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大学数学基礎解説
文献あり

「直積」の何たるか #3

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 やぁやぁ皆さん.陽袮 柊です.
  前回の記事 では「直積」の概念を圏のレベルで定義し,そこからの考察として「余積」という積の双対概念がごく自然に現れることを最後に見ました.具体的にはどんな数学的対象がその圏における余積になっているのかの考察を宿題としてましたが,やってくれた人はいるんでしょうかね.
 今回の記事では,まず,この余積が具体的な圏ではどんなものになっているのかをご紹介し,そこから,様々な数学的対象を同様の考察により定め,より豊かな話をしていこうと思います.
 もちろん,この記事でも0Nとします.当たり前です.自然数は0から始まるのです.

余積の具体的な様相

 少しだけ復習をしておくと,圏Cの対象X, Y余積 (coproduct) とは,C反対圏CopでのX, Yの積(C,(iop,jop))Cに戻してきた(C,(i,j))のことでした.これらを図で表すと次のようになります:

Afopgop!uopACiopjopopC!uXYXifYjg

 この図は,左がCopでの図で,右がCでの図です.余積もこの意味で普遍性をもっているわけですが,積が持っている普遍性とは射の向きがすべて反対になっていることに注意してください.
 なお,上の図での(A,(f,g))は,錐の双対ということで余錐 (cocone) とよばれます.錐の脚は頂点からの射たちですが,余錐の脚は頂点への射たちです.

用語について

 「Aを頂点とするX, Y上の余錐」を英訳すると「a cocone over X, Y with summit A」となりますが,cocone という語を使わない別の表現として「a cone under X, Y with nadir A」というものもあります.前者の表現では,(A,(f:XA,g:YA))を左下の図のように「錐の射の向きを反対にしただけのもの」として認識していて,後者の表現では,右下の図のように「射はすべて下へ向かうように表したい」という感情が現れていると思います:

AXfYgXfYgA

 どちらの表現を使うかは好みの問題なのですが,後者の表現のしっくりくる和訳が思いつかないので,この記事では前者の表現を採用することとします.良い表現を思いつかれた方はぜひコメントを残して共有してください.

 では,余積の具体例を見てみましょう.

Setにおける余積

 X, YSetの対象とします.そこで,直和集合XYを考え,i:XXY, j:YXYを包含写像としましょう.じつは,(XY,(i,j))は余積の普遍性をみたします.確認してみましょう.
 X, Y上の余錐(A,(f,g))を任意にとります.これに対して,ui=fかつuj=gをみたす写像u:XYAがただ1つ存在するかどうかを見るわけですが,あるとしたらどんな写像になるでしょうか?#1の時と同様,少し考えてみたください.

A XY!uXifYjg

 さて,uがどんな写像なのか分かったでしょうか.答えは,次のように定まる写像です:

u(z):={f(z)(zX),g(z)(zY).

 XYは一般にはただの和集合XYと異なり,zXYがもともとXに属していたものなのかYに属していたものなのかがはっきりと分かるということに注意してください.
 つまり,直積集合の双対は直和集合なのです!
 いま,余積は2つの対象の場合についてしか考えていませんが,あとで定めるように,もちろん族に対しても定義されて,集合Λを添字集合とする集合族(Xλ)λΛの直和集合と包含写像たちは,先と同様の理由により余積の普遍性をみたします.よく,この集合はλΛXλと表されますが,なぜ直積集合λΛXλの「」をひっくり返した記号を使うかというと,双対概念だからです.
 ちなみに,LATEXでは「」はprodで「」はcoprodで出力されます.

 こういった理由から,余積はしばしば (sum) とよばれます.

余積(和)

 Cを圏,Λを集合,(Xλ)λΛΛを添字集合とするCの対象の族とする.このとき,Copにおける(Xλ)λΛ上の錐(A,(fop:AXλ)λΛ)Cへ戻した(A,(f:XλA)λΛ)(Xλ)λΛ上の余錐 (cocone) という.
 そして,Copにおける(Xλ)λΛの積(C,(iλop:CXλ)λΛ)Cへ戻した(C,(iλ:XλC)λΛ)(Xλ)λΛ余積 (coproduct),または, (sum) とよび,CλΛXλと表す.そして,(iλ:XλC)λΛ余射影 (coprojections) とよぶ.
 つまり,次の普遍性をみたす(Xλ)λΛ上の余錐(C,(iλ:XλC)λΛ)が,(Xλ)λΛの余積である:

  • (Xλ)λΛ上の任意の余錐(A,(f:XλA)λΛ)に対して,各λΛについてuiλ=fλが成り立つCの射u:CAがただ1つ存在する.

AλΛXλ!uXλiλfλ

 なお,|Λ|=nとなる正の整数nが存在するとき,Λ=:{λ0,,λn1}として,λΛXλXλ0Xλn1と表すこともある.

 他の圏における余積も見てみましょう.

Topにおける余積

 Topの対象(X,OX), (Y,OY)の余積はたとえばどんなものになるでしょうか.ひとまず,Setと似たことが起きると予想して,その余錐の頂点の土台となる集合を直和集合XYとし,脚は包含写像i:XXY, j:YXYとしてみます.#1でおこなった議論と同様に,i, jが連続となって,さらに余積の普遍性をみたすような位相OXYに入れてみましょう.
 まず,i, jを連続としたいのですから,任意のWOについてi1(W)OX, j1(W)OYがどちらも成り立たなければなりません.i, jXYへの包含写像であることに注意すると,WはあるUOX, VOYによってW=UVと表されていなければなりません.
 そして,普遍性をみたさなければならないので,(X,OX), (Y,OY)上の任意の余錐((A,OA),(f,g))に対して,Setでの話からただ1つ存在する写像
u:XYA;z{f(z)(zX),g(z)(zY)
が連続にならなければなりません.そのためには,OAの元のuによる逆像がすべてOに属さなければならないので,Oはなるべく強い位相にしておいたほうがよいです.先の議論からO{UVUOX,VOY}は分かっていて,この右辺は位相の公理をみたすので,O={UVUOX,VOY}であれば都合がよく,実際,この位相がXYに入ると,余積の普遍性がみたされます.
 以上により,O:={UVUOX,VOY}とすると,((XY,O),(i,j))(X,OX), (Y,OY)の余積となります.こういった理由から,OOX, OY直和位相と,(XY,O)(X,OX), (Y,OY)直和(位相)空間とよばれます.位相空間の族についても同様です.

(A,OA) (XY,O)!u(X,OX)if(Y,OY)jg

VectKにおける余積

 VectKの対象(V,+V,V), (W,+W,W)の余積はどうなるでしょうか.積の場合では,Topでの話と同じように直積集合V×Wに代数構造を入れていたので,今回もTopでの話と同じように直和集合VWに代数構造を入れればよいのではないかとはじめは思うかもしれませんが,それではうまくいきません.なぜかというと,VWに代数構造を入れるということは,結局のところ,任意のvVwWとについてv+wVWを定めるということになりますが,これではv+wVなのかv+wWなのかを決めなければならないのです.かなり微妙な気がしないでしょうか.
 しかたがないので,VWに代数構造をいれることは諦めましょう.しかし,余積自体は諦めたくないので,別の余錐を考えてみることにします.余積の頂点の候補として,VWのように,VWとをある意味で含んでいるような空間を考えてみると余射影を構成しやすいはずなので,そうしてみましょう.VW以外にV, Wを含んでいるような大きい集合で真っ先に思いつくのはV×Wではないでしょうか.実際,
i:(V,+V,V)(V×W,+,);v(v,0),j:(W,+W,W)(V×W,+,);w(0,w)という埋め込み(つまり,単射準同型)が自然に思いつきます.
 じつは,((V×W,+,),(i,j))は余積の普遍性をみたします.少し確認してみると,(V,+V,V), (W,+W,W)上の任意の余錐((A,+A,A),(f,g))に対して
u:(V×W,+,)(A,+A,A);(v,w)f(v)+Ag(w)
というK線形写像を考えれば,これがui=fuj=gとをみたすただ1つの射になります.(V×W,+,)は,(V,+V,V), (W,+W,W)の積の頂点であるだけでなく,余積の頂点でもあったのです!

(A,+A,A)!(V×W,+,)prVprW!(V,+V,V)i(W,+W,W)j

 話を広げて,集合Λを添字集合とするVectKの対象の族((Vλ,+λ,λ))λΛの余積は,|Λ|<なら,先の場合と同様で直積空間(λΛVλ,+,)を頂点にもちますが,|Λ|=だと,普遍性の議論で登場するuが無限和をとる射になってしまうので,有限和にするために,直積空間の部分空間として
{(vλ)λΛλΛVλ||{λΛvλ0}|<}
を土台とする空間を考えれば,それが余積の頂点になります.この集合はよくλΛVλと表され,(λΛVλ,+,)((Vλ,+λ,λ))λΛ直和(ベクトル)空間とよばれます.もちろん,|Λ|<ならλΛVλ=λΛVλです.
 なお,これはR-ModAbでも同じです.

Grpにおける余積

 Grpの対象(G,G), (H,H)の余積も考えてみましょう.なお,両者の単位元はeと表すことにします.VectKでの話と同様の理由から,直和集合GHに演算を入れようとするとうまくいきません.また,直積群(G×H,×)と上で考えたような埋め込みi:(G,G)(G×H,×);g(g,e), j:(H,H)(G×H,×);h(e,h)を考えても,((G×H,×),(i,j))は余積の普遍性をみたしません.なぜなら,(G,G), (H,H)上の任意の余錐((A,A),(φ,ψ))に対して,ui=φ, uj=ψをみたす射u:(G×H,×)(A,A)は,存在するならVectKのときと同じようにu(g,h)=φ(g)Aψ(h)となるしかないのですが,Aは可換とは限らないので,uは一般にはGrpの射とならないのです.
 では,いったいどんなものが余積になるのでしょうか.答えを言うと,(G,G), (H,H)自由積とよばれる群(GH,)と自然な埋め込みたちとの組が余積の普遍性をみたします.
 自由積とは,簡単に言えば,G, Hの元たちの形式的な積をすべて考えて得られる群のことです.GHだとなぜうまくいかなかったのかというと,gGhHとの積をG, Hのどちらに属させるのかで困ってしまうからだったわけですが,その問題点をパワーで筋肉解決したものが自由積です.
 より正確に定義するなら,まず,G, Hの有限個の元を一列に並べたもの,つまり「語」全体の集合Wを考えます.たとえば,g1,g2,g3G, h1,h2,h3,h4Hについて
(g1,h1,h21,g21,g2,e,h3,g3,h4,h4)
といった具合のものをすべて集めるわけです.ただし,これはGHの元を並べているのではなく,GHの元を並べています.つまり,各元がもともとGの元だったかHの元だったかははっきりと区別できることとするのです.また,毎回「()」と「,」とをかいていると大変なので,それらは省略しちゃいましょう:

g1h1h21g21g2eh3g3h4h4.

そして,このWに,次のルールを設けます:

  1. 単位元は省略しても良い.
  2. 同じ群の2元が隣り合っているならそこはその2元の積と取り換えても良い.

上の場合にこのルールを適用すると,
=(1)g1h1h21g21g2eh3g3h4h4=(1)g1h1h21g21g2h3g3h4h4=(2)g1h1h21eh3g3h42=(1)g1h1h21h3g3h42
となります.つまりは,上のルールによって作られるW上同値関係を考えて,これによるWの商集合を考えるということです.この商集合がGHです.そして,GH上の演算を,任意のx1,,xm,y1,,ynGHに対して
(x1xm)(y1yn):=x1xmy1yn
と定めると,(GH,)は群になります.これが自由積です.すると,埋め込み
i:(G,G)(GH,);gg,j:(H,H)(GH,);hhが自然に思いつくので,((GH,),(i,j))という(G,G), (H,H)上の余錐が考えられますね.
 さて,自由積が余積の普遍性をみたしているかどうかです.(G,G), (H,H)上の任意の余錐((A,A),(φ,ψ))に対して,射u:(GH,)(A,A)を,任意のkGHに対して
u(k):={φ(k)(kG),ψ(k)(kH)
とし,これにより定まる群準同型と定めます.たとえば,先のg1h1h21h3g3h42uで写すと
u(g1h1h21h3g3h42)=u(g1)u(h1)u(h2)1u(h3)u(g3)u(h4)2=φ(g1)ψ(h1)ψ(h2)1ψ(h3)φ(g3)ψ(h4)2
となります.このuは,ui=φuj=ψとをみたす唯一の射です.以上の話は,群の族についても同様です.

(A,A) (GH,)!u(G,G)iφ(H,H)jψ

 Ringにおける余積は,Grpでのアナロジーを応用して構成されるそうですが,私はあまり詳しくないので,興味のある方は こちらのリンク先 などをご参照ください.

CRingにおける余積

 CRingの対象(R,+R,R), (S,+S,S)の余積は,もう長くなるので答えを先に言ってしまうと,(R,+R), (S,+S)Z-Modの対象としてのテンソル積(RS,+)をとり,任意のr1,r2R, s1,s2Sに対して
(r1s1)(r2s2):=r1r2s1s2
と定めると,(RS,+,)は可換環になって,これへの射
i:(R,+R,R)(RS,+,);rr1,j:(S,+S,S)(RS,+,);s1s
を考えれば,((RS,+,),(i,j))(R,+R,R), (S,+S,S)の余積となります.実際,(R,+R,R), (S,+S,S)上の余錐((A,+A,A),(f,g))に対して,ui=f, uj=gをみたす射u:(RS,+,)(A,+A,A)は,存在するなら
u(rs):=f(r)g(s)(rsRS)
により定まるもので,直積環からのZ双線型写像
B:(R×S,+×,×)(A,+A,A);(r,s)f(r)g(s)
がありますから,テンセル積の普遍性によりこの射は存在します.

(A,+A,A) (RS,+,)!u(R,+R,R)if(S,+S,S)jg

(R×S,+×,×)Z双線型BZ双線型(A,+A,A)(RS,+,)u

 一般に,CRingの対象の族((Rλ,+λ,λ))λΛの余積も存在しますが,この記事で扱う範囲を若干超えてしまうので扱いません.ざっくりと言えば,|Λ|<での話をそのまま拡張してしまうと,VectKのときと同じように,余積の普遍性により一意に存在する射が無限積をとるものになってしまうので,(rλ)λΛλΛRλのテンソル積λΛrλを考えたときに,有限個のrλを除いてrλ=1となるようなもの全体を構成すれば,u(λΛrλ)が実質的に有限積になるので問題が無くなり,余積となるといった流れです.詳しく知りたい方は こちらのリンク などをご参照ください.

順序集合のなす圏における余積

 (P,)を順序集合とし,これを圏と見なします.この圏における対象x, yの積はinf{x,y}で,これを,交わりとよんで,xyと表すのでした.
 では,x, yの余積はどうなるでしょうか.これは,積で考えた図の矢印の向き,つまり,大小関係がすべて逆転するので,inf{x,y}ではなくsup{x,y}が余積の頂点となります.これはx, y結び (join) とよばれ,xyと表されます.

axyxy

 2つの関数f,g:RRに対して,関数fg:RR(fg)(x):=max{f(x),g(x)}xR)により定めることがありますが,この記法は前述のことに由来します.
 具体例として,Sを集合とし,(P(S),)という順序集合を考えると,この圏の対象X, Yの結びXYは和集合XYとなります.
 また,整除関係による(N,)という順序集合のなす圏の対象x, yの結びは,x, yに割りきられるもののうち最小のものなので,最小公倍数lcm(x,y)になります.
 圏(P,)の対象の族(xλ)λΛの場合も,その余積の頂点はsupλΛxλで,これはλΛxλと表され,(xλ)λΛ結びとよばれます.

空族の余積

 ここで,話を一般の圏Cに戻し,Cの対象の族として空族(Xλ)λの余積(C,(iλ:XλC)λ)について考えてみましょう.空族の積のときの話と同様に,余錐の脚に関する情報は無いに等しいので,そういったものを削ぎ落としていくと,(Xλ)λの余積とは,次の普遍性をもつCの対象Cのこととなります:

  • Cの任意の対象Aに対して,Cの射u:CAがただ1つ存在する.

 このCC始対象 (initial object) とよばれ「無の和をとる」という意味でよく0と表されます.

Setの始対象

 Setの始対象0は,空集合のことです.任意の集合Aに対して,空写像Aがただ1つ存在しますからね.(終対象のときと同様に,始対象を0と表す説明は「0元集合がSetの始対象となるから0と表す」というもののほうが妥当です.)
 Topにおいても同様です.

VectKの始対象

 VectKの始対象0は零ベクトル空間({0},+,)です.実際,VectKの任意の対象(V,+V,V)に対して,VectKの射0(V,+V,V)は,零ベクトルを零ベクトルに写さなければならないので,00というものしかありません.
 Grp, R-Mod, Abでも同様です.これらの圏では,終対象1も単位元のみからなる自明なものでしたから,この意味で「1=0」が成り立ちますね.

Ringの始対象

 Ringの始対象は,VectKなどと同じような1元のみの零環ではありません.Ringの射は零元を零元に写すだけでなく,乗法単位元を乗法単位元に写さなければならないですから,零環からの射は零環へのものしかありません.
 では,Ringの始対象はいったいなんなのか.じつは,有理整数環(Z,+,)が該当します.実際,Ringの任意の対象(A,+A,A)に対して,Ringの射u:(Z,+,)(A,+A,A)があったとすると,まず,u(0)=0A, u(1)=1Aで,任意の正の整数nについて
u(n)=u(1++1n)=u(1)+A+Au(1)n=nu(1)=n1A,u(n)=u(n)=(n1A)=(n)1A
と,uによる写し方は一意に定まりますし,写像u:ZA;nn1AはもちろんRingの射となりますから,始対象の普遍性をみたします.
 もちろん,このことはCRingでも同じです.

順序集合のなす圏の始対象

 順序集合(P,)を圏と見なすと,この圏の終対象はmaxPで,と表すのでした.それと同様の議論をすれば,この圏の始対象は最小元minPだと分かります.そして,これは「」の上下を逆さにしてと表されたりします.
 ちなみに,LATEXでは「」はtopで「」はbotで出力されます.こういう遊び心は個人的に好きです.
 Sを集合とし,(P(S),)という順序集合のなす圏を考えると,この圏では=です.
 また,圏(N,)でのとは,すべての自然数を割りきる自然数のことですから,1となります.始対象を0と表すのであれば,またしても「0=1」が成り立ちますね.

様々な図と,それ上の(余)錐

 前回と今回とでは(余)積を考えてきましたが,これがどんなものであるかを復習すると,圏の対象をいくつかもってきて固定し,もう1つの対象と,これとそれらとの間の射をまとめたものを(余)錐とよび,そのうち普遍性を持つものが(余)積なのでした.

λΛXλpιpκpλpμpνXιXκXλXμXν

 この場合,固定されている対象たちと(余)錐の頂点とは繋がりを持っていますが,固定されている対象たちの間には繋がりがなにも無く,離散的です.ここに繋がりを持たせてみるとどんなことが起きるでしょうか.たとえば,2つの対象X, Yの間に2つの射s,t:XYを入れてみて,これ上の(余)錐を考えるだとか,3つの対象X, Y, Zの間に2つの射XsYtZを入れてみて,これ上の(余)錐を考えてみるだとか,可算無限個の対象X0, X1, X2, ...の間に可算無限個の射X0s0X1s1X2s2を入れてみて,これ上の(余錐)を考えてみるだとか,固定する対象たちの間に繋がりを入れてみようとすると,より様々な(余)積の類似を構成できます:

XstY

XsZtY

X0X1s0X2s1X3s2X4s3s4

 次回の記事では,こういった様々な図の上の(余)錐を考えて,そのうち普遍性を持つものはどんなものかということをいくつかピックアップしてご紹介しようと思います.

 ここまでご覧くださりありがとうございました!

参考文献

投稿日:14
更新日:14
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投稿者

「マスター、数学を少々」

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  1. 余積の具体的な様相
  2. 空族の余積
  3. 様々な図と,それ上の(余)錐
  4. 参考文献