotransversal のなす角について
がより参考になるだろう.
三角形を基準三角形とした上で,のcrosspointを考慮すればよい.(非本質的すぎるが故,詳しい証明は省略する)
類似重心のorthocorrespondentはEuler線上にある.
いくつか構図を確認したが,ではここでをにするとどうなるであろうか?
定理13と定理16について考えてみよう.
三角形についてそのMittenpunktがであることから,の三角形での等角共役点,の三角形での等角共役点,そして定理17からEuler線上にあることが従うのorthocorrespondentは共線である.すなわち,Mittenpunktの等角共役点が三角形のEuler線,すなわち線上にあるということが示される.
また,ここで重要なことは逆に類似重心のorthocorrespondentの性質がMittenpunktという比較的扱いやすい点の性質から与えられることだろう.
cevian quotientやorthocorrespondentは円錐曲線と非常に相性が良いため,興味のある人はぜひ研究してみて欲しい所である.
本題
さて,Feuerbach双曲線の話に戻ろう.
この記事の補足を今述べておくと,Feuerbach点の構図の一部は有向角を用いて示すのが一般的であるが,今回簡略のためそれを無視して普通の角度を用いて証明を書く.
とがとは異なる交点を持つと仮定する.このときPoncelet束の定義から,の等角共役点は直線上にある.すなわちは共線であるが,は三角形の内心及び傍心ではないのでとなり,Poncelet束の定義からこれは矛盾である.
定理18は非常に強い.が等角共役において不変であることの重要性や強さが分かるとよい.
また,似た性質として以下が成り立つ.
直線に限りなく近い点の等角共役点は点に限りなく近い点であるのでよい.
定理20はPoncelet束に属する任意の直角双曲線で成り立つ主張である.
重要な構図の証明に用いる構図を紹介する.
を通り直線に垂直な直線がと再び交わる点をとし,直線について点と対称な点をそれぞれとする.このとき,は共線である.
は共線である.また,定理8よりなのでより示される.
実は,定理21と定理3には大きな関係がある.すなわち定理3と定理21を含む強い一般化が存在している.ここでは詳しく述べないが,もしかしたら後半に追加するかもしれない.
定理21よりは共線である.よってより,からへの方べきの値を倍すればよい.
さて,以降非常に重要になる反Steiner点について考察していこう.
反Steiner点
三角形とその垂心を通る直線について,を直線について対称移動した直線は円上の一点で交わる.この点を三角形におけるの反Steiner点という.
の反Steiner点のSteiner線がであることに留意せよ.
三角形の中点三角形における直線の反Steiner点はである.
三角形の垂心が直線上にあることに注意せよ.(定理13の証明も参照すること)
定理24は驚異的である.なぜなら三角形を基準三角形に変えることでの性質をEuler線の性質として扱うことができ,さらにその逆も可能という証明の渡し船にできるからである.
Poncelet点が作用しそうなら基準三角形をにしてFeuerbach点として証明する.一方Poncelet点が作用せずFeuerbach点の性質として示すことが難しそうなときや,構図の一般化を考えるときには(稀ではあるが)基準三角形をにしてEuler線(とその等角共役であるJerabeck双曲線)の性質として考察するといった具合である.
反Steiner点,さらに言えばある直線についてSteiner線がと平行になるような外接円上の点(これは一意である)は非常に性質が深い.
また,Steiner線の遠い一般化である張志煥截線についても要チェックである.
Feuerbach双曲線と外接円の第四交点(ではない交点※)についても性質が深いので考察していこう.
※第四交点が頂点と重なることはあるが,ここでは異なっている場合を考える.
との第四交点を新たにとする.このとき,の中点はである.
は九点円上の点であると同時にの中心である.ゆえにを中心にを倍した点はである他ない.
定理25はにおいてとは互いに対蹠点であるという風に認識したい.では,この点についてさらに考察していこう.
直線についてと対称な点をとする.このとき,である.
定理7及びorthopoleの定義から,定理25と併せて直線を軸とする座標を考えれば直線はを通り直線に垂直な直線を中心に倍に拡大した直線であると分かる.一方この直線は直線に直交しているので示される.
また,全く同様の議論から以下が成り立つことが分かる.
円との第四交点をとする.このとき,の中点はであり,は共線である.
基準三角形をに変えてもは不変であるから,定理26と同様に議論すればよい.
また,以下が成り立つ.
におけるの対蹠点をとする.このとき,の中点はであり,である.
定理26及び定理27から四角形は平行四辺形である.また,有名事実としてであるからの中点はである.さらに,定理27からとは直線について対称である.よってとなり定理26からが示される.
定理26~28はより一般にPoncelet束全体で成り立つことが知られている.つまり以下が成り立つ.
直線についてと対称な点をとする.このとき,である.
定理24から,である.は上の点なので,の垂直二等分線はを通る.
さて,一度第四交点は置いておいて,更にまた別の方向の構図を見ていこう.最終的に全ての構図がFeuerbach双曲線の周辺で再開するので,これまでの各構図も振り返りながら読んでいって欲しい.
は三角形の直角外接双曲線なので,その垂心も上に乗る.
このには様々な性質がある.今回はFeuerbach点と関係のある構図の証明を目標に考えていこう.
三角形の九点円心をとする.このとき,は共線である.
直線がと再び交わる点をとし,三角形の重心をとする.は三角形の外心なので,は共線である.今は共線なので,となるため示される.
Poncelet点の定義からなので,直線はの垂直二等分線である.よって定理31よりであるが,一方直線はに接しているため示される.
定理31,32は後々登場する重要な事実である.必ず主張と証明を確認しておくこと.
では,武器が揃ったところで以下の構図を示していこうと思う.
東大寺数研懸賞問題 2024 P18 (created by @yyaa_math)
を直径とする円との交点をとする.このとき,は共円である.
直線がに接することに注意すれば,定理29及び定理32より直線と直線は直線上で交わる.この点を新たにとすれば,三角形とその内接円と点に3 Points DDITを適用することにより,を通る直線束上のinvolutionであって,がreciprocalなものの存在が分かる.これを直線に射影することでがreciprocalな直線上のinvolutionの存在が分かる.よって三円はcoaxialであると分かる.一方有名事実としてと円は点で交わる.よっての共円が示される.
この章の最後に,complementについて考えよう.
Complement
重心を中心とする倍の相似拡大による図形の像をのcomplementという.
Anticomplement
重心を中心とする倍の相似拡大による図形の像をのanticomplementという.
complementのanticomplementは元の図形に等しい.
今回はanticomplementを基準にしていく.
中点三角形のanticomplementは元の三角形なのでよい.
定理34を見ればPoncelet束やSteiner線とanticomplementは相性が良いことが予測できるであろう.まさにその通りである.
三角形について,定理28からその重心は三角形の重心に一致する.一方定理27からはの中点であるので示される.
定理35,定理36を組み合わせることで,以下が従う.
定理37の直接的な応用は発見が難しいが,その他構図と組み合わせて考えることで様々な議論ができる.
Reflection
定理4を示したときに,Feuerbach点はreflectionと相性がいいと書いたのを覚えているだろうか.
まさに,この章が本記事の山場である.
についてと対称な点をとする.このとき,は共線である.
についてと対称な点をとする.三角形の内心はなので,重心のanticevian triangleをとすれば,定理36よりは三角形のFeuerbach点である.よって,三角形を基準三角形として定理を用いることにより示される.
を直線について対称移動した点をとする.このとき,は共線である.
定理31からは共線である.また,有名事実として頂点,九点円心,外心を対辺で対称移動した点は共線であるから,これを三角形に適用しての共線を得る.さらに,定理38からの共線を得る.よっては共線である.
さて,武器が一通り揃ったのでより強い定理を示していこう.
-傍接円と直線の接点をとする.このとき,はを中心とする円上にある.
直線と直線は上の点で交わるので,この点からの方べきを考えることでの共円を得る.一方定理32及び定理40から三角形の外心はであるため示される.
定理41にはこれ以外にも興味深い証明が存在しているので,簡略的に紹介していく.
直線との距離がであるような直線と平行な直線のうち,に近い方をとする.また,を焦点としを準線とする放物線をとする.このとき,Feuerbachの定理からは上にあり,さらに放物線の有名事実から直線はに接している.一方放物線の有名事実からは三角形の-Dumpty pointである.よってFeuerbachの定理からとなり,が従う.
これは匿(@con_malinconia)氏による証明である.(詳しくは
第4回匿式図形問題エスパー杯(T-GUESS Cup 4) 問題Fの解説
を見よ)
実は,稀ではあるが放物線はその強い性質から複雑な幾何で補助円錐曲線として登場することがある.匿氏によるこの証明は放物線を用いる例として非常に好例である.
ここでは用いられていないが,放物線に興味のある人はぜひLambertの定理について調べることを勧める.では,次へ行こう.
直線が円と再び交わる点を新たにとする.直線についてと対称な点をそれぞれとするとき,は共円である.
定理42と同様の議論からが成り立つため,である.一方なので,は共円となり示される.
定理41から,である.ゆえにに注意すれば定理43から,となり示される.
半直線上の点をで定め,直線についてと対称な点を新たにそれぞれとする.このとき,はを中心とする円上にある.
定理29から,である.また,-傍接円で全く同様の議論を行うことでが従う.よって,なので四点はを中心とする円上にある.
定理41と定理45から,三円の根心を考えることができ,これはである.よって,直線は点を通る.
さて,定理44についてはさらなる興味深い見方が存在する.定理24で基準三角形について話したのを覚えているだろうか?
基準三角形をとして点を眺めてみよう.の位置を考えれば,次のような事実が成り立つことが分かる.
は三角形におけるEuler線の反Steiner点である.
これから定理44が即座に従うわけではない.だが,これのおかげで我々は基準三角形でない三角形のFeuerbach点や九点円心を扱うことができるようになった.実は,この事は最近私が気付いた事実で,他の人は全くと言っていいほど言及していない.新鮮な事実なので必ず抑えておくことをオススメする.
大量に定理を並べていったが,定理41から定理46を見ればいかにFeuerbach点がでのreflectionと相性が良いか分かるであろう.
また,少し前で述べたようにFeuerbach点のその性質はが等角共役の不動点であるという事実が強く作用している.各傍心も等角共役の不動点であるから,内心側で成り立つことは傍心側でも成り立つ.このことに留意して,先の匿氏の記事などの外Feuerbach点の主張を考えると非常に見通しが良くなると思う.また,Involutionを知っている人は傍接円は内接円であるという認識を持つと理解の助けになるだろう.
その他の重要な構図
この章では,これまでに触れてこなかったが重要度が高い構図を紹介していく.(紹介に重点を置き,証明を省略することが多くあるので注意してほしい)
有名事実
直線または上の任意の点について,その垂足円はを通る.
Kariyaの定理(rewriting)
を中心とする円と直線の交点をそれぞれとする.このとき,直線は上で交わる.
直線についてと対称な点をとする.このとき,は共線である.
Dadgarnia より
円のにおける接線と円のにおける接線の交点をとする.このとき,は共線である.
直線についてと対称な点をとする.定理8から,となりの共円が従う.
の中点についてと対称な点をとする.このとき,とは円における反転で移り合う.
基準三角形をに変えた上で題を書き直せば,三角形とそのEuler線の反Steiner点をの中点で対称移動した点をとするとき,円が直線と接することを示せばよいが,三角形の垂心をとすれば,であるため示される.
定理53,定理55は私が最近発見した構図である.証明に協力してくれた@yyaa_math に感謝する.
有名事実
直角双曲線上に五点があり,はその直径であるとする.このとき,である.
上の点の任意の点について,その対蹠点をとしたとき,の外角の二等分線との二等分線は上で交わる.
の外角の二等分線がと再び交わる点をとする.このとき,は共円である.
定理27及び定理57から,直線はを二等分する.今定理40よりは共線であるから,が従う.一方今であるから示される.
定理20から,はのにおける接線と直線の成す角に等しく,補題56からこれはに等しい.一方定理58からであるから示される.
Emelyanovの定理
のcevian triangleをとする.このとき,は円上にある.
定理61の一般化
上の点のcevian triangleをとする.このとき,は円上にある.
この章には定期的に構図を追加していこうと思う.
練習問題2
では,これまでに得たすべての知識を利用して,問題を解いていこう.
自作
直線についてと対称な点をとする.このとき,の共円を示せ.
@StandeeCock より
直線と直線の交点の等角共役点をとする.このとき,の共線を示せ.
Gallatly (1909)
から対辺に下ろした垂線の足をそれぞれとする.このとき,三角形の内心と外心を結ぶ直線(三角形の線)はを通ることを示せ.
@StandeeCock より
三角形の内心をそれぞれとする.このとき,は円上にあることを示せ.
David Nguyen より(改題)
四角形のNewton線(対角線の中点を結ぶ直線)と直線は平行であることを示せ.
David Nguyen より(改題)
の二等分線についてと対称な点をそれぞれとする.円と円は上で再び交わることを示せ.
泠珞 より
直線と直線の交点を新たにとする.このとき,を示せ.
@yyaa_math より
直線と-傍接円の接点を結ぶ直線をとし,同様に直線を定める.三直線の成す三角形をとし,同様に三角形を定めたとき,のEuler線は共点であることを示せ.
解答は後々書き入れる.だが,これまでの内容を理解していれば解くことは容易いであろう.
外Feuerbach点同士の構図(工事中?)
Feuerbach点を用いずとも記述が可能であるような,外Feuerbach点同士の対応を見るような構図も多くある.だが,これらはFeuerbach点の各構図と比べてかなり独立しており,ここまでの流れで書くにはあまりに濁りになると考えたため,一旦はこれを書かないで投稿する(後に書き足す可能性大).興味のある人は是非reflectionの章で紹介した匿氏の記事なども参考にして研究してみてほしい.
では,次の章へ行こう.
さらなる構図
実は,ここまでに脱線させないために述べてこなかった構図が沢山ある.以上の章まででFeuerbach点を凡そ理解したであろうから,これからは順序を無視して紹介していく.証明は省略するので,気になるものはぜひ自力で証明してみよ.ここまでの内容をしっかり抑えていれば容易いはずである.
Pindp より
点があり,四角形と四角形はそれぞれ平行四辺形である.このとき,またはである.
Lemmas in Olympiad Geometry より
三角形の重心をとする.このとき,はの等長共役点である.
Altıntaş, Emirdağ より
三角形の垂心をそれぞれ新たにとする.このとき,三直線は共点である.
Angel Montesdeoca より
定理65における共点はと三角形の垂心の中点である.
BaoVn より
三角形の垂心をそれぞれ新たにとする.このとき,は三角形の九点円上にあり,三角形の外心は三角形のNagel点とGergonne点を結ぶ直線上にある.
この章にも,以降もさらに構図を載せ続けていこうと思う.
最後に
何も考えずに書き始めた本記事であったが,書いていく中で三つほど失敗をしたことに気付いた.一つ目は,有向角を用いれば良かったということである.位置関係によってずれてしまう部分が大量に存在しており,自分と異なる図で証明を追っていた読者には混乱を与えてしまったかもしれない.二つ目は,何の構図を書いていないのか分からなくなったことである.この記事にある構図は最初からリストアップされていたものではなく,私の脳内にある構図を都度思い出して書くような形になっている.ゆえに一つでも思い出し忘れている構図が無いか悩むことが多くあった.今も忘れている構図が無いか酷く焦っている.三つ目は,外Feuerbach点の構図についてあまり触れられなかったことである.外Feuerbach点単体ならFeuerbach点と全く同じように扱えるが,複数ある傍接円の相互な作用によって構成される構図は書くことができなかった.何についても,この点ではもう少し推敲してから書いても良かったかもしれない.
しかし,この記事で重要な視点は教えきったつもりである.ぜひ,この記事を読んだ皆には,自らさらなるFeuerbach点の構図を研究していってほしい.また,その研究が新規性や斬新さに富んでいれば,ぜひこの記事に追加させて頂きたい.