この記事でいうCircular ladder graph [1]とは,下図のようなグラフである.
ふつうCircular ladder graphというと,上図のような形の無向グラフのことをいう.この記事では話の都合上,図のように枝に向きがついているものを考える.
Circular ladder graph
回転することで互いに同じなる塗り方を,同値な塗り方と呼び,同値でない塗り方が何通りあるかを調べることにする.
本記事では以下の定理を示す.
グラフ
通りである.
より正確に述べるために「
集合
と定める.
巡回群
により定める.上でグラフを使って定義した「
二行配列
により定める.高さ列の要素が,最初の要素
以下が成り立つ.
任意の
二行配列
ここで添字
二重配列
(1) この二重配列
(2) 軌道
を示す.
(1):
また,
(2):
補足:Cycle lemmaと呼ばれる定理は色々なバージョンがあり [2,3],上の補題とその証明は他のバーションのcycle lemmaとほとんど同じである.
補題2より,集合
次に,集合
二色Motzkin路 [4]とは,四つの基本ステップ
よりなる上半平面上のパスである.
点
二色Motzkin路のうち,ステップ
任意の自然数
補題3は有名なので,ここでは図で対応の例を挙げるだけにとどめる.
(上)一対一対応の作り方. (下)この方法で一対一対応する
よく知られているように(例えば[4]を参照)
なので,補題3から
がわかる.
最後に,集合
集合
dominatingな二行配列
が与えられたとする.dominatingという条件から一列目は必ず
である.二列目以降,
二行配列の
こうして長さ
(証明終わり)
結局何をしたのかよく伝わらない感じがしたので,上でやったことを図にしてみた.
(1)Cyclic ladder graphの (同値でない)彩色.(2)集合
(1)と(2),(2)と(3),(3)と(4)の一対一対応をそれぞれ作ることで,(1)と(4)が一対一対応することを示して,よって(1)の数がカタラン数であることを示した感じである.